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【4013】勤次郎株式会社代表取締役執行役員社長 加村光造氏「従業員の健康にフォーカスする唯一無二のHRM事業」

※本コラムは2023年7月4日に実施したIRインタビューをもとにしております。

勤次郎株式会社は、勤怠・就業管理分野におけるオンプレミス・クラウド製品の先駆者として企業のHRMに貢献を続けてきました。

これまでの同社の歩みや事業の特徴、およびさらなる成長展開について、代表取締役執行役員社長の加村光造氏に伺いました。

目次

勤次郎株式会社を一言で言うと

社員の若さと匠の技で、顧客企業の潜在ニーズを先取りする創造企業です。

会社の沿革

当社は1981年に設立されました。OA機器の販売を中心に、特に通信機器を含むFAX交換機やOA機器の販売店からスタートし、創業当初は高い需要を捉え順調に成長していきました。

しかし、その好調も長くは続かず、1994年頃にはオフコン関連のソフトウェア開発に進みました。その結果、パソコン向けのパッケージソフトの開発とリリースに成功しました。

最初にリリースされた給与ソフトは、当時ではまだ珍しい存在でした。ヨドバシカメラやビックカメラなどの大手販売店でも取り扱っていただき、順調に展開していきました。

給与ソフトを起点に、勤怠や就業管理といった周辺要件に対応する目的で、1994年頃から勤次郎Enterpriseという現在にも繋がるビジネスモデルが次第に形作られていきました。

このようにオンプレミスの事業展開を行ってきた当社ですが、その後はクラウドサービスへの移行を見越し、2010年頃から業務向けのクラウドサービスの提供に取り組みました。

当時としては業界でも先駆的な存在でありました。

特に2019年にかけての働き方改革の盛り上がりにおいて、このクラウドサービスが武器となり、上場までたどり着く一因となりました。

勤次郎株式会社 2023年3月20日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

ターニングポイント

最初のターニングポイントは勤怠管理や就業管理分野への取り組みです。

元々業界ではアマノさんが勤怠管理を行っておりましたが、当社は勤怠管理だけでなくシフト管理やスケジュール管理、申請承認などを含めた就業管理に取り組んだのが大きな転機でした。

次に、クラウドサービスへの移行が2番目のターニングポイントとなります。

当社は、他社に先駆けてクラウドサービスを展開しました。また、パートナービジネスに力を入れており、パートナー企業に早くからクラウドサービスの提案を行いました。

これは直販の他社との販路の違いとして、一定の差別化要素となりました。

そして最後に、従業員の心と体の健康経営に関連する製品やサービスのリリースが、直近のターニングポイントとして挙げられます。

足元ではこの分野に注力し、将来的にキラーコンテンツとなることを期待しています。

事業概要と特徴

主力事業は就業や勤怠管理システムです。これを中心に、人事・給与および健康経営に関連する製品やサービスを提供し、企業のヒューマンリソースマネジメント(HRM)に貢献しています。

このように、勤怠だけでなく人事関連や従業員の心と体の健康といった、企業のHRに関わるさまざまな課題を解決することをビジネスの目標としています。

また、当社は独自のクラウド基盤を持っています。

一般的にはAzureやAWSなどのメーカーが提供するクラウドサービスを活用するケースが多い中、我々は自社の設備をクラウド基盤として利用しています。

足元ではプライベートクラウドやAI活用のデータサービスなど、事業展開を拡大しており、さらにビッグデータを活用したビジネスも視野にいれております。

勤次郎株式会社 2023年12月期第2四半期 決算説明資料 より引用

事業環境について

働き方改革は2019年を境に一巡したと見られることもあります。

ですが、特定3業種と呼ばれる医療、建設、運送については施行の期限が2024年までとされており、かつ働き方が複雑な業界でもあります。

つまり、これらの業種にはまだまだ需要がありますし、当社のノンカスタマイズな製品特徴がこのニーズを確実に捉えるであろうと考えています。

そのため、新規ユーザー獲得の機会も非常に多い市場です。

競合他社は積極的に広告宣伝を展開されていますが、当社の場合はクラウド事業に特化し、お客様の要件定義から設定まで丁寧にサポートすることが強みであります。

そのため、他社の製品を導入したお客様が十分に社内で活用できず、当社に相談に訪れるといったケースも多くあります。

市場は飽和しているように見えるかもしれませんが、このようなリプレイスの需要や特定の業種においては、まだまだ注目されるべき状況が続いていると言えます。

勤次郎株式会社 2023年3月20日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

当社事業の優位性について

当社製品は、先述したノンカスタマイズという優位性を持ち、これに伴い価格を抑えた提供が可能となっています。

この優位性の背景には、長い歴史があります。2000年以前から勤怠・就業分野に取り組んでおり、多くのお客様と対峙しながら、課題を製品化し、満足いただくことを常に念頭に置いてきました。

機能強化を継続的に行うことで、広範で深い製品の特性が形成され、他社が真似しにくく、模倣困難な領域に位置しています。

勤次郎株式会社 2023年3月20日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

また、当社がオンプレミスから事業をスタートさせたことも大きな強みとなっています。

オンプレミスのユーザーライセンスは114万に達しており、足元ではこれらのお客様をクラウドサービスへ移管する取り組みを行っています。

具体的には、80%のクラウド化を目指しており、今後はライセンス数の急速拡大が期待できます。さらに、さまざまな製品をクロスセルしていくことで、ARPUの向上も狙っています。

このように、顧客基盤を要とする成長市場が自社内にあるということは、投資家の皆様に積極的にアピールしたいと思っています。

中長期の成長イメージとそのための施策

まず、成長戦略の1つ目は「働き方改革&健康経営」の新規顧客獲得を加速させることです。

当社は販売において積極的にパートナー戦略を実行してきましたが、メインパートナーの売上比率が約30%以上を占める状況となっています。

この強力な販売力は引き続き活用しつつ、ここに依存するだけではなく、直販戦略を強化してまいります。

自社の直販部隊とインサイドセールス部隊を立ち上げることで、顧客開拓だけでなくアフターフォローの体制も強化し、次なる製品開発も推進させていきます。

また、適切な範囲でウェブを通じたプロモーション活動も強化し、リード獲得を拡大しながら直販を伸ばしていく計画です。

加えて、健康経営に関連する分野でも新しいパートナーとの協業を進めながら、市場開拓を図りたいと考えています。

このように、直販の強化とパートナーの幅を広げることによって、両方の戦略が強固になっていくことを目指しています。

勤次郎株式会社 2023年12月期第2四半期 決算説明資料 より引用

2つ目の成長戦略は、オンプレミスユーザーのクラウド移管とクロスセルによるARPUの向上です。

現在、勤怠管理が当社の主力製品であり、およそ9割のお客様が勤怠機能のみを利用しています。そのため、健康経営や人事、ワークフローなどの領域において、顧客にメリットのある機能強化の余地がまだまだ広がっていると考えています。

製品開発も進めながら、製品をアドオンで提供していきARPUを向上させることを目指します。

重要なのは、要件定義から始まり、使い方のサポート体制までを充実させていることで、クロスセル可能な信頼関係が形成されていることです。

実際の解約率も0.2%と非常に低く、顧客の満足度が高いことは数字にも表れています。

お客様のニーズを製品開発に反映し、有償オプションを含めたARPUの向上を図ることができる循環が生まれていると認識しています。

勤次郎株式会社 2023年12月期第2四半期 決算説明資料 より引用

3つ目の戦略は「クラウドフロント戦略」と呼んでいる新規事業の展開です。

現在、当社では積極的にクラウド移管を進めておりますが、このうち2割ほどは引き続きオンプレミスユーザーとして残ると考えています。

そこで、例えばお客様がサーバーを購入して自社のデータセンターで管理するという従来の方法ではなく、当社のプライベートクラウドを活用していただくことで、情報システム部門の効率化や設備投資の削減などのメリットを提供していきます。

この取り組みにはすでに好評をいただいており、その他にも多要素認証やシングルサインオン、他社システムとの連携など、人事総務部門が使いやすいクラウドサービスを展開する予定です。

さらに、AI分析にも取り組み、その分析結果をお客様の業務に活用いただけるように貢献したいと考えています。

オンプレミスからクラウドへの移行の過程で、このような新たなマーケットが存在すると見ており、そこに向けたサービス展開を行うことで新たな収益機会を追求しています。

勤次郎株式会社 2023年12月期第2四半期 決算説明資料 より引用

4つ目の戦略は、プラットフォームを活用したコンシューマビジネスへの取り組みです。

特に従業員の健康にフォーカスしたビジネスを展開し、従業員がプライベートでも健康に関心を持てるようなアプリを開発していきます。

このビジネス展開により、既存の当社製品や健康経営に関連する製品を活用しつつ、B to E(Business to Employee)市場での新たなライセンス獲得に貢献できると考えています。

当社は従業員の幸福や健康増進に焦点を当てながら、健康以外の分野でも従業員に価値を提供できるサービスを提供していくことで、新たなビジネスモデルを構築し、成長を図っていきたいと考えています。

この分野はまだチャレンジの段階ですが、B to E市場には大きな潜在マーケットがありますので、収益性の高いビジネスモデルを模索していきます。

勤次郎株式会社 2023年12月期第2四半期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

当社のビジネスの根幹は、企業の従業員に対して多岐にわたるヒューマンリソースマネジメントの面で貢献することです。

このコンセプトを一貫して追求し、さらに磨きをかけていきたいと考えています。

また、自社のオンプレミスユーザーのお客様をクラウド化することで、ライセンス数を急成長させることが可能だと確信しています。

まずはライセンスの拡大とARPUの向上をしっかりと実現していきますので、皆様には引き続き、当社にご期待いただければ幸いです。

勤次郎株式会社

本社所在地:東京都千代田区外神田4丁目14番1号 秋葉原UDXビル南18階

設立:1981年4月

資本金:40億9,930万円(2023年7月アクセス時)

上場市場:東証グロース (2020年10月13日上場)

証券コード:4013

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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