「老後2,000万円問題」では、多くの人が老後に備えた資産形成を考えるきっかけになった。
しかし、資産形成が必要とわかっていても、具体的に何をすれば良いかわからない、という人も多いのではないだろうか。
この記事では、老後に備えた資産形成のポイントと、年代別のおすすめ戦略をわかりやすく解説する。
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老後に備えた資産形成が必要な理由
そもそも、なぜ老後に備えた資産形成が必要なのだろうか。
生活資金の不足に備える
2019年に世間を賑わせた「老後2,000万円問題」は記憶に新しい。
2,000万円という金額の妥当性には賛否両論あるが、超少子高齢化の中、年金財政が苦しくなっていくのは確かだ。
若い人ほど将来の支給開始年齢や、支給金額が厳しくなる可能性は高いだろう。
豊かな老後を送るには、年金に加えて、現役時からの蓄えが必要になることは間違いない。
インフレリスクに備える
昨今の世界的な物価上昇でインフレリスクが注目されている。
物価上昇は、お金の価値が下がることと同義だ。
つまり、ほとんど利息のつかない預貯金にお金を眠らせておくだけでは、増えないどころか、実質的に目減りしてしまうことを意味する。
インフレに対しては、株式や金・不動産・外貨などインフレに強いとされる資産を持つことが備えになる。
長生きリスクに備える
自分の寿命がわからない、というのもまたリスクだ。
人生100年時代と言われ、「老後」の時間が40年以上になることも珍しくない。
長生きすれば、それだけ生活費も医療費も必要になる。
何年続くかわからない老後を豊かに送るには、現役のうちにある程度余裕を持った資産形成が必要なのだ。
老後に備えた資産形成のポイント
老後に備えた資産形成では、次の3つのポイントが重要だ。
- 長期投資で複利効果を活かす
- 分散投資でリスクを抑える
- 非課税制度で運用効率を高める
長期投資で複利効果を活かす
老後に備えた資産形成は、コツコツ長期投資が基本だ。
短期間で大きく儲けようとするとハイリスクな投機商品に手を出してしまい、失敗して資産を大きく減らす可能性が高い。
必ずやってくる老後に備えた資産形成は、ギャンブルのような投機商品で行うべきではない。
老後まで時間のある人は、長期投資による複利効果を最大限活かそう。複利効果とは受け取った利子や配当を再投資することで、利子が利子を生み、資産が加速度的に増えることである。
できるだけ若いうちから、少ない金額からでも投資を始めることで、将来大きな差を生むことになる。
分散投資でリスクを抑える
資産運用でリスクを抑えるには分散投資が有効だ。分散投資には主に「資産の分散」「地域の分散」「時間の分散」の3つがある。
「資産の分散」は、株式、債券、不動産など値動きの異なる資産に分けて運用することだ。特定の資産の暴落による大きな損失を防ぐ効果がある。
「地域の分散」は、日本と海外、先進国と新興国など、異なる国や地域に分けて運用することだ。国や地域の景気動向や地政学リスクの影響を減らす効果がある。
「時間の分散」は、1度に全額投資するのではなく、複数回に分けて投資することだ。高値で買ってしまい、下落で大きな損失を出すリスクを軽減できる。
資産や地域を分散するには、多くの資金と知識が必要になる。しかし、投資信託なら複数の資産や地域に投資する銘柄もあるため、簡単に分散投資が可能だ。
非課税制度で運用効率を高める
次の非課税制度も積極的に活用したい。
- NISA/つみたてNISA
- iDeCo
通常、株式や債券・投信の売却益や配当などには20.315%の税金がかかる。
NISAは、株式・債券・投資信託などを年間120万円まで最長5年間非課税で運用できる。つみたてNISAは、積立投資信託を年間40万円まで最長20年間非課税で運用可能だ。
iDecoとは、個人型確定拠出年金のことで、国が推奨する低コストの投資信託を非課税で運用できる制度だ。掛金が所得控除できて、節税になるのもうれしい。掛金の上限は職業によって異なり、原則60歳まで引き出せない点には注意しよう。
これらの制度を積極的に活用し、少しでも運用効率を高めることが大切だ。
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【年代別】資産形成の戦略
老後に備えた資産形成は長期投資が基本だ。ただし、老後までに残された時間によって、とるべき戦略は変わってくる。
年代別の資産形成の戦略を紹介する。
20代:時間を味方に将来への種まき
20代におすすめの資産形成の戦略は次のとおり。
- 少しずつでも資産運用の習慣を身につける
- インデックスファンドでコツコツ積立投資
20代は、収入は多くないが、老後までの時間がたっぷりある。
若いうちに、収入の中から少しずつでも資産運用に回す週間を身につけることが重要だ。運用に回したお金は、あなたが何もしなくても老後までの長い期間働いてくれる。
例えば、頑張って毎月2万円ずつ貯め、25歳で100万円を投資したとしよう。65歳までの40年間で100万円は次の金額になる。
- 利回り3%の場合:約330万円 (3.3倍)
- 利回り5%の場合:約700万円 (7倍)
- 利回り7%の場合:約1,500万円(15倍)
アメリカを代表する株価指数S&P500の過去30年の利回りは年率約9%なので、非現実的な数字ではない。
おすすめの運用方法は、今後も成長が見込まれる米国や全世界のインデックスファンドに少額からコツコツ積立投資していくことだ。インデックスファンドとは指数に連動する投資信託で、低コストで市場の平均的なリターンを得られる商品である。
老後までの長い時間を味方につけて、少しずつでも将来に向けた種まきを始めよう。
30代・40代:リスクをとって果敢に攻める
30代・40代におすすめの資産形成の戦略は次のとおり。
- インデックスファンドで長期積立投資を継続
- 資金に余裕があれば不動産投資なども検討
- 暴落相場で不安にかられて投げ売りするのはNG
30代・40代は働き盛りで収入も増える時期だ。一方で、結婚や子育てなどライフイベントも多く、運用に回せるお金は人それぞれだろう。
老後までの時間はまだ十分にあるので、相応のリスクをとって積極的に資産を増やしたい。
20代と同じく積立投資を中心に、資金に余裕ができれば、安定した賃貸収入が見込める不動産投資などを検討するのも良いだろう。
一方で、長期投資を続けていると必ず暴落相場を経験することになる。もっともいけないのが、暴落時に不安にかられ、コツコツ積み立てた資産を投げ売りしてしまうことだ。世界経済は過去にも、ITバブル崩壊やリーマンショックなどから立ち直って成長を続けてきた。長期投資中の暴落相場は、「安く買えてラッキー」くらいの心の余裕を持って臨むことが大切だ。
50代・60代:ゴールを見据えて徐々に守りにシフト
50代・60代におすすめの資産形成の戦略は次のとおり。
- 増やす運用から、減らさない運用へ徐々にシフト
- 収入減に備えて安定的なインカムゲインを得られる投資先もおすすめ
50代も半ばになると退職が近づいてきて、老後が現実味を帯びてくる頃だろう。
資産を増やすための「攻め」の運用から、大きく減らさないための「守り」の運用に、徐々にシフトしていきたい。30代・40代なら暴落相場で一時的に資産が減っても挽回する時間があったが、老後が近づくと失敗が許されなくなってくるためだ。
株価指数に連動したインデックスファンドなど株式中心のポートフォリオから、債券や不動産などの比率を高めた安定重視のポートフォリオに組み替えていくのがおすすめだ。
また、老後の収入減に備えて、高配当株やETFなどで定期的な配当収入を得られるポートフォリオを作るのも良いだろう。
老後が視野に入ってくる年代では、資産を大きく減らさないことを第一に、リスクを抑えた資産運用にシフトすることが大切だ。
まとめ
老後に備えた資産形成のポイントは次の3点である。
- 長期投資で複利効果を活かす
- 分散投資でリスクを抑える
- 非課税制度で運用効率を高める
若いうちは時間を味方につけて攻めの運用で積極的に資産を増やし、老後が近づいてきたら守りの運用にシフトして資産を減らさないようにすることが大切だ。
「老後に備えた資産形成をしたいけど、自分だけで考えるのは不安」という方は、専門家に相談すると良いだろう。
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