- 5,000万円の死亡保険の月額保険料は具体的にどれくらいか?
- 高額な死亡保険に加入するメリットとデメリットは何か?
- 自分に最適な死亡保険を選ぶためには、どのようなポイントを考慮すべきか?
もしも「一家の大黒柱」が突然亡くなったら、残された家族が必要とする金額はいくらになるのだろう?
生命保険でそのリスクをカバーする場合、どれだけの保険金が必要で、そのためには月々いくら支払う必要があるのだろう?
この記事では、こうした疑問にお答えすることを目的に、「もしものとき」の必要保障額や、高額死亡保障の保険料のシミュレーションに至るまでを網羅的に解説した。
そして高額死亡保障の必要性を確認するため、3つの質問も用意した。
高額の死亡保険金設定が、ご家族に良い選択となるかは、家計の状況によって異なる。
多角的な検討を加えられるよう、できるだけ丁寧な説明を目指した。
死亡保険への加入を検討している方や、見直しを考えている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしていただきたい。
【5,000万円は多い?】死亡保険の必要保障額とは
死亡保険は、被保険者が亡くなった場合に遺族に保険金が支払われる保険商品だ。
多くの人はこの保険を検討する際に「保険金額をいくらに設定するか」という難問に直面するだろう。
この項では「いくら」という答えを出すものではない。代わりに、死亡保険金額のイメージを持っていただくための材料の提供に努める。
具体的には、生命保険文化センターの調査結果と、「必要保障額」について一般的なガイドラインという材料を提供する。
調査結果: 年齢別平均死亡保険金額
生命保険文化センターの調査によると、2021年の世帯主の年齢別の死亡保険金額は以下のとおりであった。
世帯主の年齢 | 全体 | 29歳以下 | 30〜34歳 | 35〜39歳 |
死亡保険金額 | 2,027万円 | 1,754万円 | 2,516万円 | 2,525万円 |
世帯主の年齢 | 40〜44歳 | 45〜49歳 | 50〜54歳 | 55〜59歳 |
死亡保険金額 | 2,714万円 | 2,980万円 | 2,296万円 | 2,312万円 |
世帯主の年齢 | 60〜64歳 | 65〜69歳 | 70〜74歳 | 75〜79歳 |
死亡保険金額 | 2,033万円 | 1,478万円 | 1,460万円 | 1,058万円 |
世帯主の年齢 | 80〜84歳 | 85〜89歳 | 90歳以上 | |
死亡保険金額 | 876万円 | 1,104万円 | 684万円 |
調査結果: 家族構成別平均死亡保険金額
また、同調査による、家族構成別の平均死亡保険金額は、以下のとおりであった。
家族構成 | 平均死亡保険金額 | |
世帯主 | 配偶者 | |
夫婦のみ (40歳未満) | 1,282万円 | 701万円 |
夫婦のみ (40〜59歳) | 1,326万円 | 645万円 |
末子乳児 | 1,945万円 | 944万円 |
末子保育園児・幼稚園児 | 1,961万円 | 885万円 |
末子小・中学生 | 2,093万円 | 904万円 |
末子高校・短大・大学生 | 1,709万円 | 639万円 |
末子就学終了 | 1,112万円 | 621万円 |
高齢夫婦有職 (60歳以上) | 873万円 | 619万円 |
高齢夫婦無職 (60歳以上) | 577万円 | 384万円 |
必要保障額: 残された家族に必要な金額はいくら?
次に、死亡保険金で準備しておきたい金額、すなわち「必要補償額」の一般的な計算について解説する。
必要補償額の一般的な計算
残された家族に必要な金額は、以下の計算式で概算できる。
以下に、「夫(収入: 月35万円)、妻(収入: 月15万円)、子供2人の家計で、夫が死亡した」という例で計算してみる。
①遺族の月々の支出を計算: 毎月の支出は35万円、夫の趣味や外食にかかる費用が6万円の場合、遺族の月々の支出は29万円。
②遺族の月々の収入を計算: 夫の没後の家計収入は、遺族年金と妻の勤労収入で月々20万円が見込まれる場合、月々の必要補償額は9万円。
③総必要保障額を計算: 子供が社会人になるまでの期間が20年の場合、総必要保障額は2160万円となる。
必要補償額の計算に加えるべき項目
上の計算をより精緻に行うため、以下の項目について支出と収入を見込んでおこう。
分類 | 項目 | 内容 |
支出 | 葬儀関連費用 | 概算で200万程度。死亡直後にかかる大きな支出である、葬儀費用の平均は約110.7万円(2022年に発表された株式会社鎌倉新書の「第5回お葬式に関する全国調査」)。 ただし、昨今は規模の小さい葬儀へのニーズが高まっており、平均葬儀費用の下落傾向がみられる。 |
生活費 | 遺族が日常生活を送るために必要な支出。計算が難しい場合は、現在の生活費の70〜80%を基に「ざっくり」計算しても良いだろう。 | |
教育費 | 進路によって大きく異なるが、幼稚園から大学卒業まで、すべて国公立で学ぶ場合は約800万円。すべて私立で学ぶ場合は約2,500万円ほど。 | |
住居費 | 住居費は、賃貸と持ち家で異なる。賃貸の場合、家賃や更新料、火災保険料が必要となる。持ち家の場合、固定資産税や保険料、ローン返済等。 | |
収入 | 給与等 | 遺族自身が働いて得る収入。 |
遺族年金 | 死亡した家族が加入している年金種類により異なる。一般に、厚生年金に加入していれば遺族厚生年金(遺族基礎年金を含む)を、国民年金に加入していれば遺族基礎年金を受け取れる。 |
「5,000万円の死亡保険」を考える
この項では、必要補償額を5,000万円と設定した場合の死亡保険契約について考察する。
死亡保険には「定期保険」と「終身保険」があるが、記事の目的は「一家の大黒柱が亡くなった場合の保障」に限定しているため、貯蓄要素のある終身保険は検討対象外とする。
よって、これ以降に「死亡保険」という場合、掛け捨て型の定期死亡保険を指す。
そもそも月額保険料はどう計算されるのか?
5,000万円の死亡保険について考える前に、まずは保険料がどのように計算されるのか基本を理解しておこう。
生命保険の保険料は、以下の3つの要素によって決まる。
- 予定死亡率:過去の統計に基づき、特定の年齢や性別における死亡の確率を計算したもの。
- 予定利率:保険会社が運用により得られるであろう収益率のこと。この利率を基に、保険料を割り引いて、将来の保険金などの支払いに備える。
- 予定事業費率:生命保険会社が契約の締結・保険料の収納・契約の維持管理などの事業運営に必要な諸経費のこと。
保険料に最も影響するのが、予定死亡率である。年齢が上がるほどこの率も高くなることが一般的である。
この確率が高いほど、保険会社が支払う保険金のリスクが高まり、それに伴い保険料も高くなる。
保険料を高くするもう一つの要素が予定事業費率だ。
このコストは最終的に保険料に反映される。
一方で、保険料を安くする要素は予定利率である。この利率は「割引率」として使われるから、高い予定利率は将来の保険金支払いの現在価値を低くし、それによって保険料が低く抑えられる。
5000万円の死亡保険の月額保険料
死亡時に5000万円の保険金を受け取るというシナリオでのシミュレーション結果を見てみよう。
試算に用いたのは、掛け捨て型の死亡保険、オリックス生命「定期保険ファインセーブ」である。
保険期間、支払い方法、そして契約者の年齢によって、支払うべき保険料は大きく変動することがわかる。
保険期間 | 支払方法 | 契約者(男性)の年齢 | ||
30歳 | 35歳 | 40歳 | ||
65歳 | 月払(年払) | 11,500円(135,700円) | 13,900円(163,550円) | 17,650円(207,650円) |
80歳 | 月払(年払) | 20,700円(243,600円) | 23,600円(277,800円) | 27,600円(324,800円) |
85歳 | 月払(年払) | 26,400円(310,900円) | 30,300円(356,700円) | 35,500円(418,200円) |
5,000万円の死亡保険のメリット・デメリット
最後に、保険金が5,000万円の死亡保険のメリットとデメリットについて考察していく。
メリット
最大のメリットは、万一の場合に「必要保障額として試算した5,000万円が確保される」点だ。
この保障が比較的低い保険料で得られるのが、掛け捨て型を選ぶメリットでもある。
貯蓄型と比較すると、掛け捨て型の保険料は圧倒的に安い。
例えば、30歳の男性が保険金5,000万円のオリックス生命保険「終身保険ライズ」に契約する場合、月払い保険料は108,200円になる(保険料60歳払済)。
また、定期保険であるから、5,000万円の保障が必要な期間だけ契約する柔軟性もある。
例えば、子供が独立するまでの期間にこの保障を維持し、その後で保障内容を見直すことが可能となる。
デメリット
デメリットも存在しますが、これらは「5,000万円の保障額」よりも「掛け捨て型の定期保険」に特有のものだ。
一般的に、掛け捨て型は、解約払戻金や満期保険金がないため、中途解約または保険期間満了時でも、払込保険料は戻らない。
満期になると通常は保険を更新する必要があるが、年齢が上がると保険料の負担が増加し、選べる商品の幅が狭まる可能性がある。
あなたに「5,000万円の保険」は必要か?
ここまで、必要保障額の基本的な考え方、保険料の負担、さらにはメリットとデメリットについて確認した。
次に検討したいのは、「5,000万円の保険」が「あなた」にとって必要かどうか、という点である。
この問題を明確にするために、以下の質問を用意した。ぜひ、時間をとって考えてみていただきたい。
ライフステージに合っているのか?
保険には、保障額が一定のものと、保障額が減少するものがある。
後者はすなわち、時間の経過とともに「形が変わる」ことを意味する。
家計の収入や支出も、時間の経過と共に形がかわる。
収入の形を見越すのは困難だが、支出、特に大きな支出は、おおまかな形が予想しやすい。
たとえば、生活費や子どもの教育費は年々減少する可能性がある一方、葬儀費用は概ね一定だ。
保障金額の大きな保険を検討する際は、この「形」の変化に合わせて工夫することが望ましい。
その保険は、ライフステージの変化や支出の形に合っているだろうか?を、今一度確認して欲しい。
他の商品と組み合わせた場合でも必要なのか?
万一のときの保障を、一つの保険でカバーする必要はない。
必要な保障額に対する支出要素を、別の保険商品や金融商品で補う方法も検討して欲しい。
例えば、老後資金や教育資金は、養老保険や学資保険、あるいは貯金、預金、株、投資信託、不動産などで賄うことはできないだろうか。
一時的に保障を得る「掛け捨ての定期保険」などを組み合わせることはできないだろうか。
それらを総合的に勘案して、「その保険の高額な保障は本当に必要か」をしっかり検討して欲しい。
他の保険商品と比較したのか?
死亡保障が高額な保険を選ぶ場合、それに比例して保険料も高くなる。
高額な商品を選ぶ場合は、比較検討は鉄則だが、生命保険にもその鉄則は当てはまる。
前述のとおり、保険料の計算は、予定利率や予定事業費率などの変数に影響を受ける。
これらの要素は保険会社によって異なるため、同じ保障額でも保険料が大きく変わる可能性がある。
また、各保険会社は独自の商品ラインナップを持っている。あなたのニーズに適した保険商品かを見極める意味でも、複数の会社の商品を比較することは大事である。
様々な商品を比較したうえで、最もお得で、もっともニーズに適した商品であるかを確認して欲しい。
5,000万円の死亡保険金は必要か?家族構成やライフプランから考えよう
この記事では、死亡時に高額な保障が受け取れる掛け捨て型の定期死亡保険について詳しく解説した。
「もしものとき」の必要保障額や、保険金5,000万円の死亡保険について詳細に説明するとともに、そうした保険の必要性を確認するための3つの質問を用意した。
高額な保険金は一つの大きな安心要素ですが、その必要性は家計の状況やライフステージによって大きく異なる場合がある。
ある人には適した保険商品が、あなたにとっては不足しているか、あるいは不必要であることが十分にあり得る。
自分やご家庭に適した保険商品の選定は、実は非常に難しい作業である。
それは、自分たちの状況だけでなく、保険会社の動向や経済の動きなど、多くの要素を考慮する必要があるからだ。
この難問を乗り切るためにはぜひ、保険のプロの助けを借りていただきたい。
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