国民年金基金に入ってはいけない?仕組みとやめとけと言われる理由を解説

国民年金基金は、自営業者やフリーランスなどが、老齢基礎年金に上乗せして老後資金を準備するための公的な年金制度だ。

結論から言うと、国民年金基金は「将来の終身年金を増やしたい人」「掛金の全額社会保険料控除を活用したい人」に向いている

一方で、加入後に自分の都合で任意脱退することはできず、支払った掛金を途中で引き出すこともできない。家計に無理のない掛金で始めることが大切である。

国民年金の上乗せ制度には「付加年金」もある。付加年金は月400円で始められ、老齢基礎年金に「200円×付加保険料納付月数」が年額として上乗せされる。少ない負担で年金を少し増やしたい人に向いているが、国民年金基金と同時に利用することはできない。

この記事では、国民年金基金の仕組み、メリット・デメリット、掛金の目安、付加年金やiDeCoとの違いをわかりやすく解説する。

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目次

国民年金基金とは?自営業者・フリーランス向けの上乗せ年金

日本の公的年金は、20歳以上60歳未満の人が加入する国民年金と、会社員・公務員などが加入する厚生年金の2階建て構造になっている。

会社員や公務員は、国民年金に加えて厚生年金にも加入する。一方、自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者は、原則として老齢基礎年金が老後の公的年金の中心となる。

2026年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人で月額70,608円である。国民年金だけでは老後の生活費をまかなうのが難しい場合があるため、上乗せ制度の活用を検討したい。

国民年金基金は、この年金額の差を補うために、老齢基礎年金に上乗せする年金として設けられている。国民年金法に基づく公的な年金制度であり、加入は任意である。

加入できる人・できない人

国民年金基金に加入できる主な人は、国民年金第1号被保険者や任意加入被保険者である。対象者を整理すると、次のようになる。

加入できる主な人具体例
日本国内に居住する20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者自営業者、フリーランス、自由業、学生など
60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人任意加入により国民年金保険料を納付している人
海外に居住していて国民年金に任意加入している人海外居住の任意加入被保険者

一方で、次のような人は原則として加入できない。

  • 厚生年金に加入している会社員・公務員など
  • 厚生年金加入者に扶養されている配偶者である第3号被保険者
  • 国民年金保険料の免除・納付猶予・学生納付特例を受けている人
  • 農業者年金の被保険者

ただし、産前産後期間の免除を受けている人や、法定免除の人が国民年金保険料の納付申出をした期間など、例外的に加入できるケースもある。自分が対象になるか迷う場合は、加入前に公式情報や窓口で確認しておこう。

国民年金基金のメリット|終身年金と税制優遇を活用できる

国民年金基金の主なメリットは、税制優遇を受けながら、将来の年金を上乗せできる点にある。

掛金の全額が社会保険料控除になる

国民年金基金の掛金は、全額が社会保険料控除の対象となる。確定申告で控除を受けることで、所得税や住民税の負担軽減が見込める。

例えば、課税所得500万円の人が年間15万円の掛金を支払った場合、所得税だけで見ると次のようになる。なお、復興特別所得税・住民税・その他の控除は考慮しない簡易的な試算である。

項目未加入の場合年間15万円の掛金を支払った場合
課税所得500万円485万円
所得税額57万2,500円54万2,500円
所得税の軽減額3万円

上記の例では、所得税率20%の部分で15万円の所得控除を受けるため、所得税だけで3万円の軽減になる。実際の軽減額は、所得税率、住民税率、復興特別所得税、他の控除の状況によって異なる。

また、受け取る年金は公的年金等控除の対象となり、遺族一時金は非課税とされている。

将来の年金額があらかじめ決まる

国民年金基金は、選んだ給付タイプや口数に応じて、将来受け取る年金額があらかじめ決まる。加入時の掛金額も、途中で口数を変更しない限り、払込期間終了まで基本的に変わらない。

投資信託や株式のように、運用結果によって将来の受取額が大きく変わる仕組みではないため、老後資金の計画を立てやすい点はメリットだ。

一方で、年金額があらかじめ決まるからこそ、物価上昇に連動して自動的に増える仕組みではない点には注意が必要である。

終身年金を準備できる

国民年金基金の1口目は、65歳から生涯受け取れる終身年金A型またはB型を選ぶ仕組みだ。長生きした場合でも、終身年金として受け取れる部分があるため、老後の生活資金の土台を作りやすい。

自営業者やフリーランスは、会社員のような厚生年金がないため、老後に毎月受け取る年金額を増やす手段として国民年金基金を検討しやすい。

保証期間付きの型は遺族一時金がある

A型や確定年金Ⅰ型〜Ⅴ型など、保証期間があるタイプでは、年金を受け取る前または保証期間中に加入者が亡くなった場合、遺族一時金が支払われる。

ただし、B型には保証期間がない。B型のみに加入していて年金受給前に亡くなった場合は、遺族に1万円の一時金が支払われる仕組みであり、他の保証期間付きの型とは内容が異なる点に注意が必要だ。

遺族一時金の額が、払い込んだ掛金額を下回る場合もある。家族への保障を重視する場合は、A型や確定年金の仕組みも確認して選ぼう。

国民年金基金のデメリット|途中解約・インフレ・併用制限に注意

国民年金基金は老後資金の上乗せに役立つ制度だが、加入前に確認すべき注意点もある。

任意に脱退できず、掛金を途中で引き出せない

国民年金基金は任意加入の制度だが、加入後に「やめたい」という理由だけで任意に脱退することはできない。会社員になって第1号被保険者でなくなった場合など、加入資格を喪失したときに脱退扱いとなる。

また、支払った掛金を途中で引き出すこともできない。加入資格を喪失した場合でも、それまで納めた掛金に応じた年金を、将来の支給開始年齢から受け取る仕組みだ。

ただし、2口目以降は口数単位で増口・減口できる。1口目は減額して掛金をゼロにしたり、A型からB型へ変更したりすることはできないため、最初の設計は慎重に行いたい。

インフレには弱い

国民年金基金は、将来の年金額があらかじめ決まる点がメリットである一方、物価が大きく上昇した場合でも年金額が自動的に増える仕組みではない。

つまり、額面の年金額は安定していても、物価上昇によって実質的な価値が下がる可能性がある。老後資金を考える際は、国民年金基金だけに頼らず、預貯金、NISA、iDeCo、投資信託など他の制度や資産とのバランスも考える必要がある。

付加年金とは併用できない

国民年金基金に加入している人は、付加保険料を納付できない。つまり、国民年金基金と付加年金は同時に利用できない。

付加年金は月400円の負担で始められる制度であり、国民年金基金よりも手軽に始めやすい。一方、上乗せできる年金額には限りがある。

毎月の負担を最小限に抑えたいなら付加年金、終身年金を大きく増やしたいなら国民年金基金を検討するとよい。

iDeCoと併用する場合は掛金上限に注意

国民年金基金とiDeCoは併用できる。ただし、国民年金基金とiDeCoの掛金合計には上限がある。

2026年11月分掛金までは、国民年金基金とiDeCoの掛金合計は月68,000円が上限である。国民年金基金連合会は、2026年12月分掛金から上限額を75,000円へ引き上げる予定と案内している。

iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税になる制度だ。一方で、原則として60歳まで資産を引き出せず、運用結果によって受取額が変わる。国民年金基金とは性格が異なるため、固定的な終身年金を増やしたいのか、運用しながら老後資金を作りたいのかを整理して選ぼう。

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国民年金基金の掛金はいくら?年齢・性別・型で変わる

国民年金基金の掛金は、選ぶ給付タイプ、加入口数、加入時の年齢、性別によって変わる。まずは、どのような給付タイプがあるのか確認しておこう。

給付タイプは終身年金2種類・確定年金5種類

国民年金基金の給付タイプは、終身年金2種類と確定年金5種類の合計7種類である。

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区分受取期間保証期間
終身年金A型65歳から生涯15年保証
終身年金B型65歳から生涯保証期間なし
確定年金Ⅰ型65歳〜80歳15年保証
確定年金Ⅱ型65歳〜75歳10年保証
確定年金Ⅲ型60歳〜75歳15年保証
確定年金Ⅳ型60歳〜70歳10年保証
確定年金Ⅴ型60歳〜65歳5年保証

1口目は、終身年金のA型またはB型から選ぶ。2口目以降は、終身年金A型・B型に加えて、確定年金Ⅰ型〜Ⅴ型も選択できる。

ただし、50歳1月以上で加入する場合はⅣ型・Ⅴ型を選べず、60歳以上で加入する場合はⅡ型・Ⅲ型・Ⅳ型・Ⅴ型を選べない。年齢によって選択肢が限られる点にも注意しよう。

また、1口目と2口目以降を合わせた終身年金の受取年金額を、確定年金の受取年金額が超える組み合わせはできない。

1口目A型の掛金額の目安

以下は、1口目A型に加入した場合の掛金月額の一部を抜粋した目安だ。加入時年齢は月単位で判定され、実際の掛金は選ぶ型や口数によって変わる。

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加入時年齢1口目A型の年金月額男性の掛金月額女性の掛金月額
20歳0月2万円7,220円8,370円
29歳1月〜30歳0月2万円10,450円12,110円
34歳1月〜35歳0月2万円13,060円15,120円
39歳1月〜40歳0月1万5,000円12,735円14,760円
49歳1月〜50歳0月1万円18,400円21,300円
60歳0月〜64歳11月加入時年齢により異なる20,770円23,970円

上の表からもわかるように、加入時期が早いほど、同じ年金額を準備するための月額掛金は抑えやすい。また、同じ型でも男女で掛金が異なる。

自分の年齢・性別・希望する年金額に応じた正確な掛金を知りたい場合は、国民年金基金連合会の年金額シミュレーションで確認するとよい。

国民年金基金と付加年金の違い|少額なら付加年金、上乗せ重視なら基金

国民年金の上乗せ制度には、国民年金基金のほかに付加年金がある。どちらも第1号被保険者などが老齢基礎年金に上乗せする制度だが、掛金や受取額、柔軟性が大きく異なる。

付加年金とは?

付加年金は、国民年金の定額保険料に月400円の付加保険料を上乗せして納付する制度だ。将来は、老齢基礎年金に「200円×付加保険料を納付した月数」が年額として上乗せされる。

例えば、30年間、つまり360月分の付加保険料を納付した場合、将来の上乗せ額は年額72,000円となる。

付加年金は少ない負担で始められる一方、国民年金基金に加入中の人は付加保険料を納付できない。また、付加年金は定額のため、物価スライドによる増額・減額はない。

国民年金基金と付加年金の比較

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項目国民年金基金付加年金
掛金型・口数・年齢・性別で変わる月400円
上限2026年11月分までは月68,000円
iDeCoと合算
月400円
受取額選んだ型・口数に応じて決まる年額200円×納付月数
受取期間終身年金または確定年金老齢基礎年金に上乗せして終身で受け取る
物価スライドなしなし
途中引き出し不可制度上、積立金を引き出す仕組みではない
併用付加年金とは併用不可国民年金基金とは併用不可
向いている人老後の年金額を大きく上乗せしたい人少ない負担で年金を上乗せしたい人

給付額が大きいのはどちら?

将来の上乗せ額だけを見ると、国民年金基金のほうが大きくしやすい。ただし、その分だけ毎月の掛金も大きくなる。

仮に30歳頃から60歳まで加入する場合の例を比較すると、次のようになる。

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項目国民年金基金付加年金
前提加入時年齢29歳1月〜30歳0月で1口目A型に加入30歳から60歳まで360月納付
毎月の掛金男性10,450円
女性12,110円
400円
65歳以降の上乗せ額年額24万円
月額2万円
年額72,000円
注意点掛金は年齢・性別・型・口数で変わる物価スライドはない

付加年金は、納付した保険料総額に対して、受給開始後2年で同額相当を受け取れる計算になる。一方、国民年金基金は掛金が大きく、損得は加入期間、税制メリット、受給期間、選ぶ型によって変わる。

そのため、毎月の負担を最小限に抑えたいなら付加年金、終身年金を大きく増やしたいなら国民年金基金を検討するとよい。

国民年金基金・付加年金・iDeCoはどう使い分ける?

自営業者やフリーランスが老後資金を準備する場合、国民年金基金・付加年金・iDeCo・NISAなどをどう組み合わせるかで迷いやすい。

まずは、それぞれの役割を分けて考えよう。

制度主な役割向いている人注意点
国民年金基金終身年金を上乗せする将来の年金額を確定させたい人任意脱退・途中引き出し不可
付加年金少額で老齢基礎年金を上乗せする月400円から始めたい人国民年金基金と併用不可
iDeCo自分で運用しながら老後資金を作る所得控除と運用益非課税を活用したい人原則60歳まで引き出せず、運用結果で増減する
NISA運用益を非課税にしながら資産形成する老後資金以外にも使う可能性がある資金を運用したい人掛金の所得控除はない。
元本保証ではない

安定した終身年金を増やしたいなら国民年金基金、少額で始めたいなら付加年金、所得控除を活用しながら自分で運用したいならiDeCoが候補になる。

ただし、国民年金基金と付加年金は併用できない。また、国民年金基金とiDeCoは併用できるものの、掛金合計の上限がある。制度を選ぶ際は、毎月の余裕資金、所得税・住民税の負担、老後に受け取りたい年金額、途中で資金を使う可能性を確認しよう。

国民年金基金は「終身年金を増やしたい人」に向いている

国民年金基金は、自営業者やフリーランスなどが老齢基礎年金に上乗せして加入できる公的な年金制度である。掛金の全額が社会保険料控除になるため、所得税や住民税の負担軽減が見込める点は大きなメリットだ。

一方で、加入後に任意脱退できず、支払った掛金を途中で引き出すこともできない。また、年金額があらかじめ決まる仕組みであるため、インフレによって実質的な価値が下がる可能性もある。

付加年金は月400円で始められるため、負担を抑えて年金を上乗せしたい人に向いている。ただし、国民年金基金とは併用できないため、どちらを選ぶかは毎月の余裕資金や老後に必要な年金額を踏まえて判断したい。

制度の選び方や掛金のバランスに迷う場合は、年金事務所、国民年金基金、税理士、FP、IFAなど相談先を使い分けるとよい。税金や加入資格は公的窓口、家計全体や資産運用との組み合わせはFPやIFAなど、相談内容に合う相手を選ぼう。

国民年金基金は、一度加入すると途中で自由に解約できない制度である。将来の安心感だけでなく、現在の家計に無理がないかも確認したうえで、付加年金やiDeCo、NISAとのバランスを考えて選ぶことが大切だ。

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出典

日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」(更新日:2023年4月3日)
日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(更新日:2026年4月1日)
国民年金基金連合会「国民年金基金制度とは?」
国民年金基金連合会「加入条件・資格」
国民年金基金連合会「給付の種類」
国民年金基金連合会「重要なお知らせ」
国民年金基金連合会「掛金月額表」
国民年金基金連合会「手続きに関してのよくあるご質問(掛金納付に関して)」
国民年金基金連合会「令和8年12月分掛金からの国民年金基金の掛金額の上限の引き上げが予定されています。」(公開日:2025年12月24日)
厚生労働省「国民年金基金制度」
厚生労働省「iDeCoの概要」
金融庁「NISAを知る:NISA特設ウェブサイト」
日本年金機構「付加年金」(更新日:2023年2月10日)
日本年金機構「付加保険料の納付」(更新日:2026年4月1日)
国税庁「No.1130 社会保険料控除」(掲載日:2025年4月1日)
国税庁「No.2260 所得税の税率」(掲載日:2025年4月1日)

執筆者

資産運用ナビ編集部は、アドバイザーナビ株式会社が運営する金融専門ライターチーム。資産運用アドバイザーと投資家をマッチングするプラットフォーム「資産運用ナビ」を通じて、延べ10,000名を超える相談を支援。おすすめの資産運用おすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。