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資産運用はいくらから始める?平均投資額と無理のない金額の決め方

投資信託なら100円、個人向け国債なら1万円と、資産運用を始めるのに必要な金額は思っているよりずっと小さいものです。しかし、いざ始めようとすると「資産運用はいくらからが正解なのか?」と疑問に思う方は少なくありません。

実際に迷うのは「最低いくら必要か」よりも、「自分はいくら回してよいか」「世間の投資金額の平均はいくらか」という点でしょう。ちなみに、日本の二人以上世帯の金融資産保有額は平均1,940万円、中央値720万円です。この差が示すとおり、平均値は極端な富裕層に引っ張られるため、目安にするなら個人投資家の投資額は中央値を見るのが現実的です。

この記事では、日本人のリアルな平均投資額をはじめ、サラリーマンの年間投資額の目安や、あなたに合った無理のない投資金額の決め方を解説します。

この記事を読むとわかること
  • 投資信託は100円から始められる
  • 平均より中央値で見るべき理由
  • 投資額は手取りの1〜2割が目安
  • 月1万円×20年の運用試算
  • 悪い年に減る金額の目安

※本記事の情報は2026年9月時点のものです。

目次

資産運用はいくらから始められる?商品別の最低金額の目安

投資信託の積立は100円から。個人向け国債は1万円から。まとまった資金がないと始められない、という印象はもう当てはまりません。資産運用は、投資信託なら100円、株式は1株数百円、個人向け国債は1万円から始められます。ただし株式だけは、100株単位で買えば数万円、1株単位なら数百円と、買い方で必要な金額が大きく変わります。

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商品始められる金額の目安補足
投資信託(積立)100円〜楽天証券の例。最低額は金融機関で異なる
株式(単元株)株価×100株売買単位は100株に統一されている
株式(単元未満株)1株〜(数百円〜)SBI証券「S株」、楽天証券「かぶミニ」など
個人向け国債1万円〜(1万円単位)変動10年・固定5年・固定3年の3種類
iDeCo月5,000円〜(1,000円単位)原則60歳まで引き出せない
不動産投資・ヘッジファンドまとまった自己資金まとまった資金が前提

投資信託・NISAは100円から積み立てられる

投資信託の積立は、楽天証券の場合100円から設定できます。毎月決まった日に決まった金額を引き落として買い付ける仕組みなので、一度設定すれば手間はかかりません。100円なら試しに始めてみる金額として十分に見えますが、最低額は金融機関によって違います。口座を開く前に確認しておくと、設定画面で迷いません。

この積立をNISA口座で行うと、売却益や分配金にかかる約20%の税金が非課税になります。NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、併用すれば年360万円まで。生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)です。年360万円という枠を見ると「そんなに使えない」と感じるかもしれませんが、枠は上限であって、100円の積立でも非課税の効果は同じです。非課税で保有できる期間に制限はなく、日本に住む18歳以上なら誰でも口座を開けます。

では、NISAを使っている人は実際にどのくらい入れているのでしょうか。

金融庁の調査では、NISA口座数は2025年12月末で2,821万口座、買付額は累計71兆円でした。J-FLECの2025年調査によると、二人以上世帯でNISAの残高を回答した世帯の平均は、つみたて投資枠で112万円、成長投資枠で180万円です。制度が始まった2024年1月からの累積なので、月に換算すると数万円規模の積立が中心と読み取れます。100円から始められる制度ですが、続けている人の実額は「月数万円」に落ち着いているわけです。

株式は単元株で数万円〜、単元未満株なら数百円から

株式は投資信託より高いお金が要る、という印象は半分正しく、半分は古い情報です。国内株式の売買単位は、2018年10月に100株へ統一されました。株価1,000円の銘柄なら、通常の取引では10万円が必要です。株価が3,000円、5,000円と上がれば、1銘柄で30万円、50万円の資金が要る計算になります。

この金額を1株分まで下げられるのが、単元未満株のサービスです。楽天証券の「かぶミニ」やSBI証券の「S株」では1株から売買でき、株価1,000円の銘柄なら1,000円で買えます。SBI証券は「数百円からお取引できる」と案内しており、1株単位なら複数の銘柄に分けて持つことも難しくありません。10万円と1,000円。同じ銘柄でも、買い方を変えるだけで必要な資金は100分の1になります。

ただし、安くなった分だけ条件が付きます。単元未満株は、取引できる時間や注文方法が通常の取引と異なる場合があります。手数料の仕組みも証券会社ごとに違うため、少額で始めるなら取引条件を確認しておきましょう。

個人向け国債は1万円、iDeCoは月5,000円から

「1万円から」と「月5,000円から」。数字だけ見ると似た商品に見えますが、お金の出し入れの自由度は正反対です。

個人向け国債は、財務省が発行する国債で、最低1万円から1万円単位で買えます。変動10年・固定5年・固定3年の3タイプがあり、金利には年0.05%の下限が設けられています。発行から1年たてば中途換金もできるため、値動きのある商品に抵抗がある人が最初に持つ商品としておすすめです。

一方、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は、月々5,000円から1,000円単位で決められます。掛金が全額所得控除になる代わりに、原則60歳まで引き出せません。掛金の上限は加入区分で異なり、企業年金のない会社員は月23,000円、自営業者などは月68,000円です。同じ5,000円でも、国債なら1年後に戻せて、iDeCoなら60歳まで戻せない。この違いを見ると、iDeCoに入れてよいのは「老後まで使わない」と決められるお金だけだと分かります。

不動産投資やヘッジファンドはまとまった資金が必要

現物の不動産投資やヘッジファンドは、100円や1万円で始められる商品ではありません。物件価格の一部を自己資金で用意したり、最低投資額が高く設定されていたりするため、少額から始める段階では選択肢に入れなくて問題ありません。

では、退職金などでまとまった資金がある人なら最初からこうした商品を選べるのでしょうか。

資金の面では条件を満たしていても、値動きの経験がない状態で全額を回すと、下落したときに売るか持ち続けるかの判断ができません。まとまった資金がある人でも、投資信託や債券で値動きに慣れてからのほうが判断しやすいです。退職金や相続で数百万円以上の資金を運用する場合は、まとまった資金の運用方法もあわせて読んでみてください。

【2025年調査】投資額の平均はいくら?世帯別・年代別の金融資産保有額

二人以上世帯の金融資産保有額は平均1,940万円。この数字を見て「自分はまだまだ足りない」と感じた人は多いはずです。ところが中央値は720万円で、平均の4割弱にとどまります。「投資額の平均」を直接示す公的統計はなく、目安になるのは金融経済教育推進機構(J-FLEC)の調査にある金融資産保有額と商品別の残高です。

J-FLECの調査でいう金融資産は、預貯金、金銭信託、積立型保険商品、個人年金保険、債券、株式、投資信託、財形貯蓄などを指します。預貯金のうち、日常の出し入れや引き落としに備えている部分は含みません。以下の数字は「投資額そのもの」ではなく、投資額を考えるときの参考値です。

二人以上世帯は平均1,940万円・中央値720万円、単身世帯は平均919万円・中央値130万円

J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、世帯区分別の金融資産保有額は次のとおりでした。金融資産を持っていない世帯も含まれています。

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世帯区分平均値中央値
二人以上世帯1,940万円720万円
単身世帯919万円130万円
総世帯1,600万円500万円

平均と中央値がここまで離れるのは、一部の資産が多い世帯が平均を引き上げているからです。中央値は、全世帯を金額順に並べたときの真ん中の値。

単身世帯では平均919万円に対して中央値130万円と、7倍以上の差になります。

つまり単身世帯の半数は、金融資産130万円以下で暮らしているわけです。「平均」を基準にすると、半数以上の人が「足りない」と感じてしまいます。

では、投資に回っている金額そのものはどのくらいあるのでしょうか。

金融資産を持つ二人以上世帯の商品別残高を見ると、株式の残高は平均433万円、投資信託は216万円、債券は78万円でした。預貯金は1,170万円で、そのうち運用や将来の備えとして蓄えている部分が745万円です。ただし、この数字は金融資産を保有している世帯だけの平均なので、上の表よりさらに高めに出ています。

年代別の平均と中央値(20代〜60代)

年代別に見れば自分に近い数字が出るはず、と期待したくなります。同じ調査の年代別の数字(単身世帯と二人以上世帯を合わせた総世帯、金融資産を持たない世帯を含む)は次のとおりです。

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年代平均値中央値読み取り方
20歳代318万円50万円収入が安定する前で、中央値は低め
30歳代898万円200万円結婚・住宅・子育てで支出の差が出やすい
40歳代1,339万円361万円教育費と住宅ローンが重なる時期
50歳代1,668万円500万円老後資金を意識し始める世代
60歳代2,301万円1,000万円退職金の受け取りで平均が伸びる
70歳代2,117万円1,000万円取り崩しの段階に入る

年代が上がるほど平均は増えますが、どの年代でも平均は中央値の2倍以上あります。20歳代の中央値は50万円で、金融資産そのものがまだ少ない人が過半数という状況です。「同年代の平均より少ないから投資額を増やさなければ」と焦る必要はありません。年代ごとの進め方は、40代の資産運用50代の資産運用でそれぞれ整理しています。

もう一つ確かめておきたいのは、資産が増えた世帯が何で増やしたかです。金融資産が1年前より増えた二人以上世帯は34.5%でした。増えた理由は「株式、債券価格の上昇」が38.7%で最も多く、「配当や金利収入」35.0%、「定例的な収入の増加」31.7%と続きます。資産が増えた世帯では、運用の成果が収入の増加と同じくらい影響していました。年代ではなく「運用しているかどうか」で差がついている、と読めます。

日本の家計は現金・預金が47%、株式・投資信託の保有世帯は約3〜4割

日本銀行「資金循環の日米欧比較」(2026年3月末時点)では、日本の家計金融資産に占める現金・預金の割合は47.2%でした。米国の10.7%、ユーロエリアの31.1%と比べると、預金に置いたままのお金が多い構造です。

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地域現金・預金株式等投資信託保険・年金
日本47.2%16.7%6.9%24.5%
米国10.7%43.4%13.3%25.7%
ユーロエリア31.1%25.5%12.1%26.5%

この比率だけ見ると「日本人は投資をしていない」と結論づけたくなります。ところが世帯ごとの保有状況は、それほど単純ではありません。J-FLECの2025年調査で株式を持つ二人以上世帯は39.5%、投資信託は33.2%でした。預貯金の89.5%には及びませんが、銀行口座と証券口座の両方を持つ世帯は57.1%と半数を超えています。証券口座を持つ世帯の割合に比べると、株式や投資信託を実際に持つ世帯はそれより少なく、口座を開いた後に「いくら入れるか」で止まっている世帯もあると読めます。

現金・預金の比率が高いこと自体は悪いことではありません。生活費や急な出費に備えるお金は、値動きのない預金で持っておくのが合理的です。問題は、その備えを超えた分まで預金に置いたままになっていないかという点にあります。

平均や割合が分かっても、自分の投資額は自分の家計からしか決まりません。

投資に回す金額を決める3つのステップ

「貯金が100万円あるから100万円を投資に回そう」。この考え方は一見合理的に見えて、たいてい途中で苦しくなります。投資に回せるのは、貯金の全額ではなく、生活費と近い将来の支出を引いた残りだけだからです。

投資額は、①手取りと支出を書き出す ②生活防衛資金と数年内に使うお金を分ける ③残りの余裕資金から目的とリスク許容度で決める、の3ステップで出します。

02_投資額を決める3ステップ

手取り収入と毎月の支出を書き出す

最初にすることは、毎月の手取りと支出を1枚に書き出す作業です。給与明細の手取り額と、家賃や住宅ローン、食費、通信費、保険料などの固定費、変動する支出を書き出します。この差額が、貯蓄と投資に回せる上限になります。

総務省「家計調査」2025年平均では、二人以上の勤労者世帯の可処分所得(手取り)は月532,408円、消費支出は346,297円でした。差し引きの黒字は186,111円で、黒字率は35.0%。月18万円も余っているなら、その大半が投資に向かっていそうに見えます。ところが内訳は、預貯金の純増が177,061円、有価証券の純購入はわずか5,059円でした。平均的な勤労者世帯でも、毎月の黒字の大半は預貯金に向かい、株式や投資信託に回るのは月5,000円ほど。差額があることと、投資に回すことは別の話だと分かります。

書き出すときに確認したいのは、次の5点です。

確認することどこを見るか・目安
毎月の手取り収入給与明細の差引支給額。ボーナスは月に含めない
毎月の固定費と変動費家賃・住宅ローン・食費・通信費・保険料。直近3か月の平均
急な病気や失業に備える預金生活費の3〜6か月分。単身なら約52万〜104万円が目安
数年以内に使う予定のお金教育費・住宅の頭金・車の買い替え。時期と金額を書く
相場が下がっても続けられる金額上の4つを引いた残りのうち、悪い年に減っても止めずに済む額

差額が思ったより小さくても、それが今の家計の答えです。投資額を増やしたいなら、支出の見直しか収入の増加が先になります。

生活防衛資金として生活費の3〜6か月分と数年内に使うお金を分けておく

差額が出たら、その全額を投資に回してよさそうに思えます。その前に分けておくのが生活防衛資金です。生活防衛資金とは、病気や失業で収入が途絶えても生活を続けるための預金のこと。金融庁のNISA特設サイトでは、専門家が「働きながらならば3か月から半年程度」を目安として挙げています(人によって異なるとの注記つき)。

「3〜6か月分」と言われても金額の実感がわきにくいので、家計調査の消費支出で換算してみます。

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世帯月の消費支出(2025年平均)3か月分6か月分
単身世帯173,042円約52万円約104万円
二人以上世帯(勤労者)346,297円約104万円約208万円

単身で約52万〜104万円、二人以上世帯で約104万〜208万円。冒頭の「貯金100万円」は、単身なら生活防衛資金の範囲にすっぽり収まる金額です。この金額は、普通預金など値動きのない場所に置きます。投資信託や株式に入れてしまうと、いざ使うときに値下がりしていて困る可能性があるからです。

生活防衛資金とは別に、数年以内に使う予定のお金も投資から外します。子どもの入学金、住宅購入の頭金、車の買い替え費用などは、使う時期が決まっているため、その時点で相場が下がっていれば計画が崩れます。iDeCoのように原則60歳まで引き出せない商品には、なおさら入れられません。

つまり、お金は「日常で使う」「数年内に使う」「10年以上使わない」の3つに分けます。投資に回せるのは、3つ目の「当面使わないお金」だけです。

01_お金を3つに分ける

残った余裕資金の中から目的とリスク許容度で毎月の投資額を決める

余裕資金が分かったら、次は金額を決めるだけに見えます。その前に、何のために増やすのかを決めておかないと、値下がりしたときに続ける理由がなくなります。

J-FLECの2025年調査で、二人以上世帯が金融資産を持つ目的として最も多かったのは「老後の生活資金」の62.3%でした。次いで「病気や不時の災害への備え」44.0%、「こどもの教育資金」18.0%と続きます。目的によって使う時期が変わり、使う時期によって取れるリスクが変わるため、この順番は省けません。

老後にいくら必要か知りたい方向けに、「老後資金はいくら必要か」の記事で夫婦・単身別の計算方法まで整理しています。

なお、リスク許容度とは、値下がりにどこまで耐えられるかの度合いのこと。

「リスクに強いほうだと思う」という自己申告は、実際の下落を目の当たりにした場合、当てになりません。抽象的に考えるより、「悪い年に何万円減るか」を考えましょう。以下は、資産配分の違いによる期待リターンとリスクを試算したモデルの例です。J.P.モルガン・アセット・マネジメントの「超長期市場予測(LTCMA)2026」を使っています。

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モデル主な配分期待リターン(年率)悪い1年の目安100万円あたり
保守国債45%・海外債券25%・株式15%・現金10%・金5%2.8%−3.8%約−3.8万円
安定成長国債30%・海外債券25%・株式30%・現金5%・REIT5%・金5%3.5%−9.6%約−9.6万円
成長株式65%・国債10%・海外債券10%・REIT5%・金8%・現金2%4.7%−21.1%約−21万円

※期待リターンは予測値で、将来の成果を保証するものではありません。商品コストや税金は考慮していません。「悪い1年の目安」は期待リターンから標準偏差の2倍を引いた簡易な指標で、実際の下落がこれを超える可能性もあります。配分は例示であり、個別の推奨ではありません。

期待リターンは2.8%と4.7%で1.9ポイントの差。それに対して悪い年の下落幅は3.8%と21.1%で、5倍以上の開きがあります。リターンより下落幅のほうがはるかに大きいです。

ここが、配分を選ぶときに見落とされやすい点です。

たとえば100万円を「成長」の配分で運用すると、悪い年には約21万円減る計算になります。この減り方を見て「続けられない」と感じるなら、配分を安定成長寄りにするか、投資額そのものを減らします。

逆に「10年以上使わないお金だから耐えられる」と思えるなら、その金額が自分の投資額です。

04_悪い年に減る目安

毎月の積立なら、この判断を「月いくらまでなら、下がっても止めずに続けられるか」に置き換えます。

続けられる金額が、いまの適正額になります。

では、手取り20万円や30万円では、具体的にどのくらいの金額になるのでしょうか。

【手取り20万円・30万円】毎月の投資額の例

J-FLECの2025年調査によると、過去1年に手取り収入を金融資産に振り分けた二人以上世帯は、金融資産保有世帯の38.4%でした。振り分けた世帯では、年間手取りの35%を貯蓄や投資に回しています。「手取りの35%」と聞くと、投資に回す割合として高すぎるように感じるかもしれません。ただし内訳を見ると、預貯金が17%、債券・投資信託・株式は14%です。手取りの1〜2割を投資の上限の目安にし、生活防衛資金が貯まるまでは差額の半分を預貯金に回す配分なら、家計を圧迫せずに続けられます。

この14%はあくまで「振り分けた世帯」の平均であって、全世帯の平均ではありません。手取り20万円なら2〜3万円、30万円なら3〜4万円程度が上限の目安と考え、以下の例で自分の家計に当てはめてみてください。

03_手取り20万円30万円の例

手取り20万円の場合の投資額の考え方

たとえば、28歳の一人暮らし、手取り20万円のケースを考えてみましょう。家計調査の単身世帯の消費支出は月173,042円ですが、家賃次第で支出は15万〜17万円と幅があります。差額は3万〜5万円。手取りの1割なら2万円を投資に回せそうに見えます。

ところが、この人にはまだ生活防衛資金がありません。目標は、単身世帯の消費支出をもとにすると52万〜104万円。貯まっていない段階では、差額のうち2万円を預金、1万〜2万円を投資信託の積立に回します。2年ほどで生活防衛資金の下限が見えてきたら、積立を月2万〜3万円に引き上げる流れです。最初から2万円を投資に回すのではなく、預金と並走させる1〜2年が入ります。

その1〜2年の遅れは、結果にどう響くのでしょうか。

月1万円を20年積み立てた場合の試算は、想定利回り2.8%で321万円、4.7%で397万円。月2万円なら642万〜794万円になります。手取りの1割にあたる2万円を続けると、20年後の元本は480万円。そこに約160万〜310万円の運用益が上乗せされる計算です(税金・コスト控除前の予測値で、元本割れの可能性もあります)。

生活防衛資金を先に作っても、20年という期間の中では取り返せる範囲の差です。

手取り30万円の場合の投資額の考え方

次に、35歳で配偶者と子ども1人、世帯の手取りが30万円のケースを考えてみましょう。家計調査では40歳未満の二人以上勤労者世帯の消費支出は301,216円ですが、これは可処分所得54万円の世帯の平均です。手取り30万円の世帯なら、支出は24万〜26万円程度に収まっていると仮定します。差額は4万〜6万円です。

手取り20万円のケースより差額が大きいので、投資に回せる額も単純に増えそうに見えます。ただ、この世帯には子どもの教育費という「数年内に使うお金」があります。生活防衛資金の目標は104万〜208万円。すでに確保できているなら、差額のうち3万円をNISAのつみたて投資枠で積み立て、残りは子どもの入学金など5年以内に使う資金として預金に分けます。差額が大きくても、その全部を投資に回さない線引きが、この世帯では一番大事になります。

月3万円を20年続けると、想定利回り2.8%で964万円、3.5%で1,041万円、4.7%で1,191万円です。元本は720万円なので、運用益は244万〜471万円。子どもが大学を出る頃に、老後資金の中心部分ができている計算になります。

年齢が若いほど運用比率を高めやすい理由

同じ手取りでも、年齢によって投資に回せる比率は変わります。収入が多い世代のほうが有利に思えますが、理由は収入ではなく、値下がりから回復するまでの時間を確保できるかどうかにあります。

配分別のモデルでは、成長の配分は10年以上、安定成長は5年以上、保守は3年以上の運用期間を前提にしています。28歳なら老後まで30年以上あり、悪い年に2割減っても持ち直す時間があります。一方、60歳代は中央値でも1,000万円の金融資産を持つ世代ですが、取り崩しが始まるため、大きく減った直後に使う場面が出てきかねません。資産の多さと、取れるリスクの大きさは一致しないわけです。取り崩し期の運用は、70歳からの資産運用で安定的なプランを解説しています。

実際に若い世代の行動は変わってきています。第一生命経済研究所が家計調査(貯蓄・負債編)をもとに分析したところ、二人以上世帯の貯蓄に占める有価証券の比率は上がっていました。20歳代は2016年の3.8%から2025年には30.1%へ、30歳代は8.4%から41.8%への上昇です。年齢が若いほど運用比率を高めやすいのは、値下がりを待てる時間が長いからです。

月1万円と3万円で、20年後にどれだけ差が出るのでしょうか。

【月1万円・3万円・5万円】20年間積み立てた場合のシミュレーション

月1万円を20年間、想定利回り4.7%で積み立てると397万円。元本240万円に対して、約157万円が運用益です。月1万円という金額から想像するより、運用益の比率は大きく見えるはずです。

つまり、月1万円でも20年続ければ、想定利回り2.8〜4.7%で321万〜397万円になる試算になります。ただし、その差がどこで生まれるかを紐解いていくと、金額よりも積み立てた「期間」のほうが大きく影響していることが分かります。

想定利回り別に20年続けた場合の試算表

想定利回りは、配分別のモデルの期待リターン(保守2.8%・安定成長3.5%・成長4.7%)を使いました。計算は金融庁の「つみたてシミュレーター」と同じ月複利方式です。

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毎月の積立額元本(20年)年2.8%年3.5%年4.7%
1万円240万円321万円347万円397万円
3万円720万円964万円1,041万円1,191万円
5万円1,200万円1,606万円1,734万円1,986万円

※想定利回りは予測値で、将来の運用成果を保証するものではありません。税金や商品コストは考慮していません。相場によっては元本を下回る可能性があります。

表を横に読んでいくと、利回り2.8%と4.7%は月1万円で76万円。縦に読んでいくと、月1万円と5万円では元本の差がそのまま出ています。

想像と違ってくるのは、期間を変えたときです。月1万円の場合、10年では元本120万円が138万〜153万円、30年では元本360万円が563万〜788万円。20年から30年に延ばすと元本は1.5倍ですが、4.7%なら試算額は約2倍になります。運用益が次の運用益を生む複利の効果は、後半になるほど大きくなるからです。

だからこそ、月1万円でも早く始める意味があります。「5万円貯まってから」と待つより、いま1万円で始めて後から増やすほうが、同じ20年でも運用に使える時間が長くなります。

まとまった資金があるとき一括と積立のどちらで始めるか

すでに100万円や300万円の余裕資金がある場合、期間が長いほど有利なら、一括で早く入れるのが正解に見えます。理屈のうえではそのとおりで、期待リターンがプラスである前提では、早く運用に回すほど複利の期間が長くなります。

ただし、入れた直後に悪い年が来る可能性は、一括のほうが大きく響きます。成長の配分で入れた直後に悪い年が来れば、100万円が約79万円になる計算です。積立なら同じ下落でも、まだ入れていない分は影響を受けません。判断軸は次の3つになります。

  • 投資期間が10年以上あるか
  • 一括で入れた直後に2割下がっても続けられるか
  • その資金を数年内に使う予定がないか

3つとも「はい」なら、一括で入れる選択肢が出てきます。1つでも「いいえ」があるなら、積立に分けるのが無難。たとえば300万円を1年かけて月25万円ずつ入れると、買う時期が分散されるため、高値づかみの影響を薄められます。迷うなら、半分を一括、残りを積立に分ける方法もあります。1,000万円規模の資金なら、1,000万円の運用方法について解説している記事を見れば、資産配分の例まで確認できます。

少額で始めるときの注意点

J-FLECの2025年調査では、二人以上世帯の42.0%が運用で元本割れを経験していました。少額なら損をしても大したことはない、と考えたくなるところです。少額でも元本割れのリスクは変わらず、金額が小さいほど手数料の比率が重くなる商品があります。

元本割れのリスクは金額にかかわらずある

100円で買った投資信託も、100万円で買った投資信託も、値下がり率は同じです。金額が小さいと損失額も小さいため実感しにくいものの、「少額だから安全」という理屈は成り立ちません。

元本割れを経験した世帯の受け止め方は、「自分の相場予想が外れたのだから仕方がない」が71.1%でした。一方で、「リスクをよく理解していなかった」も21.4%あります。約2割の世帯は、値動きの大きさを把握しないまま投資を始めていました。「悪い1年の目安」を先に見ておけば、この2割に入らずに済みます。

見方を変えると、少額で始める利点はこの値動きを小さな金額で体験できる点にあります。月1万円の積立が1割下がっても損失は数千円。その経験があると、金額を増やしたときに慌てて売らずに済みます。

少額では手数料の比率が高くなる商品がある

少額なら手数料も少ないだろう、と考えるのは自然です。ところが手数料には「金額に関係なく一定」のものがあります。iDeCoは掛金を納めるたびに105円の手数料がかかり、加入時には2,829円が必要です。月5,000円の掛金なら、105円は掛金の2.1%にあたります。月23,000円なら0.5%まで下がるため、同じ手数料でも少額ほど負担率は重くなる仕組みです。運営管理機関ごとの口座管理手数料も別途かかります。

投資信託には、購入時手数料や信託報酬(運用中にかかる手数料)があります。100円から買える商品でも、信託報酬の率は金額にかかわらず同じです。長く持つほど差が積み上がるため、少額で始めるときこそ、信託報酬の低い商品を選ぶ意味があります。

単元未満株も、証券会社によって手数料や売買価格の決まり方が異なります。口座を開く前に比べておくと、数百円の投資に対して手数料の割合が大きくなっていた、という後からの発見を防げます。

では、自分で決めきれないときに、私たちは誰に相談すればよいのでしょうか。

運用する金額や商品選びは誰に相談する?

お金の相談を専門家や金融機関にしたことがある二人以上世帯は、J-FLECの2025年調査で11.5%でした。相談する人は少数派、というのが数字の第一印象です。ところが「相談したことはないが、今後相談するつもり」は23.9%あり、相談経験者の2倍にのぼります。

相談先には金融機関・FP・IFAなどがあり、投資額の線引きから商品選びまで家計全体で設計したい人にはIFAがおすすめです。

相談先はFP・金融機関・IFAなど複数ある

相談先によって、できることと報酬の仕組みが違います。

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相談先主な役割確認したい点
銀行・証券会社の窓口自社で扱う商品の案内・販売提案が自社商品に偏らないか
FP(ファイナンシャルプランナー)家計や生活設計の相談商品の売買まで扱えるか、相談料の有無
J-FLEC認定アドバイザー中立的な立場での金融教育・相談個別商品の提案範囲
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)商品提案から購入・見直しまで所属する証券会社、手数料と継続報酬

「無料相談」と書いてあれば、費用の心配はなさそうに見えます。ただし無料の理由は、商品の販売手数料が報酬になっている場合があるからです。どこに相談する場合でも、助言の範囲と取り扱える商品、相談料と販売に伴う報酬の有無は、最初に聞いておきたい点です。FPに相談したい場合は、FP相談はどこがいいかで無料の窓口を目的別に比べられます。

相談先の選び方は資産運用の相談先を比較した記事でも詳しく整理しています。

IFAに相談すると家計全体を見た投資額の設計ができる

IFAは、Independent Financial Advisorの略で、独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれます。「独立系」と聞くと、どの金融機関にも属さない中立な相談相手を思い浮かべるかもしれません。ただし日本では、金融商品仲介業者またはその外務員として活動するアドバイザーを指すことが多く、提携する証券会社があります。この提携があるからこそ、「いくら投資するか」の相談から実際の購入、その後の見直しまで、同じ担当者に任せられるわけです。

生活防衛資金の線引き、目的の整理、リスク許容度に合った配分と金額の決定。この3つは、IFAが最初の面談で一緒に整理する内容そのものです。自分で家計を書き出したうえで相談すれば、その場で具体的な金額の提案まで進めます。運用そのものを任せたい場合の選択肢は、資産運用をプロに任せる方法で注意点とあわせて解説しています。

金融商品仲介業者は金融庁への登録が必要なので、相談前に金融庁の「免許・許可・登録等を受けている事業者一覧」で登録の有無を確認できます。登録番号と所属する金融商品取引業者は、名刺やWebサイトに記載されています。

相談時に確認したいポイント(報酬体系・提案範囲・フォロー)

IFAといっても、所属先、取扱商品、報酬体系はそれぞれ異なります。面談で確認したいのは、次の5点です。

  • 自分の目的と運用期間を踏まえた提案になっているか
  • リスクと手数料の説明が十分か
  • 特定の商品に偏った提案になっていないか
  • 提案できる商品の範囲と報酬体系(相談料・販売手数料・継続報酬)を説明してくれるか
  • 運用開始後の見直しやフォロー体制があるか

提案された金額や商品をそのまま受け入れる前に、「なぜその金額なのか」を聞いてみてください。理由が自分の家計の数字に結びついていれば、信頼できる提案です。すでに運用を始めている人も、投資額の増減やポートフォリオの見直しを相談する価値があります。IFAの探し方や相談費用は、IFA相談はどこがよいかにまとめています。

【まとめ】少額から始めて家計に合わせて増やしていこう

資産運用は、投資信託なら100円、個人向け国債なら1万円から始められます。二人以上世帯の金融資産保有額は平均1,940万円ですが、中央値は720万円。平均に合わせる必要はなく、生活費の3〜6か月分を残したうえで、続けられる金額から始めるのが基本です。手取りの1〜2割を上限の目安にし、月1万円でも20年続ければ321万〜397万円になる試算があります。金額や配分に迷うなら、家計の数字を書き出してから専門家に相談すると、具体的な提案まで一度で進みます。

※本記事の数値は2026年9月時点の公表資料にもとづきます。

まずは今月の手取りと支出を書き出し、運用に回せそうな基準を投資信託の積立に設定するところから始めてみてください。

資産運用の金額に関するよくある質問

資産運用に回す金額は途中で増やしたり減らしたりしてよいですか?

問題ありません。投資信託の積立額は、証券会社の設定画面から変更できます。iDeCoの掛金も年1回見直しができ、拠出を止める手続きもいつでも可能です。収入が増えたら積立額を上げ、出費が重なる時期は下げるという調整を前提に、無理のない金額から始めるほうが長続きします。

ボーナスをまとめて投資に回してもよいですか?

生活防衛資金が確保できているかを先に確認してください。まだ足りないなら、ボーナスは預金に回すのが優先です。確保できているなら、NISAの成長投資枠(年240万円)で一括投資するか、つみたて投資枠のボーナス月に増額する方法があります。一括で入れる場合は、直後に値下がりしても数年以内に使わないお金かどうかが判断の基準になります。

投資額が平均より少なくても問題ありませんか?

問題ありません。二人以上世帯の金融資産保有額は平均1,940万円ですが、中央値は720万円で、20歳代の中央値は50万円です。株式残高の平均433万円や投資信託216万円という数字も、金融資産を持つ世帯だけの平均で、資産を持たない世帯は含まれていません。比べるなら中央値を見て、そのうえで自分の家計から決めた金額を続けるほうが、結果的に資産は積み上がります。

NISAの年間上限(120万円・240万円)まで使わないと損ですか?

損ではありません。年間投資枠は上限であって、使い切る義務はありません。生涯の非課税保有限度額1,800万円は年ごとに消えることはなく、売却すれば翌年に簿価分の枠が復活します。月1万円のつみたて投資枠でも非課税の効果は同じなので、枠の大きさより続けられる金額を優先してください。

投資に回した後に急な出費が出たらどうすればよいですか?

まずは生活防衛資金から支払います。だからこそ、生活費の3〜6か月分を預金で分けておく手順が先にあるわけです。それでも足りない場合、投資信託は売却して現金化できますが、値下がりしていれば損失が確定します。個人向け国債は発行後1年たてば中途換金でき、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。急な出費が繰り返し起きるなら、投資額を減らして生活防衛資金を厚くする見直しが必要です。

出典

この記事を書いた人

資産運用メディア編集部は、初心者から上級者までが「将来に備える確かな運用判断」を得られるよう、公的統計や最新市場データに加え、自社アンケートを基に中立的な情報を発信しています。記事は資産運用アドバイザーと投資家を結ぶプラットフォーム「資産運用ナビ」を運営するアドバイザーナビ株式会社が監修。おすすめの資産運用やおすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。