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【7388】株式会社FPパートナー代表取締役社長 黒木勉氏「保険代理業から新たな総合金融企業へ」

※本コラムは2023年10月13日に実施したIRインタビューをもとにしております。

保険代理業から総合金融企業への進化を目指す株式会社FPパートナー。

代表取締役社長の黒木勉氏へ、保険業界における新たなリーダーを目指す成長戦略を伺いました。

目次

株式会社FPパートナーを一言で言うと

お客さまの人生をお守りすることを目的とした総合金融企業です。

私共の得意とするファイナンシャルプランニングを用い、お客さまの一生涯にわたり伴走していくことを目指しています。

創業の経緯

私は37歳の時に当社の前身となる保険代理店を設立し、約3年の間は1人で活動していました。

独立前の保険会社勤務時代に多くの営業社員が辞めていく現実を目の当たりにし、誰もが保険業で生計を立てられる体制を整えようと考えたことがきっかけです。

そしてここで生まれたのが、「基盤となる見込み客探しを会社で行い、営業社員は顧客対応のみを行う」という現在の当社にも繋がる分業制の仕組みです。

その後、前職で私の部下であった5名とともにこの体制を試したところ、それぞれの活躍もあり非常に良い成果を出すことができました。

より多くの営業社員が活躍できるようにするために、全国展開を視野に入れ、2009年に当社を設立しました。

2018年に全国47都道府県への営業拠点の開設が完了しましたが、その過程で、当社は保険代理店業としてのブランドを確立することができたように思います。

社内研修体制も整ったことで営業社員の顧客対応スキルも向上し、今では、金融業界のトッププレイヤーの証であり、世界的な資格でもあるMDRTを在籍社員の44.1%である888名※の社員が保有しています。

  • 2023年4月時点でMDRT日本会に登録している会員数(割合は2022年11月末の在籍営業社員数の内、2023年4月のMDRT登録者数の比率)

ターニングポイント

当社の転換点は大きく二つありました。

一つ目は2016年の保険業法改正です。これにより、私共、保険代理店にも保険会社と同水準の体制整備が求められました。

また、それに先行して当時在籍していた約700名の営業社員全員の社員化が義務付けられていました。

何から手をつければ良いのかもわからず手探りの中でのスタートでした。

新たな人材の確保や新たな部門の設立など、取り組むことは多岐にわたり、長い時間と大きな先行投資が必要でしたが、その結果として上場準備できるまでの体制を整えることができました。

また、保険業界でのブランディングにも成功していたことが奏功し、業界のトッププレイヤーを目指す方々が当社に集まってきてくれたことも、体制整備をする上で良い効果をもたらしました。

二つ目は2019年のマネードクターへのブランド変更です。

それまでは、保険のビュッフェとして、「保険」を前面に押し出したブランド戦略をしており、CM効果などから業界内では高い認知度を誇っていました。

一方、長期的には保険以外の金融商品も扱うことで、総合金融企業として、お客さまの人生に伴走できる会社でありたいと考えていたのです。

そこで、保険のビュッフェからマネードクターへのブランド変更を決断しました。

後の2020年はコロナ禍ではありましたが、集中的な広告戦略も相まって、現在では保険代理店業として、以前よりも高い認知度が得られました。

株式会社FPパートナー 2023年1月13日 事業計画及び成長可能性に関する事項 より引用

事業の概要

創業以来、保険業界におけるリーディングカンパニーを目指し、主に保険代理業に特化したビジネスを展開してきました。

保険販売の土台ができ、見込み顧客の獲得とコンサルティングを分業制にしたことで生産性の向上に成功しています。

そして、7年程前に保険提案から一歩進み、よりお客さまに寄り添ったサービスを提供するために、ファイナンシャルプランニングに焦点を当て資産形成や相続など幅広いサービス展開を開始しました。

ファイナンシャルプランニングについては大規模なシステム改修を行ったことで、営業社員の提案の均一化が図られ、業績の成長に繋がっています。

さらに、昨年の東京証券取引所グロース市場への上場と今年のプライム市場への市場変更を経て、新たに総合金融企業としての地位を築こうと取り組んでいます。

具体的には、金融リテラシー教育やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)のビジネスにも進出しました。

来年から開始される新NISAを一つのきっかけとして、これまでに構築してきたインフラを活かしたさらなる成長のために準備を進めています。

株式会社FPパートナー 2023年11月期第3四半期 決算説明資料 より引用

直近業績および利益率の改善について

上場準備期間から利益率向上のための施策を進めており、足元での業績にも顕著に成果が表れています。

これまでの経験から、当社の企業規模と事業内容においては、上場までは15%前後の利益率が至極健全であると判断していました。

しかし、これに満足することなく、より高い利益率の実現を目指してきたのがグロース市場上場後の1年間です。

現在、当社は提携企業からの集客がおよそ9割を占めています。

これは安定的な見込み顧客の創出に繋がっており、分業制のビジネスモデルの確立と成長を支えてきたものです。

また、提携企業と50%ずつに共同募集にて分担された売上を保険会社から受け取るため、当社から提携企業へ支払うフィーはなく、収益面でも影響を受けない仕組みとなっています。

株式会社FPパートナー 2023年11月期第3四半期 決算説明資料 より引用

しかし、お客さまからの直接お申込みのような自社集客であれば、保険会社からは100%の売上を受け取ることができます。

つまり、売上に関しては2倍、さらに利益率では2倍以上のアップサイド収益があるということです。

CMや店舗出店等によるブランディング効果によって、マネードクターサイト経由の直接申込みが増加しています。

自社集客案件数の伸び率は非常に高い水準にあり、結果として利益率は20%に達しています。

株式会社FPパートナー 2023年11月期第3四半期 決算説明資料 より引用

契約譲受について

さらに自社集客の割合を高めている要因としては契約譲受のビジネスも挙げられます。

契約譲受とは、様々な事情により保険代理店事業の縮小・廃止を検討している代理店から、当該事業を引き継ぐものです。

売上は自社集客と同じで100%計上することができます。当社は2021年から取り組み、1年目には1万5000件、2年目となる昨期は2万件と非常に大きな成果を上げました。

契約譲受のビジネスには二つの大きな参入障壁があります。

一つ目は、保険代理業としての知名度です。

廃業となった代理店のお客さまは、当社へ保険契約を移管して後任の担当者がつくことになります。

そのため、お客さまに安心して移管を進めていただくためには代理店の信用力が非常に重要なのです。

二つ目には保険業法改正後に進めてきた体制整備が挙げられます。

実際の移管は保険会社の承諾を得なければ実行されません。そして、全国に拠点があり、移管後のお客さまのフォローをする営業社員が全国にいるという点もとても重要なのです。

3年目となる今期は5万件の移管合意を目標としています。

ファイナンシャルプランニングの内容にもよりますが、移管から新たな契約をいただくまでの期間は半年程度です。

基本的には今期移管された契約については概ね来期の業績に反映される形となりますが、当ビジネスの成長は当社の成長へと直結し、会社の姿を大きく変える要因になると考えています。

中長期の成長イメージとそのための施策

株式会社FPパートナー 2023年11月期第3四半期 決算説明資料 より引用

契約譲受

すでにご説明させていただいた通り、契約譲受はこれまでの体制整備とブランディング強化、全国的な人材の確保が強みとなり、順調に拡大しています。

これに伴い利益率も向上しており、当社の新たなターニングポイントになると考えています。

また、二つの参入障壁から他社がなかなか手をつけていない分野でもあり、リーディングカンパニーになることができれば大きなメリットが得られるでしょう。

ブランディングが強化されたことで、移管先として当社が断られることはほとんどなくなりました。

今後はより一層この事業に注力し、長期的には10万件の移管を目指しています。

仮に現在の年間アポイント数(約14万件)に対し10万件のアポイントが上乗せされるとなると、提携ビジネスおよび自社集客を含む当社の売上・利益に大きな影響を及ぼすでしょう。

株式会社FPパートナー 2023年11月期第3四半期 決算説明資料 より引用

一方、この成長には営業社員の増加や育成が欠かせません。

すでに全国各地に2200人の営業社員が在籍しており、育成面での仕組み化も図られていますが、契約譲受においては全国規模で次の担当者の迅速な配置が必要です。

10万件の面談を達成するには、3000〜4000人の営業社員が必要になると考えています。

現在、上場効果もあり採用は順調に進んでいます。

今期の目標として「500名採用」を掲げていましたが、10ヶ月で達成することができました。今後もさらなる拡大を目指してまいります。

マネードクタープレミア

マネードクターとして確実に認知度を高めてきたFP無料相談サービスですが、「ワンランク上のお金の総合サービス」というコンセプトのもと、「マネードクタープレミア」として店舗展開しています。

出店計画も綿密に行い、当社初となる大型商業施設や集客力の高いエリアに店舗を構えています。

一号店のコレド日本橋店や今年6月に出店した横浜ランドマークプラザ店などがその一例です。

来期末に計30店を目指し、年間10店ずつのペースで出店しております。

出店に際し、もちろん大きな費用も必要となりますが、マネードクタープレミアはブランディングにも大きな効果をもたらしています。

また、認知度向上に伴いマネードクターサイトから自社集客件数も増加しています(前年同期比29.2%増※)ので、出店費用を十分に補える利益率での成長が見込まれます。

  • 2023年11月期の第3四半期末時点

保険代理店がまだ競合していないこの分野において、今後も新たな主要都市に進出を続け、地域の皆さまが安心・信頼できる店づくりをしてまいります。

株式会社FPパートナー 2023年11月期第3四半期 決算説明資料 より引用

注目していただきたいポイント

少子高齢化などにより、保険業界は市場規模縮小傾向にあると言われることがありますが、実際には多くの人々が保険に加入している日本において、保険に対するニーズは依然として高く、市場規模も巨大です。

生命保険販売の資格を持つ方々が126万人(2017年3月末時点)も活動している保険業界は国のインフラとも言えるでしょう。

一社専属の保険会社に所属する営業社員や保険代理店が多い中、当社はほぼ全ての保険会社の商品を取り扱っており、多種多様な商品の中からお客さまに最適なプランの提案ができます。

一方、生命保険業界での保険代理店の新規契約高シェア(年換算保険料ベース)はまだ15%に過ぎません。

当社のビジネスモデルは唯一無二であり、今後保険代理店8万店の代表として我々が台頭していく姿にぜひご注目いただきたいと思います。

株式会社FPパートナー 2023年11月期第3四半期 決算説明資料 より引用

もう一つの注目ポイントはM&Aです。

プライム市場への市場変更を経て、いよいよM&Aによる事業拡大を目指します。

今期まではオーガニックな成長を続けてきましたが、来期以降は新たな成長のための投資をし、さらなる事業拡大を図る予定です。

株式会社FPパートナー 2023年11月期第3四半期 決算説明資料 より引用

投資家の皆様へメッセージ

この数年で当社のストック収入である継続手数料は急成長し、現在は47億円に達しました。

また、コロナ禍でも大きな影響は受けず、継続的に20%の成長率を達成してきた経営の機動性もあります。

この安定基盤を持ちながら、今後は利益を積極的に拡大させ、さらなる成長を実現していきます。

プライム上場は我々にとってスタートラインです。

新たな利益率向上策を成功に導き、全く新しい会社へと進化していきますので、ぜひご期待いただけますと幸いです。

株式会社FPパートナー

本社所在地:東京都文京区後楽1-5-3 後楽国際ビルディング5F

設立:2009年12月

資本金:18億9,400万円(2022年9月22日現在)

上場市場:東証プライム(2022年9月22日 グロース市場上場、2023年9月11日 市場変更)

証券コード:7388

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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