公務員こそ資産運用が必要な理由|今すぐ始めるべき資産形成の基本

公務員は副業に制限があるため、「株式投資やNISAを始めても問題ないのか」と不安に感じる方も多いだろう。

結論からいえば、単に資産運用の一環として株式を所有したり売買したりすることは、国家公務員の兼業規制に抵触しないとされている。

ただし、所属先の内規、職務で知り得た未公開情報の取扱い、株式の保有状況による報告義務などには注意が必要だ。地方公務員の場合も、各自治体の規定を確認してから始めたい。

本稿では、公務員が資産運用を始める前に知っておきたいルール、検討しやすい運用方法、投資期間別の考え方、注意点を解説する。

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目次

副業禁止の公務員も資産運用は可能|ただし所属先の規定確認が前提

公務員の兼業は、国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条などにより制限されている。

一方で、内閣人事局・人事院のQ&Aでは、単に資産運用の一環として株式を所有したり売買したりすることは、兼業規制に抵触しないとされている。

つまり、NISA口座で投資信託を積み立てる、個別株やETFを購入する、債券を保有するなどの一般的な資産運用は、原則として「副業」とは別に考えられる。

ただし、資産運用であっても、すべてが無条件に自由というわけではない。所属組織の内規や職務内容によっては、取引制限や報告が必要になる場合がある。

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資産運用・活動扱いの目安確認したい点
株式・投資信託・ETF一般的な資産運用として行う場合は、兼業規制に抵触しないとされる所属先の内規
インサイダー取引の防止
株式保有状況の報告が必要になる場合
NISA・iDeCo税制優遇制度を使った資産形成NISAは元本保証ではない
iDeCoは原則60歳まで引き出せない
不動産賃貸小規模なら申請不要とされる場合があるが、大規模になると申請・承認が必要独立家屋5棟以上、アパート10室以上、土地契約10件以上、賃貸料収入年額1,000万円以上などは注意
太陽光売電自宅屋根の小規模な売電なら申請不要とされる場合がある定格出力50kW以上など大規模な場合は申請・承認が必要になる場合がある
継続的な事業活動兼業に該当する可能性がある報酬、継続性、事業性、勤務時間との重複を確認する

公務員が資産運用を始める際は、まず「単なる資産運用なのか」「事業性のある活動なのか」を分けて考えよう。

また、本省審議官級以上の国家公務員など、一定の職員については株取引等の報告が必要になる場合がある。保有株式の割合や、その会社と所属府省との関係によっては、人事担当部局への報告が必要となるケースもある。

証券アナリスト 平行秀

「公務員は投資ができない」と誤解されることがありますが、一般的な資産運用と事業性のある副業は分けて考える必要があります。
まずは所属先の規定を確認し、職務上知り得た情報を利用した取引を避けることが大切です。

公務員が資産運用を検討する理由と注意点

公務員が資産運用を検討する理由と注意点を解説するイメージ

公務員は給与が比較的安定しやすく、毎月一定額を積み立てる長期投資と相性がよい。

一方で、職務上の責任や所属先の規定を踏まえた慎重な運用が求められる。メリットだけでなく、注意点も理解したうえで始めよう。

公務員が資産運用を検討しやすい理由

公務員が資産運用を検討しやすい理由は、毎月の収入見通しが立てやすく、積立投資の計画を作りやすい点にある。

給与から生活費、教育費、住宅費、緊急資金を差し引いたうえで、無理のない積立額を設定しやすい。毎月一定額を投資する仕組みを作れば、相場のタイミングを細かく判断しなくても投資を続けやすい。

また、老後資金や教育資金など、長期的な目的に向けて計画を立てやすい点も強みだ。NISAやiDeCoなどの制度を使えば、税制面のメリットを受けながら資産形成を進められる。

ただし、投資に元本保証はない。安定収入があっても、リスクを取りすぎると家計に大きな影響が出る可能性があるため、投資額は余剰資金の範囲に抑えよう。

証券アナリスト 平行秀

公務員の方は、毎月の収入見通しを立てやすい分、積立額を決めやすい傾向があります。
ただし、投資額を増やす前に生活費と緊急資金を確保し、値下がり時にも慌てて売却しない設計を作ることが重要です。

公務員の資産運用で注意すべき3つのポイント

公務員が資産運用を行う際は、以下の3点を必ず確認したい。

  • 所属先の規定や報告義務を確認する
    • 府省や自治体によっては、株取引等について内規や報告ルールを設けている場合がある
  • インサイダー取引を避ける
    • 職務上知り得た未公開の重要情報を利用して、関係企業の株式等を売買しない
  • 過度なリスクを取らない
    • 短期売買やレバレッジ商品など、勤務中の値動き確認が気になりやすい運用は慎重に検討する

税務面にも注意が必要だ。NISA口座で得た利益は非課税だが、課税口座で利益が出た場合は、口座区分や所得額によって確定申告が必要になることがある。

特定口座(源泉徴収あり)を選べば、原則として証券会社等が税金を計算・徴収するため、確定申告が不要となる場合がある。口座開設時や取引前に、自分の口座区分を確認しておこう。

証券アナリスト 平行秀

公務員の資産運用では、リターンだけでなく「職務との関係」「所属先の規定」「税務手続」まで確認しておくことが大切です。
投資商品を選ぶ前に、守るべきルールを整理しておきましょう。

公務員が検討しやすい4つの資産運用方法

公務員が検討しやすい資産運用方法を解説するイメージ

ここでは、公務員が検討しやすい資産運用方法を4つに分けて解説する。

注意したいのは、NISAやiDeCoは「投資商品」ではなく「制度」である点だ。制度の中で、投資信託、株式、債券などをどう組み合わせるかを考えよう。

税制優遇を活かしたいならNISA

NISAは、一定の投資で得た売却益や配当・分配金が非課税になる制度だ。

2024年からのNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる。年間投資枠は、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、合計360万円である。非課税保有限度額は1,800万円で、成長投資枠はそのうち1,200万円が上限となる。

NISAを利用するメリット
  • 投資で得た利益を非課税にできる
  • 非課税保有期間が無期限で、長期投資に使いやすい
  • つみたて投資枠と成長投資枠を目的に応じて使い分けられる

一方で、NISAにも注意点がある。

  1. NISAで購入した商品も元本保証ではない
  2. NISA口座で損失が出ても、課税口座の利益との損益通算や繰越控除はできない
  3. つみたて投資枠と成長投資枠は、同じ年に別々の金融機関で利用できない

忙しい公務員が長期で資産形成を行うなら、まずはNISAのつみたて投資枠で、低コストの投資信託を積み立てる方法が検討しやすい。

老後資金を準備するならiDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出し、老後資金を準備する私的年金制度だ。

掛金は全額所得控除の対象となり、運用益も非課税で再投資される。老後資金を長期で準備したい公務員にとって、検討しやすい制度である。

公務員を含む共済等加入者のiDeCo掛金上限は、2024年12月から月額2万円に引き上げられている。ただし、iDeCoの掛金と企業年金等の掛金相当額を合算して月額5.5万円を超えることはできないため、加入状況によって上限が2万円にならない場合もある。

iDeCoのメリット
  • 掛金が全額所得控除の対象になる
  • 運用益が非課税で再投資される
  • 老後資金を計画的に準備しやすい

一方で、iDeCoは原則として60歳まで資金を引き出せない。住宅購入資金や教育資金など、途中で使う予定があるお金はNISAや預金など別の方法で準備した方がよい。

値動きを抑えたいなら債券投資

債券投資は、国や企業などにお金を貸し、その利息を受け取る投資方法である。代表例には、国債、地方債、社債、債券型投資信託、債券ETFなどがある。

債券は株式に比べて値動きが小さい傾向があるため、リスクを抑えたい資金の一部に組み入れやすい。

債券投資のメリット
  • 定期的な利息収入を期待できる
  • 満期まで保有した場合、額面で償還される設計のものが多い
  • 株式と組み合わせることで、資産全体の値動きを調整しやすい

ただし、債券にもリスクはある。発行体が破綻すれば元本や利息が支払われない可能性があり、途中で売却する場合は金利変動によって価格が下がることもある。

短期で使う予定の資金は預金や個人向け国債など安全性・流動性を重視し、長期資金の一部に債券を組み入れるなど、目的に合わせて使い分けたい。

成長性を狙うなら株式投資

株式投資は、企業の成長に伴う値上がり益や配当を期待する投資方法だ。

株式投資のメリットは、次の3点である。

株式投資のメリット
  • 企業の成長に応じた値上がり益を期待できる
  • 配当を受け取れる銘柄もある
  • 自分が理解しやすい企業や業種を選べる

一方で、株式は値動きが大きい。業績悪化や市場環境の変化により株価が下がることがあり、配当も保証されない。

個別株に投資する場合は、勤務先や職務で関係する企業の株式を売買する際、インサイダー取引や利益相反のリスクに特に注意が必要だ。

銘柄選びや情報収集に時間をかけにくい場合は、個別株ではなく、幅広い銘柄に分散された投資信託やETFを活用する方法もある。

証券アナリスト 平行秀

公務員の方が株式投資を行う場合は、リターンだけでなく、職務との関係性を確認することが大切です。
判断に迷う企業や業界がある場合は、個別株ではなく分散された投資信託を選ぶ方法もあります。

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投資目的・期間別に見る公務員の運用法

投資目的と期間別に公務員の運用法を解説するイメージ

資産運用は、目的と使う時期によって選ぶ商品が変わる。

「公務員だからこの商品が正解」と決めつけるのではなく、短期・中期・長期の資金を分けて考えることが重要だ。

① 短期・中期・長期の運用期間別

短期運用(1〜3年)

1〜3年以内に使う予定があるお金は、安全性と流動性を優先したい。

結婚、出産、引っ越し、住宅購入の頭金など、使う時期が近い資金を株式や株式投資信託に大きく回すと、必要なタイミングで値下がりしている可能性がある。

短期資金は、普通預金、定期預金、個人向け国債など、元本の安全性と換金しやすさを重視して置き場所を考えよう。

証券アナリスト 平行秀

短期資金は「増やす」よりも「使う時期に確保できる」ことを優先しましょう。
近い将来に必要なお金まで投資に回すと、相場下落時に売却せざるを得なくなる可能性があります。

中期運用(3〜10年)

3〜10年程度の中期資金は、使う時期とリスク許容度のバランスを考える必要がある。

教育資金や住宅購入資金など、使う時期がある程度決まっているお金は、全額を値動きの大きい商品に回すのは避けたい。

一部を預金や債券で確保し、余裕資金の範囲でNISAのつみたて投資枠を活用した投資信託積立を行うなど、目的に応じて配分を決めよう。

運用開始時はリスク資産を多めにしても、使う時期が近づいたら安全性の高い資産へ徐々に移すことも検討したい。

長期運用(10年以上)

10年以上先に使う老後資金などは、NISAやiDeCoを活用した長期投資を検討しやすい。

長期で運用できる資金は、一時的な相場下落を受けても回復を待つ時間を確保しやすい。株式を含む投資信託を積み立て、分散しながら資産形成を進める方法が考えられる。

ただし、長期投資でも損失が出る可能性はある。家計に無理のない積立額を決め、定期的に資産配分を見直そう。

② 投資目的別に見る運用法

老後の資産形成をする場合

老後資金を準備するなら、iDeCoとNISAの使い分けを考えたい。

iDeCoは掛金の所得控除など税制メリットがある一方、原則60歳まで引き出せない。老後資金専用として使いやすい制度だ。

NISAはiDeCoより引き出しの自由度が高く、老後資金だけでなく教育資金や住宅資金にも使いやすい。老後資金を最優先するならiDeCo、使い道の柔軟性を重視するならNISAを中心に考えるとよい。

証券アナリスト 平行秀

老後資金づくりでは、税制メリットだけでなく「いつ引き出せるか」も重要です。
iDeCoは老後資金に向いていますが、途中で使う可能性があるお金はNISAや預金で分けておくと安心です。

リスクを抑えつつ資産形成を目指す場合

リスクを抑えたい場合は、預金、個人向け国債、債券、バランス型投資信託などを組み合わせる方法がある。

NISAのつみたて投資枠を使って投資信託を積み立てる場合も、株式比率が高い商品ほど値動きは大きくなりやすい。自分がどの程度の下落に耐えられるかを考えて選ぼう。

「絶対に損をしたくないお金」は投資に回さず、預金や安全性を重視した商品で管理することが大切だ。

大きなリターンを狙う場合

大きなリターンを狙う場合は、株式や株式比率の高い投資信託、ETFなどが選択肢になる。

新NISAの成長投資枠では、一定の上場株式や投資信託に投資できる。ただし、リターンが期待できる商品ほど値動きも大きくなりやすい。

公務員の場合、個別株投資では職務上の関係や未公開情報の取扱いにも注意したい。高いリターンを狙う場合でも、余剰資金の範囲で分散し、短期売買に偏りすぎないようにしよう。

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公務員が知っておくべき投資のコツ

公務員が知っておくべき投資のコツを解説するイメージ

公務員が資産運用を続けるには、商品選びより前に、目的・家計・リスク許容度を整理することが重要だ。

ここでは、投資を始める前に確認したいコツを解説する。

証券アナリスト 平行秀

公務員の方は、収入や退職時期の見通しを立てやすい分、資産形成の計画を作りやすい傾向があります。
一方で、職務上のルールを守り、リスクを取りすぎない運用を継続することが大切です。

投資目的と目標を明確にする

投資を始める前に、「何のために」「いつまでに」「いくら必要か」を決めよう。

老後資金、教育資金、住宅購入資金、旅行資金など、目的によって投資期間やリスクの取り方は変わる。

目的が曖昧なまま投資を始めると、相場が下がったときに続けるべきか売るべきか判断しにくくなる。まずは、短期・中期・長期の目標に分けて整理しよう。

資産状況を正確に把握する

投資額を決める前に、現在の預貯金、毎月の収支、住宅ローンや奨学金などの負債、保険、将来の支出予定を確認しよう。

国家公務員の退職手当は退職理由や勤続年数等で変わる。令和6年度の国家公務員常勤職員における定年退職の退職手当平均支給額は21,601千円、行政職俸給表(一)適用者は21,488千円である。

ただし、これは国家公務員退職手当法の適用を受けた退職者の平均であり、すべての公務員に当てはまる金額ではない。地方公務員は自治体により制度や支給状況が異なるため、自分の退職手当見込みを確認しておきたい。

退職金や年金だけに頼るのではなく、家計に無理のない範囲でNISAやiDeCoを活用し、長期的に備えることが大切だ。

長期・分散・積立を基本にする

公務員の資産運用では、短期売買で大きな利益を狙うよりも、長期・分散・積立を基本にした方が続けやすい。

毎月一定額を投資する積立投資は、価格が高いときには少なく、価格が低いときには多く買うことになるため、購入単価の平準化が期待できる。

ただし、積立投資をしても損失を防げるわけではない。投資対象が下落すれば、積み立てていても評価額は下がる。

投資対象を複数の国、資産、通貨に分散し、家計に無理のない金額で続けることを意識しよう。

ポートフォリオを定期的に見直す

ポートフォリオとは、保有する資産の組み合わせを指す。

投資を始めた当初は株式比率が高くても、住宅購入や退職が近づくにつれて安全性を重視した配分に変更した方がよい場合がある。

昇進、転勤、結婚、出産、住宅購入、退職などのライフイベントがあると、必要な資金やリスク許容度は変わる。少なくとも年1回は、保有商品、積立額、資産配分を確認しよう。

証券アナリスト 平行秀

ポートフォリオは一度作って終わりではありません。
ライフイベントや収支の変化に合わせて見直すことで、リスクを取りすぎていないか確認できます。

判断に迷う場合は専門家に相談する

少額で投資信託を積み立てるだけなら、自分で調べて始められる場合もある。

一方で、退職金、相続資産、不動産売却代金などまとまった資金を運用する場合や、NISAとiDeCoの使い分け、税務、相続、保険まで含めて考えたい場合は、専門家に相談する選択肢がある。

相談先を選ぶ際は、手数料体系、提案できる商品の範囲、担当者の専門分野、利益相反の説明があるかを確認しよう。

公務員の資産運用を始める手順|専門家に相談する前に整理すること

公務員が資産運用を始めるときは、いきなり商品を選ぶのではなく、以下の順番で準備を進めよう。

資産運用を始める手順

1. 運用目的を設定する

老後資金、住宅購入、教育資金、退職後の生活費など、何のために資産運用を行うのかを明確にする。

目的が決まると、運用期間や必要な金額を逆算しやすくなる。

2. 余剰資金を確認する

生活費、近い将来に使う予定のお金、緊急資金を除いた余剰資金を確認する。

貯金が少ない場合は、投資額を増やす前に生活費数か月分の緊急資金を確保したい。

3. リスク許容度を確認する

投資額が一時的にどの程度下がっても生活に影響がないか、精神的に続けられるかを確認する。

値下がりが不安な場合は、投資額を少なくする、債券や預金の比率を高める、投資信託で分散するなどの調整を行おう。

4. 制度と商品を選ぶ

NISA、iDeCo、課税口座などの制度を確認し、その中で投資信託、株式、債券などの商品を選ぶ。

初心者は、低コストで分散された投資信託から始めると、個別株を自分で選ぶより管理しやすい場合がある。

5. 定期的に見直す

投資を始めた後も、年1回程度は積立額、資産配分、保有商品のコスト、家計の変化を確認する。

特に退職が近づいたら、運用資産を増やすことだけでなく、取り崩しや税金、相続も含めて考える必要がある。

専門家に相談する場合の確認ポイント

資産運用の相談先には、銀行、証券会社、IFA、ファイナンシャルプランナー(FP)などがある。

相談する際は、以下の点を確認しよう。

  • 相談料、販売手数料、信託報酬などの費用
  • 提案できる商品の範囲
  • NISA・iDeCo・退職金運用への対応経験
  • 公務員の兼業規制や所属先ルールへの理解
  • 提案内容のメリットだけでなく、リスクや不向きな点も説明してくれるか

専門家に相談する場合でも、最終的な投資判断は自分で行う必要がある。仕組みを理解できない商品や、手数料がわかりにくい商品は避けよう。

公務員の資産運用は制度確認と無理のない長期投資から始めよう

公務員は副業に制限があるが、単に資産運用の一環として株式や投資信託を保有・売買することは、国家公務員の兼業規制に抵触しないとされている。

ただし、所属先の内規、株式保有状況の報告、インサイダー取引、職務との利益相反には注意が必要だ。地方公務員は、自治体の規定も確認しておきたい。

公務員が資産運用を始めるなら、まずは生活費と緊急資金を確保し、NISAやiDeCoなどの制度を理解したうえで、長期・分散・積立を基本に検討しよう。

判断に迷う場合や、退職金などまとまった資金を運用する場合は、専門家に相談するのも一つの方法だ。自分の目的、リスク許容度、所属先のルールに合った資産運用を進めていこう。

証券アナリスト 平行秀

公務員の資産運用では、投資商品の選び方だけでなく、所属先の規定確認とリスク管理が重要です。
無理のない積立額から始め、定期的に見直しながら長く続けられる運用を目指しましょう。

公務員の資産運用に関するQ&A

公務員が資産運用で守るべきルールは何ですか?

公務員が資産運用を行う際は、国家公務員法、地方公務員法、所属する府省・自治体の規定に反しないように注意する必要がある。

単に株式や投資信託を保有・売買することは、国家公務員の兼業規制に抵触しないとされている。ただし、府省や自治体によっては、インサイダー取引防止などの観点から内規を設けている場合がある。

また、株式の所有割合や、その会社と所属先との関係によっては、人事担当部局への報告が必要になる場合もある。投資を始める前に、所属先のルールを確認しておこう。

公務員が株式投資を行うことは可能ですか?

可能だ。単に資産運用の一環として株式を所有したり売買したりすることは、国家公務員の兼業規制に抵触しないとされている。

ただし、職務上知り得た未公開の重要情報を利用して株式を売買することは避けなければならない。職務と関係が深い企業や、所属先が行政上の権限・指導の対象としている企業の株式を扱う場合は特に注意が必要だ。

所属先によっては、株取引等を制限する内規や報告ルールがある場合もある。不安がある場合は、投資前に人事担当部局や所属先の規定を確認しよう。

公務員が資産運用で気をつけるべき点は何ですか?

公務員が資産運用で気をつけるべき点は、所属先の規定確認、インサイダー取引の防止、過度なリスクを避けることの3つである。

公務員は安定した収入を得やすい一方で、短期間で大きく収入を増やせるとは限らない。大きな損失を出すと家計への影響が長引く可能性があるため、余剰資金で少額から始めることが大切だ。

特に初めて資産運用を行う場合は、NISAのつみたて投資枠などを活用し、分散された投資信託を無理のない金額で積み立てる方法から検討するとよい。

公務員が資産運用で得た利益に対して確定申告を行うべきなのはどのような時ですか?

公務員も給与所得者であるため、給与・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える場合などは、確定申告が必要になることがある。

ただし、特定口座(源泉徴収あり)で取引している場合、口座内の上場株式等の譲渡所得については、申告不要を選択できる場合がある。

NISA口座で得た一定の配当・分配金や譲渡益は非課税であるため、通常は確定申告の対象にならない。一方、NISA口座で損失が出ても、課税口座の利益との損益通算や繰越控除はできない。

口座区分、所得の種類、損失の有無によって手続きが異なるため、取引している金融機関の口座区分を確認し、必要に応じて税務署や税理士に確認しよう。

公務員の退職後の資金計画に資産運用はどのように役立ちますか?

公務員の退職手当は、退職理由、勤続年数、職種などにより金額が変わる。国家公務員退職手当法の適用を受ける常勤職員の退職手当平均支給額(令和6年度)は下記のとおりである。

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退職理由常勤職員:平均支給額(千円)うち行政職俸給表(一)適用者:平均支給額(千円)
10,94313,896
定年21,60121,488
応募認定24,70322,770
自己都合3,4543,315
その他2,6302,100

※ 平均支給額は千円単位。地方公務員の退職手当は自治体により異なります。

退職手当は老後資金の大きな柱になり得るが、物価上昇、医療・介護費、住宅修繕費、家族への支援などを考えると、預金だけで十分とは限らない。

NISAやiDeCoを活用して現役時代から資産形成を進めておくと、退職後の生活費を補う選択肢を増やしやすい。

公務員が資産運用で大きな損失を出した場合、どのように対処するべきですか?

まず、損失が出た理由を確認し、当初の投資目的や運用期間に合っているかを見直そう。

長期資金として分散投資している商品であれば、短期的な下落だけで慌てて売却する必要がない場合もある。一方で、生活資金や近いうちに使う予定のお金まで投資していた場合は、資金計画を見直す必要がある。

課税口座で損失が出た場合は、確定申告により損益通算や繰越控除の対象になる場合がある。NISA口座の損失は損益通算や繰越控除ができないため、口座区分も確認しよう。

判断に迷う場合は、売却を急ぐ前に、金融機関や税理士、資産運用の専門家などに相談するのも一つの方法だ。

公務員は資産運用の相談先をどのような視点で選ぶべきですか?

資産運用の相談先には、銀行、証券会社、IFA、ファイナンシャルプランナー(FP)などがある。

相談先を選ぶ際は、中立性、提案できる商品の幅、手数料体系、担当者の専門分野、アフターフォローの有無を確認しよう。

また、公務員の場合は、所属先の規定やインサイダー取引への注意点も踏まえて相談できる相手かどうかが重要だ。

特定の商品を強く勧められた場合は、その商品を選ぶ理由、リスク、手数料、解約条件を確認し、納得できない場合は契約を急がないようにしよう。

出典

内閣人事局・人事院「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」
e-Gov法令検索「国家公務員法」
e-Gov法令検索「地方公務員法」
金融庁「NISAを知る」
国税庁「No.1535 NISA制度」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.1476 特定口座制度」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」(更新日:2025年4月1日)
国民年金基金連合会 iDeCo公式サイト「制度改正について」
政府広報オンライン「iDeCoがより活用しやすく! 2024年12月法改正のポイントをわかりやすく解説」(公開日:2024年12月6日)
内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況(令和6年度)」

この記事を書いた人

資産運用メディア編集部は、初心者から上級者までが「将来に備える確かな運用判断」を得られるよう、公的統計や最新市場データに加え、自社アンケートを基に中立的な情報を発信しています。記事は資産運用アドバイザーと投資家を結ぶプラットフォーム「資産運用ナビ」を運営するアドバイザーナビ株式会社が監修。おすすめの資産運用やおすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。