- つみたて投資枠に最適なポートフォリオが知りたい
- リスク管理と資産配分のバランスの取り方を理解したい
- 積立投資のメリットを活かすポートフォリオが知りたい
新NISAのつみたて投資枠で、自分に合ったポートフォリオを作成する方法がわからなくて困っている方がいるのではないだろうか。
資産配分の割合を示すポートフォリオはリスク管理において非常に大切だが、適しているかどうかの確認が難しいのも事実。
そこで本記事ではつみたて投資枠の基礎知識を解説した後、リスクとリターンのバランスを保てるポートフォリオの作り方を解説する。
具体的なポートフォリオ例も掲載しているので、気になる方はぜひ確認してほしい。
ポートフォリオ作成前に知っておきたい新NISAつみたて投資枠の基礎
ポートフォリオを作成し始める前に、まずはつみたて投資枠の基礎知識について押さえておこう。
ここでは、つみたて投資枠の投資対象と年間投資額をはじめとした基本的な内容を説明する。
つみたて投資枠の年間投資額と投資対象
つみたて投資枠 | |
---|---|
年間の非課税投資上限額 | 120万円 |
非課税保有限度総額 | 1,800万円 |
投資対象 | 金融庁の基準を満たした長期の積立・分散投資に適した投資信託 |
つみたて投資枠の年間の非課税投資上限額は120万円なので、最大で月間10万円ずつ投資信託をつみたて購入できる。
年間120万円の枠を毎年使い切っていると、15年で非課税保有限度総額の1,800万円に到達する計算だ。
そんなつみたて投資枠で購入できる商品は、金融庁の基準を満たした長期の積立・分散投資に適した投資信託に限定される。
投資信託とは複数の銘柄が組み入れられている詰め合わせパックのようなものである。
つみたて投資枠で購入できる代表的な商品は以下の通りだ。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
これらは全て代表的な株価指数に連動する投資信託で、インデックスファンドとも呼ばれている。
プロの投資家が市場状況に合わせて銘柄を組み替えるアクティブファンドと比較しても、インデックスファンドの方が手数料が安いうえに、これまでのトータルリターンも大きい。
このような投資商品に購入対象が絞られているため、投資初心者でも適切な商品を購入しやすいのだ。
つみたて投資で行う分散投資のメリット
つみたて投資枠で毎月コツコツと投資信託を購入していると、自然に投資の鉄則である分散投資とつみたて投資を実現できる。
分散投資とは資産や投資時期を分散させることを指し、リスク管理を目的としている。
投資信託ではなく個別株式を購入する場合、特定の銘柄だけを購入しているとその企業の株価が下落すると大幅に資産を失ってしまう。
もしある企業の株価が急落しても資産に与える影響を軽減できるため、リスク管理の方法として投資先の分散は大事だと考えられている。
またつみたて購入しか認められていないため、投資時期も自動的に分散させられるのだ。
株価は上下動を繰り返しており、高くなったタイミングで購入すると保有できる口数は少なくなってしまう。
これを高値掴みと言うが、購入時点の株価が高かったかどうかはその後の値動きを見なければわからない。
そこで毎月の同じ金額だけつみたて購入することによって、購入平均単価を引き下げられている。
さらにつみたて金額が定まっていることにより、一定金額を確実に運用に回せることも大きい。
もし余剰資金を運用に回そうと考えていると、全て使ってしまって投資できない月が出てくるかもしれない。
しかし先につみたて金額を設定している分、運用に回すお金を除いた金額で家計管理できるようになる。
つみたて投資枠の運用におけるリスク管理と資産成長バランスの重要性
分散投資とつみたて投資によって、つみたて投資枠におけるリスクは十分に管理されている。
ただ運用を開始すると投資信託の価格変動によって、リスクとリターンのバランスが崩れるケースがあるため、定期的に資産配分を見直す必要があるのだ。
例えばリスク資産:預貯金=6:4が適切な資産配分だと考え、つみたて投資枠での投資を始めたケースを考えよう。
当初は60万円:40万円のように正しい配分を継続していても、つみたて金額が増加して株価が上昇すると、240万円:60万円のようになる可能性がある。
リスク資産の割合が80%になっており、当初の設定配分よりも20%も増加してしまっているのだ。
投資信託の配分が大きいと、許容度を超えたリスクを背負っていることになる。
適切な割合に戻せるように、一部の投資信託を売却してバランスを調整しよう。
なお、つみたて投資枠で商品を売却すると翌年以降に非課税保有枠は復活する仕組みなので、売却したからと言って非課税枠が無駄になるということはない。
新NISAつみたて投資枠を活用する際のポートフォリオの作り方とは?
リスクとリターンのバランスが取れたポートフォリオを作成することは、資産運用において非常に重要なことである。
リスクを取り過ぎると投資の継続が難しくなる一方で、リスクを取らな過ぎると期待リターンが小さくなってしまうからだ。
ここでは、リスク・リターンのバランスを保つポートフォリオの作り方を解説しよう。
投資目的の明確化とリスク許容度の評価
まずは投資目的を明確にして、どのような資産を購入すべきか把握しよう。
「老後資金に向けて一定のリスクを背負って資産を増やしたい」「リスクを背負わずに今ある資産を守り抜きたい」といった考えを整理しておくことで、購入すべき資産クラスが絞れてくる。
資産を増やしたい場合は、つみたて投資枠で投資信託を購入する選択肢と相性が良い。
しかし堅実に守り抜きたい場合は、資産が目減りする可能性がある投資信託は向いていないので、銀行の普通預金や定期預金のような減少しない資産に留めておこう。
そして投資目的が明確になったら、「どのくらいの金額までなら損をできるか」を示すリスク許容度を明らかにしよう。
マイホームの購入費用や子どもの教育資金のような必ず使うタイミングが訪れるお金は省き、その中で資産が減少しても経済的にも精神的にも問題ない金額があなたのリスク許容度となる。
最初にリスク許容度を把握しておかないと、最適な投資額は見えてこない。
もしリスク許容度を超えた金額を投資に回していたとすると、お金が必要になったタイミングで投資信託を売却する必要が出てくるだろう。
売却するタイミングと暴落が被ってしまうと、資産価値は大幅に減少してしまうのだ。
安く買って高く売却することが利益につながる投資において、暴落時の売却は最も避けるべき行動の一つである。
万が一の場合でも安心して保有し続けられるように、なくなっても許容できるお金の範囲内で運用するようにしよう。
長期的な視点に基づく投資計画の策定と市場動向の理解
つみたて投資枠で資産運用を始める際、長期的な視点で投資計画を策定しよう。
なぜなら、以下の二つの理由があるからだ。
- 複利効果を活用できるから
- 長期的に見ると経済は右肩上がりに成長しているから
複利効果とは利息が利息を生む仕組みのことで、運用期間が長くなるにつれてその効果を強く発揮する。
投資で得た利息を元本として運用すると、同じ利回りでも翌年に得られる利息は大きくなるのだ。
このようにして利息によって利息が生じることによって、資産は雪だるま式に増えていく。
複利効果のインパクトをイメージしやすいように、100万円を年利5%で30年間運用(追加投資なし)するケースを表にまとめてみよう。
運用年数 | 資産総額(複利) |
---|---|
1年目 | 1,050,000円 |
5年目 | 1,283,359円 |
10年目 | 1,647,009円 |
20年目 | 2,712,640円 |
30年目 | 4,467,744円 |
10年目までで約60万円増加したのに対して、20年目からの最後の10年間における増加額は約170万円になっているのだ。
元本と運用利回りともに変わっていないため、運用益が大幅に増加しているのは複利効果によるものである。
またS&P500のような代表的な株価指数は、長期的に見ると右肩上がりに成長し続けているという市場への理解も大切だ。
短期的に見ると上下動を繰り返していて資産が目減りするタイミングもあるが、保有し続ければ資産は増加するということになる。
これまでの歴史から見ると約20年継続すると、どの時期から始めても利益が出ている計算になるため、最低でも20年間は運用することを見据えておいてほしい。
つみたて投資枠に最適な投資先の選択基準
つみたて投資枠では金融庁から認められた投資信託に商品が限定されているが、どれを選んでも良いわけではない。
適切な投資信託を選択する際に、見るべきポイントは以下の通りだ。
- どのような指数に連動しているか
- 信託報酬率は0.1%程度に収まっているか
- 純資産総額は大きいか
つみたて投資枠で購入できる商品は指数に連動するインデックスファンドが多いが、商品によって連動する指数が違う。
全ての国が経済成長を遂げているとは限らないため、指数選びに失敗すると長期的に運用しても資産が増加しないかもしれない。
最初に購入する商品は、以下の指標に連動するインデックスファンドから選択することを推奨している。
- S&P500(アメリカの主要500銘柄)
- 米国全体の株式市場をカバーする指数
- MSCIオールカントリーワールドインデックス(先進国と新興国の大型銘柄と中型銘柄)
また運用コストとなる信託報酬率も必ずチェックしておく必要がある。
投資信託には構成銘柄がほとんど同じでも手数料を高めに設定している銘柄があり、トータルリターンが大きく減ってしまう可能性があるからだ。
0.1%台よりも低い銘柄を選択しておけば、基本的に問題ないだろう。
指数と信託報酬率によって銘柄を絞れたら、最後に純資産総額を確認しておくと良い。
純資産総額は簡単に言うとファンドの大きさを表しており、額が大きいほど人気銘柄であることがわかる指標だ。
優良な指数に連動した手数料の安いファンドの時点で人気銘柄の可能性が高いが、念のために確認しておこう。
なお、つみたて投資枠でのおすすめの運用戦略については下記の記事でも解説している。ぜひ参考にして幅広い活用法の中から自分なりの投資スタイルを探していこう。
新NISAつみたて投資枠におすすめのポートフォリオ
ここでは投資目的に合わせた運用計画とポートフォリオの構築方法を解説する。
具体的なポートフォリオについても紹介しているので、ぜひ確認してほしい。
投資目的に合わせた運用計画とポートフォリオ構築の重要性
最初に作成する運用計画は、投資目的から逆算して考えよう。
資産を増やしたいのであれば、運用に回せるお金を多く確保したりリスクを背負ったりする必要がある。
バブルの時代のように定期預金の金利が5%を超えていた時代であれば話は別だが、低金利の現代でリスクを背負わずにリターンだけ手にしたいという願いは達成できない。
毎月のつみたて金額や購入商品から利回りを計算し、目標金額に到達する運用計画を作成しよう。
そして運用計画ではポートフォリオも大事である。つみたて投資枠で資産形成を進める場合は、預貯金と投資信託の割合をどの程度にするか決めるだけで良いだろう。
投資信託の運用額をリスク許容度の範囲内に留めていれば、リーマンショックやコロナショックのような万が一の事態にも焦らず対応可能だ。
ポートフォリオを作成する際は、景気の後退タイミングでも投資を続けられるかを基準にしてほしい。
つみたて投資枠におすすめのポートフォリオ例
投資信託を購入するだけで一定以上の分散は図れているため、月々のつみたて金額が5万円以内であれば1本だけに絞っておいて良いだろう。
また連動する指数が違うとはいえ、世界経済の中心はアメリカであるため、世界経済全体の指標であるMSCIオールカントリーワールドインデックスにはS&P500の銘柄が豊富に含まれている。
基本的には今から紹介するおすすめ銘柄を選択し、預貯金との配分を考えておくと良いポートフォリオになるだろう。
つみたて投資枠でおすすめの投資信託は以下の通りだ。
投資信託 | 連動する指数 | 信託報酬率 | 純資産総額 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | MSCIオールカントリー ワールドインデックス | 0.05775% | 25,279.27億円 |
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | S&P500 | 0.09372% | 36,853.80億円 |
楽天・全米株式 インデックス・ファンド | 米国株式市場の投資 可能銘柄 (約4,000銘柄) | 0.162% | 13,541.56億円 |
SBI・バンガード・S&P500 インデックス・ファンド | S&P500 | 0.0938% | 14,100.28億円 |
出典:楽天証券株式会社「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
出典:楽天証券株式会社「楽天・全米株式インデックス・ファンド」
出典:SBI証券株式会社「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」
これらの投資信託から好きな銘柄を選択し、リスク許容度の範囲内で購入してほしい。
一般的には、預貯金の割合が年齢と同程度になるように調整すると良いとされている。
つまり、50代の方はリスク資産と預貯金を50%ずつ保有しておくと良いわけだ。
ただ扶養家族の有無や子どもの進学先、収入などによって適切なリスクの取り方は異なる。
ポートフォリオを作成する際は一般論に捉われ過ぎず、自身に見合った配分にしてほしい。
定期的な見直しとリバランスを
ポートフォリオを作成してつみたて購入を開始したら、定期的に見直す必要がある。
もし投資信託の価格が大幅に上昇して背負うリスクが大きくなった場合は、先述の通りに売却して保有割合を調整してほしい。
一方で投資信託の価格が下がったり収入が増えたりして預貯金の割合が高くなった場合は、追加投資で調整可能だ。
新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能なので、成長投資枠で株式や投資信託をスポット購入することでバランスを整えられる。
新NISAつみたて投資枠におすすめのポートフォリオは誰に相談するべき?
自身に合った資産配分や運用開始後のリバランスで悩んでいる方がいるのではないだろうか。
もし理解を深められていないままポートフォリオを作成して運用を開始すると、許容度を超えたリスクを取っている恐れがある。
リスクを取り過ぎると暴落時に冷静な対応が難しくなるため、最初に信頼できる存在に相談しておくべきだろう。
ここでは投資初心者におすすめの相談先を紹介する。
つみたて投資枠での投資判断における専門家の重要性
新NISAのつみたて投資枠を活用して資産運用に取り組む投資初心者は、専門家にしながらポートフォリオ構築や運用計画策定を行うことを推奨している。
前提となる知識が揃っていない状態で運用を開始すると、暴落時の対応を誤って資産を失う可能性があるからだ。
資産を運用していると暴落に見舞われることもあるが、そこで耐えてつみたて購入を継続していると利益を得られる可能性が高い。
しかし初心者は資産がみるみる減少することに耐えきれずに売却してしまい、購入時よりも低い価格で投資信託を手放してしまうのだ。
もし最初から専門家に相談して具体的な計画を立てられていれば、万が一の事態にも冷静に対応しやすくなる。
つみたて投資枠を活用した運用におけるIFAの役割
初心者が相談すべき専門家で特におすすめなのが、独立系ファイナンシャルアドバイザーと翻訳されるIFAだ。
銀行や証券会社のような金融機関からは独立しており、中立的な立場から運用計画の立案やポートフォリオの構築に関してアドバイスを提供してくれる。
そんなIFAに相談するメリットは以下の通りだ。
- 手数料が高い投資信託を紹介されない
- 長期的な視点から資産形成をサポートしてくれる
厳しいノルマを課されているケースが多い金融機関の担当者とは違って、IFAはあなたにとって利益のある優良な投資信託を紹介してくれる。
そのため、構成銘柄がほとんど同じ投資信託に不要な手数料を支払って、遠回りする事態を防げるのだ。
また、基本的に転勤することがなく、相談開始から長い期間にわたって関係性を築けるのも大きなメリットである。
3年程度で担当者が変わる金融機関では、運用目的やライフスタイルなどの情報を再び伝えなければならない。
しかしIFAではその心配が不要で、相談回数を重ねるごとにあなたへの理解が深まってより密度の濃い時間を過ごせるようになるのだ。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の利用法
IFAに相談して幸先いいスタートを切りたい方におすすめなのが、投資家とIFAのマッチングサービスである「資産運用ナビ」だ。
運用目的やライフプラン、資産状況などの条件に合わせて適したIFAが紹介され、その中から好きな人を選んで相談ができる。
現在「資産運用ナビ」では、無料で相談に対応している。
新NISAのつみたて投資枠から資産形成を進めたい方は、ぜひ問い合わせてみてほしい。
新NISAつみたて投資枠でポートフォリオを構築するならIFAに相談しよう
つみたて投資枠は年間120万円までを、非課税で運用できる税制優遇制度だ。
トータルの非課税は1,800万円・つみたて購入のみ・投資対象は金融庁から認められた投資信託などの特徴があり、投資初心者にやさしい制度に設計されている。
そんなつみたて投資枠で長期投資を行うべき理由は以下の通りだ。
- 複利効果を活用できるから
- 長期的に見ると経済は右肩上がりに成長しているから
運用期間を長くして利息が利息が生む複利効果を活用することにより、資産総額は二次関数敵に増加する。
またインデックスファンドを購入して長期間保有していると、経済成長に合わせて資産を増やせるのだ。
インデックスファンドを選択する際は、連動指数・信託報酬率・純資産総額をチェックすると良いだろう。
それらを考慮したうえでおすすめできる投資信託は以下の通りだ。
投資信託 | 連動する指数 | 信託報酬率 | 純資産総額 |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | MSCIオールカントリー ワールドインデックス | 0.05775% | 25,279.27億円 |
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | S&P500 | 0.09372% | 36,853.80億円 |
楽天・全米株式 インデックス・ファンド | 米国株式市場の投資 可能銘柄 (約4,000銘柄) | 0.162% | 13,541.56億円 |
SBI・バンガード・S&P500 インデックス・ファンド | S&P500 | 0.0938% | 14,100.28億円 |
出典:楽天証券株式会社「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
出典:楽天証券株式会社「楽天・全米株式インデックス・ファンド」
出典:SBI証券株式会社「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」
ただ運用法や投資商品の最適解は、個人によって大きく異なる。
新NISAを活用した資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることがおすすめだ。
特にIFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれる。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAを見つけてみてはどうだろうか。