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【4479】株式会社マクアケ 事業概要と成長戦略に関するIRインタビュー

※本コラムは2024年2月8日に実施したIRインタビューをもとにしております。

株式会社マクアケは「生まれるべきものが生まれ 広がるべきものが広がり 残るべきものが残る世界の実現」というビジョンのもと、「世界をつなぎ、アタラシイを創る」をミッションとして掲げています。

そして世にない新しいモノや体験に出会うことができ、応援の気持ちを込めて購入することができる場所の提供を目的に、プラットフォーム「Makuake」を運営しています。

代表取締役社長の中山亮太郎氏に事業戦略の変遷や今後の成長方針を伺いました。

目次

株式会社マクアケを一言で言うと

「アタラシイ何かが羽ばたく発射台」です。  

マクアケ 中期経営計画に関する事項 より引用

マクアケの沿革

株式会社マクアケ代表取締役社長 中山亮太郎氏

創業経緯

当社は2013年にサイバーエージェントの社内ベンチャーとして誕生しました。

それまで私はベトナムでサイバーエージェントの投資事業のベンチャーキャピタル業務に従事していました。

その経験から、日本の技術力が高いにも関わらず、国外でのプレゼンスが低下している現状を目の当たりにし、これを変革したいと考えました。

特に感じていたのは、iPhone4が席巻していた当時、日本製の部品は多く使われているにもかかわらず、日本製の新しい商品や技術が市場に出てこない閉塞感です。

そのタイミングで社内ベンチャー(現マクアケ)を立ち上げる機会をいただき、新しいトレンドを生み出すことを志してスタートしました。

事業拡大と気づき

我々の事業上の大きな転換点は、創業初期の「Makuake」=資金調達支援サービスという切り口のプロデュース活動を変え、実際に市場で商品をデビューさせる時のプレゼンスを高められる切り口の方向にシフトしたことにあります。

最初はメディアや投資家からの期待を集め、主に資金集めを色濃く訴求していました。

しかし、事業を進めるうちに、様々なフェーズで当社のスキームが別の切り口で活用できると分かりました。

まず、新商品を開発するスタートアップからは「マーケティングツールとして使えるのでは」という点で活用され、同時に中小企業では「先行販売に使える」、さらに大企業からは「テストマーケティングに使える」といった新たなニーズが寄せられるようになりました。

企業の大小に関わらず活用できるビジネスモデルとして徐々に事業を拡大し、2019年12月には東証マザーズ市場(現東証グロース市場)に上場しました。

マクアケ 中期経営計画に関する事項 より引用

マクアケの事業の概要と特徴

概要

当社はクラウドファンディングの仕組みを用いた応援購入プラットフォーム「Makuake」を運営しています。

「Makuake」は新商品や新サービスのリリースの際に、生活者がいち早く応援購入できるマーケットプレイスです。

具体的なサービスモデルをご説明します。

まず「Makuake」で実行者(企業)が企画中の新商品や新サービスを販売します。

そして、「Makuake」のサポーター(会員)が気に入った商品を応援する形で購入します。当社はプロジェクトが終了した際に、売り上げた応援購入金額の20%を手数料としていただくというビジネスモデルです。

株式会社マクアケ 2024年9月期 第1四半期 決算説明会資料 より引用

事業における優位性

幅広い顧客層と応援購入を加速させる仕組み

我々のプラットフォームを利用してくださる方々は、全員が新しいものを追い求めるイノベーターやアーリーアダプターというわけではありません。

実際には、一般の方々が大多数を占め、新しいものへの好奇心よりも、生活を豊かにする便利なアイテムを見つけたいという実用的なニーズが高いです。

そのため当社の顧客層は必ずしも若年層ではなく、比較的年齢層が高い点が特徴的です。

サポーターは、応援購入をするだけでなく、その商品へのフィードバックなどを通じて、その商品の成功に直接関与していると感じることができます。

また、応援購入した商品が市場に出た後に、「自分が支援した商品」という誇りや満足感を得ることができます。

さらにコロナ禍を経て、オンラインでの交流や新しい消費形態が加速したこともあり、生活者は以前にも増して、商品やサービスを通じた新たな体験やコミュニティとの繋がりを意識しています。

このような環境下において、当社の「Makuake」はロイヤリティの高い顧客層の獲得を実現しています

キュレーターのコンサルティング力

当社には、キュレーターとして様々なバックグラウンドを持つ専門人材が在籍しており、彼らのコンサルティング能力が強みだと考えています。

キュレーターの主な役割はデビュー前の商品の魅力を正確に伝え、ターゲットとなるサポーターに届けることの支援です。

多くの場合、商品を開発したクリエイターはプレゼンテーションが得意ではありません。

その場合、当社のキュレーターが彼らのアイデアや熱意をサポーターに伝えるための橋渡し役となります。

当社のキュレーターは、広告業界出身者、メーカー勤務経験者、繊維商社や地方銀行出身者など、多種多様な経験を持つ人材が集まっています。

彼らはそれぞれの経験から、既存の方法では解決できない課題を持つ実行者に対し、「Makuake」が提供する新しい機会や解決策を提案しています。

キュレーターたちのこのような総合的なサポート能力が、当社のサービスをより魅力的なものにしており、多くの事業者にとって価値あるマーケットプレイスとなっています。

株式会社マクアケ 会社紹介資料 より引用

品質保証体制の組織化

全プロジェクトの事前審査、プロジェクト掲載、納品まで全てのフェーズでモニタリングを行い、トラブルにつながるリスクを未然に防止しています。

このプロセスには、元企業法務部、省庁、裁判所出身者など、法律の専門知識を持つスタッフが携わっており、彼らの豊富な経験と専門性が当社のサービスを支えています。

具体的には、薬機法をはじめとする関連法規が常に更新されるため、これらの最新の条文を正確に解釈し、適切な表記がなされているかを確認しています。

そして必要に応じて、省庁に直接確認を取るなど、確実な情報に基づいたアドバイスを提供しています。

このような組織体制を整えている点は、流通前の商品を安全に販売できる当社の強みです。

株式会社マクアケ 会社紹介資料 より引用

集客力

我々はユーザーの体験価値に焦点を当てて、「Makuake」の集客力を強化してきました。

常に、訪れる人々が「何か新しくて面白いものに出会える場所」として新しい発見や体験を楽しみに来るようなメディア的な体験を提供することを意識しています。

例えば、人々が情報番組や雑誌を閲覧する際には、具体的な目的を持っているわけではなく、新しい知識や刺激を求めているという心理が働いています。

当社のプラットフォームも同様に、ユーザーが何か新しい、自分の生活を豊かにするものを見つけられる場所として位置づけています。

そして、コロナ禍の生活様式の変化や生活者のニーズの変化に対して一貫して、上記のようなコンセプトで「Makuake」を展開してきたことが集客力に繋がっています。

株式会社マクアケ 会社紹介資料 より引用

マクアケの中長期の成長イメージとそのための施策

外部環境に大きく影響されない事業構造の構築

当社はコロナ禍により大きく事業成長し、外部環境の影響を大きく受けてきました。

今後の戦略は、どのような環境においても「Makuake」を通じて安定した事業基盤を築いていくことです。

例えば、これまではオンラインでの販売をメインとしていましたが、オフライン店舗との提携を活用して顧客の体験価値を高めていきます。

また、物販だけではなく旅行やイベントなど体験系のプロジェクトもさらに充実させ、ユーザーに新しいサービスを提供する機会を増やしていく方針です。

加えて、外部環境の変化に大きく左右されないような事業ポートフォリオの構築をしていきます。

マクアケ 中期経営計画に関する事項 より引用

継続的なGMVの成長およびGMV目標達成力の強化

実行者が新しい商品やサービスを出し続け、サポーターをファン化させていくための施策を展開していきます。

当社は0次流通というユニークな流通市場における様々なデータを獲得してきました。

例えば、どのようなコンセプトで宣伝するのが良いか、どの時期にリリースするのが良いのか等といったマーケティングに活用していきます。

また、当社の商品リリースに関わるキュレーターはメーカーや地方銀行出身者も多く、彼らも飛び回ることで、「Makuake」の認知度向上にもつながり、日本各地に眠っている良い商品やサービスを発掘していきます。

さらにファンベース化していくために、既に「シェア支援」というURLリンクをSNS等に投稿し、どれだけ反響があったか可視化できる機能もありますが、今後も機能拡充していくことで、サポーターが自身の影響力やプロジェクトを支援しているという実感を得ることができるような体験作りをしたいと考えています。

マクアケ 中期経営計画に関する事項 より引用

生産性の向上

「Makuake」のサポートメニュー拡大、キュレーターのスキルアップ、コスト管理体制の強化を図ります。

新サービスの開発にあたって、当社のサポート力は非常に高い評価を受けており、新しいサポートを求める実行者が増えています。

そこで、より高いレベルで実行者をサポートできるキュレーターを育成していくことや開発を伴う新機能も通じて生産性の向上に繋げていきます。

マクアケ 中期経営計画に関する事項 より引用

注目していただきたいポイント

「Makuake」は実行者に新しい商品やサービスの第一歩として活用されるとともに、サポーターに対して新しい発見やワクワクするような体験価値を提供しています。

当社がターゲットとしている0次流通市場の潜在市場の可能性は十分にあります。

そのため、市場を顕在化していくためにも実行者とサポーターニーズに合った体験を提供し続け、継続利用していただく自律的成長モデルのプラットフォーム作りを強化していきます。

ぜひ、当社の成長と0次流通市場の拡大に注目していただきたいです。

マクアケ 中期経営計画に関する事項 より引用

投資家の皆様へメッセージ

我々は「Makuake」を通じて、新しいビジネスモデルを確立し、生活者体験を刷新してきました。

この取り組みは簡単ではありませんが、未来に向けてさらに多様なビジネスチャンスを探求し、革新的なアイデアが市場で活躍できる機会を広げたいと考えています。

そしてBtoC、BtoBにおける新しい商品やサービスがお蔵入りしないような社会を目指します。

投資家の皆様におかれましては、我々の将来性に期待していただき、長期的なサポートをお願いいたします。

株式会社マクアケ

本社所在地:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-16-1 Daiwa渋谷宮益坂ビル 10F 

設立:2013年5月1日

資本金:3,127,000,000円(2024年3月アクセス時点)

上場市場:東証グロース市場 (2019年12月11日上場)

証券コード:4479

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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