- 投資額の平均や金融資産保有額の目安を知りたい
- 年代別の平均額や投資金額の決め方を知りたい
- 投資額や商品選びを専門家に相談したい
資産運用を始めるとき、「みんなはどれくらい投資しているのか」「自分はいくらから始めればよいのか」と気になる人は多いだろう。
ただし、投資額の平均を一言で表すのは難しい。調査によって、株式や投資信託だけを対象にする場合もあれば、預貯金や保険を含む「金融資産保有額」として集計する場合もあるからだ。
この記事では、公的調査をもとに日本の金融資産保有額や年代別の傾向を確認しながら、平均に振り回されず、自分に合った投資額を決めるための考え方を解説する。
なお、本文で紹介する数値は、原則として「投資額そのもの」ではなく、預貯金・保険・株式・投資信託などを含む金融資産保有額である。自分の投資額を決める際の参考情報として確認してほしい。
投資額の平均を知る前に金融資産保有額との違いを押さえよう

まずは、日本人と投資の関係を見ていこう。ここで大切なのは、「平均投資額」と「金融資産保有額」は同じではないという点だ。
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の調査でいう「金融資産」とは、預貯金、金銭信託、積立型保険商品、個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄などを指す。ただし、預貯金のうち日常的な出し入れや引落しに備えている部分は含まれない。
つまり、以下の数値は「純粋な投資額」ではなく、投資額を考えるうえで参考になる金融資産全体の目安として見る必要がある。
日本人の金融資産保有額は二人以上世帯で平均1,940万円・中央値720万円
J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査2025年」によると、金融資産保有額は二人以上世帯で平均1,940万円、中央値720万円、単身世帯で平均919万円、中央値130万円となっている。
| 世帯区分 | 平均値 | 中央値 | 見るときのポイント |
|---|---|---|---|
| 二人以上世帯 | 1,940万円 | 720万円 | 家族構成や住宅ローン、教育費の影響を受けやすい |
| 単身世帯 | 919万円 | 130万円 | 平均値と中央値の差が大きく、資産状況の差が表れやすい |
平均値は、一部の高額資産世帯によって大きく引き上げられることがある。そのため、自分の状況と比べるときは、平均値だけでなく中央値も確認することが重要だ。
「平均より少ないから投資を増やさなければならない」と考える必要はない。投資額は、収入・生活費・貯蓄額・家族構成・運用目的によって適正額が変わる。
二人以上世帯の保有商品は預貯金89.5%・株式39.5%・投資信託33.2%
J-FLECの2025年調査では、二人以上世帯が現在保有している金融商品として、預貯金が89.5%、株式が39.5%、投資信託が33.2%となっている。
預貯金を保有する世帯が多い一方で、株式や投資信託を保有している世帯も一定数ある。ただし、この数値は「その商品を保有している世帯の割合」であり、投資額の平均を直接示すものではない。
一方で、家計金融資産全体で見ると、日本は現金・預金の比率が高い。日本銀行「資金循環の日米欧比較」によると、2025年3月末時点の家計金融資産に占める現金・預金の割合は、日本が51.0%、米国が11.5%、ユーロエリアが31.8%である。
| 地域 | 現金・預金 | 株式等 | 投資信託 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 51.0% | 12.2% | 6.0% |
| 米国 | 11.5% | 41.5% | 13.1% |
| ユーロエリア | 31.8% | 25.3% | 10.9% |
この比較から、日本では今も現金・預金の比率が高いことがわかる。ただし、現金・預金を多く持つこと自体が悪いわけではない。生活費や緊急時の資金を守るためには、すぐ使えるお金を確保しておくことも大切だ。
投資に関心が高まっても平均額より家計に合う金額を優先する
近年は、金融経済教育の重要性が高まっている。金融庁は、2022年4月からの高校学習指導要領改訂により、金融経済教育の内容が拡充されたと説明している。
とはいえ、投資には元本割れのリスクがあるため、初めて取り組む人が不安を感じるのは自然なことだ。投資を始める際は、平均額を追いかけるよりも、家計に無理のない金額から始めることが重要である。
資産運用をいくらから始めるべきかをより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてほしい。
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年代別の平均投資額の目安|金融資産保有額で20代から60代まで確認

次に、年代別の金融資産保有額を見ていこう。ここでは、単身世帯と二人以上世帯を合算した「総世帯」のデータを使い、金融資産を保有していない世帯も含めた数値を紹介する。
以下の表も「投資額だけ」ではなく、預貯金や保険、株式、投資信託などを含む金融資産保有額である。自分の投資額を決める基準ではなく、同年代の資産状況を知るための参考値として見てほしい。
| 年代 | 平均値 | 中央値 | 読み取り方 |
|---|---|---|---|
| 20歳代 | 318万円 | 50万円 | 収入や貯蓄がまだ安定しにくく、中央値は低め |
| 30歳代 | 898万円 | 200万円 | 結婚・住宅・子育てなどで支出差が出やすい |
| 40歳代 | 1,339万円 | 361万円 | 教育費や住宅ローンの影響を受けやすい |
| 50歳代 | 1,668万円 | 500万円 | 老後資金を意識し始める世代 |
| 60歳代 | 2,301万円 | 1,000万円 | 退職金や資産の取り崩し方が重要になる |
年代が上がるほど平均値は高くなる傾向があるが、どの年代でも平均値と中央値には大きな差がある。これは、同じ年代でも収入、支出、住宅ローン、相続、退職金、投資経験などによって資産状況が大きく異なるためだ。
そのため、「自分は平均より少ない」と焦るのではなく、中央値も参考にしながら、今の家計で継続できる投資額を考えることが大切である。
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投資額の決め方|平均ではなく余裕資金と目的から設定する

年代別の平均額は参考になるが、投資額を決める基準は平均額ではない。重要なのは、今の収入と生活費、将来の目的、リスク許容度に合った金額を設定することだ。
投資は、家計を圧迫してまで行うものではない。生活費や急な支出に備える資金を確保したうえで、余裕資金の範囲で始めるのが基本である。
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収入と生活費から毎月続けられる投資額を決める
投資額を決める前に、まず毎月の収入と支出を確認しよう。家計の余裕を把握しないまま投資額を決めると、相場が下がったときに不安になり、途中で売却してしまう可能性が高くなる。
投資に回す金額を考えるときは、以下の順番で確認するとよい。
- 毎月の手取り収入はいくらか
- 家賃・住宅ローン・食費・通信費などの固定費はいくらか
- 急な病気や失業に備える資金を確保できているか
- 数年以内に使う予定の資金を投資に回していないか
- 相場が下がっても毎月継続できる金額か
投資額は多ければよいわけではない。少額でも継続できる金額を設定し、家計が変わったら見直すことが大切だ。
リスク許容度と目標を決めると投資額を調整しやすい
投資額を決めるうえで欠かせないのが、リスク許容度である。リスク許容度とは、投資商品の価格変動や一時的な損失に、どこまで耐えられるかを示す考え方だ。
例えば、同じ100万円を投資する場合でも、20代で長期運用できる人と、数年後に住宅購入資金として使う予定がある人では、取れるリスクが異なる。
投資目的も明確にしておきたい。老後資金、教育資金、住宅購入資金、余裕資金の運用など、目的によって必要な運用期間や適した商品は変わる。
目的があいまいなまま投資を始めると、相場の上下に振り回されやすい。いつまでに、何のために、いくら準備したいのかを考えることで、投資額や商品選びの方向性が決まりやすくなる。
金融商品の種類によって適切な投資額は変わる
投資額は、選ぶ金融商品によっても変わる。価格変動が大きい商品に多額を投じると、家計への影響が大きくなりやすい。一方で、分散しやすい商品を少額から積み立てる方法もある。
| 商品タイプ | 主な特徴 | 投資額を決める際の注意点 |
|---|---|---|
| 預貯金 | すぐ使いやすく、生活費や緊急資金に向く | 運用益は大きくなりにくい |
| 投資信託 | 少額から分散投資しやすい | 価格変動リスクや信託報酬などのコストを確認する |
| 株式 | 値上がり益や配当を狙える | 銘柄によって値動きが大きく、集中投資に注意する |
| 債券 | 商品によっては比較的安定した収益を期待できる | 金利変動、信用リスク、為替リスクを確認する |
初心者の場合、最初から大きな金額を投じるよりも、少額から始めて値動きに慣れる方法が現実的だ。投資を続けるうちに、家計や目的に合わせて投資額を見直していくとよい。
投資に関する相談は誰にするべき?
投資額の設定や商品選びは、収入、資産状況、運用目的、リスク許容度によって変わる。自分だけで判断するのが難しい場合は、専門家に相談するのも選択肢の一つだ。
相談先には、金融機関、FP、J-FLEC認定アドバイザー、IFAなど複数の選択肢がある。どこに相談する場合でも、助言の範囲、取扱商品、手数料、販売に伴う報酬の有無を確認しておきたい。
特に、まとまった資金を運用する場合や、退職金・相続資金・老後資金の運用を考える場合は、家計全体を見ながら投資計画を立てる必要がある。
IFAとは金融商品仲介業者として活動するアドバイザーを指すことが多い
IFAとは、一般にIndependent Financial Advisorの略で、独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれる。日本では、金融商品仲介業者またはその外務員として活動するアドバイザーを指す場合が多い。
金融商品仲介業者は、金融商品取引業者等から委託を受け、有価証券の売買等の媒介などを行う立場である。相談する際は、金融庁の登録業者一覧などで登録の有無を確認しておきたい。
また、IFAといっても、所属する金融商品取引業者、取扱商品、報酬体系、相談料の有無はそれぞれ異なる。相談前に、登録番号、所属金融商品取引業者、相談料、販売手数料、継続報酬、提案できる商品の範囲を確認しておくと安心だ。
IFAと共に作る投資計画で確認したいポイント
投資計画を立てるには、資産状況、収入、支出、家族構成、目標、リスク許容度を総合的に考える必要がある。IFAに相談することで、自分だけでは整理しにくい条件を一緒に確認できる。
ただし、どの相談先であっても、提案内容をそのまま受け入れるのではなく、なぜその商品や投資額が提案されているのかを確認することが大切だ。
相談時には、以下の点を確認しておこう。
- 自分の目的や運用期間を踏まえた提案になっているか
- リスクや手数料の説明が十分か
- 特定の商品に偏った提案になっていないか
- 提案できる商品の範囲や報酬体系を説明してくれるか
- 運用開始後の見直しやフォロー体制があるか
投資初心者だけでなく、すでに資産運用を行っている人にとっても、投資額やポートフォリオの見直しを専門家に相談する価値はある。
平均投資額に合わせるのではなく自分に最適な投資額を見つけよう
この記事では、平均投資額の目安として金融資産保有額のデータを紹介し、年代別の傾向や投資額を設定するためのポイントを解説した。
大切なのは、平均値に合わせて投資額を決めることではない。自分の収入、生活費、将来の目的、リスク許容度を踏まえ、無理なく続けられる金額を設定することだ。
投資額や商品選びに迷う場合は、専門家に相談しながら、家計全体に合った投資計画を立てていくとよいだろう。
出典
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)のポイント」(公開日:2025年12月18日)
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和7年)」(公開日:2025年12月18日)
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和7年)」(公開日:2025年12月18日)
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]単純集計データ(令和7年)」
日本銀行「資金循環の日米欧比較」(公開日:2025年8月29日)
金融庁「高校向け 金融経済教育指導教材の公表について」(公開日:2022年3月17日、更新日:2025年12月26日)
金融庁「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」
金融庁「金融審議会 金融制度スタディ・グループ 第6回 討議資料」
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「J-FLEC認定アドバイザーになるには」

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