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【退職金を2,000万円受け取る方へ】手取り額や受け取り時の注意点を解説

この記事で解決できるお悩み
  • 2,000万円の退職金の手取り額と税金が知りたい
  • 退職金受け取り時の注意点を把握したい
  • 勤続年数と退職金金額の関係性を理解したい

退職金は多くの働き手にとって退職後の重要な収入となることから、受け取る際にかかる税金や手取り額については、多くの人が正確な情報を求めていることだろう。

そこでこの記事では、2,000万円の退職金を具体例に、手取り額や税金、さらには受け取り時の注意点に関する疑問を解消する。

退職金を最大限に活用する方法を学び、あなたの将来設計に役立ててほしい。

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目次

退職金2,000万円の手取り額と税金の仕組み

退職金2,000万円の手取り額と税金の仕組み わたしのIFA

退職金を受け取るときに知っておきたいのが税金の仕組みについてだ。

退職金は「退職所得」として、「所得税」、「復興特別所得税」、「住民税」の3つの税金が課される。

まずは、退職金に課される税金の計算方法について学んでいこう。

税金を計算するステップ

退職金にかかる税金を計算するためには、まず課税所得を算出し、それに対して所得税や住民税の税率をかける流れとなる。

下記で具体的な計算方法を確認していこう。

課税所得を算出する

退職金の課税所得は、次の計算式に従って算出される。

(収入金額 - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

退職金には「退職所得控除」が適用され、勤続年数に応じて下記の金額が所得から控除される。

勤続年数退職所得控除額
20年以下40万円×勤続年数
20年超800万円+70万円×(勤続年数ー20年)
出典:国税庁「退職金と税」

たとえば、勤続年数が30年の場合は1,500万円が控除される計算だ。

退職金は長年の勤労を労う意味合いもあることから、このように大きな所得控除が適用されることとなっている。

所得税を算出する

課税所得を算出したら、その金額に対して所得税を算出する。

所得税は所得金額が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税制度」が導入されており、下記の税率が適用される。

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超330万円以下10%9万7,500円
330万円超695万円以下20%42万7,500円
695万円超900万円以下23%63万6,000円
900万円超1,800万円以下33%153万6,000円
1,800万円超4,000万円以下40%279万6,000円
4,000万円超45%479万6,000円
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

たとえば、課税所得が1,000万円の場合は、33%の税率と153万6,000円の控除が適用される仕組みだ。

なお、2037年までは復興特別所得税として、基準所得税額の2.1%が課税される。

住民税を算出する

住民税は、「均等割」と「所得割」の2つから成り立っている。

均等割は5,000円、所得割は課税所得の10%が課される仕組みだ。

ただし、自治体によって異なる場合もあるため、くわしくは居住する自治体へ確認してみることがおすすめだ。

なお、通常住民税は所得を得た翌年に納税するが、退職金については「現年課税」が適用されるため、その年に納める仕組みとなっている。

事例:退職金2,000万円の手取り額を試算

退職金にかかる税金の仕組みを踏まえたうえで、退職金2,000万円を受け取った場合の税額を試算してみよう。

ここでは、勤続年数25年の場合と35年の2つのケースを試算する。

勤続年数25年の場合

勤続年数が25年の場合、適用される退職所得控除は下記の通りだ。

800万円+70万円×(25年ー20年)= 1,150万円

したがって課税所得は次のように計算される。

(2,000万円-1,150万円) × 1/2 =  425万円

この課税所得に対して、所得税と復興特別所得税、住民税を算出する。

所得税】425万円×20%-42万7,500円= 42万2,500円 
復興特別所得税】42万2,500円×2.1% = 8,873円
住民税】5,000円+425万円×10%= 43万円 
税金の合計額】42万2,500円+8,873円+43万円= 86万1,373円

税金が引かれた後の手取り額は下記の通りだ。

2,000万円-86万1,373円= 1,913万8,627円

勤続年数25年で退職金2,000万円を受け取った場合は、手取り額が1,913万8,627円となる。

勤続年数35年の場合

次に、勤続年数35年のケースで試算してみよう。勤続年数35年の場合、退職所得控除は次の通りに計算される。

800万円+70万円×(35年ー20年)= 1,850万円

したがって、課税所得は次の通りとなる。

(2,000万円-1,850万円) × 1/2 =  75万円

ここから算出される各種税額は下記の通りだ。

所得税】75万円×5%= 3万7,500円 
復興特別所得税】3万7,500円×2.1% = 788円
住民税】5,000円+75万円×10%= 8万円 
税金の合計額】3万7,500円+788円+8万円= 11万8,288円

税金が引かれた後の手取り額は次の通りとなる。

2,000万円-11万8,288円= 1,988万1,712円

勤続年数25年の場合は手取り額が約1,914万円であったため、同じ金額の退職金を受け取った場合でも、勤続年数が長い方がより手取り額が多くなることが分かる。

退職金を2,000万円を受け取る際の注意点

退職金を受け取る際の注意点 わたしのIFA

退職金を受け取る際は、いくつか注意したいポイントがある。

ひとつずつ確認していこう。

退職金の受け取り方には3つの方法がある

退職金というと、退職時に一括で受け取る方法を思い浮かべる人も多いかもしれない。

しかし、退職金は一括受取の他に年金形式で受け取ることもできる。

退職金を一定期間において分割して受け取る方法だ。

また、一括受取と年金受取を併用して受け取る方法もある。

どの方法で受け取れるかは勤務先によって異なるため、くわしくは社内の規程などを確認してみよう。

退職金は原則確定申告が不要

退職金にかかる税金は、あらかじめ「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出することで源泉徴収を受けることができる。

所得税と復興特別所得税、住民税をすべて源泉徴収してもらえるので、基本的には確定申告が不要だ。

退職所得の受給に関する申告書については、退職の時期が近づいたら勤務先の人事や総務から提出を求められるため、忘れずに提出するようにしよう。

確定申告を行うことで還付金がもらえるケースもある

退職金は原則確定申告が不要だが、下記のようなケースに当てはまる場合は確定申告を行うことで還付金を受け取れる可能性がある。

  • 退職後に生命保険の保険料を支払った
  • 退職後にiDeCoの掛金を納めた
  • 年間の医療費が10万円を超える場合 など

なお、確定申告には勤務先から受け取った源泉徴収票が必要となるため、必ず保管しておこう。

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退職金を2,000万円貰えるのはどんな人?

勤続年数と退職金の関係 わたしのIFA

退職金を受け取るにあたって、「自分はどれくらいの金額が支給されるのだろう」と疑問に感じている人もいるかもしれない。

退職金は企業によって算出方法が異なるため、くわしくは勤務先の規程を確認することがおすすめだ。

ここでは、参考までに勤続年数別の退職金の平均額を紹介していこう。

大企業の退職金相場

まずは、大企業の年代別退職金についてである。厚生労働省(中央労働委員会)の「令和3年賃金事情等総合調査」によると、大卒の年代別退職金は下記の通りとなっている。

大企業:大卒の年代別退職金

勤続年数(年齢)会社都合自己都合
3年(25歳)69万円32万3,000円
5年(27歳)118万円59万4,000円
10年(32歳)310万2,000円179万9,000円
15年(37歳)577万9,000円387万3,000円
20年(42歳)953万1,000円726万5,000円
25年(47歳)1,393万円8,000円1,143万1,000円
30年(52歳)1,915万4,000円1,706万7,000円
35年(57歳)2,364万9,000円2,163万4,000円
38年(60歳)2,528万円2,269万2,000円
引用:厚生労働省(中央労働委員会)「令和3年賃金事情等総合調査」

勤続年数が長くなるほど退職金も増え、35年を過ぎる頃には会社都合と自己都合のいずれも2,000万円を超えている。

中小企業の退職金相場

続いて、東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」をもとに、中小企業における大卒の年代別退職金について見てみよう。

中小企業:大卒の年代別退職金

勤続年数(年齢)会社都合自己都合
10年(32歳)149万8,000円112万1,000円
15年(37歳)265万8,000円212万9,000円
20年(42歳)414万7,000円343万1,000円
25年(47歳)578万2,000円490万6,000円
30年(52歳)754万2,000円653万6,000円
定年退職1,091万8,000円
引用:東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」

中小企業は大企業に比べると退職金の金額が低くなっており、定年退職の場合でも2,000万円には届かない状況である。

退職金2,000万円の活用方法

退職金2,000万円の活用方法 わたしのIFA

退職金の受取時期が近づいたら、なるべく具体的に使い道を検討したい。

ここからは、退職金2,000万円の活用方法について考えていこう。

退職金の主な使い道

退職金の主な使い道として、次のような選択肢が挙げられる。

  • 住宅ローンの繰上返済
  • その他のローンの返済
  • 自宅のリフォーム
  • 老後の生活費
  • 資産運用 など

特に、住宅ローンについては「老後に大きな負債を抱えるのが不安」という理由から、繰上返済を検討する人が多い。

ただし、低金利で借入ができている場合は、繰上返済による利息のメリットはそれほど大きくない可能性がある。

たとえば、住宅ローンの金利が1%の場合、繰上返済するよりも1%以上の資産運用を目指す方がトータルではメリットが大きいといえる。

住宅ローンの繰上返済を行う場合は、「利息負担を軽減できるメリット」と「手元にキャッシュを置いておくメリット」を比較して検討するようにしよう。

すぐに使わない退職金を運用するメリット

退職金を資産運用に充てるメリットとして、「お金の寿命を延ばせること」が挙げられる。

たとえば、退職金2,000万円を毎月15万円ずつ取り崩す場合、資産運用を行わない場合は11年1ヶ月でお金が尽きてしまう。

一方、資産運用で3%の利回りを得ながら取り崩せば、お金が尽きるタイミングは13年5ヶ月となり、約2年ほどお金の寿命が延びることとなる。

「すぐに使う予定がない」という場合は、資産運用に取り組むことがおすすめだ。

退職金2,000万円の運用するなら誰に相談するべき?

退職金の運用は専門家へ相談しよう わたしのIFA

退職金で資産運用に取り組む場合は、専門家へ運用することを検討したい。

ここからは、資産運用を専門家へ相談するメリットと、相談先の探し方について紹介していこう。

退職金の資産運用を専門家へ相談するメリット

退職金はセカンドライフを支える大切な資金源となることから、リスクを取りすぎた運用となることは避けたい。

もし、ハイリスクな金融商品で大きな損失を負ってしまうと、老後の暮らしぶりにも影響を与えてしまうかもしれない。

とはいっても、投資経験が浅い人は「どれくらいのリスクが適切か分からない」、「金融商品の選び方が分からない」ということも多いだろう。

専門家へ資産運用を相談することは、適切な運用方法や金融商品を紹介してもらえるメリットがある。

慎重に取り組むべき退職金の運用だからこそ、プロの意見を取り入れることを検討してみよう。

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退職金を2,000万円受け取ったら有効活用しよう

まとめ わたしのIFA

退職金には「退職所得控除」が適用され、勤続年数が長いほど多くの控除を受けられる仕組みとなっている。

本記事では、2,000万円の退職金を受け取った場合の手取り額を試算したが、勤続年数が長いほど手取り額が多い結果となった。

また、受け取った退職金を有効活用するためには、資産運用に取り組むことも検討したい。

初めて資産運用に取り組む人は、専門のアドバイザーへ相談することがおすすめだ。

退職金ナビ」では、中立的な立場でアドバイスをしてくれるアドバイザーを無料で探すことができる。

ぜひ、退職金の受取時期が近づいたら、「退職金ナビ」を活用して資産運用について相談してみよう。

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2,000万円の退職金に関するQ&A

2,000万円の退職金には税金がいくらか?

退職金にかかる税金は、勤続年数によって異なる。

たとえば、勤続年数25年で退職金2,000万円を受け取った場合は約86万円、35年の場合は約12万円となる。

同じ金額の退職金を受け取る場合でも、勤続年数が長いほど控除額が大きくなるため、税負担も小さくなる仕組みだ。

20年勤務すると退職金はどのくらいになりますか?

20年勤務した場合の退職金(自己都合)の平均額は、大企業で726万5,000円、中小企業で343万1,000円となっている。

ただし、退職金の支給額は企業によって異なるため、くわしくは勤務先の規程を確認してみよう。

退職金は確定申告が必要ですか?

退職金にかかる税金は、あらかじめ「退職所得の受給に関する申告書」を提出することで源泉徴収してもらえる。

そのため、原則確定申告は不要だ。

ただし、年の途中で退職して年末調整を受けていない場合は、確定申告を行うことで還付金を受け取れる可能性がある。

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※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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