複数の借入があるためおまとめローンの利用を考えているものの「おまとめローンのデメリットはなんなのか」「利用する際の注意点はあるのだろうか」などの不安や悩みを抱えている方もいるのではないだろうか。
結論から言うと、おまとめローンは返済期間が長引く可能性や審査が厳しめというデメリットがある一方で、月々の返済額を抑えられたり管理がしやすかったりするというメリットも見られる。
本記事では、おまとめローンのデメリットを中心にメリットや借入を一本化するコツなどを詳しく解説する。完済できない場合のリスクも紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
おまとめローンとは
おまとめローンとは、複数の借入を一本化して返済するためのローンのことを指す。貸金業法により、既存のローンよりも月々の返済額や金利の引き下げが義務付けられている。
おまとめローンは、カードローンやクレジットカードのキャッシングなど複数の借入があって、管理が複雑だったり金利が高いと感じたりする場面で活用するとよい。
おまとめが可能な対象は、主に以下の通りだ。
- カードローンの借入
- クレジットカードのキャッシング
- クレジットカードのリボ払い
- その他消費者金融からの借入
クレジットカードのショッピング枠は対象外な場合が多いが、一部の金融機関では一本化が可能だ。
また、銀行も対象外になっていることが多いので申し込み前に確認しておこう。
なお、消費者金融のカードローンなどは、総量規制によって年収の3分の1を超える借入ができない。
ただし、おまとめローンは既存のローンよりも負担が軽減される前提のため、総量規制の対象外だ。
総量規制とは、日本の貸金業法による金融規制のことを指す。個人が借入可能な金額を年収の3分の1まで制限し、過剰な借入を防ぐ制度だ。
銀行カードローンは銀行法によって規制されているため総量規制の対象外だが、独自に設定しているため年収の3分の1を超える借入は難しい。
ただし、おまとめローンは既存のローン残高以上の借入はできない。例えば、以下の通り借入残高があったとしよう。
- A社
- 30万円
- B社
- 40万円
- C社
- 50万円
合計すると120万円のため、おまとめローンを申し込む際の借入限度額も120万円となる。
おまとめローンの5つのデメリット
おまとめローンには以下5つのデメリットがある。
- 追加借入ができない
- 金利が高くなる可能性がある
- 返済期間が長引く可能性がある
- 1回の返済額が増える
- 審査が厳しい傾向にある
それぞれ1つずつ見ていこう。
追加借入ができない
おまとめローンは返済専用の商品のため、カードローンのように追加借入ができない。もちろん、借入金額の一部を返済しても利用限度額が増えることはない。
追加資金を借りたい場合は、別途新たなローンを契約する必要がある。その場合は、カードローンやキャッシングを利用するとよいだろう。
金利が高くなる可能性がある
カードローンを返済用として利用する場合や銀行のおまとめローンは、金利が高くなる可能性がある。
カードローンや銀行のおまとめローンは、既存の借入よりも金利を引き下げる義務が無いためだ。
なお消費者金融が用意しているおまとめローンは、貸金業法の規制によって既存の借入よりも金利を引き下げる義務があるので、金利が高くなることはない。
絶対に金利を上げたくない場合は、消費者金融のおまとめローンを利用するとよい。
返済期間が長引く可能性がある
消費者金融のおまとめローンを利用する際は、貸金業法の規制によって既存の借入よりも月々の返済額が必ず減る。
ただし、月々の返済額を減らせば返済期間が長引く可能性があるため、利息が増えるというデメリットがある。
月々の返済額だけでなく返済総額とのバランスを考慮した上で返済計画を立てよう。
1回の返済額が増える
おまとめローンを利用する場合、既存の借入の返済額や利息が減ったとしても1回の返済額は増えてしまうデメリットがある。
例えば、既存の借入で月々の返済額が以下の場合を想定しよう。
- A社
- 1万円
- B社
- 1万円
- C社
- 2万円
1つずつを見れば少額かもしれないが、まとめると4万円になる。月々の返済額は4万円よりも多少下がるものの、返済日のタイミング次第では負担になることもあるだろう。
返済に余裕が無い場合は、給料日直後に返済日を設定できる金融機関を選ぶなどの対策をしておくべきだ。
審査が厳しい傾向にある
おまとめローンは複数の借入を一本化する性質上、借入金額が大きくなりやすい。借入金額が大きいと高い返済能力が求められるため、審査が厳しくなる傾向にある。
なお、おまとめローンの審査項目は主に以下の通りだ。
- 属性
- 返済能力
- 信用情報
属性とは、個人の年齢や職業などの基本情報のことをいう。また、収入や資産、家族構成などの生活基盤情報も含まれる。
金融機関の中でも特に消費者金融は、貸付の利息が主な収益源だ。
貸し倒れリスクを回避しなければならないため、年収や勤続年数などから返済能力があるのかを審査において重要視している。
また、信用情報も重要視される項目の1つだ。信用情報とは、信用情報機関に記録されているローン・クレジットの契約や申し込みに関する過去の取引履歴情報のことを指す。
現在の借入状況の他、延滞や滞納履歴も必ず見られる。
なお、おまとめローンはカードローンと比較して審査に厳しい傾向にあるが、消費者金融にとって大きな収益源となるため融資に積極的だ。ると考えておいてほしい。
知っておくべきおまとめローンのメリット
ここまではデメリットを中心に解説してきたがしたが、おまとめローンには以下のようなメリットもある。
- 総量規制の対象外となる
- 金利が低くなる
- 毎月の返済額や支払い総額が減少する
- 返済計画を立てやすくなる
それぞれ詳しく解説する。
総量規制の対象外となる
おまとめローンは既存の借入よりも負担を軽くすることを目的としたローンのため、総量規制の対象外になる。
既存の借入が年収の3分の1を超えていたとしても、おまとめローンの利用が可能だ。なお総量規制の対象は、消費者金融のカードローンなどが挙げられる。
総量規制に左右されず既存の借入を一本化できるのは、おまとめローンの大きなメリットだ。
金利が低くなる
おまとめローンは貸金業法により、既存の借入よりも低金利にすることが義務付けられている。複数の借入を一本化すると借入額が大きくなることも、金利が低くなる1つの要因だ。
また、借入金額によって上限金利が決まる「利息制限法」によって金利が低くなることもある。利息制限法による上限金利は、以下の通りに定められている。
借入金額 | 上限金利 |
---|---|
10万円未満 | 年20.0% |
10万円〜100万円未満 | 年18.0% |
100万円以上 | 年15.0% |
100万円未満の借入が複数あり、それぞれの金利が年15.0%だったとしよう。おまとめローンを利用して100万円以上の借入にすることで、金利がどれだけ高くても年15.0%で借りられる。
おまとめローンは、貸金業法による規制や利息制限法によって金利が低くなる可能性が高いというメリットがある。
毎月の返済額や支払い総額が減少する
おまとめローンを利用することで、毎月の返済額や支払い総額を軽減できる可能性が高くなる。
おまとめローンは貸金業法により、毎月の返済額と金利を既存の借入よりも抑えなければならない。
そのため、既存の借入とおまとめローンを同じ返済期間にすれば、支払い総額も減少する。
既存の借入負担が厳しいと感じている方にとって、大きなメリットだ。
返済計画を立てやすくなる
おまとめローンは、複数の借入を一本化することで管理がしやすくなるため、返済計画を立てやすくなる。
例えば、3社からカードローンの借入をしていた場合、返済日の管理が複雑になり支払いが遅れるかもしれない。
また、月に3度の返済があると常に追われている感覚になることもあるだろう。
おまとめローンは、返済計画が立てやすくなるのはもちろん、返済日が月に一度になるため精神的にも楽になるというメリットもある。
おまとめローンを完済できないとどんなリスクがあるのか
おまとめローンの完済が困難になった場合の主なリスクは、以下の通りだ。
- 遅延損害金の発生
- 信用情報への影響
- 一括請求のリスク
滞納し始めた時点から遅延損害金が発生する。利息よりも金利が高く、更に借金が膨らむことになるだろう。
滞納が長引くと、次は信用情報に事故情報として記録が残ってしまう。いわゆる、ブラックリストに登録された状態のことだ。
返済が数ヶ月滞ると、残債の一括請求を受ける可能性が高まる
。一括請求を放置したままでは財産や給与が差し押さえられる可能性が高いため、返済できない場合は速やかに弁護士などに相談しなければならない。
最終的には、債務整理など法的手段を検討する必要がある。
債務整理とは、弁護士に依頼して進める以下のような法的手段のことだ。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
任意整理とは、裁判所を通さずに債権者と直接交渉する方法のことを言う。利息をカットし、3年〜5年の分割返済に移行できるが、金融機関によっては応じてもらえない可能性もある。
信用情報に事故情報として記載されるデメリットはあるが、債務整理の中では一番負担の少ない方法だ。
個人再生とは、裁判所を通じて債務を大幅に減額し、3年〜5年で分割返済を進めていく方法のことを指す。
最大で9割減額できる可能性があるが、複雑な法的手続きが必要だったり再生計画案を作成したりしなければならない。また、事故情報として信用情報に記載される。
なお、持ち家などの財産は維持できるのが特徴の方法だ。
自己破産は、返済が全くできなくなった際に裁判所を通じて借金の支払い義務を免除してもらう方法のことで、最終手段と言える。
事故情報として信用情報に残るのはもちろん、持ち家などの財産は全て手放さなければならない。
おまとめローンを完済できない場合は最悪の場合自己破産のリスクもあるため、慎重に返済計画を立てよう。事前に確認すると良いだろう。
おまとめローンで借入を一本化するコツ
おまとめローンを利用する際に無計画で進めてしまうと、返済が厳しくなる場合がある。
そうならないためにも、ここではおまとめローンで借入を一本化するコツを以下3つの項目に沿って解説していく。
- シミュレーションを活用した返済計画を立てる
- 毎月の返済額を下げすぎない
- 繰り上げ返済で返済期間を短縮する
それでは、それぞれ見ていこう。
シミュレーションを活用した返済計画を立てる
おまとめローンを利用する際は、各金融機関のWebサイトにあるシミュレーションを活用して返済計画を立てるとよい。
なお、シミュレーションでは借入希望額や返済期間、金利などの条件を入力すれば、毎月の返済額や返済総額の確認が可能だ。
上限金利でシミュレーションしておくと、実際の適用金利が高くても想定内として捉えられる。
例えば、現在以下3社の借入がある場合のシミュレーションを見てみよう。既存の借入と、おまとめローンはどちらも5年で返済していくものとする。
A社
適用金利 | 年18.0% |
---|---|
借入残高 | 400,000円 |
返済月額 | 10,200円 |
返済総額 | 610,000円 |
B社
適用金利 | 年18.0% |
---|---|
借入残高 | 500,000円 |
返済月額 | 12,700円 |
返済総額 | 762,000円 |
C社
適用金利 | 年18.0% |
---|---|
借入残高 | 800,000円 |
返済月額 | 20,400円 |
返済総額 | 1,219,000円 |
3社の借入を合計すると、以下の通りだ。
- 月々の返済額が43,300円
- 返済総額は2,591,000円
おまとめローンを利用した場合の例を見ていこう。
おまとめローン
適用金利(固定金利) | 年15.0% |
---|---|
借入残高 | 1,700,000円 |
返済月額 | 41,000円 |
返済総額 | 2,430,000円 |
今回は、100万円以上借りる場合の上限金利である年15.0%でシミュレーションをした。
元々の借入と比較すると、おまとめローンで一本化することにより月々の返済額が2,900円、返済総額が189,000円減ることになる。
このようにシミュレーションしておくと、借入前に返済計画を立てられるだろう。
今回は汎用のシミュレーションサイトを利用したが、実際には検討している金融機関のものを利用するとよい。
毎月の返済額を下げすぎない
おまとめローンを利用する際は、毎月の返済額を下げすぎないようにしよう。毎月の返済額が減ると返済期間が延びて利息が大きくなり、返済総額が増えてしまうためだ。
例えば、おまとめローンで100万円を年15.0%で借りるとしよう。
返済期間 | 月々の返済額 | 利息 | 返済総額 |
---|---|---|---|
3年 | 35,000円 | 250,000円 | 1,250,000円 |
5年 | 24,000円 | 430,000円 | 1,430,000円 |
返済期間を延ばすと、利息が大きく増加していることが分かる。
おまとめローンを利用する場合は、現在の借入と比較して返済期間や月々の返済額のバランスを慎重に見ておいた方がよいだろう。
繰り上げ返済で返済期間を短縮する
繰り上げ返済を活用することで返済期間を短縮できるため、利息の軽減が可能だ。
前述の通り、返済期間が延びると大幅に利息が増える。一方で、返済期間を短縮できれば大幅に利息を減らせる。
金銭的に余裕がある場合は、繰り上げ返済で今後の負担を減らすのもよい選択肢の1つだ。すると良いだろう。
おまとめローンはリスクを理解した上で利用しよう
おまとめローンとは、既存の複数の借入を一本化して返済するためのローンのことを指し、カードローンやクレジットカードのキャッシングなどをまとめられる。
おまとめローンには、以下5つのデメリットがある。
- 追加借入ができない
- 金利が高くなる可能性がある
- 返済期間が長引く可能性がある
- 1回の返済額が増える
- 審査が厳しい傾向にある
一方で、総量規制の対象外のため年収の3分の1以上の借入をまとめられるメリットがある。また、月々の返済額や金利を下げられるのも魅力的だ。
おまとめローンを完済できなくなると遅延損害金の発生や信用情報への影響などのリスクがあるため、返済計画を立てた上で利用すべきだ。
もし完済できない場合は、最終手段として弁護士に依頼して任意整理や自己破産などの債務整理をしなければならない。
おまとめローンを利用する場合は、以下の3つを考慮しておくと返済をスムーズに進められるだろう。
- シミュレーションを活用した返済計画を立てる
- 毎月の返済額を下げすぎない
- 繰り上げ返済で返済期間を短縮する
まとめると、おまとめローンは複数の借入を一本化できて便利な一方で、返済期間が長引いて支払い総額が増えるなどのデメリットもある。
シミュレーションを活用して慎重に返済計画を立てた上で、利用するとよい。