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【退職金の基礎知識】計算方法から管理法まで徹底解説

この記事で解決できるお悩み
  • 退職金の計算方法と受給額の見積もり方法が知りたい
  • 自己都合退職と退職金の関係性を理解したい
  • 退職金の税金の仕組みと手取り額の求め方が知りたい

退職金は長年の勤労に対する報酬であり、働く多くの人にとって重要な関心事であろう。

しかし、その具体的な計算方法や税金の扱い、自己都合退職時の影響などについては、多くの疑問や誤解が存在する。

本記事では、退職金の基礎知識を分かりやすく解説し、あなたが実際の退職金額を理解し、適切な退職計画を立てるための具体的な情報を提供する。

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目次

退職金の基礎知識①金額の決定要因と差異

退職金の基礎知識①金額の決定要因と差異 わたしのIFA

退職金において強い関心が寄せられるのが「いくら支給されるのか」という点であろう。

老後の人生設計を立てる上で、退職金額がいくらになるのかという部分は非常に重要なポイントとなる。

どうしたら退職金額が増えるのかという点も含め、把握しておくと良いだろう。

ここでは、役職や勤続年数、退職理由が退職金の金額に与える影響について解説していく。

勤続年数が退職金に与える影響

通常、退職金の支給額は勤続年数に比例して増えていく。

金額を決定する要因として「企業にどれくらいの年数勤めたのか」という点は重要な要素のひとつだ。

厚生労働省中央労働委員会による「令和3年賃金事情等総合調査」では、資本金5億円以上かつ労働者1,000人以上のいわゆる「大企業」についてのモデル退職金を発表している。

モデル退職金とは「学校を卒業後すぐに就職し、標準的な昇進をしたのちに退職した者」というモデル条件に該当する場合の退職金額のことだ。

調査結果によると、大学卒の事務・技術労働者(総合職相当)で会社都合の退職をした場合の勤続年数別モデル退職金は以下の表のようになった。

勤続年数モデル退職金(単位:千円)
勤続3年690
勤続5年1,180
勤続10年3,102
勤続15年5,779
勤続20年9,531
勤続25年13,938
勤続30年19,154
勤続35年23,649
勤続38年25,280
定年退職25,639
出典:厚生労働省中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」

上記の表を見て分かる通り、勤続年数が長くなるほど支給される金額は増えていく。

少しでも多くの退職金を受け取りたい場合は、なるべく長く勤めると良いだろう。

退職理由が退職金に与える影響

上記の中央労働委員会による調査では、産業別退職事由ごとの平均退職金額についても発表している。

以下の表は、退職事由ごとの平均退職金額についていくつかの業種を抜粋してまとめたものだ。

業種定年(単位:千円)会社都合(単位:千円)自己都合(単位:千円)
調査産業計18,72911,9724,473
製造業19,00511,2285,282
建設20,97719,9601,869
銀行・保険8,78814,4101,189
私鉄・バス19,37410,1685,737
商事20,52825,20310,355
出典:厚生労働省中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」

いずれの業種であっても「定年→会社都合→自己都合」の順に支給額が減っている。

基本的には自己都合による退職金は支給額が少なくなるような計算基準を採用している企業が多いことが分かる。

また、自己都合退職の場合、会社都合のケースに比べて退職をするタイミングが早い点も金額が少ない理由として考えられるだろう。

自己都合退職時の退職金受給の条件

転職や結婚・出産、親の介護などが理由で自己都合退職をする場合、前述した通り退職金が減額されるケースが多い。

場合によっては受給できないケースもあるが、どういった条件を満たせば退職金を受給できるのだろうか。

自己都合退職時に退職金を受給するための一般的な条件は以下の2つだ。

  • 勤務先が退職金制度を設けている
  • 入社3年以上経過する

まず、勤務先企業がそもそも退職金制度を設けていない場合、退職金は当然ながら受け取れない。

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職金制度を設けている企業の割合は74.9%となっている。

裏を返すと約4分の1の企業が退職金制度を設けていないことになる。

まずは勤務先の退職金規程などをチェックし、制度の有無を把握しておこう。

また、中央労働委員会の「令和3年賃金事情等総合調査」では、退職一時金の受給資格に要する最低勤続期間を発表している。

会社都合の退職の場合は「1年未満」で支給する企業が55.5%であるのに対し、自己都合退職の場合は「1年未満」とする企業は7.5%だった。

一方で「3年以上」としている企業の割合は50.7%となっており、3年未満でも支給される企業と合わせると約97%となる。

自己都合で退職する場合、ほとんどの企業が3年以上勤めていないと退職金が支給されないことが分かる。

自己都合で退職する場合は、上記2つの条件を把握しておこう。

退職金の基礎知識②計算方法と受け取り方

退職金の基礎知識②計算方法と受け取り方 わたしのIFA

退職金の金額決定に影響を与える要因を解説してきたが、自分の勤務先がどういった計算方法を採用しているかによって受給額は異なる。

また、受け取り方によっても受給金額が変わってくるため、計算方法・受け取り方を把握しておくことも大切だ。

ここでは、退職金の一般的な計算方法と受け取り方による違いについて解説していく。

退職金の一般的な計算方法

退職金は企業によってそれぞれ計算方法が異なっている。一般的には以下の4つの仕組みで計算される。

定額制勤続年数に応じた支給額があらかじめ決められている仕組み。
基本給連動型退職時の基本給に勤続年数に応じた係数を掛けることで算出される仕組み。
ポイント制基本給・勤続年数・役職・退職理由などの要素をポイントとして換算し、退職時点の合計ポイント数に応じて算出される仕組み。
別テーブル制勤続年数に応じた基準額を設定し、役職や退職理由を掛け合わせたテーブルを作成して計算する仕組み。

上記のいずれの計算方法であっても勤続年数が金額に影響しているため、繰り返しになるが支給額を増やしたい場合は少しでも長く勤めよう。

また、上記のうち、どの計算方法を採用しているのかを退職金規程などで確認しておくことをおすすめする。

退職金の受け取り方による違い

退職金の受け取り方は大きく分けて「退職一時金」と「退職年金」の2種類がある。

受け取り方によって金額や税金の取り扱いが異なるため、違いを理解しておくことが大切だ。

退職一時金は、退職したときに全額を一括で受給する仕組みの受け取り方である。

税金の計算をする際には「退職所得」として扱われ、大きな退職所得控除が適用される点が特徴だ。

退職年金は、退職金を数年間にわたって分割して受給する仕組みの受け取り方である。

税金の計算をする際は「雑所得」として扱われ、給与や賞与、公的年金等の所得と合算して税金が計算される。

一般的には退職年金の方が退職一時金よりも受け取れる総額が多い。

年金形式はまだ受給していない分が引き続き金融機関で運用されるため、リターンが生じて受給金額が増える仕組みとなっているのだ。

一方、税金面で考えると退職一時金の方が有利になる。

詳しくは後述するが、適用される控除の内容や税金の計算方法が年金形式に比べて優遇されているためだ。

受け取り方による金額の違いを正しく理解し、どのような形で受給すべきか考えよう。

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退職金の基礎知識③税金の仕組みと手取り額

退職金の基礎知識③税金の仕組みと手取り額 わたしのIFA

退職金を受給する際、所得税及び復興特別所得税、住民税が引かれることを考慮しなければならない。

非課税となるケースを除き、額面金額がそのまま支給されるわけではないため、税金に対する理解を深めた上で退職後の資金計画を立てることが大切だ。

ここでは、退職金にかかる税金の種類や退職所得控除の仕組み、手取り額の計算方法について解説していく。

退職金にかかる税金の種類

退職金にかかる税金の種類は以下の3つだ。

  • 所得税
  • 復興特別所得税
  • 住民税

所得税とは、給与や賞与などの収入に対してかかる税金である。

1年間の収入から一定の控除を差し引いて算出される所得に対し、規定の税率をかけることで税額が求められる。

退職所得の場合、ほかの所得とは切り離して税額が計算されるため、税負担が大きくなりにくい。

復興特別所得税は、東日本大震災の復興に必要な財源を確保するために設けられた税金だ。

所得税額の2.1%が税額となっており、2037年まで納める必要がある。

住民税は、1月1日時点で居住している都道府県・市区町村に納める税金だ。

所得税と同様に収入から控除を差し引いて導き出した所得に一定の税率(10%)を掛けることで算出される。

一時金形式・年金形式のどちらで受け取る場合であっても、上記3種類の税金は納めなければならない。

退職所得控除とは

先ほど「税金の面を考慮すると一時金形式の方が有利である」と解説したが、その理由が退職所得控除である。

退職所得控除とは、退職金にかかる税金が過剰に大きくならないための配慮として設けられた所得控除のことだ。

退職金は一度に数百万円〜数千万円のまとまった金額が支給されるため、通常の方法で計算すると税負担が大きくなってしまう。

しかし退職後の生活を支える大切な退職金に過剰な税負担がかかると、安定した老後生活を送れなくなるリスクがある。

そこで退職所得控除を設け、多額の控除を差し引けるようにしておくことで税負担を軽減できるように配慮されているのだ。

しかし年金形式で受給する場合、一度にまとまった金額を受給するわけではなく、通常の方法で計算しても税負担がそこまで大きくなりにくい。

そのため、年金形式で受け取る場合には退職所得控除額が設けられていない。

多額の控除を適用できない分、一時金形式で受け取る方が有利になる仕組みである。

退職金の手取り額の計算方法

次に、退職金を一時金として受け取った場合の手取り額の計算方法を紹介する。

まずは「(退職金-退職所得控除)×1/2」で所得を求める必要がある。

退職所得控除額は勤続年数が長くなるほど大きくなる仕組みで、以下の計算式で導き出すことが可能だ。

  • 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
  • 勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)

退職所得控除を活用して所得を求めたら、所得税及び復興特別所得税、住民税の税率をそれぞれ掛けることで税額が導き出される。

例えば退職金支給額が2,500万円で勤続年数が38年の場合、退職所得控除は「800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円」となる。

所得は「(2,500万円-2,060万円)×1/2=220万円」である。

所得が220万円の場合は所得税率が10%、控除額が97,500円だ。

「220万円×10%-97,500円=122,500円」が所得税、「122,500円×2.1%=2,572円」が復興特別所得税となる。

住民税は一律税率10%なので「220万円×10%=220,000円」となる。

退職金支給額から税額を差し引くと「2,500万円-122,500円-2,572円-220,000円=24,654,928円」が先ほどのケースの手取り額だ。

退職金の基礎知識④効果的な活用法

退職金の基礎知識④効果的な活用法 わたしのIFA

退職金は受け取ったら終わりではなく、どのように活用していくかという点も重要なポイントとなる。

基礎知識として効果的な活用法を把握しておき、どのように管理して活用していくべきか戦略を立てよう。

ここでは、退職金受給時の税務上の注意点を踏まえ、主な活用法や運用の重要性などを解説していく。

退職金受給時の税務上の注意点

退職金を受給する際、通常は源泉徴収によって税金が引かれるため、原則として確定申告は不要である。

基本的には支給されるまでに「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば問題ない。

しかし、一定の要件を満たしている場合は確定申告を行うことで源泉徴収された税金が還付される可能性がある。

以下のようなケースでは確定申告をした方が良いだろう。

  • ふるさと納税を行なって寄附金控除が適用される場合
  • 生命保険料・地震保険料などを支払っている場合
  • 医療費控除・セルフメディケーション税制の適用が受けられる場合
  • 不動産所得や事業所得で赤字が発生している場合

寄附金控除や生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除などの所得控除を申告することで払い過ぎた税金が戻ってくる場合がある。

ふるさと納税をしていたり、年間の医療費が一定額を超えたりしている場合は所得控除を活用しよう。

また、不動産所得や事業所得で赤字が発生している場合、確定申告によって退職所得と損益通算ができる。

損益通算とは、所得から赤字分を差し引くことで所得を減らし、税負担を軽減させる仕組みのことだ。

給与所得・配当所得・雑所得と損益通算しても赤字が残る場合、退職所得との損益通算が可能となっている。

より効果的に退職金を活用するためにも、所得控除や損益通算は積極的に活用しておこう。

退職金の主な活用法と資産運用の重要性

退職金の活用方法は以下のようにさまざまなものがある。

  • 住宅ローンを完済するために使う
  • 退職後の趣味のために使う
  • 住宅の修繕費用として使う
  • 老後の生活費を準備するために運用する

住宅ローンの返済や趣味、住宅の修繕費用などはもちろん大切な使い道だが、なかでも資産運用を行う重要性は高い。

退職金を運用すべき理由として「公的年金だけでは老後資金が足りない恐れがある」という点が挙げられる。

少子高齢化が進む日本において、現役世代が少ない一方で公的年金を受給する高齢者世代は多い。

財源不足が問題視されており、十分な公的年金を受給できないリスクがある。

さらに近年の物価上昇とともに、生活にかかる負担はますます大きくなっている。

長寿化によって退職後の生活期間が長くなっていることも踏まえると、公的年金の不足分をカバーする手立てを考えなければならない。

こうした状況にある以上、退職金は現金・預貯金のまま置いておいたり、好きなように使ったりすることに大きなリスクがある。

投資などを活用した資産運用に回し、不足する公的年金をカバーできるようにしておこう。

退職金運用における専門家の重要性

退職金の運用を検討している場合、資産運用の専門家に相談することを推奨する。

特に、投資に慣れない初心者の方は資産運用のプロに相談し、自分に合う運用プランを提案してもらうと良いだろう。

資産運用の専門家は幅広い知識や豊富な経験をもとに、顧客の状況に最適な運用プランを判断する。

具体的な資金計画をしっかりとサポートするため、投資に慣れない初心者の方でも安心して運用を始めることが可能だ。

退職金運用は老後生活において重要な役割を担うため、信頼できる専門家にアドバイスを求めることをおすすめする。

そして退職金の運用を相談する専門家をお探しであれば「退職金ナビ」の活用がおすすめだ。

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退職金の基礎知識に関するまとめ

まとめ わたしのIFA

退職金の支給額は主に勤続年数と退職理由に基づいて決定されるが、細かな規程は会社によって異なるため確認しておくことが大切だ。

そして退職金の受け取り方やかかる税金の仕組みは手取り額に影響するポイントであるため、正確な理解が求められる。

本記事でご紹介した基礎知識をもとに退職金に対する理解を深め、今後の資金計画に役立てよう。

また、受け取った退職金は退職後の生活を安心して過ごすためにも重要となる。

専門家の力を借りながら、自分に合った最適な運用戦略を検討しよう。

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退職金の基礎知識に関するQ&A

退職金の計算は一般的にどのように行われますか?

企業によって異なるが、一般的には以下の4つを採用しているケースが多い。

定額制勤続年数に応じた支給額があらかじめ決められている仕組み。
基本給連動型退職時の基本給に勤続年数に応じた係数を掛けることで算出される仕組み。
ポイント制基本給・勤続年数・役職・退職理由などの要素をポイントとして換算し、退職時点の合計ポイント数に応じて算出される仕組み。
別テーブル制勤続年数に応じた基準額を設定し、役職や退職理由を掛け合わせたテーブルを作成して計算する仕組み。

自己都合退職の場合、退職金はどのように影響を受けますか?

会社都合で退職する場合に比べ、支給額が減額されるケースが多い。

また、短期間での離職の場合、会社都合であれば退職金が支給される企業であっても自己都合退職では支給されないケースもある。

多くの企業が「3年以上」の勤続年数を求めていることを頭に入れておこう。

専門家に退職金の管理や運用を相談するメリットは何ですか?

自分に合う最適な運用戦略を提案してもらえる点がメリットとして挙げられる。

退職金運用は資産の状況や退職後の人生設計、支給された退職金の額などによって適切な運用戦略を異なる。

資産運用の専門家はさまざまな要素を総合的に判断し、最適な運用プランを提案してくれるため、自分に合う運用戦略で退職金を運用できる点が魅力だ。

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※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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