- 老後資金の相談をどこにすればいいのか分からない
- 老後資金をどれくらい用意すべきかが分からない
- 老後に向けて資金計画を立てたい
金融庁が2019年に発表した報告書で老後資金が2,000万円不足すると指摘したことをきっかけに、老後資金がいくら必要になるのかが注目のテーマとなり、さまざまなメディアで議論の対象となった。
しかし、具体的に自分がどのように老後資金に向き合えばよいか定まっていない方も多いのではないだろうか。
人生100年時代といわれる現在、「長生きのリスクに備えるためには資産運用が重要」といわれることが多くなった。老後資金について漠然とした不安を抱えている方も多い。
老後の資産運用について、より詳しく知りたい人はこの記事を読んでほしい。
本記事では、具体的な相談先や用意するべき資金の目安、老後に向けた資金計画について解説する。
老後に必要な資金はどれくらい?
老後に必要な貯蓄額は、それぞれの老後の収入と支出、寿命によって左右される。
そのため、具体的にあなたが老後にいくら貯蓄額が必要になるのかは自分で試算する必要がある。
しかし、平均的な老後の生活費や最低限、貯蓄するべき額を知ることで具体的にいくら貯蓄するべきなのか目標を定めやすくなるはずだ。
- 平均的な老後の生活費
- 単身世帯・夫婦世帯の老後資金の目安
- 運用で資産寿命を伸ばすことが重要
以上3点を解説する。老後に必要な貯蓄額の目安を考える際の参考にしてほしい。
平均的な老後の生活費
令和5年度版の家計調査報告収支編によると、平均的な老後の生活費は以下の通りだ。
月々 | 単身世帯 | 夫婦世帯 |
---|---|---|
消費支出 | 145,430円 | 250,959円 |
非消費支出 | 12,243円 | 31,538円 |
合計 | 157,673円 | 282,497円 |
消費支出は食費や住居費、光熱費、被服費、娯楽費などの合計。
非消費支出は直接税と社会保険料の合計だ。
単身世帯は月に157,673円、夫婦世帯は282,497円の生活費が平均でかかっている。
単身世帯は1年で約189万円、夫婦世帯なら338万円程度はかかる計算になる。
寿命にもよるが老後の生活を30年と仮定すると単身世帯で約5,670万円、夫婦世帯で約1億140万円生活費がかかることになる。
本当にこの生活費を年金と退職金だけで賄いきれるのかは、現役世代のうちに真剣に考えた方が良いだろう。
単身世帯・夫婦世帯の老後資金の目安
貯蓄だけで老後の生活費の全てを補う必要はない。
老後と言っても年金や働くことで得られる収入もある。
収入(可処分所得)から支出を引いた不足分を最低限の貯蓄額と考えてみよう。
月々 | 単身世帯 | 夫婦世帯 |
---|---|---|
収入 (可処分所得) | 114663円 | 213042円 |
消費支出 | 145430円 | 250949円 |
収入―支出 | -30,768円 | -37,916円 |
単身世帯は平均で月に30,768円不足、夫婦世帯は37,916円不足する。
この不足している額を必要な貯蓄額と考えてみよう。
単身世帯なら年間36万9,000円ほど、夫婦世帯なら45万4千900円ほど貯蓄で補う必要がありそうだ。
老後を30年と仮定すると単身世帯で約1,107万円、夫婦世帯で約1,364万円程度は足りなくなる。
この不足額が最低限、必要な貯蓄額の目安となりそうだが、実際にはもっと余裕のある貯蓄額を準備しておきたい。
医療や介護の費用が想定以上にかかってしまう可能性もあれば、老人ホームへの入居が必要になることもあるだろう。
そうなれば試算以上に大きな支出に備える必要がある。
また、収入や支出は個人差が大きい。
引用元のデータ次第で数字は大きく変わってしまうだろう。
あくまでも一つの試算として参考にしていただきたい。
老後資金に不安があれば運用で資産寿命を伸ばすことが重要
老後資金に不安を感じるなら働く期間を長くすることで、資産寿命を伸ばすことが有効だ。
しかし退職したばかりならばともかく、75歳以降の後期高齢者に分類される位の年にもなれば、働くことも難しくなるだろう。
収入も現役期ほどは、通常見込めない。
そこで、重要なのが資産運用で資産そのものの寿命を延ばすことだ。
人には働ける健康寿命に限界があるが、資産は運用次第で成長し続けることができる。
例えば、株式市場は世界全体でみると数々の危機を乗り越えて、途中に下落はあれども成長し続けてきた。
2024年にはバブル崩壊以降、長期的に低迷していた日経平均もバブルにつけた高値を更新している。
あなたが将来的に年をとり働くことが難しくなるのは確かだが、あなたの資産は運用次第で成長し続ける可能性を秘めている。
また日本円の預貯金だけで資産を持っているとインフレ・円安が進むと価値が目減りして資産寿命が短くなってしまうこともある。
資産運用のやり方次第ではインフレ・円安で資産寿命が短くなることも防げる。
資産運用寿命を延ばしておけば、高齢期後半で資産の計画的な取り崩しにも余裕が生まれる。
老後資金計画の立て方
老後資金がいくら必要になるかは老後の収入や支出、資産や負債などによって大きく左右される。
老後の平均的な生活費や収入などは参考にしつつも、あなたが老後にどのような生活を送ることになるのかを整理した上で老後資金計画を立てるべきだ。
具体的な老後資金計画の立てる際に押さえたいポイントは以下の3つだ。
- 収入と支出の見直し
- 貯蓄と投資のバランスの取る
- 資産運用計画を立てる
あなたの老後資金計画を立てる際の参考にしてみてほしい。
収入と支出の見直し
- 用意すべき老後資金は老後の収入と支出の見直しで決まる
- 用意できる老後資金は現役期の収入と支出の見直しで決まる
老後に必要な生活資金の全てを貯蓄で賄う必要はない。
老後の収入と支出で足りない部分を貯蓄で補うという考えをすればよい。
老後の収入と支出次第で最低限、用意するべき老後資金が変わる。
そのため、収入と支出を改めて見直すべきだ。
例えば、老後までに十分な金融資産を用意できそうになければ収入が年金だけでは心もとないだろう。
その場合、就労継続や再雇用などで収入が得られる期間を延ばしたり、増やしたりすると良い。
老後の支出に関しては、収入が十分にある現役期の支出を基準にして計画を立ててしまうと、老後の収入に見合わないものになりがちだ。
老後の支出見込みが本当に適切かどうかも吟味しよう。
現役期の収入と支出の見直しも老後資金計画をたてる上で重要だ。
収入―支出で現役期から支出が上回っていては老後資金の準備は難しいだろう。
収入が支出を上回るライフスタイルを早めに意識し余剰資金を投資に回せるようになれば、老後資金を十分に用意できるだろう。
貯蓄と投資のバランスを取る
老後の金融資産を全て投資に回してしまうと、生活に支障が出るだろう。
しかし、全て貯蓄にしてしまうと資産形成につながらない。
貯蓄と投資のバランスをとることが老後の生活を乗り切る際に重要だ。
一般的に年代が若い方がリスク許容度は高く、年を重ねるにつれリスク許容度は低くなっていく。
リスク許容度 | 投資と貯蓄のバランス | |
---|---|---|
20代 | 大 | 積極投資 |
30代〜40代 | 中〜大 | やや積極投資〜積極投資 |
50代〜60代退職期 | 小〜中 | 守備的な投資 |
老後 | 小 | 守備的な投資 当座の予備資金や生活資金控除のため貯蓄を多めに |
ライフステージに応じて適切な貯蓄と投資のバランスをとり、資産を増やすときは増やし、守るときは守るようにしたい。
老後までに資産形成が十分でなければ自宅などの不動産売却や支出を抑えるため、生活費が安い地域に移り住むなどして貯蓄を用意することも検討する必要があるかもしれない。
資産運用計画を立てる
老後に必要な貯蓄額が明確になったら、資産運用でどの程度のリターンを目指せば良いのか見えてくる。
例えばあなたが後、30年で老後資金を2,000万円用意しなければいけなくなった場合を考えてみよう。
金融庁の公式サイトの資産運用シミュレーションで、目標金額、想定利回り、積立期間を入れると毎月必要な積立金額が出てくる。
目標金額2,000万円、想定利回り3%、積立期間30年と入力すると毎月積立金額が34,321円あれば目標金額の2,000万円に到達できそうなことが確認できる。
積立できる期間、想定利回り、目標金額のうち資産運用の過程で、どの部分を妥協し、どの部分に力を入れるかを考えながら様々なシミュレーションを行い無理なく実現できそうな運用計画を立ててほしい。
そして、目標のリターンを実現できそうな投資先を選定していくと良いだろう。
老後資金に関する正しい相談先選び
必要な老後資金の平均的な試算、老後資金計画の立てかたについて解説した。
しかし、自分で老後の収入や支出をどのようにするか考えて、リスクとリターンのバランスが取れた運用計画を立てて実際に運用をするのは難しいと感じた方も多いのではないだろうか。
老後資金の準備には誰にでも当てはまる正解が存在しない。
老後に必要な平均的な生活費や貯蓄は参考にはなるかもしれない。
しかし、平均通りの老後を本当に送れるだろうか。
また、あなたが老後を迎えるまでの間にインフレや社会情勢の変化などで計画を立てたときの常識が通じなくなる未来もあるかもしれない。
老後資金に関しては専門家に相談するのがおすすめだ。
- 老後資金の相談を専門家にするメリット
- 相談先の種類
- 自分に最適な相談先の選び方
正しい相談先を選ぶために上に挙げた3つのポイントを確認してみよう。
老後資金の相談を専門家にするメリット
専門家に相談するメリットは個別具体的な提案とアドバイスを期待できる点だ。
老後資金がいくら必要になるかは2,000万円とも3,000万円とも言われているが、数字ばかりが一人歩きしている。
根拠や前提がそもそも、あなたの条件と合っているかが分からない。
各種メディアの情報は参考にはなるかもしれないが、不特定多数の誰かに向けた一般論にすぎない。
しかし、専門家に相談すれば、あなたの意向を確認してくれた上で、あなたのライフプラン等を踏まえた目標老後資産の設定や貯蓄と投資の適切なバランスの検討、具体的な投資先やサービスの提案をしてもらえる。
また、実際に運用する過程で疑問点を質問でき、運用そのものを任せることもできる。
また、資産運用に限らず不動産や相続、タックスプランニング、場合によっては保険の見直しなど総合的な視点からの提案も期待できるだろう。
一人で考えていたら気づけなかった客観的な視点も得られるだろう。
相談先の種類
特徴 | |
---|---|
銀行 | 預金、投資信託、ローン、投資信託など総合的なサービスを提供 |
証券会社 | 個別株・投資信託など資産運用の商品が豊富 |
保険会社・保険代理店 | 保険の相談が中心 |
FP (ファイナンシャル・プランナー) | 総合的なお金の相談が可能 |
IFA (独立系金融アドバイザー) | 特定の金融機関から独立した立場からの提案が可能 複数の金融機関と提携株式や投資信託などの取り扱いもできる |
主な老後資金の相談先と特徴を挙げた。
郵便局、農協、信用金庫などは銀行に近い立ち位置となるだろう。
銀行、証券会社、保険会社は金融機関で、それぞれ取り扱うメインの商品やサービスが異なる。
FP(ファイナンシャル・プランナー)はお金の悩み全般を相談できる専門家だ。
銀行や証券会社、保険代理店のような金融機関に属している人も多い。中には独立系の特定の金融機関に属していないFPも存在する。
そして、近年注目されているのが、IFA(独立系金融アドバイザー)だ。
FPとの違いは、顧客の資産運用の相談ができるだけでなく個別具体的な金融商品の提案まで一歩、踏みこんで行える点だ。
また、IFAの中にはFPの資格を持っている者も少なくない。
そして、複数の金融機関と提携していれば幅広い提案ができる強みもある。
補足すると、税金の相談なら税理士、不動産投資なら不動産屋なども広い意味では老後資金の相談先として考えられるかもしれない。
それぞれの金融機関や専門家に得意分野や特徴がある。
自分に最適な相談先の選び方
老後資金について相談できる金融機関や専門家は意外に多い。
相談先の選び方として、悩みが明確で、目当ての商品があるなら、その商品やサービスを扱っているところに相談すると良いだろう。
ただし、銀行や証券会社、保険会社などの金融機関の窓口に出向いて、老後資金の相談をする際には注意したいこともある。
銀行や証券会社、保険会社のような特定の金融機関のアドバイザーは立場上、所属先が売り込みたい商品・サービスを顧客に提案せざるをえない点だ。
老後資金について相談しても、顧客の意向に基づかない金融機関の都合を優先した提案をされてしまう懸念がある。
実際に対面販売をする証券会社や銀行のような金融機関の担当者が、顧客の意向に基づかない回転売買による手数料稼ぎ、投資家保護の観点から問題のある提案が度々、金融庁から問題視されてきたのも事実だ。
老後資金の相談はどこにするべき?
銀行や証券会社、保険会社など各金融機関には、それぞれの専門分野で強みがある。
しかし、それぞれの金融機関が取り扱うサービスしか商品しか提案できないというデメリットもある。
例えば銀行ならば選べる投資信託が限られている。
証券会社ならば取り扱いできる投資商品は豊富だが、家計やライフステージまで勘案した総合的な提案は苦手かもしれない。
保険会社ならば提案してもらえる商品が保険中心になってしまうだろう。
しかも、それぞれの金融機関のアドバイザーは、顧客の意向に基づかない自社の利益を優先した提案を立場上、せざるをえないことも考えられる。
そこで、老後資金の相談先としてIFAをおすすめする。IFAを選ぶべき理由やメリット、探し方を確認してみよう。
横断的な提案ができる専門家がおすすめ
老後資金の相談は、横断的な提案ができる専門家がおすすめだ。
特定の金融機関に所属しているアドバイザーだと提案の中心が、所属先の商品やサービスになってしまうだろう。
独立系のFPの場合、総合的なお金の相談はできるかもしれないが、FP業務のみしかできない場合は個別具体的な金融商品のアドバイスや提案ができない。
収入と支出、ライフプランニング、具体的な資産運用のアドバイスや金融商品取引の仲介までも幅広く提案できる専門家となるとIFAがおすすめだ。
IFAは特定の金融機関に縛られない提案が可能な上、金融商品取引の仲介までできる。
横断的な提案を自由にできるという観点から、老後資金の相談として最適だ。
IFAの役割とメリット
IFAは横断的に幅広い提案ができるだけではない。
特定の金融機関に所属しない独立した立場という点でも、顧客にとって選ぶメリットがある。
IFAは銀行や証券会社、保険会社と雇用関係がないため中立な立場から顧客の意向に沿った提案をしやすい立場にある。
特定の金融機関所属のアドバイザーと顧客は利益相反の関係になりやすい。
しかし、IFAならば顧客と同じ目標に向かって資産運用を提案してくれる。
顧客の意向に沿った提案をしてもらえるのがIFAを選ぶ最大のメリットと言えるだろう。
IFAを探すなら「資産運用ナビ」がおすすめ
IFAを探すならIFA検索サービス「資産運用ナビ」がおすすめだ。
希望条件を入力すれば、資産状況、運用目的性格に合わせて最適なIFAのプロフィールが提案される。
IFAの経歴や得意分野などを確認した上で、面談を申し込める。
何回でも相談でき、相談費用も無料、オンラインで好きなタイミングで相談できるため使い勝手が良い。
あなたの老後資金のことを相談できる頼りになるIFAが見つかるはずだ。
老後資金の運用は信頼できる相談先を選んで始めよう
老後資金の相談先について解説した。
家計調査報告収支編のデータをもとに、計算してみると老後を30年と仮定すると単身世帯で約1,107万円、夫婦世帯で約1,364万円程度は最低でも必要という試算が出た。
しかし、実際には想定外の出費なども考えられるため、試算結果以上に余裕を持って用意しておく必要があるだろう。
老後資金を準備するには、ご自身の収入と収支、寿命や貯蓄など様々なことを総合的に勘案した上で計画を立てる必要がある。
しかし、一人で老後資金の準備と資金計画について考えるのは簡単ではない。
そこで、おすすめなのがIFAに相談することだ。
老後資金は特にお金に関する様々な問題を横断的に考えて、用意する必要がある。
IFAならば横断的な提案も資産運用の具体的な相談も可能だ。
そして、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にしてくれるだろう。
「資産運用ナビ」を活用し老後資金の相談ができるIFAを探してみてほしい。