カードローンを利用する上で欠かせないのが「金利(実質年利)」の知識だ。
カードローンの金利は「利息制限法」という法律によって定められており、借入額に応じて15.0〜20.0%と決められている。
本記事では、カードローンにおける上限金利・下限金利と、利息制限法について解説している。
金利から利息額を計算する方法や、金利ごとの返済シミュレーションも紹介しているので、これからカードローンを利用したいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてほしい。
利息制限法はお金の貸し借りにおける金利の上限を定めている
カードローンの金利を決めている法律を「利息制限法」と呼ぶ。まずは、カードローンの上限金利とは何か、利息制限法とは何か、基本的な情報を整理していこう。
カードローンの上限金利とは?
カードローンの上限金利とは、「利用者に対して適用される最も高い金利」のことだ。
カードローン各社は「○%〜○○%」という形で金利を設定しており、各社設置している金利が異なる。
たとえば大手消費者金融カードローンの「アイフル」の金利は、「3.0%~18.0%」で決まる。
つまり、「アイフル」の上限金利は「18.0%」ということになる。
カードローンについて調べたことがある人には既知の情報かもしれないが、消費者金融カードローンの多くは上限金利が18.0%前後となっている。
これは「利息制限法」によって、カードローンで設定できる上限金利が決まっているためだ。
利息制限法の概要とその目的
利息制限法とは、カードローンの利息額を計算する際に使用する「金利(実質年利)」の上限を決めている法律のことだ。
カードローンの上限金利は、利息制限法によって次のように定められている。
- 借入額が10万円未満
- 20.0%
- 借入額が10万円以上100万円未満
- 18.0%
- 借入額が100万円以上
- 15.0%
利息制限法の目的は、消費者金融などのカードローンによる過剰な金利設定をなくし、債務超過や多重債務を防ぐことだ。
2010年6月17日以前の法律において、実質的な上限金利は「29.2%」と定められていた。
利息制限法の上限金利は今も変わらないが、「出資法」という法律では上限金利が29.2%と定められていたからだ。
したがって、20.0%超29.2%以下の部分は「グレーゾーン金利」と呼ばれ、29.2%という高い上限金利を設定する消費者金融も多かった。
こうした高利貸し付けから国民を守るために、2010年6月18日に出資法が改正され上限金利が20.0%に下がった。
現在では利息制限法と出資法、どちらも上限金利が20.0%に設定されているため、20.0%を超えた金利での貸し付けは刑事罰の対象となっている。
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カードローンの金利は借入先と借入額で決まる
カードローンの金利は利息制限法によって上限が決まっているが、だからといって全てのカードローンの金利が同じなわけではない。
ここでは、カードローンごとの金利と、金利の決まり方を解説する。
カードローンごとに金利は異なる
利息額を決めるために使用する金利は、カードローンによって異なる。
たとえば、大手消費者金融カードローンの「アイフル」の金利は3.0%~18.0%だが、同じく大手消費者金融カードローンの「プロミス」の金利は4.5〜17.8%となっている。
上限金利はプロミスの方が0.2%低いが、下限金利はアイフルの方が1.5%低い。このように金利は上限金利だけでなく下限金利についても、カードローンごとに異なっている。
ちなみに、カードローン各社がどのように金利を決めているかは公表されていない。
また、上限金利が20.0%近くまで設定されているカードローンもあれば、下限金利が1.0%以下に設定されているカードローンもある。
金利は借入限度額によって決まる
カードローンごとに定められている金利の中で、「自分に適用される金利はいくらか?」と気になっている人も多いだろう。
利用者ごとに適用される金利は、一般的に「借入限度額」によって決まっている。
借入限度額とは、「あなたには〇〇円まで融資可能です」とカードローン側が決めている上限のことだ。
たとえば大手銀行カードローンの「三井住友銀行カードローン」では、利用者ごとに10万円~800万円の間で借入限度額が決まっている。
また、金利は借入限度額に応じて、次のように決まっている。
借入限度額 | 適用金利 |
---|---|
100万円以下 | 年12.0%~14.5% |
100万円超 200万円以下 | 年10.0%~12.0% |
200万円超 300万円以下 | 年8.0%~10.0% |
300万円超 400万円以下 | 年7.0%~8.0% |
400万円超 500万円以下 | 年6.0%~7.0% |
500万円超 600万円以下 | 年5.0%~6.0% |
600万円超 700万円以下 | 年4.5%~5.0% |
700万円超 800万円以下 | 年1.5%~4.5% |
このように、金利は借入限度額によって決まることが多い。
ただし、大手消費者金融カードローンの「アイフル」や「プロミス」などは、借入限度額ごとの適用金利を公表していない。
実際に適用される金利については、カードローンのスマホアプリなどから確認可能だ。
カードローンの上限金利
ここでは、大手消費者金融カードローンの上限金利や、遅延損害金について解説する。
大手消費者金融の上限金利一覧
大手消費者金融カードローンとは、アイフル・アコム・プロミス・レイク・SMBCモビットの5社を一般的に指している。
これらのカードローンは全国的に知名度が高く、サービス内容が比較的類似している。
では、大手消費者金融カードローン5社の金利をチェックしてみよう。
金利(実質年利) | ||
---|---|---|
アイフル | 3.0〜18.0% | 詳しくはこちら |
アコム | 3.0~18.0% | 詳しくはこちら |
プロミス | 4.5~17.8% | 詳しくはこちら |
レイク | 4.5~18.0% | |
SMBCモビット | 3.0~18.0% | 詳しくはこちら |
大手消費者金融カードローン5社のうち、上限金利が最も低いのは「プロミス」だ。
他4社に比べて上限金利が0.2%低いため、上限金利が適用された場合で比較すると、利息額を抑えられるメリットがある。
一方で、下限金利が最も低いのは「アイフル」「アコム」「SMBCモビット」となっている。
最終的に800万円近い借入限度額を検討している人は、「アイフル」「アコム」「SMBCモビット」のいずれかを利用することで、利息額を抑えられるメリットがある。
ちなみに「アイフル」は、サービスをはじめて利用する人限定に「ファーストプレミアム・カードローン」を提供している。
ファーストプレミアム・カードローンの審査に通過すると、「3.0%~9.5%」の超低金利で借り入れられるのでおすすめだ。
遅延損害金の上限金利は「20%」
カードローンの遅延損害金とは、毎月決まった返済日(約定返済日)に一定額以上の返済がなかった場合に発生する手数料のことだ。
遅延損害金の上限金利は利息制限法によって「20%」と定められている。
これは借入額に関係なく設定されているので、現在の借入額・借入限度額にかかわらず20%の遅延損害金が発生するケースが多い。
約定返済日の返済を延滞した場合、遅延損害金は「返済日の翌日」から発生する。計算式は以下のとおりだ。
つまり、滞納日数が長いほど遅延損害金は膨らんで行くため、約定返済日の返済をもしも延滞してしまった場合は、可能な限り素早く返済するよう心がけよう。
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カードローンの利息を計算しよう
それでは最後に、カードローンの利息を計算する方法と、金利ごとの返済シミュレーションを紹介する。
カードローンを契約的に利用するためにも、利息額の計算方法などの知識を身につけておこう。
金利から利息額を計算する方法
カードローンを利用する際に、金利から利息額を計算する方法は次のとおりだ。
カードローンにおける金利は、純粋な金利と諸費用を含めた「実質年利」を意味する。
つまり「借入残高を1年間借り続けた場合の利息額」を意味するので、これを借入日数に算出し直す必要がある。
そのため、借入残高と金利で計算した額を365日(うるう年は366日)で割り、さらに借入日数を掛けて最終的な利息額を算出するのだ。
たとえば、金利18.0%で50万円を借り入れた場合の、30日後の利息額は次のように計算する。
この計算にしたがって算出される利息額は「7,397円(小数点以下切り捨て)」だ。
このように金利から利息額を計算するのは、電卓を使用すれば非常に簡単なので、ぜひ試してみてほしい。
金利ごとの返済シミュレーション
では、金利によって利息額がどのように変化するのかを実際にシミュレーションしてみよう。
ここでは、同じ金額を異なる金利で借り入れた場合の返済シミュレーションを紹介する。
金利18.0%で80万円を借り入れ、24回で返済する
回数 | 返済金額 | 元金 | 利息 | 残高 |
---|---|---|---|---|
1 | 39,939円 | 27,939円 | 12,000円 | 772,061円 |
2 | 39,939円 | 28,359円 | 11,580円 | 743,702円 |
3 | 39,939円 | 28,784円 | 11,155円 | 714,918円 |
4 | 39,939円 | 29,216円 | 10,723円 | 685,702円 |
5 | 39,939円 | 29,654円 | 10,285円 | 656,048円 |
6 | 39,939円 | 30,099円 | 9,840円 | 625,949円 |
7 | 39,939円 | 30,550円 | 9,389円 | 595,399円 |
8 | 39,939円 | 31,009円 | 8,930円 | 564,390円 |
9 | 39,939円 | 31,474円 | 8,465円 | 532,916円 |
10 | 39,939円 | 31,946円 | 7,993円 | 500,970円 |
11 | 39,939円 | 32,425円 | 7,514円 | 468,545円 |
12 | 39,939円 | 32,911円 | 7,028円 | 435,634円 |
中略 | ||||
24 | 39,932円 | 39,342円 | 590円 | 0円 |
累計 | 958,529円 | 800,000円 | 158,529円 | 0円 |
利息額の合計は「158,529円」、返済額の合計は「958,529円」になった。借入額が比較的大きいと利息額もそれなりの金額になる。
元金80万円に加えて15万円以上の利息を返済する必要があるため、カードローンの利用前にはやはり返済シミュレーションを実施して、返済計画を立てることが重要だ。
金利15.0%で80万円を借り入れ、24回で返済する
回数 | 返済金額 | 元金 | 利息 | 残高 |
---|---|---|---|---|
1 | 38,789円 | 28,789円 | 10,000円 | 771,211円 |
2 | 38,789円 | 29,149円 | 9,640円 | 742,062円 |
3 | 38,789円 | 29,514円 | 9,275円 | 712,548円 |
4 | 38,789円 | 29,883円 | 8,906円 | 682,665円 |
5 | 38,789円 | 30,256円 | 8,533円 | 652,409円 |
6 | 38,789円 | 30,634円 | 8,155円 | 621,775円 |
7 | 38,789円 | 31,017円 | 7,772円 | 590,758円 |
8 | 38,789円 | 31,405円 | 7,384円 | 559,353円 |
9 | 38,789円 | 31,798円 | 6,991円 | 527,555円 |
10 | 38,789円 | 32,195円 | 6,594円 | 495,360円 |
11 | 38,789円 | 32,597円 | 6,192円 | 462,763円 |
12 | 38,789円 | 33,005円 | 5,784円 | 429,758円 |
中略 | ||||
24 | 38,785円 | 38,307円 | 478円 | 0円 |
累計 | 930,932円 | 800,000円 | 130,932円 | 0円 |
利息額の合計は「130,932円」、返済額の合計は「930,932円」になった。
金利18.0%で借り入れた場合に比べると、利息額は約28,000円も安い。そのため、カードローンを利用する際はより低金利なサービスを選ぶのが鉄則だ。
ちなみに、多くの銀行カードローンは上限金利が15.0%以下なので、消費者金融カードローンに比べると低金利で借り入れられるメリットがある。
その分、審査は厳しくなることを覚えておこう。
消費者金融の金利上限について詳しく知りたい方はこちら
カードローンは上限金利を確認してから申込もう
本記事では、カードローンにおける上限金利・下限金利と、利息制限法について解説した。
金利はカードローン利用における利息額を決める、重要な情報だ。
カードローンを利用する前には、各社が提供している金利情報をしっかりと確認した上で、細かいサービス内容も含めて自分に合ったカードローンを選ぶといいだろう。
低金利で利用するなら銀行カードローンがおすすめだが、審査が比較的厳しい。
そのため、審査通過に自信がない人は消費者金融カードローンを選ぶといいだろう。
消費者金融カードローンの中でも「プロミス」は上限金利が0.2%低い。利息を少しでも抑えたいなら「プロミス」がおすすめだ。
気になったカードローンがあったら、金利情報などを確認した上で、さっそく審査に申し込んでみてほしい。