- 50万円を効率的に運用する方法が知りたい
- 資産運用におけるリスクをできる限り抑えたい
- 長期の運用計画の立案方法と実行する際の注意点が知りたい
公的年金制度への不安や金利情勢の変化から、昨今資産運用を検討する人は増加傾向にある。
その際、特に初めて運用に取り組む方は「まずは少額から運用をスタートさせたい」と考える方は多いだろう。
そこで本記事では、50万円で始める資産運用を具体例に、運用の基本から具体的な戦略、さらにリスク管理の方法までを詳しく解説する。
また、おすすめの相談先についても紹介するので、これから運用を始めようと考えているあなたにぜひ役立ててほしい。
資産運用の基本戦略
資産運用を始めるにあたっては、まずは以下の3つの基本戦略を理解しておくことが重要だ。
- 資産運用の基本とメリット
- 資産運用の始め方
- 少額投資のメリットと注意点
資産運用の基本とメリット
資産運用とは、お金に働いてもらい「お金がお金を増やす仕組み」を作ることだ。
広い意味でいうと、多くの方が行っている銀行預金も資産運用の1つと言える。
ただ銀行預金の金利は年間およそ0.002%〜0.2%のため、ほとんどお金が増える実感を得られにくい。
そのため一般的に資産運用というと株式や債券、投資信託などを保有し、運用することを指すケースが多い。
資産運用の基本として、投資初心者ほどまずは以下の伝統的な資産を購入することをおすすめする。
- 株式
- 債券
- 投資信託
これらの商品は長い歴史の中で投資家保護のための法整備・ルールが整っており、新しい投資商品と比較した場合、詐欺的な商品が少ない。
仮想通貨やソーシャルレンディングなどの新しい投資の新しい投資を否定するわけではないが、法整備がまだまだ追いついておらず投資初心者にはおすすめしにくい。
また資産運用のメリットは以下の2つだ。
- 保有している資産が値上がりすること
- 資産がお金を産んでくれることだ。
株式を例に説明する。株式であれば購入時より株価が上昇することで、値上がり益を得られる。
また銘柄によっては配当金があるため、定期的にお金が振り込まれる。
現在日本ではインフレが進行しており、銀行預金だけでは物価高に追いつけず購買力が下がってしまう。
インフレに対応するためには資産運用を行い、商品やサービスの値上がり以上にお金を増やす、またはお金を生み出す必要があるのだ。
資産運用の始め方
投資初心者の悩みで多いのが、資産運用の始め方だ。
ここでは資産運用を始めるために重要な「目標設定」と「リスク許容度の把握」について解説する。
目標設定
資産運用における目標設定とは「いつまでに」「資産額をどれだけ増やしたいのか」を決めることだ。
資産運用を始めたいと考えたきっかけとしては、以下のようなものがあるのではないだろうか。
- 10年後に購入予定のマイホームの頭金を準備したい
- 15年後に必要な子供の教育費を準備したい
- 30年後の定年までに老後の生活費を準備したい
それぞれの目的に達するために必要な金額は異なる。
マイホームの頭金であれば数百万円、子供の教育費や老後の生活費であれば数千万円ものお金が必要だ。
またお金が必要となる時期も異なるため、設定した目標によって、ポートフォリオ(投資商品の保有割合)や購入する商品を変えなければいけないとわかるだろう。
リスク許容度の把握
資産運用を継続するためにリスク許容度の把握は重要だ。
リスク許容度は以下の要素で決まってくる。
- 年齢
- 収入
- 資産額
- 家族の有無
- 投資経験
リスク許容度の高い方は「若いため投資期間を長く取れる・高収入・多額の資産を保有している・独身・投資経験がある」という特徴を持っている。
一方でリスク許容度の低い方としては、「投資期間を長く取れない・収入が低い・資産があまりない・扶養する家族がいる・投資経験がない」などの反対の特徴が挙げられる。
リスク許容度の低い方が、リスクの高い投資を行うと日々の値動きが気になってしまい、場合によっては日常生活に支障をきたす恐れもあるだろう。
運用目的に合うポートフォリオや商品選択も重要だが、それが自身のリスク許容度を超えていないかも十分に確認するようにしよう。
少額投資のメリットと注意点
投資初心者がいきなり多額のお金を資産運用に投じることは、おすすめできない。
初心者は少額投資から経験を積むべきだ。ここでは投資初心者におすすめの少額投資のメリット、注意点について解説する。
値動きに慣れることができる
少額投資を行うことで、保有資産の値動きに慣れることができる。
投資する商品によっては、価格は秒単位で変動する。これまで預金や保険にしか投資してこなかった方が、多額の投資資金で値動きの激しい商品を買ってしまうと、資産額に一喜一憂して日常生活に支障をきたす恐れがある。
資産運用を継続するためには、値動きに慣れることが重要だ。
少額投資を続けることで、以下のことが肌感覚として徐々に身についてくるだろう。
- 金融政策や国際情勢が値動きに与える影響
- 株式や債券など、資産ごとの値動きの違い
値動きに慣れると、資産額に一喜一憂することがなくなり、資産運用を継続しやすくなるはずだ。
損失額が小さい
少額投資は大きなリターンを得られないが、損失額も抑えられる。
資産運用を続けていると、含み損を抱える場面が必ず出てくる。
リーマンショックのときは、株価が50%以上値下がりした銘柄や商品もあり、多くの方が含み損を抱えた。
資産運用の経験を持っていない方が、いきなり多額の含み損を抱えてしまうと、損失を抱えていることが怖くなり狼狽売りをしてしまう恐れが高まる。
狼狽売りとは、保有資産の急な値下がりや悪材料が出たことに動揺し、急いで売り注文を出すことだ。
ただ少額投資であれば含み損の金額が少なくなるため、損失を抱えても狼狽売りする心配は小さくなる。
多額の利益は望めない
少額投資は損失額を抑えられるが、短期的には多額の利益を見込めない。
ある程度まとまった利益を得るためには、長い時間が必要だ。
まとまった利益を望む方は、まずは少額投資で資産運用に慣れ、徐々に投資額を増やすことで段階的にまとまった金額を運用に回す方法がおすすめだ。
購入できる商品が限られる
最近はネット証券が普及した影響で、100円から資産運用が始められるようになった。
ただ資産運用の世界には、ヘッジファンド、プライベートバンクなどの数千万円〜数億円の投資金額を求められる投資商品も存在する。
少額投資では購入できる商品に制限があり、投資したい商品を買えない場合もある。
少額投資を始める前に、購入したい商品が少額からの購入に対応しているのか確認しよう。
50万円から始める具体的な運用戦略を紹介
投資金50万円から始める運用戦略について以下の3つを解説する。
- 投資金50万円を活用できるポートフォリオを解説
- 投資先選定における3つのポイント
- 運用期間と目標リターンの設定方法
投資金50万円を活用できるポートフォリオを解説
資産運用におけるポートフォリオとは、投資商品の保有割合のことだ。
たとえば「株式25万円+債券25万円」を保有しているとすると、ポートフォリオは「株式50%+債券50%」となる。
事前にポートフォリオを作成することで、リスクの取り過ぎを防ぎつつ、目標の資産額に達成するための利回りを確保しやすくなる。
ここではリスク許容度の高い方と低い方に分けて、おすすめのポートフォリオを解説する。
リスク許容度が高い方向け
リスク許容度が高い方は、投資信託を通じて株式の比率を多めにし、長期的なリターンの最大化を狙っていくのがおすすめだ。
投資信託は少額ながら数多くの銘柄に投資ができる。
株式投資信託であれば、商品にもよるが1つの商品を購入することで100社以上への分散投資が可能だ。
そのため、銘柄・商品選定に慣れていない資産運用の初心者にもおすすめできる。
リスク許容度に自身のある方であれば、株式投資信託を1つ購入するだけでも数多くの企業へ分散投資ができるため、効率的な運用が実践できる。
ただ「ポートフォリオを株式100%にするのは怖い」と考える方もいるだろう。
そのような方は株式の比率を減らし、債券を加えるのがおすすめだ。たとえば「株式80%+債券20%」のようなポートフォリオだ。
リスク許容度が低い方向け
リスク許容度が低い方は、複数の資産に分散投資するのがおすすめだ。
ただ「投資金が限られている中で、多くの資産に分散投資することは難しいのではないか」と疑問を持つ方もいるだろう。
そのような方におすすめなのが、バランスファンドと呼ばれる投資信託だ。
商品によって何にどの程度投資しているのかは変わってくるが、1つの商品で株式や債券、不動産など複数の商品に投資ができる。
バランスファンドで人気の高い「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を例に説明する。
こちらの商品は、以下のような配分で、株式・債券・不動産(リート)にバランスよく投資している。
- 国内株式:12.5%
- 先進国株式:12.5%
- 新興国株式:12.5%
- 国内債権:12.5%
- 先進国債券:12.5%
- 新興国債券:12.5%
- 国内リート:12.5%
- 先進国リート:12.5%
複数の商品を組み合わせて、上記のすべての商品に投資するには多額の投資金が必要だ。
また保有している資産の数が多いと、後述するリバランスの手間がかかる。
しかしバランスファンドであれば100円から投資ができ、リバランスはファンドの運用会社が行ってくれるため、一切手間はかからない。
バランスファンドは複数の資産に投資するため多額のリターンを狙えないが、値動きがマイルドな分資産運用初心者であっても安心して保有できる商品と言える。
投資先選定における2つのポイント
投資先の選定におけるポイントとしては以下の2つが挙げられる。
- 分散を意識する
- コストを確認する
分散を意識する
資産運用を継続するためには、分散を意識することが重要だ。
資産を分散することで1つの資産が暴落したとしても、他の資産が値上がりまたは価値が変わらなければ、保有資産全体のダメージを抑えられるためだ。
複数の商品に投資をしていても同じ種類の商品、同じ業界に投資しても、分散の効果は得られない。
分散を意識するならば、全く値動きの異なる複数の商品に投資する必要がある。
コストを確認する
投資する商品によっては、購入時または保有期間中にコストがかかるものもある。
コストは、リターンを押し下げる原因となるため確認が必要だ。
たとえば1万円の利益が出たとしても、1万円のコストがかかってしまうと手元に1円も入ってこない。
また商品ごとにコストは変わる。投資対象は同じでも、数倍のコスト差があるということは珍しくない。
資産運用のリターンを高めるならば、どのようなコストがいくらかかるのかは必ずチェックしよう。
運用期間と目標リターンの設定方法
運用目的によって、運用期間や目標リターンは変わってくる。
運用期間はいつお金が必要になるのかによって決めよう。
たとえば30年後の老後生活のために資産運用を始める場合は、運用期間を30年と設定する。
また、子供の大学の入学費・授業料を目的とする場合の運用期間は大学卒業までとする。
このように運用目的によって運用期間が決まってくる。
また、目標リターンは運用期間と投資資金によって決まる。運用期間が長く投資資金の多い方であれば、目標リターンは小さくできる。
一方で短い運用期間で投資資金が少なければ、目標リターンを引き上げる必要がある。
ただし、投資商品ごとに得られるリターンの目安はおおよそ決まっているため、投資対象によっては高い目標リターンは実現できない可能性がある。
たとえば株式のリターンは年間3から5%が一般的だ。
ただ上記の数字は、長期投資した場合のリターンを平均に均したものだ。
その商品に投資したからといって必ず、目安のリターンが得られるとは限らないことには注意が必要だ。
運用期間と目標リターンは、資産運用の目的によって決まる。そのため資産運用を始める前に、なぜ資産運用を行うのか明確にしよう。
資産運用におけるリスク管理の重要性
資産運用を始めるにあたって、やはり気になるのがリスクの部分だろう。
そこで続くこの章では資産運用におけるリスク管理について以下の3つを解説する。
- 資産運用のリスク
- 分散投資の効果と実践方法
- 長期投資と定期的にポートフォリオを見直すメリット
資産運用のリスク
資産運用には以下5つのリスクがある。
リスク名 | 概要 |
---|---|
価格変動リスク | 商品の値動きリスクのこと。金融市場の状況によっては元本割れする恐れがある。 |
金利変動リスク | 金利によって保有している金融商品が値上がり・値下がりするリスク。特に債券は金利が上がれば価格が下落し、金利が下がれば価格が上昇すると言われている。 |
為替変動リスク | 為替の変動によって、保有資産の価格が変動するリスク。仮にドル建ての商品を保有している場合、円高に触れると金融商品の価値が下落する。 |
信用リスク | 企業や国が債務不履行に陥るリスク。債務不履行に陥ると、元本の回収が難しくなったり、配当金や利子が支払われなくなったりする。 |
カントリーリスク | 投資する国・地域が抱える固有のリスク。特に新興国に投資する場合は、カントリーリスクが大きいとされる。 |
これらのリスクは資産運用を行う上で、避けられない。そのため長期的に資産運用を実践するためには、後述する分散投資が欠かせない。
分散投資の効果と実践方法
先述したように分散投資とは、値動きの異なる複数の商品を購入することだ。
分散投資のメリットは、1つの商品が暴落した際のダメージを抑えられることだ。
資産運用をしていると投資した商品の価格が下落するタイミングはほぼ確実にやってくる。
その際1つの商品にしか投資していないと、万が一大きな暴落をした際にその影響を直に受けることになってしまう。
現在人気のS&P500指数は、リーマンショック時には50%以上も下落した。仮にポートフォリオがS&P500連動の投資信託だけだった場合、資産の半分以上を失っていたことになる。
このような暴落に耐えられる方であれば良いが、多くの方は資産の半分以上がなくなってしまうことに耐えられないだろう。
資産運用を継続するためには、値動きの異なる商品を組み合わせて、分散投資するのが重要なのだ。
繰り返しになるが、分散投資では値動きの異なる商品を組み合わせることだ。
分散投資を実践するためには、各商品の知識が十分になければならない。しかし投資初心者がそれぞれの知識をすぐに身につけることは難しいだろう。
そのため、初めての資産運用には専門家の力を借りることをおすすめしたい。
後ほどおすすめの専門家とその探し方についても述べるので、合わせて参考にしてほしい。
長期投資のメリットと定期的な見直しの重要性
長期投資すると元本割れのリスクが小さくなる。金融庁の資料によると、20年以上の長期投資を実践した場合、過去のデータでは元本割れすることはなかった。
※国内外の株式・債券に年20年間長期投資した場合。
長期に渡って投資をしていると、保有資産の値動きによって事前に定めたポートフォリオから変動することがある。
この時、あらかじめ決めたポートフォリオ通りに直すことをリバランスという。
リバランスには以下2つの方法がある。
- 保有割合の多い資産を売却する
- 保有割合の少ない資産を新たに購入する
これらの2つの方法を組み合わせて、事前に定めた資産配分割合に戻す。
このようにポートフォリオを見直すことには、リスクの取り過ぎを防ぐ効果がある。
たとえば「株式50%+債券50%」でポートフォリオを組んでいたとしよう。
相場の状況がよく株式が値上がりし資産の保有割合が「株式80%+債券20%」になった場合、万が一保有株式が暴落してしまうと資産全体に与えるダメージも相対的に大きくなってしまう。
そのような事態を避けるためにも定期的なリバランスを行い、自分が許容できる範囲のリスクに留めておくことが重要だ。
資産運用は誰に相談するべきか?
前述したように、初めての資産運用には専門家の力を借りることをおすすめしたい。
しかし、資産運用の経験がない方は誰に相談すべきかで悩んでしまうこともあるだろう。
そこでここでは、資産運用における専門家の重要性から、おすすめの相談先とその選び方までを解説する。
専門家へ運用相談するメリット
専門家へ運用相談する最大のメリットは、自分の状況に合ったアドバイスが受けられることだ。
残念ながら、万人にとって最適な運用戦略やポートフォリオは存在しない。
そのため、自分に適した資産運用の方針やポートフォリオは、以下の個々人の事情を考慮して判断しなければならないのだ。
- 将来設計
- 資産額
- 年収
- 扶養する家族の有無
- リスク許容度
さらに、上記に加え必要になるのがさまざまな商品知識や金融知識だ。
この点、専門家を活用すれば、豊富な知識や経験からあなたの事情を考慮した資産運用のアドバイスが受けられる。
あなたのためだけのアドバイスが受けられれば、資産運用に対する不安や疑問を解消できるはずだ。
「自分一人では判断できない」「ネットの情報だけでは不安」という方は、あなたの大切な資産を守るためにもぜひ積極的に専門家への運用相談を検討してほしい。
IFAの役割と活用するメリット
専門家の中でも最もおすすめするのは、IFAと呼ばれる「独立系ファイナンシャルアドバイザー」だ。
IFAは金融機関に所属していないため、組織の方針に縛られない商品提案が期待できる。
金融機関に所属している専門家の場合、どうしても組織の売りたい商品を優先的に紹介されるケースが多くなる。
しかしIFAにはこれらのしがらみがないため、顧客ごとに適した商品を提案できるというわけだ。
また、IFAには転勤がないため、同じ担当者から長期的にサポートを受けることができる。
金融機関の担当者の場合、数年ごとに転勤があり担当者が変更になってしまうケースは珍しくない。
特に少額投資の場合、長期的に運用したいと考える人がほとんどである。
しかしながら投資家と担当者の時間軸が合わずに適切な提案が受けられないという可能性もあるだろう。
また、担当者が変更になるとその度に1から関係性を築かなければならず、投資家にとっても労力を伴うこととなるはずだ。
この点、IFAであれば担当者が変わる心配はなく、「長期投資」や「リバランス」などを通じて効果的な運用を実践することができる。
なお、IFAについてさらに詳しく知りたい方は、IFAの3つの特徴について解説した記事を確認してほしい。
資産運用相談サービス「資産運用ナビ」の活用方法
IFAに興味が出てきたという方におすすめするのが、資産運用相談サービス「資産運用ナビ」だ。
このサービスを活用すると、全国にいる資産運用の専門家と簡単にマッチングができる。
簡単な情報を入力するだけで、あなたと相性の良い専門家が抽出されるため、選ぶ手間もかからない。
相談は無料で、IFAが提案した商品を購入するまで費用を支払うことはない。
「資産運用に興味を持っている」「何から始めていいかわからない」という方は、「資産運用ナビ」を活用し、専門家に相談し疑問を解消してほしい。
まとめ
少額でも運用は長期間続けることで複利の効果が期待できる。
資産運用におけるリスクを理解した上で、長期・分散投資を実践して効率的な運用を実現しよう。
また、運用目的とリスク許容度をもとに、自分に合った運用法を見つけることも重要だ。
「資産運用ナビ」を利用してあなたに最適なアドバイザーを見つけ、リスク管理と賢い投資戦略による資産拡大を目指そう。