- つみたて投資枠の賢い銘柄選びの基準が知りたい
- 新NISAの運用におけるリスクとリターンのバランスの取り方を理解したい
- 初心者に適した投資手法を探している
つみたて投資枠でどの銘柄を選択すべきかわからない方は多いのではないだろうか。
投資対象が限定されているといえ、200銘柄以上あるため投資初心者が自分に合った銘柄を選択するのは難しい。
そこで本記事では、つみたて投資枠で銘柄を選定する基準や適切なリスクを取る方法を紹介しよう。
具体的なおすすめ銘柄についても解説しているので、ぜひ参考にしてほしい。
新NISAつみたて投資枠での銘柄の選び方
ここでは、つみたて投資枠の投資対象や適した銘柄の特徴を紹介しよう。
つみたて投資枠の投資対象
つみたて投資枠では、金融庁から認められた優良な投資信託のみが購入可能だ。
投資信託とは複数の銘柄によって構成された詰め合わせパックのような金融商品で、1本購入するだけで一定以上の分散を図れるというメリットがある。
1日1回だけ基準価額が決定され、投資家はその価格で投資信託を購入することになる。
購入できる投資信託は、大きく以下の3種類に分類可能だ。
- インデックスファンド
- アクティブファンド
- ETF(上場投資信託)
インデックスファンドとは、株価指数に連動した成果を目指す投資信託のことだ。
連動する株価指数には、アメリカのS&P500や日本の日経平均株価、世界各国のMSCIオールカントリーワールドインデックスなどがある。
アクティブファンドとは、指数以上の成果を目指してファンドマネージャーによって運用されている投資信託のことだ。
運用のプロフェッショナルによって構成銘柄が管理されている分、インデックスファンドよりも手数料が高い。
またETFは上場投資信託のことで、一般的な株式のように市場が開いているタイミングではいつでも購入できるという特徴を持つ。
つみたて投資枠で購入可能な商品の一例は以下の通りだ。
投資信託 | 銘柄名(2024年5月15日時点) |
---|---|
インデックス ファンド | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・VTI) 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド SBI・バンガード・全世界株式インデックス・ファンド SBI・iシェアーズ・日経225インデックス・ファンドなど |
アクティブ ファンド | たわらノーロード NYダウ 野村インデックスファンド 米国株式配当貴族 eMAXIS NYダウインデックス 東京海上セレクション・バランス50 世界経済インデックスファンド HSBCワールド・セレクションなど |
ETF (上場投資信託) | iFreeETF TOPIX(年1回決算型) iFreeETF 日経225(年1 回決算型) 上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本 iシェアーズ・コア S&P 500 ETF など |
2024年5月15日時点、インデックスファンド232本・アクティブファンド49本・ETF8本が登録されている。
新NISAのつみたて投資枠では、トータル289本から銘柄選択が可能だ。
つみたて投資枠の特性を生かせる投資手法と銘柄の特徴
つみたて投資枠では毎月決まった金額を買い付けるつみたて購入しか認められていないため、投資手法はつみたて投資になる。
つみたて投資に適しているのは、インデックスファンドだ。
インデックスファンドが適しているのは、主に以下の理由からだ。
- 運用コストが低い
- これまでの成績がアクティブファンドよりも良い
インデックスファンドは指数に基づいて運用されているため、投資信託の手数料である信託報酬がアクティブファンドよりも低い銘柄が多い。
一方、アクティブファンドは指数以上のリターンを求めているが、歴史的に見るとインデックスファンドの方が成績が良いのだ。
また、インデックスファンドのみ200本以上が購入可能になっている点からも、金融庁が投資初心者に推奨していることがわかるだろう。
なお、つみたて投資枠の活用法についてはこちらの記事で詳しくまとめているので、より具体的に知りたいという方はぜひ参考にしてほしい。
つみたて投資枠における投資先の選択基準
インデックスファンドがおすすめであることを説明したが、その中からどれを選んでも良いわけではない。
インデックスファンドを選定する際の選択基準は以下の通りだ。
- どのような指数に連動しているか
- 信託報酬率が0.1%程度か
- 純資産総額が大きいか
指数に連動するインデックスファンドでは、どの国の指数を選ぶかが非常に重要である。
全ての国が経済成長を遂げているわけではないため、指数の選択に失敗すると長い期間をかけて運用してもリターンをあまり得られないかもしれないのだ。
投資初心者におすすめの指数は以下の通りだ。
- S&P500(アメリカの主要500銘柄)
- 米国全体の株式市場をカバーする指数
- MSCIオールカントリーワールドインデックス(先進国と新興国の大型銘柄と中型銘柄)
また信託報酬率もチェックし、なるべくコストがかからないようにしよう。
構成している銘柄がほとんど同じにもかかわらず、手数料が高い銘柄が存在しているからだ。
不要なコストが発生し、それが長く続くと得られるリターンは大きく減少してしまう。
目安となる信託報酬率は約0.1%程度だが、最近は0.1%を切る銘柄がいくつも登場している。
最後にファンドの大きさを示す純資産総額を確認し、人気銘柄かどうかを確認しよう。
額が大きいほど、多くの投資家によって選ばれている銘柄であることがわかる。
新NISAつみたて投資枠の銘柄選びで意識したいリスク・リターンのバランス
投資を長く続けるためには、リスクとリターンのバランスを取り続ける必要がある。
リスクを背負い過ぎると暴落時に資産を大幅に失い、生活資金がなくなって運用どころではなくなってしまうからだ。
一方で安全を求め過ぎるとリターンを得られず、運用目標を達成できない。
ここではリスクとリターンのバランスを取る方法を解説しよう。
つみたて投資枠で期待できる長期的なリターン
つみたて投資枠で購入可能なインデックスファンドを長期的に運用すると、3%〜7%程度のリターンを得られると言われている。
毎月5万円ずつのつみたて購入を30年継続した場合、どの程度の資産を築けるのかシミュレーションしてみよう。
運用年数 | リターン3% | リターン5% | リターン7% |
---|---|---|---|
1年目 | 608,319円 | 613,943円 | 619,629円 |
5年目 | 3,232,336円 | 3,400,304円 | 3,579,645円 |
10年目 | 6,987,071円 | 7,764,114円 | 8,654,240円 |
20年目 | 16,415,100円 | 20,551,683円 | 26,046,333円 |
30年目 | 29,136,844円 | 41,612,932円 | 60,998,550円 |
非課税限度額の1,800万円を使い切る30年後には、最低期待リターンの3%でも2,900万円を突破している。
つみたて投資枠でコツコツと買い付けを継続していると、老後2,000万円問題をクリアできることがわかるだろう。
つみたて投資枠におけるリスクとは
リスクと聞くと危険をイメージする方が多いだろう。
その意味でのリスクであれば絶対に避けるべきだが、投資においてリスクは不確実性を意味する。
ハイリスクは不確実性が高いことを指すため、価格が変動しやすい性質を持つことを意味するのだ。
一般的に株式や投資信託はハイリスク・ハイリターン、債券はミドルリスク・ミドルリターン、預貯金はローリスク・ローリターンと言われている。
値動きの激しさを価格変動リスクと言い、そのほかにも以下のリスクを考慮する必要がある。
- 為替変動リスク
- カントリーリスク
- 金利変動リスク
- 流動性リスク
- 信用リスク
投資を始めるにあたっては、これらのリスクを考慮したポートフォリオを作成する必要があるのだ。
これらのリスクを考慮しながらリターンとのバランスを取る投資法は次で解説しよう。
つみたて投資枠の銘柄選びはリスクとリターンのバランスを考慮するべき
リスクとリターンのバランスを考慮するにあたっては、長期・分散投資が基本になる。
長期投資とは、長い期間を確保して運用を継続することを指す。
短期では上げ下げを繰り返す経済が長期的に見ると右肩上がりに成長していることから、長い期間をかけて運用すると高確率でリターンを得られることを示している。
また投資期間が長くなるにつれて、利息が利息を生む仕組みである複利効果を効果的に活用できるようになる。
このようにして長期投資を行うことによって、運用効率を高めて良いリターンを期待できるのだ。
またリスクの分散に貢献するのが分散投資だ。
つみたて投資枠では投資信託と預貯金の配分によって、暴落局面でも安定して投資を続けられる状態をキープしておく必要があるのだ。
もし投資信託の配分が大きくなって資産の目減りに経済的もしくは精神的に耐えられなくなると、途中で資産を売却することになるだろう。
そうならないためにもリスク許容度の範囲内で元本を運用に回す必要があるのだ。
また投資時期の分散も大事である。基準価額が高いか低いかは、後からチャートを見返してみないとわからない。
もし元本を同時期にまとめて購入した際の基準価額が高いと、高値掴みになって金額に見合った投資信託を購入できない恐れがある。
購入時期を分散させて投資信託をコツコツ購入することによって、購入平均単価を引き下げることが可能だ。
つみたて投資枠ではつみたて投資しか認められていないため、自然に時期の分散を図れるだろう。
選び方が難しいと感じる方必見!新NISAつみたて投資枠のおすすめ銘柄
つみたて投資枠で始める運用におすすめの銘柄は以下の通りだ。
投資信託 | 連動する指数 | 信託報酬率 | 純資産総額 (2024年5月15日時点) |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | MSCIオールカントリー ワールドインデックス | 0.05775% | 33650.10 億円 |
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | S&P500 | 0.09372% | 45178.97 億円 |
楽天・全米株式 インデックス・ファンド | 米国株式市場の投資可能銘柄(約4,000銘柄) | 0.162% | 15182.79 億円 |
出典:楽天証券株式会社「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
出典:楽天証券株式会社「楽天・全米株式インデックス・ファンド」
それぞれ解説しよう。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
投資信託 | 連動する指数 | 信託報酬率 | 純資産総額 (2024年5月15日時点) |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | MSCIオールカントリー ワールドインデックス | 0.05775% | 33650.10億円 |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、おすすめ指数であるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックスに連動するインデックスファンドだ。
信託報酬率が0.05775%と非常に低く、コストパフォーマンスの高さが魅力的である。
純資産総額が25,279.27億円であることから、人気の高さが窺えるだろう。
そんなeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、約3,000銘柄で構成されており、世界各国市場の時価総額を約85%もカバーしている。
オルカンとも呼ばれていて、つみたてNISAの時代から投資家人気が高い投資信託である。
先進国と新興国の大型株・中型株で構成されており、特にアメリカの銘柄が多く含まれている。
2024年5月15日時点で、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)を構成する銘柄の一例は以下の通りだ。
- マイクロソフト(MSFT)
- アップル(AAPL)
- エヌビディア(NVDA)
- アマゾン・ドットコム(AMZN)
- アルファベットA(GOOGL)
- ブロードコム(AVGO)
- テスラ(TSLA)
- アルファベットC(GOOG)
- イーライリリー(LLY)
先進国株式約85%、新興国株式約10%、国内株式約5%という配分になっている。
アメリカを筆頭とする先進国株式を中心に買いつつ、新興国や日本の経済成長を取りこぼしたくないという方にeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)はおすすめだ。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
投資信託 | 連動する指数 | 信託報酬率 | 純資産総額 (2024年5月15日時点) |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | S&P500 | 0.09372% | 45178.97億円 |
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、おすすめ指数であるS&P500に連動するインデックスファンドだ。
信託報酬率が0.09372%と基準である0.1%を切っており、低コストで運用を継続できる。
純資産総額は36,853.80億円と大きく、多くの投資家によって購入されていることがわかるだろう。
そんなeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、ニューヨーク証券取引所やNASDAQなどの上場する大型株500銘柄によって構成されている。
米国株式市場の時価総額の約99%をカバーしており、経済大国のアメリカの成長とともに資産額を増加させられるのだ。
2024年5月15日時点で、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を構成する銘柄の一例は以下の通りだ。
- マイクロソフト(MSFT)
- アップル(AAPL)
- エヌビディア(NVDA)
- アマゾン・ドットコム(AMZN)
- アルファベットA(GOOGL)
- ブロードコム(AVGO)
- テスラ(TSLA)
- アルファベットC(GOOG)
- バークシャー ハサウェイ B(BRKB)
GDP世界トップを走るアメリカの成長に期待している方は、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がおすすめである。
楽天・全米株式インデックス・ファンド
投資信託 | 連動する指数 | 信託報酬率 | 純資産総額 (2024年5月15日時点) |
---|---|---|---|
楽天・全米株式 インデックス・ファンド | 米国株式市場の 投資可能銘柄 (約4,000銘柄) | 0.162% | 15182.79億円 |
楽天・全米株式インデックス・ファンドは、米国株式市場で投資可能な4,000銘柄を同時に購入できる投資信託だ。
信託報酬率が0.162%と先述のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)やeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)よりは高いものの、基準となる0.1%台に収まっている低コストなインデックスファンドである。
楽天・全米株式インデックス・ファンドは約4,000銘柄によって構成されているため、S&P500よりも投資先の分散が可能だ。
2024年5月15日時点で、楽天・全米株式インデックス・ファンドを構成する銘柄の一例は以下の通りだ。
- マイクロソフト(MSFT)
- アップル(AAPL)
- エヌビディア(NVDA)
- アマゾン・ドットコム(AMZN)
- アルファベットA(GOOGL)
- イーライリリー(LLY)
- テスラ(TSLA)
- アルファベットC(GOOG)
- バークシャー ハサウェイ B(BRKB)
構成銘柄数に違いはあるが、構成比率の高い代表的な銘柄は基本的に同じであることがわかるだろう。
アメリカの経済成長に期待しつつ、S&P500よりも投資先を分散させたい方には、楽天・全米株式インデックス・ファンドがおすすめだ。
新NISAつみたて投資枠の銘柄の選び方はどこに相談するべき?
新NISAで資産形成に取り組むにあたって、独学で始めることに不安を感じている方がいるのではないだろうか。
投資戦略のための専門家相談の重要性
資産運用を始めるにあたっては、事前に投資目的や目標金額などから投資戦略を立てる必要がある。
この戦略を基本方針として運用を続けていくため、投資結果に影響を及ぼす重要な要素だ。
ただ戦略立案を立てようにも、疑問点や不明点が多くて1人では難しい方が多いのではないだろうか。
もしそのままの状態で戦略を立てて投資を始めてしまうと、商品選定やポートフォリオ構築で失敗して大きく損をする恐れがある。
そこで知識を付けながら運用戦略について自身で考えられるようにするために、資産運用のプロフェッショナルであるIFAへの相談をおすすめしている。
IFAの役割とメリット
IFAは独立系ファイナンシャルアドバイザーのことを指し、金融機関から独立して顧客が抱えるお金に関する幅広い悩みを解決へと導く存在だ。
資産形成にも深く精通しており、ライフプランに合わせた投資戦略の立案や銘柄選定、リバランスまで幅広くサポートしてくれる。
そんなIFAに相談するメリットは以下の通りだ。
- パフォーマンスを重視した商品を購入可能
- 同じ担当者と長期間にわたる関係性を構築可能
経営のために利益が必要な銀行や証券会社と違って厳しいノルマを課されていないため、IFAはパフォーマンスを重視したアドバイスが可能である。
なお、複数の金融機関への取り次ぎも行っており、紹介できる投資信託のバリエーションが豊富だ。
また基本的に転勤がないため、同じIFAに継続して相談可能だ。
相談を重ねるにつれ、よりあなたのライフスタイルや投資目的を把握してもらいやすくなっているだろう。
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新NISAつみたて投資枠での銘柄選定はIFAに相談しよう
つみたて投資枠では、長期投資のメリットを最大限に活かせるような銘柄の選定が非常に重要だ。
200本以上のさまざまな投資信託を購入できるようになっているが、基本的には指数に連動するインデックスファンドを推奨している。
また、つみたて投資枠は安定的な運用が期待できる一方、確かな資産成長のためには投資のリスクとリターンのバランスを取ることが求められる。
リスクとリターンのバランスを取りながら運用できる投資信託の銘柄は以下の通りだ。
投資信託 | 連動する指数 | 信託報酬率 | 純資産総額 (2024年5月15日時点) |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | MSCIオールカントリー ワールドインデックス | 0.05775% | 33650.10 億円 |
eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | S&P500 | 0.09372% | 45178.97 億円 |
楽天・全米株式 インデックス・ファンド | 米国株式市場の投資可能銘柄(約4,000銘柄) | 0.162% | 15182.79 億円 |
出典:楽天証券株式会社「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」
出典:楽天証券株式会社「楽天・全米株式インデックス・ファンド」
初心者向けにおすすめの銘柄を紹介したが、個人によってその最適解は異なる。
新NISAを活用した資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることがおすすめだ。
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