- 50代におすすめなつみたて投資枠の運用戦略を具体的に知りたい
- 新NISAを活用して退職後に向けた資産を形成したい
- 新NISAについて相談できる先を探している
新NISAのつみたて投資枠は、50代の方々にとって、退職後の資産形成に最適な手段の一つだ。
本記事では、新NISAの概念から、50代で新NISAをスタートさせるメリット、効果的な運用戦略、そしておすすめのポートフォリオに至るまでを詳しく紹介する。
「いまから投資を始めても遅いのでは?」という不安や「どの商品を選んだら良いかわからない」という疑問に答えるための、網羅的な内容である。
投資を成功させる具体的なアプローチをお探しなら、記事で解説する戦略のアイディアを取り入れていただきたい。
なぜ50代に新NISAつみたて投資枠がおすすめなのか
まず、新NISA「つみたて投資枠」の基本と特色について確認していこう。
50代が知るべき新NISAつみたて投資枠の基本
新NISAは、2014年に始まった少額投資非課税制度(NISA)の拡張・改良版と言える制度だ。
2024年からは「制度の恒久化」と「非課税期間の無期限化」を核として、より長期にわたる資産形成を支援する新しい制度「新NISA」として生まれ変わった。
「つみたて投資枠」は、新NISAの非課税投資枠のひとつである。
- 購入できるのは投資信託のみ
- 買付け方法は「積立投資」に限られる
- 少額から投資を始められる(金融機関によっては100円から始められる)
- 年間で投資できる金額は最大120万円(月額10万円まで)
- 新NISAのもうひとつの枠である「成長投資枠」と併用できる
この枠の利用により、投資家は自動的に「分散投資」というリスク低減の恩恵を受けることになる。
定期的に一定額で、「投資信託」というあらかじめ分散された投資商品を購入することになるからだ。
50代のリスク許容度と投資の重要性
さて次に、投資家となる50代に目を向けよう。
この年代の多くは、定年退職が視野に入っているため、投資で大きなリスクを取ることに対して慎重になる傾向がある。
一方で、退職や仕事量のセーブなどで、収入は少なくなる傾向にあり、生活資金の確保が必要な年代でもある。
50代は「投資スタート適齢期」
50代から投資を始めることに対する不安の声はあるものの、実は50代は老後に備えた資産形成を進めやすい時期なのだ。
この時期は、教育費や住宅ローンなどの大きな負担が一段落し、支出の管理がしやすくなる。
また50代になると、納付した年金額から受け取れる年金額が見通せるようになるため、投資計画も立てやすい。
退職前の収入がある間に資産運用を始めることは、精神的な余裕の面でも有利である。
老後に備えて資産形成を加速させる必要がある
また、50代になると「老後」が現実味を帯びるため、生活設計を具体化しやすい。
生命保険文化センターの調査によると、夫婦二人の老後生活に最低限必要となる最低日常生活費は月額平均23.2万円。
「ゆとりある老後」に必要なのは月額平均37.9万円である。
厚生労働省によれば、男性の平均寿命は81. 05年の女性の平均寿命は87. 09年(2023年調査)である。50代なら、30年から40年の生活を支える資金が必要になる。
公的年金という支援はあるものの、これですべてを賄うことは難しいため、やはり老後に備えた資産形成を加速させる必要がある。
インフレや生活費の増加を考慮して、資産を実質的に増やすことを可能にする「投資」が重要になるのだ。
50代における新NISAつみたて投資枠のメリット
投資スタート適齢期の50代におすすめしたいのは、新NISAの「つみたて投資枠」の活用である。
それは、この枠の利用により50代の不安を軽減させる4つのメリットがあるからだ。
リスクを緩和し効率良く資産が増やせる
つみたて投資枠の活用は、「損をするリスク」を大きく低減させる。
この枠組みでは、商品買付けの方法は「積立投資」に限定される。積立投資は、とくに長期においては、平均購入単価の引き下げ効果が期待できる手法だ。
これによりポートフォリオは、市場が一時的に下落した場合でも耐えうる強固なものとなり、結果として損失リスクが低くなるのである。
知識が十分でなくても始められる
「投資の知識がない」という不安も、つみたて投資枠ならカバーできる。
投資信託は、複数の投資商品をバランス良く組み合わせた「パッケージ商品」だ。
ファンドマネージャーという投資のプロが、株式や債券などに投資し、日々の管理もしてくれる。
購入前のリサーチや定期的なポートフォリオの確認は必要だが、日常的な売買のような細かな管理は必要ない。
時間があまり取れなくても始められる
50代はまだまだ多忙で、投資に多くの時間を割けない人も多いだろう。
つみたて投資枠を利用すれば、毎月自動的に投資が行われるので、日々のマーケットを監視して投資タイミングを見極める必要はない。
初期投資額がなくても始められる
つみたて投資枠なら、「元手がない」という不安を持つ必要がない。
まとまった元手を必要とする株式投資などとは異なり、つみたて投資枠なら非常に少ない金額から資産形成が始められる。
たとえばSBI証券では、毎月100円から商品の購入が可能となっている。
50代の方必見!新NISAのつみたて投資枠でセカンドライフの準備を始めよう
つみたて投資枠を活用して安全に資産を運用することで、新たなライフステージへの準備ができる。
50代の資産運用における長期的な資金計画の重要性
50代という時期に、長期的な資金計画を慎重に立案するのは、資産運用の方向性を定めるうえで非常に重要である。
資金計画は、個人または家族の財務目標を達成するために、収入、支出、貯蓄、そして投資をどのように管理するかを定めるプロセスのことだ。
資産運用においては、立案した資金計画に基づき、以下の点を明らかにしていく。
- 資金計画から、自身のリスク許容度(投資による損失を受け入れる度合い)を認識する
- 資金計画から、投資期間を設定する
- 資金計画から、目指す資産額を設定する
これらは、どのような投資戦略を取るかの決定に利用できる。
積立投資と一括投資の比較
ところで新NISAには、つみたて投資枠以外に成長投資枠という枠がある。
この枠を利用すれば「一括投資」という買付け方法で、商品を購入することが可能になる。
一括投資は、利用可能な資金を全額もしくは一部使って、一度に購入する方法だ。
この手法のメリットは、市場価格が比較的低い時に大量の投資商品を購入することで、将来的に価格が上昇した際に大きなリターンを得られる可能性がある。
しかし、市場価格が高騰している時に投資すると、取得価格が高くなり、価格が下落した場合に損失を被るリスクが高まってしまう。
つまり、一括投資は「高リスク・高リターン」の典型的な例なのだ。
一方、積立投資は、一定期間ごとに定額を投資する方法である。市場価格が高い時は少ない量を、低い時は多くの量を購入することで、長期的に平均購入単価を抑えられる。
つまり、市場の価格変動リスクを分散し、リスクを軽減する効果があるのだ。
どの戦略を採用するかは、前述した資金計画、リスク許容度、および目指す資産額に基づいて決めると良い。
50代では一般的に、リスク許容度を低めに設定することが多い。
これに合わせて、積立投資を基本戦略とし、資金に余裕がある場合に限って一括投資を組み合わせるのが賢明だ。
退職後の資金確保を見据えた投資戦略
退職後の資金確保を目指す投資戦略は、長期的な視野を持ちつつ、安定した収入源の確保とリスク管理に重点を置くことが求められる。
まず、つみたて投資枠を利用し、リスクの低いバランス型投資信託を中心に据えるところから始める。
これに株式指標に連動するインデックス型などを組み合わせてみよう。
退職時期が近づいたら、投資のポートフォリオを徐々に安全な資産へとシフトさせる「ポートフォリオのリバランス」も実施しよう。
これにより、資産を市場の不確実性から守りつつ、退職時の必要資金確保が可能になる。
余裕があれば、退職後も定期的に収入を得られるよう、配当金や利息収入を生む商品の選択も有効だ。
成長投資枠を使って、高配当ETFや高配当銘柄、あるいは不動産投資信託(REIT)を購入するのも一つの方法だ。
これらの投資により、退職後も安定したキャッシュフローを確保し、生活費の一部費用のカバーも可能になる。
50代におすすめしたい新NISAつみたて投資枠の活用例
ここからは、50代がつみたて投資枠を活用して運用をする際の、おすすめの方法を紹介する。
なお、いつ新NISAを始めるかによって適切な運用法は変化する可能性が高い。
年代別の新NISAつみたて投資枠での運用戦略についてまとめた記事もあるので、比較してみるとより50代で重視するべきポイントが明確になるはずだ。
効果的な銘柄選定とリスク管理
まずは、つみたて投資枠での投資信託の選定について考えていこう。
つみたて投資枠は、金融庁が厳選した長期投資に向いた投資信託やETF(上場投資信託)のみ購入が可能だ。
成長投資枠に比べると少ないが、2024年1月末時点で281本(インデックス型227、アクティブ型46、ETF8)の選択肢がある。
投資初心者にとっては、この中から選択するだけでも、かなり大変だろう。
以下に、選定する際の3つの基準を紹介する。
信託報酬が低いこと
つみたて投資枠の対象となる商品は、基本的に手数料の低いものが厳選されている。
それでもすべて一律というわけではないので、必ず手数料はを確認すべきだ。
手数料が低いほど、長期的には手元に残るリターンが増える。
投資期間が長期にわたるほど、この手数料は運用パフォーマンスに大きな影響を与える。
分散投資の度合い
投資先を適切に選ぶことは、適切なリスク管理に直結する。
広い資産クラスに投資している投資信託であれば、一つの商品であっても資産の分散が実現できる。
異なる地域やセクターに投資するファンドを組み合わせることも、効果を発揮する。
パフォーマンスの安定性
過去のパフォーマンスを確認し、その安定性に注目する。
過去の成績は将来の成績を保証するものではないが、長期にわたって安定して成果を上げているファンドは、管理が適切に行われている可能性が高い。
投資期間と投資額の調整
次に、これらの商品を、どのくらいの投資期間でいくら購入するのかを検討していこう。
前項で説明した資金計画と、そこから導き出したリスク許容度、投資期間、目指す資産の額に基づき行うと良い。
たとえば、退職金を資金計画に組み込むことができる人なら、50代からつみたて投資枠で、無理のない範囲の積立を続けると良い。
退職金が出た時点で、投資計画を見直すチャンスがあるからだ。
- 50歳〜65歳
- 月5万円×15年=900万円
- 65歳で退職金を受け取る(うち600万円を投資に回す)
- つみたて投資と+成長投資枠で年間300万円投資の計画に変更
- 69歳までに1,800万円の枠を埋められる
自営業やフリーランスで「退職」をする必要がない人は、収入が下がらないかもしれないが、退職一時金は得られない。
また、いつ収入が途絶えるかもしれないという不安もあるだろう。
この場合は、収入が安定している間にできるだけ退職後資産を確保してしまいたい。
できれば、10年から15年の期間に非課税枠1,800万円を積立投資により、その後は安定して資産を増やしていくと良い。
50代におすすめの新NISAつみたて投資枠の運用例
さてここからは、50代という年齢に応じたポートフォリオをみていこう。
年齢を重ねた人は、市場が立ち直るのを待つ余裕はない。そのため、投資における安全性は重要である。
「100マイナス年齢」ルール
年齢別の適切な資産配分というテーマで使われるルールに「100マイナス年齢」というものがある。
これは、年齢が高くなるにつれて株式の割合を減らし、債券やその他の低リスク資産の割合を増やすポートフォリオのリスク管理手法である。
つまり、50歳ならポートフォリオの50%を株式で保有することになる。
これらのルールに基づくと、50代の場合は、株式の比率は多くても50%に抑えるべきだ。
その他は、債券インデックスなどのその他の低リスク資産に配分することが適切だ。
商品選びで少し冒険することも
ただし、これは古くから使われているルールであり、現在は平均寿命が伸びているため、「110マイナス年齢」に変更した方が適切かもしれない。
また、つみたて投資枠を使う場合は、「株式」といっても投資信託を購入することになるわけだ。投資信託は個別銘柄と比較すると、リスクが低い。
少しリスクを取れる余裕のある50代なら、株式(投資信託)の比率を60%まで引き上げ、残りをより低リスクの資産に配分する。
選ぶ投資信託によって、リスクやリターンを微調整すると良い。
たとえば、新興国株式インデックスなどを加えると、高いリターンを期待できるし、分散によりリスク低減にも貢献してくれるかもしれない。
50代から新NISAつみたて投資枠で運用を始めるなら誰に相談するべき?
50代から新NISAを始める際、適切な相談先を選ぶことは、資産運用における重要なステップだ。
専門家からのアドバイスは、個々のライフプランや資金計画に合わせた運用戦略を立てる際には不可欠である。
投資の専門家との相談の重要性
新NISAを活用した50代の資産形成には、投資家のライフプランや資金計画に適した運用戦略が求められる。
これには、金融商品や投資の知識だけでなく、公的年金、保険、老後の費用に関する幅広い知識が必要だ。
50代からの投資は決して遅くない。しかし、若い時期に比べると、時間や資金の制約が多くなりがちだ。
専門家は、これらの制約の中でも最適な投資戦略を選び、投資の世界に踏み出す際に、大きな力になってくれる。
IFAへの相談がもたらすメリット
独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)は、特定の金融機関に属さず、独立して働く専門家だ。
資産形成においてIFAは、以下のような役割を果たす。
- 投資家の財務状況、ライフスタイル、目標、リスク許容度を理解し、それに基づく投資・運用戦略の立案を助ける
- 商品の選択において中立的な立場を保ち、クライアントの利益を最優先にした、偏りのないアドバイスを提供する
- 投資家にとって最適な商品を、広範囲から選択し推薦する
- 定期的なレビューを通じて投資家の変化するニーズに対応し、長期にわたって最適なアドバイスを提供する
こうした専門家の力を活用しない手はない。次に、IFAを選ぶためのツールを紹介しよう。
IFA選びのポイントと「資産運用ナビ」の活用
IFAを選ぶ際には、専門知識、経験、提案できる商品範囲など、さまざまな点を考慮する必要がある。
検索サービス「資産運用ナビ」なら、登録アドバイザーの詳細情報をサイト上で確認できる。
また、希望条件や相談したい専門分野を入力すれば、それに合致するIFAを複数提案してくれる。
無料相談も申し込めるので、まずは話をしてみて相性を確認するのも良い。
50代から新NISAつみたて投資枠で運用を始めよう
50代からでも新NISAを始めるメリットは大きい。
とくに、退職後の生活を見据えた運用戦略の実行は、資産形成の成功において鍵となる。
本記事では、新たなライフステージに向かう50代読者に向けて、つみたて投資枠を活用する場合の投資信託選定の方法や、ポートフォリオ例を紹介した。
しかし、個人のリスク許容度や財務状況は人それぞれに異なる。
新NISA制度を最大限に活用する運用の実践には、専門家からの個別のアドバイスを受けることがおすすめである。
IFAは、中立的な立場から投資家のニーズに最も合ったアドバイスを提供し、長期にわたる資産形成のサポートを行う専門家だ。
投資に関する疑問や不安がある場合は、IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、自分に合った専門家を探してみてはいかがだろうか。