- パート勤務でも退職金が受け取れる条件が知りたい
- パート勤務の退職金の相場を把握したい
- 退職金の効果的な受け取り方を理解したい
パートタイマーにとって、退職金に関する情報は正社員と比べて不透明であることが多い。
本記事では、パート勤務者が退職金を受け取るための条件、相場、そして税金の仕組みについて詳細に解説する。
退職金制度への理解を深め、有益な活用方法を模索することで、将来への安心を確保することができるだろう。
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パート勤務でも退職金は支給される?
退職金というと、「長年働いた正社員が受け取るもの」というイメージがあるかもしれない。
パートタイマーでも退職金を受け取ることは可能なのだろうか。くわしく確認していこう。
企業側には退職金を支払う義務がない
そもそも、退職金制度はどの企業も設けているものではない。
退職金制度は法律で義務付けられたものではないため、正社員であっても退職金を受け取れない企業もある。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」では、退職金制度の有無についての調査が行われている。
調査結果は下記の通りだ。
従業員数 | 退職給付(一時金・年金)制度がある企業 | 退職給付(一時金・年金)制度がない企業 |
---|---|---|
1,000人以上 | 90.1% | 8.8% |
300~999人 | 88.8% | 11.1% |
100~299人 | 84.7% | 15.1% |
30~99人 | 70.1% | 29.5% |
計 | 74.9% | 24.8% |
従業員が1,000人以上いる企業でも、約1割の企業が退職金制度を導入していない。
従業員の人数が少なくなるほど退職金制度のない企業数が多くなっており、雇用形態にかかわらず退職金は必ず受け取れるものではないということが分かる。
パート勤務でも退職金が支給されることがある
退職金制度はすべての企業が導入しているものではないが、なかにはパートタイマーにも退職金の支給を行っている企業がある。
退職金の有無や支給金額の算出方法は社内の退職金規程に定められており、パートタイマーの場合は正社員と異なる規程が設けられていることが一般的だ。
たとえば、「勤続10年を超えるパートタイマーには退職金を支給する」といった形で、勤続年数に応じて退職金を支払うことも珍しくない。
退職金の有無は就労時に明示される
パートタイマーの雇用には「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」、いわゆるパートタイム労働法にて労働条件や待遇が定められている。
その中で退職金に関わるのが、第六条である。
事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間・有期雇用労働者に対して、労働条件に関する事項のうち労働基準法第十五条第一項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるものを文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
出典:短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律第六条
パートタイム労働法により、パートタイマーを雇い入れるときは、退職金の有無や昇給の有無、賞与の有無などを明示しなければならないとされている。
そのため、パートタイマーとして働き始めた際には、必ず退職金の有無が記載された文書を受け取ったはずである。
「自分の勤務先で退職金制度があるかどうか分からない」というときは、就労時に受け取った文書を再度確認してみよう。
もし文書を紛失してしまった場合などは、勤務先の退職金規程を確認したり、上司に確認したりすることがおすすめだ。
職業別の退職金について、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
パート勤務者はどれくらい退職金を受け取れる?
自分の勤務先で退職金が受け取れるとなると、気になるのがその支給額である。
パートの退職金は一般的にどれくらい受け取れるものなのだろうか。くわしく解説していこう。
退職金の算出方法は企業によって異なる
退職金の支給額の算出方法は企業によって異なっており、勤続年数や給与の額が水準となるなどさまざまだ。
そのため、「一般的にこれくらい受け取れる」という目安はない。
退職金の支給額を正しく知るためには、勤務先の退職金規程を確認してみよう。
中小企業の場合は中退共を活用することも
中小企業の場合は、中小企業退職金共済に加入して退職金を準備していることも多い。
中小企業退職金共済とは「中退共」と呼ばれる制度で、企業が従業員の退職金を準備するための積立制度である。
中退共は正社員だけでなくパートタイマーも加入でき、掛金も2,000円、3,000円、4,000円の少額から設定できるようになっている。
ここで、掛金・勤続年数別の退職金の金額を試算してみよう。
勤続年数/毎月の掛金 | 2,000円 | 3,000円 | 4,000円 |
---|---|---|---|
3年 | 7万2,000円 | 10万8,000円 | 14万4,000円 |
5年 | 12万1,640円 | 18万2,460円 | 24万3,280円 |
7年 | 17万3,520円 | 26万280円 | 34万7,040円 |
10年 | 25万3,120円 | 37万9,680円 | 50万6,240円 |
月々の積立額は少額であっても、勤続年数が長くなればまとまった退職金を準備することができる。
なお、中退共の掛金は全額事業主が負担するため、従業員が支払うことはない。
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パートの退職金にも税金がかかる?
退職金を受け取る際に気になるのが、税金の仕組みについてである。
「もし税金が引かれるのであれば、退職金の手取り額が減るのでは」と不安を感じている人もいるだろう。
退職金は「退職所得」として税金の課税対象となる。課税所得は、次の計算式によって算出される。
「退職所得控除」は勤続年数に応じて適用される控除枠で、次の通りに算出する。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数ー20年) |
たとえば、パートタイマーとして5年働いた場合、「40万円×5年」で200万円が控除される。
パートタイマーの退職金が200万円を超えることはあまり一般的ではないため、基本的には控除枠の中に収まる可能性が高いだろう。
したがって、パートタイマーの退職金は非課税で受け取れる可能性が高いといえる。
パートで受け取った退職金の使い道を考えよう
パートタイムを退職したときに退職金が支給されたら、しっかりと考えたいのがその使い道である。
退職金は一生懸命働いてきた証でもあるため、有効に活用したい。
ここでは、退職金を50万円受け取った場合の使い道について考えてみよう。
退職金の主な使い道
もし退職金を50万円受け取ったとしたら、どのような使い道が思い浮かぶだろうか。
主な活用方法として、次のような例が挙げられる。
- 家族と食事
- 家族旅行
- 自分の趣味・娯楽に充てる
- 資格試験の勉強費
- 家電の買い替え
- 子どもの教育費
- 車の購入資金の頭金
- 貯金 など
これまで仕事を支えてくれた家族のために、食事や旅行に活用するのもよいだろう。
家電や車の買い替えなどに充てる方法もある。
しかし、一生懸命働いて得た退職金だからこそ、後々に役立つような活用方法も考えたい。
手元の50万円をより有効活用するには、資産運用に取り組むこともおすすめだ。
次項でくわしく紹介していこう。
退職金を資産運用に充てるのもおすすめ
退職金50万円をもとに、資産運用に取り組む方法もある。
たとえば、旅行や買物などに使ってしまえばすぐに50万円がなくなってしまうが、資産運用で利回りを得れば50万円を元手にさらに資金を増やせる可能性がある。
ここで、利回り別の運用成果をシミュレーションしてみよう。
運用期間/利回り | 1% | 3% | 5% |
---|---|---|---|
1年 | 50万5,000円 | 51万5,150円 | 52万5,000円 |
3年 | 51万5,150円 | 54万6,364円 | 57万8,813円 |
5年 | 52万5,505円 | 57万9,637円 | 63万8,141円 |
7年 | 53万6,068円 | 61万4,937円 | 70万3,550円 |
10年 | 55万2,311円 | 67万1,958円 | 81万4,447円 |
50万円の退職金を資産運用に充てることで、10万円以上増やすことも可能である。
もちろん、資産運用によるリスクは十分理解しておく必要があるが、特段すぐに使う予定がない場合は、資産運用に充てるのもひとつの方法だ。
資産運用で退職金を有効活用しよう
退職金をより有効活用するためには、資産運用に充てることを検討したい。
ここからは、退職金で資産運用に取り組むメリットや、おすすめの相談先について紹介していこう。
退職金で資産運用に取り組むメリット
退職金で資産運用に取り組むメリットとして、「お金に関する知識を得られること」が挙げられる。
資産運用では株式や投資信託など元本保証のない金融商品へ投資するため、経済に関する知識を身につける必要がある。
現在は証券会社がオンラインセミナーを頻繁に開催しているため、そういったものへ参加するのもよいだろう。
「経済を学ぶ」と聞くと億劫に感じるかもしれないが、お金や経済に関する知識は、暮らしを豊かにしてくれる大切な知識だ。
たとえば、今後もパートタイマーを続ける場合、ただ給与を預貯金に貯めるのと、資産運用に取り組みながら貯めるのとでは大きな違いがある。
より効率的に資産を形成していくためには、資産運用を取り入れることをぜひ検討したい。
NISA制度なら生涯非課税で退職金が運用ができる
退職金で資産運用に取り組む際は、NISA制度を活用することがおすすめだ。
NISA制度とは、株式や投資信託の運用で得た利益を非課税とする制度である。
通常、株式や投資信託で得た利益には20.315%の税金がかかるが、NISA口座で買い付けたものに関しては税金がかからない。
NISA制度は2024年1月から大きく制度改正されており、詳細は下記の通りだ。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税期間 | 恒久化 | |
非課税保有限度額 | 1,800万円 (内、成長投資枠は最大1,200万円) | |
対象となる金融商品 | 現行つみたてNISAと同様 | 株式、投資信託、ETF (※一部対象外あり) |
新しいNISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できるようになっており、年間最大360万円まで非課税で投資できる。
さらに非課税期間も無期限化され、生涯非課税で投資することも可能となった。
より長期投資に活用しやすくなっているため、ぜひこの機会にNISA口座を開設してみるのもよいだろう。
資産運用は専門家への相談がおすすめ
より適切に資産運用に取り組むためには、金融の専門家へ相談することがおすすめだ。
ひとくちに資産運用といっても、さまざまな投資先があり、どこに投資するかによってリスクやリターンも異なる。
初めて資産運用を行う人は「どうやって投資先を選べばいいのか分からない」、「買い時が分からない」という人も多いだろう。
よりリスクを抑えて運用するためには、金融の専門家へ相談してアドバイスを受けることを検討したい。
専門家へ相談することで、疑問点や不安点が解消され、安心して資産運用に取り組めるメリットがある。
大切な退職金を守りながら運用するためには、プロのアドバイスが必要不可欠だ。
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パートでも退職金を受け取れるケースがある
退職金というと正社員が受け取るイメージがあるが、企業によってはパートタイマーでも退職金を支給しているところがある。
退職金を受け取ったら、資産運用で有効に活用することを検討したい。投資経験が浅い場合などは専門家へ相談することがおすすめだ。
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