- 退職金の適切な運用方法が知りたい
- 退職金運用におけるリスクとリターンを管理したい
- 信頼できるFPに退職金運用の相談をしたい
退職金の運用において、信頼できる相談先を選ぶことは非常に重要である。
退職金はセカンドライフを支える原資となることから、資金計画をファイナンシャルプランナー(FP)と立てたいと考える方もいるだろう。
では、FPは退職金運用の最適な相談先と言えるのだろうか。
本記事では、退職金運用の基本から効果的な運用戦略、さらにFPの役割と課題点について解説する。
また、FP以外におすすめの相談先とその探し方についても紹介するので、ぜひ参考にして退職金運用の成功への第一歩としてほしい。
退職金運用の基本知識
まずは、退職金運用の基本知識について改めて確認していく。
退職金運用の目的と重要性
老後の生活は想像以上に長いため、余裕を持って資金を準備することが重要だ。
厚生労働省が発表した令和4年の簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.05年、女性の平均寿命は87.09年となっている。
65歳で定年退職を迎えたとしても、男性は15年以上、女性は20年以上その後の人生が続く。
近年は、少子高齢化の影響によって年金の受給開始年齢が引き上げられたり、退職金そのものが減少傾向にあったりと、老後の生活資金の確保が大きな課題となっている。
豊かな老後生活を送るためにも、退職金を適切に運用して「お金に働いてもらう」ことが大切だ。
運用方法の選択肢と特徴
退職金の運用先として考えられる選択肢はいくつかある。
以下に、主な運用商品の特徴をまとめた。
預貯金 | 銀行や信託銀行に普通預金や定期預金として預けておく方法 元本保証のため安全性は高いが、リターンはほとんど見込めない |
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外貨預金 | 外国の通貨で預ける預金のこと 為替リスクが発生する点に注意が必要 |
個人向け国債 | 個人向けに販売されている国債 変動10年・固定5年・固定3年の3種類から選べる |
社債 | 企業が資金調達のために発行する債券 社債の保有期間中は定期的に利息収入が得られ、満期が到来すると元本が戻ってくる |
株式 | 株式会社に対して出資を行うことで、配当や譲渡益を狙う投資方法 大きな収益が期待できる一方、業績不振による株価の値下がりや倒産といったリスクもある |
投資信託 | 株式や債券などさまざまな資産を複数組み入れたパッケージ型の金融商品 投資信託委託会社の専門家が決めた運用方針に従って運用される |
貯蓄型保険 | 貯蓄機能と保障機能を併せ持つ保険商品 保険料の一部が積み立てられ、満期時や解約時にお金が受け取れる |
不動産投資 | アパートやマンションなどの実物不動産を購入して、他人に貸し出すことで家賃収入を得る投資方法 定期的に収入を得られる一方、空室リスクや災害リスクなどがある |
資産運用を始める際に確認するべきポイント
資産運用を始める際は、いくつか確認しておきたいポイントがある。
まずは、リスク許容度をチェックしよう。リスク許容度とは、投資を行う際にどの程度の価格変動まで耐えられるかという度合いのことを指す。
年齢が若かったり、保有資産が多かったりする人ほどリスク許容度は高い傾向にあるが、リスク許容度は自分の性格や投資経験などによっても変わるため一概に言えない。
あくまでも自分がどれくらいの損失なら受け入れられるか、という観点で考えるのが重要だ。
続いて、運用の目的を明確にしよう。
老後の生活資金を確保するため、子供の住宅購入資金を援助するため、趣味に費やすため、といったように資産運用の目的は人によって異なる。
運用の目的によって取れるリスクや求めるリターンも異なるため、運用を開始する前に整理しておくのがおすすめだ。
また、余剰資金がどのくらいあるのかも確認しておこう。
今ある資金から「生活費としてすぐに使う予定のあるお金」「数年先までに使う予定のあるお金」を除いたものが余剰資金として考えられる。
資金の色分けをして余剰資金の金額を確認しておくことで、運用にいくら回せるかが明確になるだろう。
退職金をどこに預けるについて、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
FPに相談する前に知っておきたい効果的な退職金運用の戦略
退職金の効果的な運用方法や投資先の選定ポイントについて確認していこう。
運用リスクの種類と対処法
投資にはリスクがつきものだ。資産運用における「リスク」とは「不確実さ」「値動きの振れ幅」という意味だ。
資産運用のリスクは、主に以下の5種類だといわれている。
- 価格変動リスク
- 信用リスク
- 為替変動リスク
- 金利変動リスク
- 流動性リスク
価格変動リスクは、金融商品の価格が上がり下がりする可能性のことだ。
金融商品の価格は、景気や金利、政治情勢などさまざまな要因で変動する。投資を行う際は、それぞれの投資先の価格の変動要因を理解することが重要だ。
信用リスクは、株式や債券を発行している発行体が債務不履行状態に陥るリスクを指す。
債務不履行状態になると、元本割れの可能性が高まる。信用リスクを抑えるためには、業績や財務状況を確認して、経営状態が良好な企業に投資することが大切だ。
為替変動リスクは、為替の変動によって日本円ベースで見た時の資産価値が変動するリスクのことだ。
外貨預金や外国債券、外国株式に投資する際は、為替変動リスクが発生する。
金利変動リスクは、金利の変動が主に債券価格に影響するリスクのことだ。
債券投資を行う際は特に金利変動リスクに注意しよう。
流動性リスクは、金融商品を買いたい時に買えなかったり、売りたい時に売れなかったりするリスクのことだ。
市場にあまり流通していない金融商品に投資する際は、流動性リスクが高くなりやすい。
長期・分散投資の重要性
上記の通り、投資にはさまざまなリスクが伴う。
なるべくリスクを抑えて投資を行うためには、長期・分散投資を心がけよう。
「長期投資」とは、投資商品を短期間で売買するのではなく、長期間保有する投資方法だ。
株や投資信託などの価格が変動する金融商品は、短期間で見ると価格が上下しやすい。
短期間ですぐに利益を得ようと思っても、数日単位で価格の動きを予想するのはプロであっても難しい。
長期投資の場合は、一時的に投資した商品の価格が割り込むことがあっても、数年・数十年かけて保有すると価格が上がる傾向にあるため、短期投資に比べて収益を安定させやすいというメリットがある。
また、「分散投資」も投資の基本だ。分散する対象は、「資産」「地域」「時間」の3つだ。
資産の分散は、株式と債券といったように異なる値動きをする複数の資産に投資することを指す。
それぞれの価格変動をカバーして、リスク・リターンのバランスをとりやすくなる。
地域の分散は、複数の国や地域、通貨を組み合わせることだ。
地域を分散することで、投資対象となる金融商品の通貨・地域の状況による価格変動リスクを抑えやすくなる。
時間の分散は、投資のタイミングを複数回に分けることを指す。
まとめて投資するのではなく、何回かにわけて投資を行うことで、急騰や暴落による価格変動リスクを避けやすくなる。
このように、長期・分散投資を意識することで、投資のリスクを抑えつつ、効果的に資産運用を行いやすくなるだろう。
税金対策と節税のポイント
退職金運用を行う際は、税金についてもしっかりと対策しておこう。
せっかくまとまった金額の退職金を得られても、多額の税金を課せられてしまうと、手元に残るお金は少なくなってしまう。
まず、退職金の受け取り方に注意しよう。
一括で受け取る方法、年金形式で受け取る方法、両者の受け取り方を併用する方法のどれを選ぶかによって、税負担が変わってくる。
退職金を一時金としてまとめて受け取る場合は、退職所得控除が適用されるため、勤続年数に応じて税負担が軽減される。
一方、退職金を年金形式で受け取る場合、長期での受け取りを選択することで退職金そのものの受け取り総額はアップする可能性があるが、税制優遇は受けられない。
自分で退職金運用を行うのであれば、退職所得控除を活用して一括受け取りを行い、投資先を選定して運用に回すのが良いだろう。
加えて、運用を行う際の節税対策としては、NISAの利用を検討したい。
NISAは、投資信託や株式から生まれる利益が非課税で受け取れるという制度で、2024年からは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能となる。
非課税保有限度額が1,800万円に広がり、非課税保有期間が無期限化するなど、使いやすくなるため、ぜひ節税に役立てよう。
自分に適した投資先の選定とFPなどの専門家に相談することの重要性
退職金運用においては、自分に適した投資先を選ぶのが重要だ。
「知人に勧められたから」「儲かると聞いたから」と、内容をよく理解せずに投資を始めてしまうと、相場が予測通りに動かなかった場合に適切に対応できない可能性がある。
リスク許容度や求めるリターンは人によって異なるため、自分の年齢や金融資産、性格に合わせて適切な金融商品を選ぶようにしよう。
具体的にどのような金融商品を選べば良いかわからないという方は、資産運用の専門家に相談するのもおすすめだ。
退職金運用におけるFPの役割と課題点
お金に関する専門家としてよく知られている「FP(ファイナンシャル・プランナー)」だが、果たして最適な相談先と言えるのだろうか。
退職金運用についてFPに相談するのが適しているのかを確認していこう。
そもそもFPとは
FP(ファイナンシャル・プランナー)は、主に個人のライフプラン設計や家計の管理を中心とした相談業務を行う。
顧客の現在の年齢や収入、家族構成などを詳しくヒアリングした上で、今後の希望するライフプランを実現するために、どのように家計を管理していけばよいかアドバイスを行う。
必要に応じて保険に関するアドバイスや資産運用を行った場合の家計のシミュレーションなども行うため、マネープランについて総合的にサポートしてくれるというメリットがある。
退職金運用の相談先としてのFPの限界
FPは確かにお金の専門家であるが、資産運用という分野においては、サポートはやや限定的だ。
金融商品の具体的な説明や、金融商品の取次・提案を行うためには、証券外務員資格が必要となる。
証券外務員資格を保有していないFPは、資産運用について一般的なアドバイスしかできないため、具体的な運用商品の相談などには乗れない。
例えば、NISA制度の概要や株式と投資信託の商品性の違いなどについては説明できるが、「運用コストが低いおすすめの投資信託を教えてほしい」「この銘柄の売買タイミングをフォローしてほしい」という具体的なニーズには応えられないのだ。
また、FPを介して金融商品を購入することもできないため、実際の運用に関する判断や手続きは自分1人で行う必要がある。
退職金運用に関する専門的なアドバイスの必要性
退職金運用は、ある程度まとまった金額を元手に運用することとなる。
そのため、運用を成功させるためには資産ポートフォリオを策定した上で、具体的な投資先までしっかりと決めておくことが必要だ。
個別銘柄の提案を行えないFPへの相談では、具体的な金融商品について相談できないという点で物足りなさを感じるだろう。
退職金運用を成功に導くためには、資産運用について具体的な提案やフォローを行える専門家に相談するのをおすすめする。
FP以外の退職金運用の相談先はどこが良い?
退職金運用の相談は、IFAに行うのがおすすめだ。
以下では、IFAの定義や相談するメリット、IFAへの相談方法などを紹介する。
IFAの定義と役割
IFAは「Independent Financial Advisor」の略語で、日本では「資産運用アドバイザー」や「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と呼ばれる。
IFAは、特定の金融機関に所属していないため、企業のしがらみや販売ノルマなどにとらわれず、中立的な立場で顧客のニーズに合った商品を提案できる。
また、IFAは証券外務員資格を保有し、日本証券業協会に登録しているため、株式や投資信託といった金融商品の提案・取次が可能だ。
提案を受けてそのまま商品を取引できるため、相談から取引のサポートまで一括で行ってくれる。
生命保険募集人資格を保有しているIFAであれば、個人年金保険や終身保険などの保険商品についても案内してもらえる。
IFAへ相談するメリット
IFAは、金融機関から独立しているからこそ、中立的な目線でのアドバイスが可能というメリットがある。
銀行や証券会社の営業担当者は、会社という組織に属しているため、会社の営業方針や取扱商品によって提案の幅が限定されるケースがある。
IFAの場合は、会社員のように特定商品の推奨を行う必要がないため、顧客のニーズに即した商品を提案してくれる。
加えて、会社都合による異動や転勤もないため、長期的に信頼関係を築けるのも魅力だと言える。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用しよう
自分に合ったIFAを見つけたいなら、IFA検索サービス「資産運用ナビ」の利用がおすすめだ。
年齢や運用目的などの条件をフォームに入力するだけで、自分に適したIFAが抽出・表示される。
アドバイザーの具体的なプロフィールを確認した上で、会いたいと思う担当者がいれば面談の日程調整を行おう。
初回相談は何人にでも無料で行えるため、複数のIFAを比較して検討するのがおすすめだ。
気軽にアドバイザーを検索できて、自分に合うかどうかを実際に面談して確かめられるため「相性が合わない」「思っていた人と違う」というミスマッチを防げる。
資産運用に関する初歩的な内容から、個別銘柄に関する具体的な相談まで幅広く対応してくれるため、ぜひこの機会に「資産運用ナビ」を活用してみてはいかがだろうか。
退職金運用の相談先はFP以外にもある
退職金運用の相談先としてFPを検討する人は一定数いるが、FPにはメリット・デメリットがそれぞれある。
退職金運用には適切なリスク管理と長期・分散投資の実践が重要であり、リスク許容度や運用の目的に合わせて適した投資先を選定することが欠かせない。
ただし、具体的な投資先においてはFPのサポートは限定的であるため、物足りなく感じる人も多いだろう。
資産運用を専門として業務を行うIFAに相談すれば、資産運用の戦略を立てる具体的なアドバイスを受けられる。
退職金運用を始めるなら「資産運用ナビ」を活用して、ニーズに適したアドバイザーを見つけよう。