- 2,000万円で資産運用を始めたい
- 2,000万円を運用する際の戦略の立て方を理解したい
- 2,000万円の資産を成長させたい
2,000万円超の多額の資産を持つ方にとって、それをどのように資産運用していくかは、非常に悩ましい問題だろう。
本記事では、一定規模の資産を持つ場合の、資産運用の方法について解説する。
保有資産を2,000万円と仮定した場合に、どのように戦略を立て実践していくか、順序立てて説明する。
投資家ご自身が、資産運用戦略を検討する際のガイドとして利用していただければ幸いである。
資産運用の適切な金額はいくらなのか、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
資産運用の適切な金額について、分かりやすく解説されている。
2,000万円で始める資産運用の基本
ここでは、保有資産が2,000万円ある場合に、投資によって資産を拡大する際の可能性(リターン)とリスクについて整理する。
知っておくべき「投資の基本原則」
まずは、投資において基本とされる原則について確認しよう。
投資はこれからだという方も、投資を拡大していこうという方も、必ず目を通して欲しい。
明確で適切な投資目標を設定する
投資の第一歩は、具体的で適切な運用目標を設定することだ。
目的をはっきりさせたうえで、「いつまでにいくら貯めたいのか」など、目標を具体化することが重要だ。
このとき、自分がどれくらいのリスクを許容できるのかも考えて欲しい。
分散投資でリスクとリターンをバランスさせる
投資におけるリスク管理の基本は、「分散投資」である。動きの相関が小さい資産に資金を配分することで、特定市場が暴落した場合の資産減少リスクを抑えられる。
年齢やリスク許容度、投資目的に合わせて、投資対象を組み合わせて調整していくことが大切である。
コストを最小限に抑えて運用効率を上げる
投資においてコストは、確実にリターンを減少させる要因だ。同じリターンが期待できるなら、手数料が低い方を選ぶべきである。
たとえば、初期投資額が100万円で、年間リターンが5%の場合を考えてみよう。
信託報酬が年率0.1%と年率1.0%では、20年後の最終資産額に約40万円の差が生じてしまう。
取引手数料、管理費用、税金などを抑えることは、より多くのリターンを手元に残すことにつながる。
常にコストの低減を意識すべきである。
規律を守り、長期的な視点を持つ
長期的な視点を持つことは、資産形成の鍵である。
短期的な市場の変動を受けて、売買を繰り返したり、投資をやめてしまうことは、絶対に避けなければならない。
長期的な視点を持ち、投資方針を貫くことが何より大切である。
無理せず継続できるよう、投資を仕組み化しよう。
自動積立などのサービスを利用するほか、投資額は金額ではなく「収入に対する割合」と定めるのも良い方法だ。
これにより、収入が多いときは投資額を増やし、減ったときは減額することで無理なく続けられる。
2,000万円の資産はどのくらい増やせるのか
次に、現在の資産2,000万円は、どのくらいの成長可能性があるのかを確認していく。
以下は、運用するお金(元本)が2,000万円の場合の、想定利回り(年率)と運用期間を変えた単純なモデルである。
シナリオ | 運用期間10年 | 運用期間20年 | 運用期間30年 |
---|---|---|---|
株式で運用(6%) | 3,581.7万円 | 6,414.3万円 | 11,487万円 |
債券で運用(1%) | 2,209.2万円 | 2,440.4万円 | 2,695.7万円 |
株式5:債券5で運用(3.5%) | 2,821.2万円 | 3,979.6万円 | 5,613.6万円 |
上の表から、どの程度資産が拡大できるかは、投資対象および資産の配分、ならびに運用期間に依存することがわかる。
期待リターンが高い資産でより長く運用すれば、資産拡大の可能性は高くなる。
とはいえ、期待リターンが高い資産の保有は、同時にリスクも伴う点には注意が必要だ。このことを少し詳しくみてみよう。
2,000万円の資産運用ではリスク管理が重要
2,000万円の運用を考える投資家は、少額投資家に比べてリスク管理に重きを置く必要がある。
ひとつめの理由は、「運用額が大きいと、損失が投資全体に与えるインパクトが大きくなる」という点にある。
たとえば、10%の損失が発生した場合、投資額が100万円なら10万円の損失で済むが、投資額が2,000万円なら損失は200万円になる。
二つめは、「損失の回復には、より大きい利益実現が必要になる」からだ。
2,000万円の投資で20%を失った場合(→1,600万円)、これを取り戻すためには【(2,000万円 – 1,600万円) / 1,600万円) × 100】 = 25%のリターンが必要になるのである。
資産2,000万円の運用を始めるためのおすすめの戦略の立て方
ここからは、2,000万円の資金を持っていると仮定して、運用戦略を立てていく。
本稿ではリスク管理に重点を置くために、ざっくりと全体を作ってからリスク許容度を確認し、再度調整する方法を提案する。
まずは紙やテキストアプリなどを準備して、投資目標を設定するところから始めていこう。
投資目標を設定する
投資目標は、期限と金額を明確にしたものが望ましい。たとえば、以下のように設定できる。
- 15年後に資産を4,000万円にする
- 20年後は、保有資産から年120万円の分配金を得たい
- 10年後の45歳時点で、子どもの学費として500万円を引き出し、その5年後に保有資産を4000万円にしてセミリタイアする
内容はどんなものでも構わない。「X年後にいくら」という目標は必ず含めることがポイントだ。
これがあれば、Webサービスなどを使って、リスク許容度や資産配分をシミュレーションできる。
資産配分をシミュレーションする
次は、書き出した投資目標を使って、シミュレーションをしていこう。
ここでは、投資目標を「15年後に資産を4,000万円にする」として、シミュレーションを行う。
せっかくなので、目標金額を3,000万円にした場合(利回り2.8%)と、6,600万円にした場合(利回り8%)の資産配分も確認しておく。
最終資産額 | 3,000万円 | 4,000万円 | 6,600万円 |
---|---|---|---|
必要利回り | 年2.8% | 年4.7% | 年8% |
国内株式 | 5.0% | 10.0% | 10.0% |
先進国株式 | 15.0% | 30.0% | 40.0% |
新興国株式 | 0% | 10.0% | 20.0% |
先進国債券 | 50.0% | 30.0% | 20.0% |
新興国債券 | 20.0% | 20.0% | 10.0% |
この時点では、結果で得られた資産配分が自分に合っているか、判断できないかもしれない。
これをもう少し深く検討するため、次は自分が許容できるリスクについて考えていくこととしよう。
リスク許容度を把握し調整する
リスク許容度とは、投資家がどれだけの損失を許容できるかの尺度のことだ。
これは主観的な判断なので、「100万円投資したときに、いくらまでの損失なら許容できる」などと金額で表すこともできれば、「高いリスクを許容できる」などの感覚的に表現することもできる。
ここでは、投資家の背景を言語化する形で、リスク許容度について考えていく。
2,000万円を持つ投資家なら、たとえば以下のように表現できる。
複数の投資口座を持つ投資家
2,000万円が投資資金の一部であり、他にも複数の投資口座を持つ、投資経験豊富な人物だ。
市場の変動に慣れており、短期的な損失にも動じず、長期的な観点から投資判断を下せる。
この2,000万円では、高いリターンを得ることが目標である。
定年退職が近い投資家
「定年後の生活費は、年金と投資収益で賄う予定」という定年を控えた投資家である。
退職後は仕事からの収入はないため、追加投資は行えない。投資からの収入は安定していることが不可欠である。
定年退職後の投資家
すでに定年退職しており、年金と貯蓄から生活費を賄っている。投資は資産の維持とインフレ対策が目的だが、健康状態に不安があるため、資金引き出しに対応できる流動性も確保したい。
この場合、資産を守り、安定的な収益を得ることが最優先。
さらなる資産拡大を目指す若い投資家
子供の大学資金を10〜15年後に必要とする投資家。会社勤めであるため、毎月の生活費を投資で賄う必要はない。
2,000万円のうち学資以外の部分は、老後資金の準備として長期的な運用をしようと考えている。この部分はリスクを取る余裕がある。
このような背景や状況の言語化により、リスク許容度と投資方針が浮かび上がってくる。
たとえば定年退職が近い投資家なら、「近い将来、仕事からの収入はなくなる。だから…」や「毎月安定した収入が欲しい。だから…」という形で、投資対象や投資の方法を選択できる。
これがまさに、投資戦略となるのだ。
このように、自分の背景を言語化したら、それに合わせて試行錯誤を繰り返して、理想とする資産配分を作っていこう。
実際のところ、この段階での資産配分は、購入する投資商品によって守ることが難しい場合もある。
しかし、目標やリスク許容度、資産配分などの理想を明確にしておくことで、自分に合った商品が選択しやすくなり、規律が維持しやすくなる。
長期的な視点を持ち続けるために、戦略は文書化しておくことをおすすめする。
資産2,000万円のおすすめな運用手法
戦略という大枠ができたら、次は投資商品の選定をして投資を実行するステップに入る。
ここでは、2,000万円で資産運用を行う際の、おすすめの方法を紹介しよう。
バランス型投資信託を利用する
バランス型投資信託の活用は、非常に有用な選択肢の一つだ。その理由は以下の通りである。
- 2,000万円という資産規模なら、自分で個別の株式や債券に投資するよりも、バランス型投資信託を通じて分散投資を行うのが効率的
- バランス型投資信託には、株式と債券の配分比率の異なるさまざまな商品がある。自分のリスク許容度に合った商品を選ぶことで、効率良くリスクとリターンのバランスが取れる
- バランス型投資信託は、長期的な資産形成を目的とした商品設計になっているため、資産を長期で着実に増やしていきたい投資家にとって良い選択肢の一つとなる
ドルコスト平均法の活用
ドルコスト平均法のような、時間を分けて投資する分割投資は、2,000万円投資家にもおすすめの方法である。
ドルコスト平均法とは、一定額を定期的に投資していく方法のことだ。
リスクが分散し、投資の心理的ハードルが下がるというメリットがある。
市場のタイミングを気にせずに投資を続けられるため、長期的には購入単価を平均化する効果がある。
一方で、毎月の投資額を小さくしすぎると、複利効果を十分に享受できないおそれもある。
複利効果を最大限に活用するためには、ある程度まとまった金額を投資しておくことが重要になるため、投資期間と金額の設定は慎重にして欲しい。
定期収入が得られる商品の利用
2,000万円の資産を運用する際、安定的な収入確保を目標とするなら、ポートフォリオに定期的な収入が見込める商品を組み込むことがおすすめだ。
具体的には、高配当株(個別銘柄やETF)、債券組み入れ商品、REIT(不動産投資信託)などがある。
これらの商品組み入れを検討すべき理由は、以下のとおりである。
- 株式や不動産の価格変動リスクはあるが、インカム収入により一定程度カバーできる
- 高配当株と債券、REITでは、リスクとリターンの特性が異なる。これらを適切な割合で組み合わせることで、リスクを抑えつつ、安定的な収入を得られる
- REITや一部の高配当株はインフレに強い特性があるため、インフレヘッジが期待できる
- 高配当株、債券、REITは、個別商品としても投資できるが、投資信託や上場投資信託(ETF)として購入できる
2,000万円で資産運用を始めるなら誰に相談するべき?
2,000万円超の資産で運用を始めようとお考えなら、まず検討して欲しいのが専門家への相談だ。
運用する資金が大きくなればなるほど、考慮すべき問題が増え、管理の複雑さは増していくからだ。
専門家のサポートを受けることで、適切なリスク管理や最適な投資戦略を立てることが可能になる。
2,000万円投資家にとっての頼れる専門家とは
資産運用の専門家には、ファイナンシャル・プランナー(FP)、証券会社の窓口担当者、銀行のプライベートバンカーなど、さまざまな選択肢がある。
どの専門家を選ぶべきかは、あなたの目標や求めるもの、そして投資スタイルなどによっても異なる。
しかし、2,000万円という比較的大きな資産を運用する際には、独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)がとくにおすすめだ。
IFAなら、計画立案から実行まで、資産運用のすべての段階を支援できるからである。
IFAは資産運用のあらゆる局面にワンストップで応えられる
IFAは、特定の金融機関に属さない独立した資産運用の専門家だ。
ライフプランの策定やポートフォリオの設計、そして具体的な金融商品の選定や取引仲介まで、一貫したサポートを提供する。
資産の定期的なモニタリングやリバランスも任せられる。大きな金額を運用する投資家にとって、IFAは心強いパートナーとなるだろう。
「資産運用ナビ」で最適なIFAを探そう
では、どのようにしてIFAを探せばよいのだろうか。その答えは、IFA検索サービス「資産運用ナビ」にある。
「資産運用ナビ」は、全国のIFAを網羅的に掲載している検索サイトだ。
クライアントの居住地や資産状況、相談内容などの条件を入力することで、最適なIFAを簡単に探すことができる。
また、「資産運用ナビ」では、各IFAの経歴や専門分野、顧客の評価などの情報も詳しく掲載されている。
これにより、クライアントは自分に合ったIFAを選びやすくなる。
2,000万円の資産を運用で着実に育てたいならIFAに相談を!
本記事では、「2,000万円の資産運用」をテーマに、まとまった金額の資産運用における注意点などを解説した。
2,000万円という金額は、個人投資家にとって大きな節目となる資産だ。
これを着実に増やしていくためには、リスクのコントロールや目標に合わせた資産配分など、さまざまな点を考慮する必要がある。
しかし、これらを自分だけで判断し、適切な投資戦略を立てるのは容易ではない。
投資の知識や経験が十分でない場合は、とくに難しい作業となるだろう。
この場合、IFAへの相談は賢い選択となりうる。資産運用について、一人で悩む必要はない。
ぜひ「資産運用ナビ」を活用し、信頼できるIFAを見つけていただきたい。
2,000万円の資産運用に関するQ&A