カードローンの借入限度額は審査によって上限が決まる。借入額を増やすために、カードローンの契約を増やして複数借入を検討したことはないだろうか。
- 複数社からそもそも借入はできるの?
- なにか条件があるのでは?
- 複数契約するとなにか影響が出るのでは?
このような疑問や不安を感じている人もいるかもしれない。そこで、本記事では複数借入の際に気になる疑問や不安になるところを解説する。
また、2社以上に複数借入をする際に注意しておきたいポイントや新たにカードローンを契約しなくても借入額を増やせる方法も紹介する。
2社目以降のカードローン新規契約を検討している人は参考にしてほしい。
カードローンを複数社から借入することはできる
「そもそもカードローンは何社まで借入できるのだろう?」という疑問があるかもしれない。実は審査に通りさえすれば何社からでも借入はできる。
特に法律で契約できるカードローンの数に決まりがあるわけではない。そして、複数社利用している人も統計上、少なくない。
具体的な人数は信用情報機関JICCが公表している統計が参考になる。実際に確認してみよう。
登録人数 | |
---|---|
1件借入 | 663.1万人 |
2件借入 | 237.5万人 |
3件借入 | 95.0万人 |
4件借入 | 35.4万人 |
5件借入 | 14.2万人 |
2件借入から5件借入までの登録人数を合計してみると382.1万人となる。
データで確認できるだけでも約382万人が複数の借入をしていることが分かる。
横浜市の人口が約377万人(2024年11月)であることを考えると、複数社の利用がいかに多いか想像しやすいのではないだろうか。
複数のカードローンから借入するための条件
複数のカードローンから借入している人は決して珍しくない。しかし、望めば誰でも何社でも無制限に借入できる訳ではない。
実際には各々の置かれた状況に応じて、契約できる件数も条件も変わってくる。複数契約を検討している人が知っておきたい条件を以下の3つの観点から解説する。
- ・返済能力に見合った借入が前提
- ・審査に通過できない理由
- ・審査通過のポイント
2社目以降の借入を検討している人は参考にしてほしい。
返済能力に見合った借入が前提
消費者金融をはじめとした貸金業者は、利用者への過剰貸付が法律で制限されている。そのため、借入する際には返済能力の有無を必ず確認される。
例えば、過去に返済できなかったり遅れたりしたことがあったりすれば、返済能力を疑われてしまい審査には不利に働くだろう。
また年収の1/3以上の借入は、総量規制という決まりによって制限されている。
1社でも複数社でも関係なく、自分の借入額の合計が年収の1/3を超えてしまうと借入ができない。
このような制約も返済能力を超えた借入を防ぐための制度設計として存在している。銀行カードローンに関しては総量規制の対象外だが、それでも返済能力は問われる。
返済能力次第で2社以上からの借入は可能だが、現実的には返済能力や規制があるため無条件に何社も借入できるという訳ではない点に注意しよう。
審査に通過できない理由
カードローンは契約の度に各社で審査がある。基本的に契約する数が増えるほど、審査が厳しくなると考えるのが自然だ。
2社目、3社目と数が増えるほど借入額は増えてしまう。そのため、契約する数を増やそうとするほど審査通過は難しくなる。
つまり、既存の借入件数が多いほど相応の返済能力を証明できなければいけない。
また、短期間に複数のカードローンに同時申し込みすることも審査に通過できなくなる理由となる。
というのも、申し込みをしている情報自体が信用調査会社に記録されるためだ。複数同時に申し込むと、本当に返済できるのか疑問を持たれてしまうからだ。
いわゆる「申し込みブラック」と呼ばれる状態で審査に通過しづらい理由になってしまう。
審査通過のポイント
審査に通過するためには、通過できない理由を避ければよい。返済能力に見合った申し込みをすれば、自ずと審査には通りやすくなるはずだ。
年収を上げたり雇用形態を変えたりするのは、なかなかすぐにはできない。しかし、以下の4つのポイントは審査前にすぐにできることなので意識してほしい。
- 年収の1/3以上借入をしない
- 返済能力に応じた数しか申し込まない
- 借入希望額は少なめにする
- 申し込みブラックを避けるため同時申し込みは避ける
同じ返済能力でも、これらの審査通過ポイントを守れば通りやすくなるはずだ。
ただし、返済能力に相応しくない借入に関しては、通過は難しいため年収をあげたり転職したりする必要は出てくるだろう。
カードローンを複数契約するとどんな影響がある?
カードローンの複数契約は基本的に、すればするほど審査に悪影響が出たり、返済が負担になったりする。
借入できる額を増やせたり、返済日を複数日程に分けたりといった面でメリットもあるが、概ねデメリットとなる影響も目立つ。
- 信用情報に履歴が残る
- 各ローン会社に申し込み履歴が残る
- 返済の管理が煩雑になる
- 返済負担が増える
この4つの影響を一つずつ確認してみよう。
信用情報に履歴が残る
カードローンの契約は、信用情報機関に履歴が残ってしまう。例えばJICCならば、契約継続中または契約終了後5年以内は信用情報が登録されることになっている。
借入をして返済をしたという実績も残るため、信用情報が残ることが必ずしも悪い訳ではない。
しかし、複数の借入は審査に悪影響もある。借入先が増えれば増えるほど、返済額が増えたり資金繰りを厳しく見られると考えるのが自然なためだ。
信用情報が残ってしまうことを踏まえて借入を検討しよう。
各ローン会社に申し込み履歴が残る
申し込み履歴に関しては、信用情報のように保存期間が明確に存在しない。そのため、安易な申し込みを複数社にしてしまうと後々、審査に悪影響が出る恐れがある。
特に「申し込みブラック」と呼ばれる状況につながりかねない。不要に将来の審査が厳しくならないように、新規の申し込みは慎重に行おう。
返済の管理が煩雑になる
複数社から借入をしてしまうと、返済の管理が複雑で面倒になる。特に返済日が各社ごとに違ったり、返済に関する貸付利息をはじめとしたルールも違うと混乱してしまう。
返済計画とスケジュールが自ずと複雑になり、どこか1つでも返済に遅れてしまうと信用情報に傷がつく。
借入先が増えるほど返済が複雑になってしまうことは、デメリットなので注意してほしい。
返済負担が増える
複数のカードローンで借入先を増やせば、自ずと返済しなければいけない負担は重くなる。
特にカードローンは、住宅ローンや教育ローンなどに比べると金利が高いため家計への負担は無視できない。
特に借入上限額が小さいカードローンを複数契約すると、それぞれ上限金利が適用されるのが一般的で金利の負担が重くなりがちだ。
返済の管理が複雑になり、さらに返済額も重くなると多重債務に陥る可能性もある。
複数社利用で、急な入用に対処しやすくなる反面、返済に関してはデメリットとなる影響も目立つ。
2社目以降のカードローンで借入する時のポイント
2社目以降のカードローン利用は、審査と返済管理・負担の観点から考えると利用者にとって不利な影響も無視できない。
もし、2社目以降の借入を検討する場合は以下の3つのポイントをおさえてほしい。
- 借入希望額は必要な分だけに設定
- 返済計画を見直す
- 借り換えも検討
2社目以降の契約に申し込む前に確認してみてほしい。
借入希望額は必要な分だけに設定
審査だけでなく、借入後の返済負担軽減の観点からも借入希望額は、必要な分だけに設定しよう。
借入希望額を必要以上に増やしすぎると審査に通りづらくなる。仮に通ったとしても枠いっぱいに借入をしてしまうと当然、返済負担は重くなってしまう。
そもそも、2社目以降の借入が必要になる前に本当に借入をしなければいけないのかも考えてほしい。
例えば、家計の支出を見直すなど、借入するにしても別の手段がないかも検討してみよう。
カードローンは担保なしで、すぐに借入できる利便性は魅力だが、その分、返済の負担は重くなりがちだ。本当に必要な分だけしか借入をしないことを前提に利用しよう。
返済計画を見直す
借入先を増やす場合は、返済計画の見直しも考えよう。複数社から借入をした場合、トータルで返済がどうなるのかを考えてみてほしい。
1社だけなら各社が用意している専用アプリなどで、返済計画もたてやすいが2社以上の利用となると自分で総合的に管理しなければいけない。
毎月の返済額や約定返済をし続けた場合の金利の負担など、一つにまとめて考えてみることをおすすめする。
例えば、金利に違いがあれば金利の高いものを早めに返済して支払い総額を減らすなど工夫できる余地が見つかるかもしれない。
借り換えも検討する
2社目以降の借入を検討している理由が、借入額を増やしたい、または金利の低いローンで借入をしたいということなら借り換えも検討してみてほしい。
もちろん、新しく借り換えローンを契約するには審査が必要だ。
しかし、既存のカードローンを契約したときに比べて年収が増えたり職業が安定したりと状況が変わっていれば、新規契約ではなく借り換えでも目的を達成できるかもしれない。
借り換え先の審査次第で金利が低くなったり、借入限度額を増やせたりすることも考えられるからだ。
また、消費者金融や銀行の多くは、「おまとめローン」と言われるタイプのローン商品を取り扱っている。
おまとめローンのメリットとデメリットは以下の通りだ。
- 返済日程を一つにまとめやすくなる
- 契約次第ではトータルでの返済負担が軽くなる
- 借入先が絞れるので信用情報に良い影響が出やすい
- 新たに審査がある
- 契約次第では返済負担が重くなることもある
- 手数料がかかったりして返済負担が軽くならないこともある
もし、借入先が増えすぎて困っている場合、返済負担を軽くできたり、返済計画をシンプルにできたりするので
検討してみてほしい。
何社もカードローンを契約しなくても借入額を増やせる方法
借入限度額を増やすために、複数社と契約するのはデメリットも多い。
また2社目以降の審査は借入額が増える分、厳しくなりがちなので通らないとお悩みの人もいるかもしれない。
借入限度額を増やす方法は、カードローンの契約数を増やすだけではない。既に借入している金融機関で増額申請してみるのも手だ。
増額申請ならば、借入先を無駄に増やさずに借入できる額を増やせる。しかも、借入額次第では金利を抑えることも可能だ。
- 借入限度額の増額の概要
- 増額する際の注意点
この2点について解説する。
借入限度額の増額の概要
借入限度額の増額とは、文字通り借入できる額を引き上げることだ。契約するカードローンを増やすことなく借入額を増やせる。
また、条件次第では金利を下げることもできる。利息制限法では100万円以上の借入をすると上限金利を15.0%まで定められている。
そのため消費者金融の上限金利は限度額100万円を超えると15.0%以下になるように設定されている。
- 50万円の借入限度額のカードローン2社で契約した場合(100万円以下の借入すると金利18.0%のケース)
- 100万円に増額した場合(100万円以上の限度額で金利が18.0%から15.0%になるケース)
この2つを比べてみると分かりやすい。
借入できる額 | 金利 | 返済先 | |
---|---|---|---|
50万円まで借入できるカードローンを2つ利用 | 2社で100万円 | 18.0% | 2つ |
増額して100万円借入した場合 | 1社で100万円 | 15.0% | 1つ |
2社で借入した場合と1社で増額した場合でシミュレーションをしてみよう。
金利18%で50万円のカードローンを利用した場合のシミュレーションは以下の通りだ。
同じ条件で2社から50万円ずつ借入をした場合
返済回数 | 返済金額 | 元金充当 | 利息充当 | 残高 |
---|---|---|---|---|
1 | 13,000円×2=26,000円 | 5,624円×2=11,250円 | 7,376円×2=14,752円 | 500,000円×2=1,000,000円 |
2 | 13,000円×2=26,000円 | 5,456円×2=10,912円 | 7,544円×2=15,088円 | 494,376円×2=988,752円 |
3 | 13,000円×2=26,000円 | 5,526円×2=11,052円 | 7,474円×2=14,948円 | 488,920円×2=977,840円 |
4 | 13,000円×2=26,000円 | 6,326円×2=12,652円 | 6,674円×2=13,348円 | 483,394円×2=966,788円 |
5 | 13,000円×2=26,000円 | 5,707円×2=11,414円 | 7,293円×2=14,586円 | 477,068円×2=954,136円 |
6 | 13,000円×2=26,000円 | 6,027円×2=12,054円 | 6,973円×2=13,946円 | 471,361円×2=942,722円 |
・・・・・ | ・・・・・ | ・・・・・ | ・・・・・ | |
58 | 9,637円×2=19,274円 | 0円×2=0円 | ||
750,637円×2=1,501,274円 | 250,637円×2=501,274円 |
決められた額ずつ毎月返済した場合、金利が2社合計501,274円となる。
一方、増額申請で1社にまとめて、金利15%で100万円の借入をした場合のシミュレーションは以下の通りだ。
返済回数 | 返済金額 | 元金充当 | 利息充当 | 残高 |
---|---|---|---|---|
1 | 26,000円 | 13,705円 | 12,295円 | 1,000,000円 |
2 | 26,000円 | 13,457円 | 12,543円 | 986,295円 |
3 | 26,000円 | 13,607円 | 12,393円 | 972,838円 |
4 | 26,000円 | 14,963円 | 11,037円 | 959,231円 |
5 | 26,000円 | 13,971円 | 12,029円 | 944,268円 |
6 | 26,000円 | 14.531円 | 11,469円 | 930,297円 |
・・・・・ | ・・・・・ | ・・・・・ | ・・・・・ | |
53 | 19,202円 | 18,961円 | 241円 | 0円 |
1,371,202円 | 371,202円 |
同じ100万円の借入でも金利が下がることで、毎月の返済額は2社借入した場合と変わらなくても利息が501,274円から371,202円にまで下がる。
このように増額の方が条件次第では、返済先がまとまるだけでなく金利が下がる可能性もある。仮に金利が下がらなかったとしても返済が複雑にならない点もメリットだ。
増額する際の注意点
借入限度額増額には注意点もある。
- 審査がある
- 審査結果次第で限度額が減る可能性もある
- 収入証明書が必要になる場合もあり
- 利用実績を積んでから申し込みがおすすめ
増額申請をする場合は再審査をすることになる。審査に通らないことも考えられる上に、結果次第では借入できる額が減額されてしまう可能性がある。
そのため年収が下がったり、雇用形態が不安定になったりしているときに増額申請をしてしまうと事態が悪化してしまう恐れがある。
また、増額申請の場合は収入証明書が必要になるケースもある。
1社で50万円を超える借入額を希望する場合と複数社で借入限度額100万円を超える場合は、給与明細や確定申告書など収入を証明できる書類を求められる。
カードローン会社によっては増額申請の場合、収入証明書を条件に関わらず提出するように指示されることもある。
そして、増額申請は基本的に既存のカードローンの利用実績を積んでからがおすすめだ。
具体的には6ヶ月以上の実績があると、増額申請も通りやすくなるかもしれない。
カードローン会社によってはセブン銀行のように初回借入から6ヶ月以上の経過を明示しているところもある。
増額申請は審査の結果次第で裏目に出てしまうこともある。そのため、審査に通る見込みがあるときの申請がおすすめだ。
カードローンは複数社でも借りられる!ただしデメリットに注意
カードローンの利用を何社までと制限する決まりはない。審査に通れば何社でも借入はできる。
実際に複数社を利用している人も少なくない。複数社の利用で借入限度額を増やせるメリットはあるだろう。
しかし、実際には希望すれば誰でも何社でも契約できるという訳ではない。返済能力の有無や総量規制などによって実際に借入できるカードローンの数は決まる。
契約する数を増やせば増やすほど、借入額が増えて返済能力も厳しく見られるため審査は厳しくなりがちだ。
また、無闇に利用する会社を増やしすぎると返済が煩雑になったり、返済負担が大きくなったりとデメリットも大きい。増額申請や家計の見直しも考えてみてほしい。