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退職金課税の仕組みが変わる?あなたが知るべき税制改正の最新情報

この記事で解決できるお悩み
  • 退職金の税制改正に関する最新情報が知りたい
  • 改正内容と自分の退職金への影響を把握したい
  • 税金改正後の賢い退職金の受け取り方の理解

近年、退職金にかかる税金の仕組みの見直しが検討されている。

この変更が自身の退職金にどのような影響を及ぼすのか、またどのように対処すればよいのかは、多くの人にとって重要な関心事であろう。

そこでこの記事では、最新の税金改正に関する情報を分かりやすく解説し、あなたが知るべきポイントと賢い対応策を提案する。

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目次

退職金の税金制度改正に関する最新動向

退職金の税金制度改正に関する最新動向 わたしのIFA

最近、退職金に対する課税制度の見直しが一部メディアなどで注目されている。

どのような点が今後改正される可能性があるのか、税制改正が行われた場合どのような影響があるのかを確認していこう。

改正の背景と目的

現在、政府は終身雇用を前提としていた退職金の課税制度を見直す方針を打ち出している。

2023年の骨太の方針においても「退職所得課税制度の見直しを行う」と触れられており、一部メディアでは、退職所得控除額の計算方法が変更になる可能性を示唆している。

退職金にかかる税金制度が見直される背景には、労働環境・老後市場の変化があると言われている。

昭和の頃は、新入社員として入った会社に定年まで長く勤めるというのが基本的な労働のあり方だった。

退職金に関する課税制度も、その労働スタイルに則った形で「一つの会社に長く勤めるほど税金が優遇されやすい」形となっている。

しかし、現在は一つの会社で長く働く人はそれほど多くなく、複数社への転職を行ってキャリアを積み上げるのが一般的となった。

そのため「勤続年数が20年を超えると控除額がさらに大きくなりやすい」という現行制度は、今の働き方に適していないのではないかと考えられるようになったのだ。

そこで、老後市場の改革の一つとして、勤続年数が20年を超えるかどうかで控除額の計算方法に差をつける仕組みをなくそうという案が浮上したと考えられている。

主要な改正内容の概要

2024年1月時点では、退職所得税制度の見直しは税制改正に向けた議論の一つとして検討されている段階で、2024年度税制改正での見直しは行われないとされている。

現行の制度では、一つの会社の勤続年数が長いほど退職金への課税が優遇されやすい仕組みとなっている。

退職金を一時金で受け取ると、退職所得控除が適用される。現行の課税制度における退職所得控除額の計算方法は、以下のように勤続年数によって異なる。

  • 勤続20年以下:40万円×勤続年数(最低80万円)
  • 勤続20年以上:800万円+70万円×(勤続年数−20年)

上記の計算式で算出された退職所得控除を元に、以下の式に当てはめて退職所得を計算する。

退職所得=(支給される退職金−退職所得控除額)×1/2

退職所得控除の金額は、勤続20年までは年間40万円となっているが、20年を超えると年間70万円に増える。

控除額が増えるということは、課税対象となる所得が減るため、最終的に納税する金額も減ることとなる。

退職所得への課税制度が具体的にどのように見直されるかは現時点で明らかになっていないが、勤続20年以上経過した場合の優遇をなくして、勤続年数にかかわらず控除額を一定にするという見方がある。

つまり、一つの会社に何年勤めたとしても、退職所得控除額は「40万円×勤続年数」に統一するという考え方だ。

改正が退職金受け取りに与える影響

仮に、退職所得控除額を「40万円×勤続年数」に統一した場合、どのような影響があるか考えてみよう。

勤続年数38年、退職金2,000万円を受け取るというケースで現行制度との比較を行う。

現行制度

  • 退職所得控除:800万円+70万円×(38年−20年)=2,060万円
  • 退職所得:(2,000万円−2,060万円)×1/2=▲30万円

支給された退職金よりも退職所得控除が大きいため、退職金にかかる所得税や住民税は0円となる。

税制改正後(退職所得控除が一律「40万円×勤続年数」となった場合)

  • 退職所得控除:40万円×38年=1,520万円
  • 退職所得:(2,000万円−1,520万円)×1/2=240万円
  • 所得税:240万円×税率10%−控除額97,500円=142,500円
  • 住民税:240万円×税率10%=240,000円
  • 所得税と住民税の合計:382,500円

※復興特別所得税は考慮しないものとする

このように、勤続年数が長い人にとっては、退職金の税制が改正されることによって税額負担が大きく増える可能性がある。

退職金の税金制度改正後の想定対応策

税制改正後の想定対応策 わたしのIFA

退職金にかかる税制が見直され、手取り金額が減った場合、どのような点に注意が必要だろうか。

老後生活に必要な費用についてあらかじめイメージしておき、適切な対処法をとることが重要だ。

老後生活に必要な概算費用と資金計画の重要性

老後生活に必要な資金は人によって異なるが、目安として平均的な金額について確認しておこう。

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、夫婦2人の老後の最低日常生活日は月額23.2万円、ゆとりある老後に必要な生活費は月額27.9万円という調査結果が公表されている。

一方、厚生労働省が発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和3年度)」によると基礎年金の平均受給金額は男性59,013円、女性54,346円だ。

つまり、夫婦のどちらも国民年金に加入していた場合、平均受給金額は113,359円といえる。

夫婦の片方が公務員や会社員などで厚生年金に加入していた場合、厚生年金への加入分を年金に上乗せして受け取れる。

基礎年金を含む男性の厚生年金受給平均額は163,380円、女性の平均額は104,686円だ。

仮に、夫が会社員で妻が国民年金に加入していた夫婦の場合、年金の平均受給額は217,726円と計算できる。

共働き夫婦でどちらも厚生年金に加入していたとすると、平均受給額は268,066円だ。

こうした調査結果から考えると、共働きの世帯では月々の年金収入が26.8万円と、最低日常生活費である23.2万円を上回っているため、日常的な暮らしはさほど問題なく遅れそうだ。

しかし、趣味を楽しんだり老後に旅行に行ったりとゆとりある老後のために必要とされる37.9万円に対しては、毎月約11.1万円の赤字が発生する。

1年間では11.1万円×12ヶ月=132万円の赤字となり、仮に60歳から90歳まで老後を送るとすると132万円×30年間=3,960万円が不足すると計算できる。

このように、老後に支払われる年金をあてにしていたのでは、思っていたよりも受給額が少なくて充実した老後生活を送れない可能性もある。

豊かな老後を送るためには、退職金やそれまでの貯蓄を運用しながら、自分の家庭に合った資金計画を立てることが重要だ。

退職金に不安がある方はiDeCoや企業型DCの活用がおすすめ

退職金の金額に不安がある場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(企業型確定拠出年金)も併用してお金を準備しよう。

iDeCoは個人が自分の意思で加入して掛金を支払い、自分で運用を行う私的年金制度だ。

自分で金融機関を選べて、幅広い投資先の中から運用商品を選べる。

掛金は所得控除の対象となるため、税制上の優遇を受けられるというメリットもある。

一方、企業型DCは企業が退職金制度として導入して、企業が掛金を支払う制度だ。

企業が提供する退職金制度の一種なので、制度を導入している企業に勤めていないと加入できない。

これらの確定拠出年金は、退職金と同様に一時金や年金での受け取りが可能で、老後の生活を支える資金として役立てやすいだろう。

専門家に相談すべきタイミングとその重要性

退職金について不安なことがある場合や、自分の資金計画についてアドバイスが欲しいという場合は、専門家に相談するのがおすすめだ。

特に、税金が絡む分野については複雑なため、正しい理解をしておかないと想像以上に納税負担が大きくなって困る可能性もある。

老後の資産形成について計画を始めたいと考えている方は、ぜひ退職金アドバイザーに相談してみよう。

退職金ナビ」は、資産状況や運用目的などの希望条件を入力するだけで、適した退職金アドバイザーが紹介されるサービスだ。

誰に相談したら良いかわからないという場合は、ぜひ「退職金アドバイザー」を利用してみてほしい。 

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税金制度改正に備えて退職金は運用で賢く増やそう

退職金は運用で賢く増やそう わたしのIFA

退職金を受け取った場合は、預貯金などにしておいておくのではなく、運用に回すのがおすすめだ。

以下では、退職金運用において注意したいポイントやおすすめの運用戦略を紹介する。

退職後に想定されるリスクと運用の重要性

退職後に必要な生活資金を退職金と年金で確保できそうだと思っても、簡単には安心できない。

現在、日本ではインフレが起きて身の回りのものの価格が上がっている。

今後のインフレ率の動向や経済政策によってはさらに物価が上昇することも考えられ、想定したよりも日常生活費が多く必要となることも考えられるだろう。

また、老後は健康面にかかるリスクも増加しやすい。健康増進にかかる費用や、急な入院や手術、治療にかかるお金はなかなか前もって準備しにくい。

あらかじめ必要だと想定される支出に対してギリギリ備えていたのでは、このような予期せぬ支出に対応できない可能性がある。

そのため、退職金のようなまとまったお金については、資産運用に回してお金にも働いてもらうことで、老後の支出に関する不安を減らしやすくなるだろう。

退職金運用においておさえるべきポイント

退職金運用を始める際は、「お金を使う時期や目的」によってお金を分類するのが重要だ。

日々の生活費や住宅ローンの繰上げ返済、病気や介護への備えなどのお金は「短期的な資金」としてすぐに使えるように預貯金にしておくのがおすすめだ。

逆に、10年以内に使う予定のないお金や余剰資金は「中・長期的な資金」として資産運用に取り組んでみるのも良いだろう。

将来取り崩す予定のお金であっても、資産運用を行いながら貯蓄を取り崩すことで、お金の寿命を延ばして長く活用できる。

具体的におすすめな運用戦略

退職金運用を行う際に、おすすめの運用方法をいくつか紹介する。

個人向け国債・国が発行する債券であり、安全に資金を運用できる
・変動10年、固定5年、固定3年の3種類
投資信託・投資家から集めた資金をプロが複数の資産に分散して投資する金融商品
・投資初心者でも手軽に分散投資や積立投資が実践しやすい
貯蓄型保険・貯蓄機能と保障機能の両方を併せ持つ保険商品
・終身保険、個人年金保険、養老保険、変額保険

特に、なるべく税金負担を抑えながら効率よく資産運用を始めたいという方は、NISA制度の活用がおすすめだ。

通常、運用で得られた利益に対しては20.315%の税金がかかるが、NISA口座で運用した資産から生まれた利益は全て非課税で受け取れるというメリットがある。

2024年からはこれまでのNISAのメリットをさらに拡大した新NISAがスタートした。

投資経験がない人でも、ぜひこの機会にNISAを活用した資産運用を始めるのをおすすめする。

税金制度改正や退職金運用に関する相談は誰にするべき?

退職金管理と運用に関する相談先はどこが良い? わたしのIFA

税金に関する疑問や退職金の管理や運用を行う上では、専門家に相談するのが重要だ。

信頼できる専門家の見分け方や、相談する手順について紹介する。

退職金の管理や運用における専門家の重要性

退職金を適切に管理した上で資産運用を始めるなら、専門家に相談するのを推奨する。

老後の資産形成について計画を立てる場合、現在の収支や今後のライフプラン、許容できるリスクなど幅広い点を考慮しながら一人ひとりに沿った計画を作ることが重要だ。

適切な資金計画を立てるには、税金や資産運用に関する正しい知識が必須となる。

退職金に関するプロから客観的なアドバイスをもらうことで、自分に適した退職金の運用方法や資金計画の立て方を理解しやすくなるだろう。

信頼できるアドバイザーの見分け方

信頼できるアドバイザーに相談したいが、どうやって見分ければ良いかわからない人もいるだろう。

アドバイザーを選ぶ際は、以下のポイントに注意して選ぶことが重要だ。

金融商品に関する知識や取引経験が豊富か

手数料やサポート体制には問題ないか

得意とする顧客層が自分と似ているか

退職金アドバイザーと初回面談を行う際は、上記のポイントについてしっかりと確認するのをおすすめする。

「退職金ナビ」の活用方法とメリット

退職金アドバイザーの検索サービス「退職金ナビ」では、以下のステップで手軽にアドバイザーを見つけられる。

  1. 希望条件をフォームに入力する
  2. 紹介されたアドバイザーのプロフィールをチェックする
  3. 希望するアドバイザーと面談する

年齢や運用ニーズなどの希望条件を入力すれば、自分に適したアドバイザーが紹介される。

相談料は原則として無料で、複数のアドバイザーと面談できるため、自分に適したアドバイザーを見つけやすい。

中立的な立場でプロの視点から、退職金に関する悩みや不安を解決して運用のサポートを行ってくれるため、これまで資産運用を行ったことがないという方でも安心して利用できるだろう。 

退職金の税金制度改正は現代の働き方に合わせて検討されている

まとめ わたしのIFA

本記事では、退職金の税制改正の主要なポイントとその影響を解説した。

将来の安定を確保するためには、受け取った退職金を最大限に活用できる資産運用が大切だ。

「どのように資産運用を始めれば良いかわからない」「資産運用について相談できる人がいなくて不安」と悩む方は、資産運用の専門家からアドバイスを受けるのをおすすめする。

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退職金の運用方法について不安なことがある方は、ぜひこの機会に「退職金ナビ」を活用して、あなたにぴったりのアドバイザーを見つけてみよう。

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よくある質問

退職金の税金改正はいつから適用されますか?

退職金の税制改正については、2023年度に発表された骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)で「退職所得課税制度の見直しを行う」と触れられている。

ただし、制度設計に時間がかかることから2024年度の税制改正では見送り、2025年以降に見直す予定だと報道されている。

退職金課税の見直しには、10年〜15年の猶予期間が必要になるという声も上がっているが、具体的にいつから制度が改正されるか、猶予期間がどの程度設けられるかについては、2024年1月現在ではまだ具体的に決まっていない。

改正後はどのような対応策が考えられますか?

現在、退職所得については退職所得控除を設けることによって、税金負担が軽減されている。

退職所得控除は勤続年数によって増え、20年以下は年間40万円、20年以上は年間70万円が退職金から控除される。

つまり、勤続年数が20年を超えると控除額が大きくなり、結果として収める税金も小さくなる。

しかし、今後の税制改正によって、この退職所得控除が一律「40万円×勤続年数」に見直される可能性があると言われている。

仮にその通りに制度が改正されれば、勤続年数20年を超える人にとっては、支払う税額が増える可能性が高まる。

すると、手取りとして受け取れる退職金の金額が小さくなり、老後資金が圧迫される要因にもなるだろう。

豊かな老後のために十分なお金を準備するためには、退職所得控除が小さくなった場合に備えて、資産を運用してお金を増やすことを検討するのをおすすめする。

税金改正の詳細を知るための信頼できる情報源はどこですか?

税金改正について最も信頼できる情報は、国の発表だ。

しかし、国の発表を待ってから対応するのでは、老後の資産形成に間に合わない恐れもある。

税制改正に備えてあらかじめしっかりと準備するのであれば、退職金運用のプロである退職金アドバイザーに相談するのも一つの手だ。

「退職金ナビ」では、自分に合ったアドバイザーを簡単な手順で検索し、面談ができる。

退職金の管理や運用について不安なことがある方は、「退職金ナビ」を利用してプロに相談してみるのがおすすめだ。

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※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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