「70代から新NISAを始めても、もう遅いのでは」「老後のお金を投資に回して大丈夫だろうか」と迷っていませんか。
結論からいうと、70代でも新NISAは利用できます。制度に年齢の上限はなく、非課税保有期間も無期限です。ただし、「口座を開けること」と「今の自分が投資すべきこと」は別問題です。
70代の新NISAで最初に決めるべきなのは銘柄ではありません。生活費、医療・介護費、住宅修繕費など、近いうちに使うお金を先に確保し、値下がりしても使わずに待てる資金だけを投資に回すことが大切です。
厚生労働省の2025年簡易生命表では、70歳の平均余命は男性15.78年、女性20.10年です。金融庁の調査でも、2025年12月末時点の70歳代のNISA口座は約308万口座で、全体の約10.9%を占めます。利用者が多いから自分にも適するとは限りませんが、「70代だから一律に遅い」とは言えないことはわかります。
- 70代でも新NISAを利用でき、年齢の上限はない
- 判断基準は年齢ではなく、「そのお金をいつ使うか」と「値下がりに耐えられるか」
- 生活費や数年以内の支出は、NISAに入れず預貯金などで確保する
- 年間360万円・総枠1,800万円を使い切る必要はない
- 商品を買う前に、取り崩し方・相続時の連絡先・口座の安全管理まで決める
- 70代から新NISAを始めるメリットとデメリット
- 投資に回してよい金額の考え方とポートフォリオ例
- 商品選び、一括投資と積立投資、取り崩しの判断基準
- 死亡時のNISA口座の扱いと、家族に残しておく情報
- 70代が避けたい失敗と、安全に始める5つの手順
新NISAは70代からでも始められる|年齢の上限はない
利用条件は「18歳以上」で、上限年齢は設けられていない
新NISAを利用できるのは、口座を開設する年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者などです。70歳、75歳、80歳でも、条件を満たせば口座を開設できます。
NISAは金融商品そのものではなく、株式や投資信託などから得た売却益・配当・分配金を非課税にする制度です。NISA口座を作っただけでお金が増えるわけではなく、預金のような元本保証もありません。
「何歳まで生きるか」より「何年後に使うお金か」で考える
70代の投資期間を「自分の余命」だけで決めると、判断を誤りやすくなります。旅行や介護のため5年後に使うお金と、当面使う予定がなく家族へ引き継ぐ可能性があるお金では、運用できる期間が違うためです。
| 資金の目的 | 使う時期の例 | NISAとの相性 |
|---|---|---|
| 日々の生活費・緊急予備費 | 今から数年以内 | 値下がり時に売る恐れがあるため、原則として投資に回さない |
| 住宅修繕・車・医療・介護など | 時期がある程度決まっている | 必要額を預貯金などで確保したうえで、残りを検討 |
| 当面使わない余裕資金 | 10年以上先、または時期未定 | 分散投資を前提にNISAの候補になりやすい |
| 家族へ引き継ぐ可能性が高い資金 | 自分では使わない可能性がある | 運用期間を長く取れる一方、死亡時にNISAは終了する点に注意 |
つまり、70代から始めるのが遅いかどうかは、年齢だけでは決まりません。数年以内に使うお金しかないなら急がない。一方、生活費を別に確保でき、長く置いておける資金があるなら、検討する余地があります。
70代が新NISAを始める前に確認したい5つの判断基準
次の5項目を順番に確認すると、「始めるか」「いくら使うか」を年齢だけに頼らず判断できます。
| 確認項目 | 始めやすい状態 | 慎重にしたい状態 |
|---|---|---|
| 毎月の家計 | 年金などで基礎生活費の大半をまかなえる | 毎月の赤字額がわからず、預金を大きく取り崩している |
| 近い将来の支出 | 住宅修繕、車、旅行、医療・介護などを別に確保済み | 数年以内に必要なお金まで投資しようとしている |
| 値下がりへの耐性 | 一時的に下がっても生活を変えず保有できる | 少しの下落でも不安になり、売ってしまいそう |
| 運用の目的 | 使う時期・目的・取り崩し方を説明できる | 「周りがやっている」「非課税だから」という理由だけ |
| 管理体制 | 取引方法・連絡先・安全設定を把握し、家族にも口座の存在を伝えられる | IDやパスワードの管理が難しく、口座の存在を誰も知らない |
株式中心なら「30%下がっても売らずに済むか」を仮置きする
投資額を考えるときは、利益の予想より先に、値下がりした場合を計算します。たとえば500万円を投資し、評価額が30%下がると、含み損は150万円です。実際には30%を超えて下がることもあるため、これは最大損失ではなく、判断のための仮置きにすぎません。
150万円の値下がりを見ても生活費に困らず、慌てて売らずにいられるでしょうか。難しいと感じるなら、商品を変える前に投資額を減らす方が効果的です。
「損を取り戻す時間が短いから70代は投資不可」でも、「平均余命が長いから投資すべき」でもありません。値下がり中に売らなくて済む現金を確保できるかが、より重要です。
新NISAの基本ルールを70代向けに整理
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 併用 | 同じ年に併用でき、合計年間360万円まで | 同左 |
| 非課税保有限度額 | 両枠合計1,800万円 | 1,800万円の内数として1,200万円まで |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
| 主な対象 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託など | 上場株式、ETF、一定の投資信託など |
| 売却 | いつでも可能 | いつでも可能 |
| 売却後の総枠 | 売却商品の取得額(簿価)分が翌年以降に再利用可能 | 同左 |
年間360万円や総枠1,800万円は、使える上限です。目標額でも、使い切る義務でもありません。70代では、非課税枠を埋めることより、必要な現金を残すことを優先します。
売却すると、その商品の購入額に相当する非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。ただし、売却した年の年間投資枠がその場で戻るわけではありません。また、再利用できるのは値上がり後の売却額ではなく、原則として取得額です。
2026年4月には、つみたて投資枠の対象基準が一部改正され、指定指数に連動しない一定の投資信託について、主な投資対象に公社債を含められるようになりました。対象商品は変わり得るため、購入時は金融庁の最新一覧と金融機関の取扱商品を確認してください。
「成長投資枠」という名称は、高い成長や利益を保証する意味ではありません。購入できる商品の範囲が広い枠であり、個別株や値動きの大きい商品を選ぶ必要はありません。
70代が新NISAを利用する4つのメリット
1.運用益に通常かかる20.315%の税金が非課税になる
通常の課税口座では、上場株式や投資信託の売却益・配当などに20.315%の税金がかかります。NISA口座内で対象商品から得た利益は、制度の条件を満たせば非課税です。
たとえば300万円で購入した商品を360万円で売却し、60万円の利益が出たとします。手数料などを考慮しない単純計算では、課税口座の税額は約12万1,890円です。NISAなら、この売却益に対する税金はかかりません。
2.非課税期間を気にせず、必要なときに売却できる
非課税保有期間は無期限で、年齢による強制的な売却期限もありません。75歳になったから売る、80歳になったから終える、といったルールはなく、生活状況に合わせて保有・売却できます。
3.長く使わない資金の購買力低下に備えられる
預貯金は価格変動が小さい一方、物価が上がると同じ金額で買えるものが減ることがあります。近く使うお金は預貯金で守り、長く使わない一部を分散投資に回すことで、資産全体として物価上昇に備える考え方ができます。
ただし、投資すれば物価上昇を必ず上回れるわけではありません。価格変動や為替変動があり、投資時期によっては損失も生じます。
4.取り崩しながら運用を続ける選択肢を持てる
新NISAは、積み立てるためだけの制度ではありません。必要な分だけ売却し、残りを運用し続けることもできます。現金だけを順番に使う方法に加え、運用資産と現金を組み合わせる選択肢を持てる点は、70代にも意味があります。
ただし、下落相場で生活費のために売ると、資産が早く減る可能性があります。取り崩しに備えた現金を別に置くことが前提です。
70代で新NISAを始めるデメリット・注意点
元本割れがあり、必要な時期の下落が生活に直結しやすい
NISAは税制上の入れ物であり、損失を防ぐ制度ではありません。退職後は給与収入で損失を補いにくい人も多いため、必要な資金を投資してしまうと、相場の下落が生活設計に直結します。
NISA口座の損失は損益通算・繰越控除ができない
NISA口座で損失が出ても、特定口座や一般口座の利益と相殺する損益通算はできません。損失を翌年以降へ繰り越すこともできません。非課税のメリットがある一方、損失の税務上の扱いには不利な面があります。
投資額は所得控除にならない
NISAに入金・投資した金額が、その年の所得から差し引かれるわけではありません。非課税になるのは、対象商品から得た売却益や配当・分配金です。
高コスト・集中投資の商品が有利になるわけではない
税金がかからなくても、手数料が高い商品や値動きの大きい商品を選べば、資産が減る可能性があります。「NISA対象だから安全」「銀行で勧められたから安心」とは限りません。
上場株式・ETFの配当は受取方法を誤ると課税される
NISA口座で買った上場株式、ETF、REITなどの配当・分配金を非課税にするには、原則として証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります。銀行口座で受け取る方式などでは、20.315%が源泉徴収されることがあります。株式投資信託の分配金には、この手続は不要です。
死亡時にはNISA口座のまま相続できない
口座名義人が亡くなるとNISAは終了し、相続人は保有商品を自分のNISA口座へそのまま移せません。原則として死亡日の時価を取得価額として、相続人の特定口座または一般口座へ移します。NISAは相続税の非課税制度でもありません。
オンライン口座の不正アクセス対策が欠かせない
証券会社を装ったメールやSMSから偽サイトへ誘導し、口座を乗っ取る被害が発生しています。商品選びと同じくらい、パスキーなどの多要素認証、通知設定、公式アプリ・ブックマークからのログインが重要です。
新NISAにいくら入れる?70代の投資額は「残ったお金」から決める
「毎月いくらが正解か」「退職金の何割を入れるか」に共通の答えはありません。先に生活に必要な資金を差し引き、残った金額を投資の上限候補と考えます。
投資上限候補 = 金融資産 −(数年分の家計赤字+予定している大型支出+医療・介護などの予備費+絶対に値下がりさせたくないお金)
ここで出た金額は「投資しなければならない額」ではなく、あくまで上限候補です。値下がり時の心理的な負担を考え、さらに減らして構いません。
計算例:金融資産2,000万円でも、投資候補は2,000万円ではない
| 項目 | 例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 金融資産 | 2,000万円 | 預貯金・有価証券などの合計 |
| 3年分の家計赤字 | 240万円 | 年間80万円の赤字を仮定 |
| 予定している大型支出 | 300万円 | 住宅修繕や車など |
| 医療・介護などの予備費 | 250万円 | 家庭の状況に応じて設定 |
| 値下がりさせたくないお金 | 500万円 | 安心のために手元へ残す金額 |
| 投資上限候補 | 710万円 | 2,000万円−1,290万円 |
710万円を株式中心で運用し、30%下落したと仮定すると、評価額は約213万円減ります。この変動に耐えられないなら、710万円を全額投資する必要はありません。投資額を300万円、200万円と減らす、または値動きの小さい資産を増やす方が現実的です。
非課税枠の大きさから投資額を逆算しないでください。「枠が余るともったいない」より、「下落時に生活費が足りなくなる」方が重大です。
70代のポートフォリオは「使う時期」で3つに分ける
70代のポートフォリオを考えるときは、NISA口座の中だけを見るのではなく、預貯金や個人向け国債を含む金融資産全体で考えます。次の3分類は一例であり、年数は家計や健康状態に合わせて調整してください。
| 資金の箱 | 使う時期の目安 | 主な置き場所・商品例 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 使うお金 | 0~3年程度 | 普通預金、定期預金など | 生活費・緊急支出。原則として値動きにさらさない |
| 備えるお金 | 3~10年程度 | 預貯金、個人向け国債、値動きを抑えた運用など | 大型支出や将来の取り崩しに備える |
| 育てるお金 | 10年以上先・時期未定 | 低コストで広く分散された投資信託など | 長期的な成長を目指し、NISAを優先的に検討 |
個人向け国債は、守りの資産として使われることがありますが、NISAの対象ではありません。一方、債券に投資する投資信託はNISA対象になり得ます。ただし、債券ファンドにも価格変動があり、預金や個人向け国債と同じではありません。
状況別のポートフォリオ例
| 状況 | 値動きを抑える資産の例 | 株式など成長資産の例 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 毎月の家計赤字が大きい・近い将来の支出が多い | 80~100% | 0~20% | 投資を急がず、支出に備える現金を厚くする |
| 年金で生活費の大半をまかない、10年以上使わない資金がある | 60~80% | 20~40% | 生活を守る資金を残し、一部を分散投資する |
| 生活費・介護費を十分に別管理し、家族へ引き継ぐ可能性も高い | 40~60% | 40~60% | 長い運用期間を見込めるが、相続手続と値下がり耐性を確認する |
この表は推奨比率ではなく、考え方を示す例です。同じ75歳でも、年金収入、持ち家の修繕予定、家族構成、健康状態、資産額によって適切な配分は変わります。迷う場合は、株式比率を上げるより投資額を小さくして始める方が管理しやすくなります。
70代の新NISAでは何を買う?商品選びの5つの基準
商品名を先に探すと、人気ランキングや販売員の提案に引っ張られます。70代では、次の5点を満たすかを確認してから候補を絞ります。
- 何に投資しているか説明できる:国・地域・資産の内訳がわかる
- 広く分散されている:1社、1業種、1か国へ偏りすぎない
- 保有コストが低い:購入時手数料だけでなく、信託報酬などを確認する
- 値下がり幅を受け入れられる:過去の値動きや資産配分を確認する
- 売却しやすい:必要なときの換金方法、定期売却の有無・手数料を確認する
| 商品タイプ | 特徴 | 70代で確認したい点 |
|---|---|---|
| 全世界・先進国などの株式インデックス投信 | 低コストで広く分散しやすい | 株式100%なら大きく下落することがある。生活資金と分ける |
| バランス型投資信託 | 株式・債券などを1本で保有できる | 中身の配分、信託報酬、債券部分の為替リスクを確認 |
| 債券を中心とする投資信託 | 株式より値動きを抑えられる場合がある | 金利・信用・為替のリスクがあり、元本保証ではない |
| 高配当株・個別株 | 配当収入を得られる可能性がある | 減配・業績悪化・銘柄集中のリスク。配当だけで安全性を判断しない |
| テーマ型・レバレッジ型 | 特定テーマや値動きを強く追う | 値動きとコストが大きくなりやすく、老後資金の中心には慎重 |
「オルカンなら安心」「高配当なら取り崩さなくてよい」とは限らない
全世界株式に連動する投資信託は分散しやすい一方、株式市場全体が下がれば大きく値下がりします。高配当株も、配当が減る、株価が下がる、特定業種へ偏るといったリスクがあります。
分配金や配当を受け取ることと、投資信託を必要額だけ売却することは、どちらも資産から現金を取り出す方法です。「元本を売るのは悪い」と決めつけず、総合的なリターン、税金、コスト、資産配分で比較します。
最初から複数の商品を持つ必要はない
同じ指数に連動する投資信託を何本も持っても、実質的な分散が増えないことがあります。管理を簡単にするなら、目的に合う低コストの分散商品を1本から始め、必要が生じたときに追加する方法で十分です。
一括投資と積立投資はどちらがよい?
70代では、手元にまとまった預貯金がある人と、年金から少額ずつ積み立てたい人がいます。一括投資と積立投資のどちらが必ず有利とは言えません。資金の性質と、値下がり時の行動で選びます。
| 方法 | メリット | 注意点 | 向きやすい人 |
|---|---|---|---|
| 一括投資 | 早く市場に資金を置ける | 直後に下落すると損失と心理的負担が大きい | 長く使わない余裕資金で、下落しても保有できる人 |
| 積立投資 | 購入時期を分けられ、始めやすい | 下落を防ぐ方法ではなく、上昇局面では一括より購入価格が高くなることもある | 投資経験が少なく、家計から少額ずつ出したい人 |
| 分割投資 | まとまった資金を数回に分け、心理的負担を抑えやすい | 分け方に正解はなく、待機資金の置き場所も必要 | 一括投資が不安だが、投資する資金は確保済みの人 |
まとまった資金を分けて投資する場合は、「相場が下がったら買う」と感覚で決めるより、毎月・四半期など機械的な日程を先に決めた方が迷いにくくなります。非課税枠を早く埋めることより、途中で怖くなって全売却しない設計が大切です。
70代こそ購入前に決めたい新NISAの取り崩し方
70代では「何を買うか」と同じくらい、「いつ・どのように売るか」が重要です。出口を決めずに始めると、相場が下がったときに感情で売却しやすくなります。
取り崩しに使う数年分の現金を別に置く
毎年の生活費不足をNISAから補う予定なら、直近の取り崩し分を預貯金で確保しておくと、下落時に売却を減らしたり延期したりできます。何年分を置くかは、年金収入、支出の安定性、資産配分に応じて決めます。
| 方法 | 仕組み | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 定額 | 毎月・毎年、決めた金額を売却 | 家計へ入る金額がわかりやすい | 下落時は多くの口数を売り、資産が早く減ることがある |
| 定率 | 残高の一定割合を売却 | 残高に応じて売却額が減り、資産を長持ちさせやすい | 受取額が変動し、生活費を組みにくい |
| 必要時のみ | 大型支出など必要なときに売却 | 不要な売却を避けられる | 相場と支出時期が重なると判断が難しい |
現実的には「定額または定率+現金」の組み合わせ
日常の不足額は一定額を売却し、大きな下落時は手元の現金から補う。相場が回復した年に現金を補充する。このように運用資産だけに生活を依存しない方が、売却時期の自由度を持てます。
金融機関によっては定期売却サービスがあります。2026年4月以降、つみたて投資枠の定期売却サービスには通常必要と認められる手数料を設定できる制度になったため、利用条件と費用を確認してください。
売却したら、翌年以降に取得額分の総枠を再利用できる
100万円で購入した商品を130万円で売却した場合、翌年以降に再利用できる非課税保有限度額は原則100万円です。130万円ではありません。また、再利用する年も年間投資枠の範囲内で買い付けます。
売却は失敗ではありません。老後のために積み立てた資産を、計画どおり生活や楽しみに使うこともNISAの目的です。
70代が新NISAで避けたい8つの失敗
- 生活費まで投資する:下落時に売らざるを得なくなる
- 1,800万円を埋めることを目標にする:現金不足を招きやすい
- 退職金・預金を一度に入れる:直後の下落で判断がぶれやすい
- 高配当・有名企業だけに集中する:減配や個別企業の不調が直撃する
- 似た投資信託を何本も買う:管理が複雑になり、分散したつもりになる
- 手数料を見ない:税のメリットよりコスト負担が大きくなることがある
- 取り崩しを決めずに始める:相場下落時に感情で売りやすい
- 口座情報を家族へ伝えず、安全設定もしない:死亡・入院・不正アクセス時の対応が遅れる
特に注意したいのは、「NISAは国の制度だから安心」という誤解です。制度の税制上の仕組みは国が定めていますが、購入商品の価格や利益を国が保証するわけではありません。
70代から新NISAを始める5つの手順
年金などの収入、毎月の支出、預貯金、保険、株式・投資信託、今後の大型支出を書き出します。家計の年間赤字がわからないまま投資額を決めないことが重要です。
数年以内に使うお金は預貯金へ、将来の支出に備えるお金は値動きを抑え、長く使わないお金だけをNISAの候補にします。
商品数や手数料だけでなく、電話・店頭サポート、定期売却、相続時の手続、パスキーなどの認証方式も確認します。
最初から枠を埋めず、値下がりしても生活に影響しない金額から始めます。商品は投資先、コスト、最大ではないものの想定下落幅を説明できるものに絞ります。
年1回など見直す時期を決め、必要額、売却方法、連絡先を記録します。家族には金融機関名と口座の存在を伝えますが、パスワードを共有する必要はありません。
銀行・ネット証券・対面相談は「自分が続けられるか」で選ぶ
| 選択肢 | 主な利点 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| ネット証券 | 商品数が多く、低コスト商品を選びやすい | 自分で操作・判断できるか、電話支援、安全設定、相続手続 |
| 銀行 | 普段使う店舗で相談しやすい | 取扱商品が限られる場合、販売手数料、預金との違いの説明 |
| 対面証券 | 担当者へ相談しながら進めやすい | 取引手数料、提案商品のコスト、担当者変更時の継続性 |
| IFA・FPなどの専門家 | 家計や他資産を含めて相談できる場合がある | 資格・助言範囲・報酬・紹介料・取扱商品の偏り |
相談する場合は、「なぜこの商品なのか」「最悪時にどの程度下がる想定か」「全費用はいくらか」「いつ、どの順番で売るか」「相談者や販売者は何で報酬を得るか」を確認してください。答えが曖昧なまま契約を急ぐ必要はありません。
相続と家族への引き継ぎで準備しておくこと
亡くなった後もNISAの非課税口座をそのまま引き継ぐことはできない
NISA口座の名義人が亡くなった場合、相続人は死亡を知った日以後、遅滞なく、口座のある金融機関へ「非課税口座開設者死亡届出書」を提出します。複数の金融機関に過去のNISA口座がある場合は、それぞれに手続が必要です。
NISA内の商品は、相続人自身のNISAへ移すのではなく、特定口座または一般口座へ移管します。原則として相続開始日の時価が相続人の取得価額となり、その後の値上がり益には課税され得ます。相続税の扱いは、NISA以外の財産も含めた相続全体で判断します。
家族に共有するのは「口座の所在」であり、パスワードではない
- 利用している金融機関名・支店・問い合わせ先
- NISA口座があることと、保有商品の概略
- 重要書類・取引報告書の保管場所
- 相談している担当者や専門家の連絡先
- 本人が希望する資産の使い方・取り崩しの方針
ログインIDやパスワードを家族と共用すると、規約や安全管理上の問題が生じることがあります。正式な相続手続や代理人制度を使えるよう、金融機関へ事前に確認してください。
証券口座を守るために、始める日に設定したい6項目
- メールやSMSのリンクからログインしない:公式アプリか、事前登録したブックマークを使う
- パスキーなどフィッシングに強い多要素認証を使う:提供開始後は速やかに切り替える
- ログイン・取引・出金の通知を有効にする:身に覚えのない動きを早く発見する
- 他サービスと同じパスワードを使わない:長く推測されにくいものにする
- OS・ブラウザ・公式アプリを更新する:古い端末や共有端末での取引を避ける
- 月1回は口座を確認する:不審な取引があれば直ちに金融機関へ連絡する
操作に不安がある場合は、ネット証券の安さだけで決めず、電話窓口や店頭支援を含めて選ぶ方法もあります。家族に操作を任せきりにするのではなく、金融機関の正式な代理・相続制度を確認しましょう。
70代の新NISAに関するよくある質問
- 75歳・80歳からでも新NISAを始められますか?
-
はい。新NISAに上限年齢はありません。口座開設年の1月1日時点で18歳以上の国内居住者など、制度の条件を満たせば利用できます。ただし、近く使う資金しかない場合は、年齢に関係なく投資を急ぐ必要はありません。
- 年金生活でもNISA口座を開設できますか?
-
年金受給の有無や給与収入の有無だけで利用可否は決まりません。制度上の条件を満たせば開設できます。大切なのは、年金と支出の差額を把握し、生活費に必要な資金を投資しないことです。
- 70代なら、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらを優先すべきですか?
-
枠の名称ではなく、買う商品と目的で決めます。つみたて投資枠の低コストな分散投信だけで目的を満たせるなら、成長投資枠を無理に使う必要はありません。両枠は併用できます。
- 全世界株式の投資信託1本でよいですか?
-
広く分散しやすい商品ですが、株式100%なら大きく値下がりすることがあります。生活資金を別に確保し、その変動に耐えられる金額であれば候補になります。年齢だけで適否は決まりません。
- 年間360万円や総枠1,800万円を使い切るべきですか?
-
使い切る必要はありません。どちらも上限です。70代では、生活費、医療・介護費、大型支出、安心のための現金を確保した後の余裕資金だけを使います。
- 特定口座で持っている投資信託をNISAへ移せますか?
-
そのまま移すことはできません。NISAで保有したい場合は、課税口座の商品を売却し、NISA口座で新たに買い付ける必要があります。売却時の税金、価格変動、年間投資枠を確認してください。
- NISAの商品はいつでも売却できますか?
-
原則としていつでも売却できます。売却した商品の取得額分の非課税保有限度額は翌年以降に再利用できますが、売却年の年間投資枠が即時に戻るわけではありません。
- 亡くなったら、家族のNISAへそのまま移せますか?
-
移せません。NISAは死亡時に終了し、相続人の特定口座または一般口座へ移管します。相続人は金融機関へ死亡届出の手続を行います。
- 銀行と証券会社のどちらで始めるのがよいですか?
-
商品数やコストを重視するならネット証券、対面支援を重視するなら銀行・対面証券が候補です。ただし、同じ種類でもサービスは異なります。取扱商品、費用、操作支援、定期売却、相続手続、安全設定を比較してください。
まとめ|70代の新NISAは、銘柄より「資金の仕分け」と「出口」が先
70代でも新NISAを利用でき、年齢だけを理由に「遅い」と決める必要はありません。ただし、非課税制度だからといって、老後資金をすべて投資してよいわけでもありません。
最初に行うのは、生活費や医療・介護費などを預貯金で確保し、残りを使う時期で分けることです。そのうえで、30%程度の下落を仮置きしても売らずに済む金額を考え、低コストで分散された、理解できる商品から始めます。
購入前に取り崩し方法を決め、金融機関の連絡先や口座の存在を家族へ伝え、安全設定も済ませておけば、将来の管理負担を減らせます。年間枠や総枠ではなく、自分の暮らしを守れる金額が、70代にとっての適正な投資額です。
- 生活費・医療介護費を除いたうえで、なぜこの投資額なのか
- 提案商品が大きく下がった場合、家計へどのような影響があるか
- 購入・保有・売却・相談にかかる費用の総額
- 取り崩しの時期・順番・下落時の対応
- 相談者・販売者の資格、助言範囲、報酬や紹介料の仕組み
本記事は制度・資産運用に関する一般的な情報であり、特定の商品や投資方法を推奨するものではありません。投資には元本割れの可能性があります。税務・相続・代理手続は個別事情で扱いが変わるため、金融機関、税理士、弁護士などの専門家へ確認してください。
出典・参考資料
情報基準日:2026年8月5日
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月、令和7年9月改訂)
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/slide_202406.pdf - 国税庁「No.1535 NISA制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1535.htm - 金融庁「NISA口座の利用状況に関する調査結果(令和7年12月末時点)」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20260703.html - 厚生労働省「令和7年簡易生命表 主な年齢の平均余命」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life25/dl/life25-02.pdf - 金融庁「非課税口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に関する基準の一部改正」
https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20260401-3/20260401.html - 日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」
https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/tax/nisahaitoukin.html - 国税庁「NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等について」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nisa/tetsuzuki.htm - 日本証券業協会「NISAのよくある質問」
https://www.jsda.or.jp/nisa/faq/ - 国税庁「No.1464 譲渡した株式等の取得費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1464.htm - 金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」
https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/chuui_phishing.html - 日本証券業協会「不正アクセス等にご注意ください!」
https://www.jsda.or.jp/about/hatten/inv_alerts/alearts04/index.html

