- 20代での早期退職について詳しく知りたい
- 退職後の生活設計や資産運用について知りたい
- 早期退職に必要な資金を計画的に貯める方法がわからない
20代のビジネスパーソンの中で、より自由な生活を送ることを目的として、定年前に早期退職を考える人が増えてきた。
好きな場所で生活しながらやりたいことを実現することが目的だ。
また、以前はビジネスで成功し莫大な資産を築いた人にしかできないイメージがあったが、それとも異なる。
蓄財をして定年前に退職し、自分の時間を確保しつつ好きな仕事をして一定の収入を得ることをセミリタイアと呼ぶ。
当記事では、20代で早期退職・セミリタイアを行うために、知っておくべきことを解説していく。
早期退職を考える20代の金融リテラシー
仕事を早期退職して、自由な時間を確保しつつ好きな仕事をして一定の収入を得ながら暮らすことをセミリタイアと言う。
週5勤務から解放されて悠々自適な生活を送れるセミリタイアだが、このライフスタイルの実現には、金融リテラシーが必須になる。
ここでは、なぜ金融リテラシーが必要なのか、そして金融リテラシーが不十分だったことで起こる問題について説明する。
20代の早期退職における金融リテラシーの必要性
金融リテラシーとは、金融や経済に関する知識や判断力のことをいう。
金融庁は「最低限身に付けるべき金融リテラシー」を以下に定義している。
- 家計管理
- 生活設計
- 金融知識及び金融経済事情についての理解と適切な金融商品の利用選択
- 外部の知見の適切な活用
20代で早期退職を目指す多くのケースでは資産運用が欠かせないため、金融リテラシーが非常に重要だ。
貯めた資産で運用益や配当金を確保するためには、長期・分散という投資の鉄則を押さえておく必要がある。
また、金融リテラシーがなければ、投資詐欺に引っかかって資産を大幅に失ってしまうかもしれない。
早期退職後も安定的に資産運用を継続できるよう、セミリタイアを目指すなら蓄財と一緒に金融リテラシーも高めておこう。
20代の平均的な金融リテラシーの実態
金融広報中央委員会が、全国30,000人を対象にアンケート調査した金融リテラシー調査の結果を紹介する。
この調査は「金融知識・判断力」への正誤問題と「行動特性・考え方」への金融リテラシーに関する53の設問で構成されている。
この調査結果では、全世代の中で20代の金融リテラシーは最も低く、金融・経済情報を見る頻度も最も低いことが分かった。
さらにこの世代では、金融リテラシーへの自己評価と客観的評価のギャップが最も大きく、自己認識も低いことがわかった。
また、金融広報中央委員会が20か国以上を対象にクイズ形式で実施した金融リテラシー調査によると、日本は調査国の中では上位の8位に位置していたものの、調査参加国平均よりも低い点数だった。
問題は大きく「知識」と「行動」に分類されていたが、知識は平均以下、行動は平均以上という結果である。
各国の平均得点を表にまとめているので、ぜひ確認してほしい。
順位 | 国名 | 平均(調査国平均 62.7) |
---|---|---|
1位 | 香港(中国) | 79.1 |
2位 | オーストラリア | 73.0 |
3位 | スロベニア | 69.8 |
4位 | ロシア | 68.4 |
5位 | エストニア | 67.4 |
6位 | タイ | 66.2 |
7位 | ポーランド | 65.3 |
8位 | 日本 | 62.5 |
9位 | ドイツ | 62.4 |
10位 | ジョージア | 62.3 |
11位 | マレーシア | 61.8 |
12位 | ポルトガル | 61.7 |
13位 | ブルガリア | 61.7 |
14位 | モルドヴァ | 60.9 |
15位 | クロアチア | 60.7 |
16位 | ペルー | 60.0 |
17位 | ハンガリー | 59.0 |
18位 | チェコ | 58.7 |
19位 | コロンビア | 58.5 |
20位 | インドネシア | 58.1 |
21位 | 韓国 | 57.4 |
22位 | 北マケドニア | 57.1 |
23位 | モンテネグロ | 55.6 |
24位 | イタリア | 53.3 |
25位 | ルーマニア | 53.2 |
早期退職を目指す20代が知るべき金融知識不足がもたらすリスク
金融リテラシーが不足している人は、自分が理解できないものに投資してしまう恐れがある。
内容を理解していないまま他人にすすめられて投資し、結果的に損をするだけでなく、場合によっては詐欺被害にあう恐れもある。
特に20代で早期退職しようとすると、短期間で多くの資産を築く必要があるため、知人から紹介された怪しい話に乗ってしまう人もいるだろう。
しかし、詐欺に遭うとセミリタイアからは大幅に遠のいてしまうため、知識を付けて回避する必要がある。
また、投資と投機の区別ができず、ギャンブルと考えて敬遠し、資産拡大の機会を逃してしまうかもしれない。
投資は投資先の成長に合わせて、自身の資産も拡大することであり、FX、先物取引、暗号資産などの投機とは異なる。
一方で、投機はギャンブル性が高く、安い価格で買い高い時に売ることを繰り返して資産拡大を目指すが、資産を消滅させるリスクもある。
投資のリスクを適正に評価して正しい知識を身に付けることで、適度な距離感を保って運用を継続できるだろう。
20代の早期退職者が知るべき資産管理の知識
20代での早期退職時には退職金はほとんどなく、また給与という安定収入がなくなるため、徹底した資産管理が必要だ。
生活費として必要な支出額の把握、収入の予測と補完策を立てなければならない。
ここでは、これらを順次解説していく。
必要な生活費の見積もりと将来の収入予測
1998年トリニティ大学の「トリニティスタディ」という金融学の論文によれば、「4%ルール」という目安がある。
年間支出の25倍の資産を築き、年利4%の運用益内で生活費を抑えれば、資産が減ることなく生活ができるという考え方だ。
総務省の家計調査報告によれば、2022年での単身世帯の平均支出は年間約190万円だ。
このことから、4,750万円の資金が必要ということになるが、いかがだろうか。
4,750万円まで資産を増やすか、運用益の不足分は副業で稼ぐサイドFIREという手段を取るかのいずれかになるだろう。
- 出典:総務省「2022年家計調査/家計収支編 単身世帯 詳細結果表」
- 単身世帯の平均支出は「単身世帯34歳以下」のデータを参照
20代の早期退職者に見込まれる給与以外の収入源
早期退職を行う場合、主要な収入源は投資による運用益になるが、20.315%の税金が課税される。
NISA(少額投資非課税制度)を用いると、規定された金額内であれば、この税金が免除されるので節税ができる。
また投資の運用益は常に約束されている訳ではなく、また急な出費も起こりうるため、運用益以外の収入源も確保すべきだ。
20代の早期退職者には長期的な資金計画と投資戦略が必須
当記事の冒頭で、20代でも目指せるセミリタイアは投資を継続して運用益や配当金を確保しながら、仕事にも取り組んで一定の収入を得ながら暮らすライフスタイルのことと述べた。
今後の生活を同じ方法で送り続けるため、人生が終わるまでの資金計画と、その資金を得るための長期にわたる投資戦略の策定が欠かせない。
また、全体の支出は、毎月の支出を単純計算するだけではなく、結婚や子育てなど将来のライフイベントも考慮する必要があるだろう。
資金計画と投資戦略は、このような要領で算出した全体支出が反映されたものでなければならない。
日本FP協会が発表しているライフイベントごとに必要とされている目安の金額は以下のとおりだ。
ライフイベント | 金額 |
---|---|
就職活動費 (リクルートスーツ・交通費・宿泊費) | 約8万円 |
結婚費用 (挙式・披露宴・ウエディングパーティー) | 約327万円 |
出産費用 | 約48万円 |
教育資金 (幼稚園から高校まで公立、大学のみ私立の場合) | 子ども1人当たり約1,097万円 |
住宅購入費 | 約3,719万円 |
老後の生活費 | 月々約27万円 |
介護費用 | 月々約18万円 |
緊急資金 | 約60万円 |
毎月の生活費と合わせてライフイベントも考慮し、資金計画を策定しよう。
20代で早期退職を実現するための資産運用の重要性
早期退職を始めるには、運用益を得るための初期資金が必要になるので、この資金づくりにも資産運用を用いるべきだ。
ここでは、早期退職実現に向けた、初期費用を作るための資産運用ポイントを説明する。
20代での早期退職に向けた資産運用の必要性
早期退職のための初期費用は、投資を中心とした資産運用で作るしかない。
これは銀行や郵便局の積立預金では、利息が0.001〜0.002%であるため、資金は一向に増えないためだ。
このため資産運用を開始する前にも、初期費用つくりのための戦略が必要になる。退職後の想定年間支出額と対比して、現在の資産額の運用益では、どのくらい不足しているかを算出する。
次に早期退職を行う時期を決め、その時期までに、資金不足分をどのようにして作っていくのかを考えなければならない。
早期退職を目指す20代向けの運用戦略①分散投資とリスク管理
投資では運用益が高いものほど価格変動が激しく、元本割れするリスクもある。
このため預貯金も含めた資産運用の戦略が必要になる。リーマンショックやコロナショックなどの大暴落にも備えて、元本割れリスクのない預貯金でも一定金額は確保しておきたい。
セミリタイアをすることで固定収入は減少するため、生活防衛資金として生活費の1年分程度を確保しておくようにしよう。
また投資では、特定の銘柄に集中するのではなく、投資信託など投資を分散化している投資商品を購入してリスクを抑えることが大切だ。
セミリタイアを目指す20代におすすめの投資信託は以下のとおりだ。
- eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド
どの商品も新NISAのつみたて投資枠で購入できる商品なので、非課税で運用しながら着実に利益を積み重ねよう。
早期退職を目指す20代向けの運用戦略②長期投資の可能性
早期退職後も、生活費を得るために投資は継続していく。
このため長期的な資産運用を念頭にした戦略の検討が求められる。
投資に関しては、初期費用形成期、FIRE実施期、老年期と三つの期間に分けられ、それぞれの戦略も変わってくる。
早期退職前の初期費用形成期では、現職で収入を得ているので、投資では多少リスクがあってもリターンを求めたい。
一方で、FIRE実施期では安定的な運用益を確保し、老年期は資産保全だけではなく、取り崩しも考慮に入れる。
20代で早期退職を目指すなら誰に相談するべき?
早期退職は、より自由な生活を送ることが目的であり、資産運用は手段に過ぎない。
資産運用のことばかり考えていては、早期退職の意味は半減する。好きな場所でやりたいことを中心とした生活を送るには、専門家のサポートが必要だ。
このとき頼りになる存在が、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)だ。
早期退職を目指す20代が資産運用を専門家に相談するべき理由
早期退職を目指す場合、短い期間で一定以上の資産を貯める必要がある。
そのため、リスクを覚悟で運用する局面も出てくるが、リスクを負い過ぎるとリーマンショックやコロナショックのようなタイミングで投資を継続できなくなってしまう。
そのため、運用開始前の商品選定や証券会社選びが重要になる。
そして、早期退職を目指すまでの資金計画やセミリタイア後の生活を見据えたプランなども考慮しなければならない。
しかし、1人では考えられないという人も多いだろう。
もしシミュレーションが不十分だと生活が苦しくなって再び仕事に戻らなければならない可能性もある。
そこで良い準備をしてから早期退職をするために、専門家への相談を推奨している。
専門家の中でも特におすすめなのが、銀行や証券会社などの金融機関から独立した存在であるIFAだ。
早期退職を目指す20代がIFAに相談するメリット
IFAは、豊富な経験と最新の金融情報を持つ、資産運用のプロフェッショナルだ。
20代は、金融リテラシーに対する自己評価と客観的評価のギャップが最も大きい世代だといわれている。
もしあなたの金融リテラシーが十分でなかった場合でも、IFAが補ってくれるだろう。
早期退職を目指す20代がIFAに相談するメリットは以下のとおりだ。
- 特定の金融機関に所属していないため、あなたの利益を最優先に考えたさまざまなアドバイスをくれる
- 異動がないので、長期的な関係性を築ける
金融機関の担当者のようにノルマを課されていないIFAは、本当の意味であなたのことを考えたアドバイスをしてくれる。
運用目的やライフプランなども考慮しているので、早期退職を目指した20代に合った運用計画や商品を提案してくれるだろう。また、IFAには異動がないのも大きな特徴である。
老後を見据えた運用をしていくなかで、信頼できるパートナーがいれば、安心して運用を継続できるだろう。
なお、初期費用の資金計画を検討するうえで、IFAは資産状況や目標を明確化するためにヒアリングを行う。
早期退職を開始する時期と求めるライフスタイル、現在の収入と支出状況、現在の資産などを把握し、最適な資金計画を提案する。
早期退職を目指すにあたって、IFAは大きな心の支えとなってくれるだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の活用法
早期退職を目的とした資産運用は、初期費用形成期、FIRE実施期、老年期によって戦略が変わると先述した。
各期間に応じて、最適な資産運用の戦略と資産構成を、IFAは提案してくれる。
その提案をもとにIFAと進めていくことで、よりよい資産運用戦略を手に入れられるだろう。
ただし、「IFAの見つけ方がわからない」「担当者との相性が悪かったらどうしよう」と悩んでいる人もいるかもしれない。
そのような人におすすめなのが、投資家とIFAのマッチングサービスである「資産運用ナビ」だ。
条件を入力するだけで最適なIFAを紹介してもらえるため、ミスマッチが起こりにくくなっている。
無料相談も実施しているので、まずは気軽に問い合わせてみてはどうだろうか。
20代で早期退職を目指すなら金融リテラシーが重要
この記事では、金融リテラシーの重要性、資産運用の基本的な手法、早期退職者が知るべき資産管理の重要性などを詳しく解説した。
IFAとは資産運用の専門家であり、その知識と経験を活かして個々の投資家の投資戦略をサポートする存在である。
IFAと一緒に考えることで、退職後における混乱や不安を減らし、目標達成への具体的な行動に移せる。
現在、「資産運用ナビ」では専門的な知識を持つプロのIFAを見つけられる。ぜひ一度利用してみてほしい。