- 手元の1,000万円を、ただ預金しておくのはもったいないと感じる
- でも、投資で大損するのは絶対に避けたい
- 自分に合った、失敗しない資産運用の方法が知りたい
- 何から始めれば良いのか、具体的な手順を知りたい
退職金や貯蓄などで得た1,000万円。
「賢く増やしたいけれど、損はしたくない」と考える人は多いだろう。
日銀は2024年7月31日、8月1日付で政策金利を 0.25%程度に引き上げ、プラス金利政策へ復帰したが、2025年8月現在も日本の金利は高いとは言い難い。銀行預金だけでは将来が不安な一方、投資にはリスクがつきものだ。
この記事では、あなたの目標に合った資産運用の始め方を、具体的なモデルプランを交えて解説する。
この記事は将来の不安を「安心」に変える、その一歩をサポートするための解説書だ。

証券アナリスト
監修者: 平 行秀
新卒で野村證券に入社し、富裕層1,000人以上の資産運用コンサルを担当する。 その後、2019年にアドバイザーナビ株式会社を創業し、代表取締役へ。 投資家とアドバイザーをつなぐマッチングプラットフォームを運営している。
公益社団法人 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。
1,000万円あったら資産運用を始めよう
1,000万円というまとまった資産は、あなたの将来を大きく左右する可能性を秘めている。
低金利が続く日本では、お金を銀行に預けていてもほとんど増えない。それどころか、物価が上昇するインフレによって、何もしなければお金の価値は相対的に下がり続けてしまうのである。
そこで、重要になるのが資産運用だ。
この資産規模であれば、株式・債券・不動産など複数の手法を組み合わせた分散投資が可能だ。目的や期間ごとに明確な運用戦略を立てることで、リスクを抑えつつ安定的かつ効率的に資産を成長させていくことができる。

1,000万円規模の資産があれば、複数の資産クラスに分散投資できる十分な余力があります。早期から戦略的に運用を始めることで、複利効果が長期間働き、資産形成のスピードを高めることが可能です。
1,000万円の運用を成功させるためには、いきなり金融商品を選ぶのではなく、「①何のために、いつまでに増やすのか(目的・期間)」と「②どのくらいのリスクなら受け入れられるか(リスク許容度)」という2つの軸で、自分だけの運用計画を立てることが重要だ。
ブレのない資産形成には初期設計がとても重要だ。
① 目的と期間を明確にする
1,000万円の運用を始めるにあたり、まずその使い道と使う時期(目的・期間)を明確にすることが不可欠だ。なぜなら、目的によって許容できるリスクの大きさと、取るべき運用戦略が大きく異なるからである。
具体的には、以下のように資産を分類して考えるのが基本となる。
目的の例 | 期間の目安 | 考え方のポイント |
---|---|---|
老後資金 | 20年以上先 | 長期運用が可能。複利効果を活かし、ある程度リスクを取って大きく育てる戦略も。 |
教育資金 | 10〜15年後 | 使う時期が明確。元本割れリスクを避けつつ、着実な成長を目指す。 |
住宅購入資金 | 5〜10年後 | 時期から逆算し、徐々に安定資産の比率を高めるなど計画的な運用が必須。 |
当面使う予定のない 余裕資金 | 特になし | 最も柔軟な設計が可能。攻め(成長追求)と守り(安定重視)のバランスが鍵。 |
このように、お金を目的別に管理することで、それぞれの目標達成に最適なリスクとリターンのバランスを取ることができ、結果として取るべき戦略が明確になるのだ。



目的別に資金を色分けする「目的別資産管理」は、運用の軸をぶらさずリスクを最適化できる手法です。特に教育資金や住宅資金は期間が明確なため、目標到達までの道筋を逆算して計画を立てやすくなります。
② 自分のリスク許容度を知る
リスク許容度を考える前に、大前提として「生活防衛資金」を確保しておく必要がある。生活防衛資金とは、病気や失業といった不測の事態に備え、当面の生活を維持するためのお金であり、投資に回すべきではない。
目安としては、会社員なら生活費の3ヶ月〜半年分、自営業者など収入が変動しやすい場合は1年分程度を、すぐに引き出せる預貯金として確保しておくのが一般的だ。
1,000万円全額を投資対象とするのではなく、この生活防衛資金を差し引いた余裕資金の中で、ご自身のリスク許容度を判断することが重要である。
その上で、「1,000万円のうち、最悪の場合いくらまでなら減っても生活や精神的に耐えられるか」を考える必要がある。以下の簡単な質問は、自身のタイプを把握する上で参考になるだろう。



リスク許容度は投資経験だけでなく、収入の安定性や家族構成などのライフステージ要因でも変化します。年齢や生活環境に応じて定期的に見直すことが、安定した資産形成のために重要です。
これらのタイプ別に、具体的な資産配分(ポートフォリオ)の例を解説していく。
【リスク許容度別】1,000万円のポートフォリオ(資産配分)モデルプラン
ここでは、先ほどの診断に基づいた3つのモデルプランを紹介する。これらはあくまで一例であるが、資産を配分する際の具体的なイメージとして参考にしてほしい。
【安定重視型】目標リターン:年率2〜3%
元本割れのリスクを極力抑え、着実に資産を守りながら増やしたい方向けのプランだ。
- 債券ファンド(国内/先進国):600万円(60%)
- 世界株式インデックスファンド:300万円(30%)
- 現金(生活防衛資金とは別):100万円(10%)
値動きが比較的小さく、安定した利息収入が期待できる債券を資産の中心にして守りを固める。
その上で、資産の3割を世界株式に振り分け、世界経済の成長に合わせて長期的な値上がり益を狙うのがおすすめ。
また、現金を10%確保しておくことで、市場の急落時に買い増しできる余力も持たせることができる。
【バランス型】目標リターン:年率4〜6%
リスクを一定程度抑えつつ、預金以上のリターンを狙うバランスの取れたプランである。
- 世界株式インデックスファンド:500万円(50%)
- 債券ファンド:300万円(30%)
- REIT(不動産投信):200万円(20%)
資産の半分を世界株式に投資することで、資産成長を目指す。
また、株式が値下がりした際のクッション役として債券を3割組み入れることで、安定感をプラス。
さらに、株式や債券とは異なる値動きをする傾向があるREITを2割加えることで、ポートフォリオ全体の分散効果を高めることができる。



株式・債券・REITの組み合わせは、相互の値動きが異なるため安定性を高めやすい構成です。特に長期運用では、景気サイクルごとの変動を吸収しつつ中程度のリターンを狙える点が魅力です。
【積極型】目標リターン:年率7%以上
相応のリスクを許容し、積極的に資産を増やしていくことを目指すプランだ。
- 世界株式 / 米国株式インデックスファンド:700万円(70%)
- 新興国株式ファンド:100万円(10%)
- REIT / コモディティ(金など):200万円(20%)
資産の大部分を、高い成長が期待できる世界株式や米国株式に配分し、積極的にリターンを追求する。
また、ポートフォリオのスパイスとして、ハイリスク・ハイリターンな新興国株式を1割投入。
残りの2割は、株式市場との相関が低いREITやコモディティとし、攻めつつもリスク分散を図る構成だ。
これらのポートフォリオを組む上で、活用できる金融商品を次の章で具体的に紹介する。
1,000万円でできる運用法7選
1,000万円で運用を始める場合、投資先の選択肢はさまざまだ。
ここでは投資先として考えられる以下の7つの運用方法について、特徴やメリット・デメリット、運用する際のポイントを詳しく解説していく。
株式投資


株式とは、企業が資金到達のために発行する証券のことだ。
投資家は株式を購入して、値上がり益や配当、株主優待などを受け取ることができる。
株式投資のメリット・デメリットは下記の通りだ。
メリット | デメリット |
---|---|
大きな値上がり益を得られる可能性がある 保有期間中に配当や株主優待といったインカムゲインを受け取れる NISAの成長投資枠を活用できる | 企業業績や経済状況などの影響を受けて株価が変動するリスクがある 個別企業の分析や銘柄選定に手間と時間がかかる 企業が倒産すると株式の価値がなくなる可能性がある |
株式は運用商品の中でもハイリスク・ハイリターンな性質の金融商品で、大きな値上がりを期待できる一方で、大きな損失が発生するリスクもある。
初心者のうちは、特定の銘柄に集中して投資を行うのではなく、複数の銘柄に分散して投資を行うのがおすすめだ。
銘柄選定や業績の分析に手間や時間がかかりやすいという点にも注意が必要だが、しっかりと勉強しながら投資を行うことで、知識やスキルを身につけやすいだろう。
投資信託


投資信託は、投資家から集めたお金を一つにまとめて、運用のプロであるファンドマネージャーが株式や債券などの資産に投資・運用する金融商品だ。
投資によって得られた成果は投資家に分配されるため、手間をかけずに資産運用できるという特徴がある。
メリット | デメリット |
---|---|
数百円といった少額から手軽に分散投資ができる 運用のプロであるファンドマネージャーに銘柄選定・管理を任せられる NISAやiDeCoで運用できる | 運用期間中に手数料や費用がかかる 相場の状況や運用状況によっては損失が生じる可能性がある |
投資信託の最大のメリットは、少額から複数の銘柄・資産にまとめて分散投資ができるという点だ。
ただし、元本が保証される金融商品ではないため、相場の状況や運用状況によっては損失が発生する場合もある。
投資信託の中でも、どのような地域・資産を投資対象としているかによってリスク・リターンが変わってくるため、購入の際はパンフレットや目論見書などでしっかりと確認するのが重要だ。
NISAやiDeCoといった非課税制度とも相性が良く、長期的な運用にも適している投資商品だ。



投資信託はプロの運用力を活用できるため、時間や知識に限りがある方に適しています。長期積立と組み合わせることで、価格変動リスクを平準化しながら安定した成長を期待できます。
個人向け国債


個人向け国債は、日本国が個人を対象に発行する債券である。国が発行体であるため安全性が非常に高く、元本割れのリスクを避けたい場合に適した金融商品だ。
メリット | デメリット |
---|---|
国が発行するため信用リスクが極めて低い 満期まで保有すれば元本が返還される 年0.05%の最低金利が保証されている 1万円という少額から購入できる | 大きなリターンは期待できない 発行から1年間は原則換金できない 大幅なインフレには対応しにくい |
個人向け国債は、資産を「守る」ことに特化した商品と言える。金利は低いものの、銀行の普通預金よりは高く設定されることが多く、最低金利保証もあるため、当面使う予定のない資金を安全に置いておく場所として最適である。
特に、ポートフォリオの中でも最もリスクを抑えたい部分や、数年後に使うことが決まっている教育資金などの置き場所として活用できる。
外貨建て債券


外貨建て債券とは、米ドルや豪ドルなど、日本円以外の通貨で売買される債券のことである。発行体は海外の政府や企業であり、一般的に日本の債券よりも高い金利が魅力だ。
メリット | デメリット |
---|---|
日本の債券より金利が高い傾向にある 円安になれば為替差益も得られる 資産を円以外の通貨に分散できる | 為替変動リスクがある(円高で損失) 為替手数料のコストがかかる 発行体の情報が手に入りにくい場合がある 発行体の信用リスク(デフォルトリスク)がある |
外貨建て債券の最大の特徴は、金利収入に加えて為替差益を狙える点であるが、同時に為替差損のリスクと常に隣り合わせである。購入時より円高が進むと、高い利息を受け取っても、円に換金した際に元本割れする可能性があるのだ。
日本の低金利を避けつつ、為替リスクを理解した上で資産を国際的に分散したいと考える中級者以上向けの金融商品である。



外貨建て債券は利回り面で魅力がありますが、為替変動の影響が大きい商品です。購入タイミングや為替ヘッジの有無を検討し、ポートフォリオ全体の為替リスクを管理することが重要です。
不動産投資


不動産投資は、アパートやマンションなどを購入して物件を貸し出すことで、賃料収入を定期的に得る投資方法だ。
不動産価格が上昇すれば、売却することでキャピタルゲインも狙える。
メリット | デメリット |
---|---|
定期的に家賃収入を得られる 物件が値上がりすれば売却益が期待できる | 空室リスクや災害リスクがある 物件の管理や修繕にお金がかかる 物件購入時にある程度まとまった資金が必要 |
不動産投資は、うまくいけば10%近くの利回りも期待できる投資方法だ。
ただし、実物の不動産を購入する場合、購入時にまとまった資金が必要となる点や、定期的に物件の修繕や管理に手間やお金がかかる点に注意が必要だ。
また、せっかく物件を購入しても借り手がいない場合は賃料収入が入らずに赤字となってしまう。
REIT


REITは、マンションやオフィスビル、商業施設などの不動産を対象とする投資信託で、投資信託を通じて間接的に不動産に投資できる金融商品だ。
個人では購入しにくい大型物件にも少額から投資が可能で、物件の管理等に手間がかからないというメリットがある。
メリット | デメリット |
---|---|
少額から不動産投資が可能 運用会社に不動産の管理・運用を任せられる 定期的にインカムゲインとして分配金を受け取れる | 空室リスクや災害リスクがある 分配金が減額になるリスクがある 投資法人の倒産リスクがある |
不動産価格は、株式や債券とは異なる値動きをしやすいため、分散投資の一環としてREITを購入するのがおすすめだ。
コモディティ


コモディティ投資とは、金(ゴールド)やプラチナといった貴金属、原油や天然ガスといったエネルギー、トウモロコシや大豆といった穀物など、「商品」そのものに投資することである。一般的には、これらの商品に連動する投資信託やETFを通じて投資する。
メリット | デメリット |
---|---|
インフレに強い傾向がある 株式や債券と異なる値動きで分散効果が高い 金は「有事の安全資産」として機能することがある | 利息や配当を生まない(インカムゲインがない) 価格変動が激しい場合がある 保管にコストや盗難リスクが伴う(現物の場合) |
コモディティは、それ自体が利息や配当を生むわけではなく、利益は値上がり益(キャピタルゲイン)のみとなる。主な役割は、インフレによる資産の価値の目減りを防ぐ「インフレヘッジ」である。
また、株価が下がるような経済不安の局面で、逆に価値が上がることのある「金」などをポートフォリオに一部組み入れておくことで、資産全体の値動きを安定させる効果が期待できる。
1,000万円を投資すると資産はどのくらい増える?運用シミュレーション
1,000万円を運用すると、具体的にどのくらい資産が増えるのか、なかなかイメージがつかないという方もいるだろう。
ここでは1,000万円をさまざまな利回りで運用した場合に、10年・20年・30年の運用期間でそれぞれどのくらい資産が増えるかをシミュレーションしていく。
利回り3%での運用シミュレーション
利回り3%で運用した場合のシミュレーションは下記の通りだ。
この利回りは、前述の【安定重視型】のように、債券を中心にしつつ一部を株式に分散投資することで目指せる水準である。
運用期間 | 将来の運用資産額 |
---|---|
10年 | 13,439,164円 |
20年 | 18,061,112円 |
30年 | 24,272,625円 |
※出典:三菱UFJアセットマネジメント「一括投資シミュレーション」
利回り3%で運用するためには、バランス型投資信託や配当利回りの高い株式、不動産投資、REIT、外貨建債券などの投資商品が考えられる。
利回り3%を狙うのはそれほど難しくないが、いずれも元本保証ではないため、元本リスクがある点に注意が必要だ。
利回り5%での運用シミュレーション
利回り5%で運用した場合のシミュレーションは下記となる。
この利回りは、前述の【バランス型】のように、株式と債券をバランス良く組み合わせることで現実的に狙える目標といえるだろう。
運用期間 | 将来の運用資産額 |
---|---|
10年 | 16,288,946円 |
20年 | 26,532,977円 |
30年 | 43,219,424円 |
※出典:三菱UFJアセットマネジメント「一括投資シミュレーション」
利回り5%を安定的に狙うためには、株式型の投資信託や不動産投資、REITといった投資商品での運用を検討する必要がある。
株式の配当利回りや債券から得られる利息で年5%を達成するのは難しいだろう。
年5%で運用する場合、3%や1%で運用する場合に比べると投資リスクが高まりやすいため、さまざまな投資対象に分散投資を行ったり、長期的な目線でコツコツ投資を継続したりすることが重要だ。
利回り7%での運用シミュレーション
利回り7%で運用した場合のシミュレーションは下記の通りだ。
この利回りを安定的に確保するには、前述の【積極型】のように、資産の大部分を株式に投資するなど、相応のリスクを取る必要がある。
運用期間 | 将来の運用資産額 |
---|---|
10年 | 19,671,514円 |
20年 | 38,696,845円 |
30年 | 76,122,550円 |
※出典:三菱UFJアセットマネジメント「一括投資シミュレーション」
年7%の利回りで運用した場合は、10年間で資産が約2倍、30年間では約7.6倍となる。
ただし、利回り7%を安定的に確保するのは、必ずしも簡単ではない。
株式型の投資信託や不動産投資の中でも、安定したリターンが得られる銘柄に絞って投資する必要があるだろう。
過去の運用パフォーマンスや運用方針、現在の組み入れ銘柄などをしっかりとチェックして、納得して投資できる銘柄を選ぼう。
また、過去の運用パフォーマンスが7%を超えていたとしても、将来にわたって同じ利回りが約束されているというものではない。
高いリターンを求める場合は、相応のリスクがあることも理解しておくことが重要だ。
1,000万円を運用するなら非課税制度を活用しよう
1,000万円を効率よく運用するためには、NISAとiDeCoの2つの非課税制度も活用するのがおすすめだ。
両制度は目的や資金の自由度が異なるため、特徴を理解して使い分けることが重要だ。まずは、それぞれの違いを簡単な表で確認しよう。
新NISA | iDeCo (個人型確定拠出年金) | |
---|---|---|
概要 | 自由度の高い資産形成制度 | 私的年金制度 |
税制優遇 | 運用益が非課税 | ①掛金(全額所得控除) ②運用益 ③受取時の3段階で優遇 |
年間投資上限 | 最大360万円 (つみたて投資枠120万+成長投資枠240万) | 14.4万~81.6万円 (職業や加入年金により異なる) |
資金の自由度 | いつでも引き出し可能 | 原則60歳まで引き出し不可 |
非課税保有 限度額 | 1,800万円(生涯) | 上限なし |
以下では、1,000万円を原資に、年代別の年間投資額の配分モデルケースを紹介する。



特に1,000万円規模の資産がある場合、非課税制度を活用することで、税負担を抑えながら複利効果を最大限に引き出すことができます。
これは、長期的な資産形成において非常に有効な戦略となります。
【現役世代(30〜40代)】将来に向けた資産最大化プラン
- 年間投資額の目安
360万円(NISA満額) + 27.6万円(iDeCo上限※会社員の場合) - 戦略
最も長く運用できる世代。NISAの「つみたて投資枠」「成長投資枠」の両方をフル活用し、全世界株式や米国株式インデックスファンドで積極的にリターンを狙う。iDeCoも所得控除のメリットが大きいため、上限額まで拠出。 - 1,000万円の配分
約5年でNISA枠を使い切るペースで投資。残りは待機資金とするか、特定口座で運用。
【リタイア準備期(50代)】老後資金のラストスパートプラン
- 年間投資額の目安
200万円〜360万円 - 戦略
60歳での引き出しが可能なiDeCoの優先度は高い。NISAでは、成長投資枠で株式で利益を狙いつつも、年齢を考慮し、債券ファンドの比率も高めて安定性を意識する。 - 1,000万円の配分
年間240万円をNISA(成長180万、つみたて60万)、年間27.6万円をiDeCoに、などリスク許容度に応じて調整。4〜5年程度で非課税枠を利用して投資していく計画を立てる。
【リタイア後(60代)】資産を守りながら使うプラン
- 年間投資額の目安
50万円〜120万円 - 戦略
iDeCoは原則受け取り開始。NISAは「増やす」から「取り崩しながら運用する」フェーズへ。高配当株ファンドや債券ファンドを中心に、安定した分配金(インカムゲイン)を非課税で受け取る戦略が有効。 - 1,000万円の配分
一括投資は避け、年間120万円のつみたて投資枠を上限に、積立投資を行う。資産寿命を延ばすことを最優先する。
1,000万円を運用する時の5つの注意点
1,000万円を運用する際は、以下の5つの点に注意しよう。
鉄則1:生活防衛資金は絶対に投資に回さない
1,000万円というお金で運用を始める場合も、生活防衛資金はきちんと確保しておこう。
生活防衛資金とは、ケガや病気によって働けなくなった場合や、災害などによってそれまで通りの暮らしを維持できなくなった場合に備えて確保しておくお金のことだ。
生活防衛資金まで運用に回してしまうと、いざというときに使えるお金がなくなって運用を途中で辞めざるを得なくなったり、日々の暮らしを満足に送れなくなったりするかもしれない。
資産運用を始める際は、現在の生活を維持するために必要なお金は現預金として確保しつつ、それ以外の余剰資金を運用に回すように心がけよう。
生活防衛資金として必要な金額は人によって異なるが、一人暮らしの場合は毎月の生活費の3カ月〜6カ月分程度、家族がいる場合は6カ月〜1年分程度の金額を目安にすると良いだろう。



万一の事態に備えた現金の確保は、資産運用を安定して続けるための土台です。
不測の支出に備えることで、急な出費にも対応でき、投資の継続性と精神的な安定の両立が可能になります。慎重な資金設計が重要です。
鉄則2:「卵は一つのカゴに盛るな」を徹底する(分散投資)
1,000万円で投資を始める際は、一つの商品や銘柄にまとめて投資をするのではなく、分散投資を意識しよう。
分散投資とは、投資する資産や地域、業種などを複数に分けて投資する方法だ。
仮に、資産をまとめて一つの銘柄に投資した場合、その銘柄が暴落するなどしたら自分の資産が大幅に目減りしてしまう。
投資の格言で「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉がある通り、資産(=卵)を複数の投資先(=カゴ)に分けて保有しておくことで、一つの資産の価格が下落しても他の資産は守られる。
分散投資の効果を最大限に活かすためには、異なる値動きのするものを組み合わせて保有することが効果的だ。
加えて、投資タイミングを分散することでもリスクを軽減する効果を得られる。
一括で投資するのではなく、毎月など定期的に積み立てていくことで、購入価格を平準化しやすくなるのだ。



資産の分散は単に銘柄を増やすだけでなく、異なる資産クラスや通貨、地域に分けることで効果を発揮します。これにより一部の市場が不調でも、全体の資産を安定的に保ちやすくなります。
鉄則3:短期的な値動きに一喜一憂しない(長期目線)
分散投資と合わせて実践したいのが、長期投資だ。
投資においては、投資期間が長いほど資産が増えやすくなる。
これは、運用によって得られた利益を元本に組み入れて再度運用する「複利」効果によるものだ。
利益を元本に組み入れて運用を継続することで、資産が雪だるま式に増えていくことが期待できる。
分散投資で価格変動のリスクを抑えつつ、長期投資でじっくりと資産を育てていくことで、資産を効率よく増やしていきやすいだろう。
また、長期的な運用を意識することで、日々の値動きに一喜一憂しにくくなることもメリットだ。
多少資産価格が上がったとしても焦らずに、長い目で見て運用を継続することで、結果的に資産を大きく育てていける。
鉄則4:年に一度はポートフォリオを点検する(リバランス)
運用を続けると、値上がりした資産の割合が増えるなど、当初の資産配分が崩れてくる。
例えばバランス型で始めたのに、株価の上昇でいつの間にか積極型のようなリスクの高い状態になっていることも。
年に一度などタイミングを決めて、元の配分に戻す「リバランス」を行い、リスクを取りすぎていないか確認しよう。
鉄則5:自分だけで判断できない時は専門家を頼る
市場の急変時やライフプランの変更時に「どうすれば良いか分からない」とパニックになり、誤った判断をしてしまうのが一番の失敗パターンだ。
客観的なアドバイスをくれる専門家をパートナーに持つことは、長期的な資産形成において最も有効なリスク管理の一つである。



専門家の助言を受けることで、感情的な判断や情報不足による失敗を避けやすくなります。第三者の視点は、冷静かつ長期的な資産運用を継続するための大きな支えとなります。
1,000万円の運用で効率的に資産を増やすなら「資産運用ナビ」で専門家に相談しよう
ここまで、1,000万円での運用方法や運用の際の注意点などを解説してきたが、「自分に適した金融商品がどんなものが判断できない」「ポートフォリオの見直しを定期的に行う自信がない」など、不安に感じている方も少なくないだろう。
結論から言うと、1,000万円での資産運用を始める場合は、資産運用の専門家に相談しながら進めていくのがおすすめだ。
ここでは、資産運用を専門家に相談すべき理由や、相談先の見つけ方について紹介する。
1,000万円の資産運用は専門家と進めるのがおすすめ
ここまで解説した通り、1,000万円の資産運用方法の選択肢はさまざまで、どの運用方法が適しているかはその人の運用目的やライフスタイルによって異なるため、万人におすすめの運用方法というものは存在しない。
また、資産運用を安定的に継続するためには、常に変動するマーケットや経済・国際情勢の動向について最新の情報をチェックする必要もある。
自分に適した運用計画を立てて、運用開始後に適切に見直しを行っていくのは、初心者にとってはハードルが高いと感じられるだろう。
投資経験者であったとしても、仕事や趣味などが忙しい場合は、投資にそこまで時間を割けないという方も多いはずだ。
だからこそ、資産運用はプロに相談した上で運用計画を立てて、適切にアフターフォローを行ってもらうのがおすすめだ。
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資産運用の相談をするなら、誰に相談するかも非常に重要だ。
資産運用の相談先としては、銀行や証券会社、FP、IFAなどさまざまな選択肢が挙げられる。
それぞれ特徴や報酬形態、メリット・デメリットなどが異なるため、どこが自分にとって最適な相談先かを客観的に見極めるのは難しいだろう。
そこで活用してほしいのが、あなたに合った資産運用の相談先を気軽に診断・検索できるプラットフォーム「資産運用ナビ」だ。
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得意分野や経歴、保有資格などのプロフィールもしっかりと確認できるため、納得の上で面談を申し込めるというメリットがある。
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1,000万円の運用はプロに相談して計画的に行おう
低金利環境が続く日本においては、資産運用は今や欠かせないものとなっている。
1,000万円の資金がある場合、なるべく早く運用を始めることをおすすめする。
本記事では、1,000万円を運用する際の注意点やおすすめの運用方法などを詳しく解説したが、運用ニーズや適したリスク・リターンは人によって異なる。
安定的に運用を続けるためには、自分の運用ニーズに適した金融商品を見極めて、最適な運用計画を立てつつ、定期的にポートフォリオを見直すことが重要だ。
とはいえ、自分に適した金融商品が判断できない、運用計画の立て方がわからない、と悩む方も少なくないはずだ。
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1,000万円規模の資産があれば、目標や期間に応じて複数の戦略を組み合わせる分散運用が可能です。
計画的な配分設計と継続的な見直しを行うことで、安定した資産形成が実現しやすくなります。早めの準備が成功の鍵です。