- 生命保険の配当金と共済の割戻金について理解したい
- 生命保険と共済の違いがわからない
- 自分に適した保険を見つけたい
生命保険の配当金と共済の割戻金の違いがよくわからないという方は多いだろう。
本記事では、生命保険と共済の違いについて詳しく解説していく。
また、実際に加入するにあたって、自分に適した保険の選び方も紹介する。
これから生命保険や共済への加入を検討している方や既に加入している方でプランを見直したい方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてほしい。
生命保険の配当金と共済の割戻金とは
死亡保障や医療保障を提供しているのは生命保険会社だけではない。
共済でも保険会社と同様、もしものときのための保障を提供している。
しかし、両者は目的、対象者、破産時の保障、納めるお金や返ってくるお金の呼び方など違いも多い。
そのため違いが良く分からないと感じている方もいるのではないだろうか。
生命保険と共済の違いを改めて整理することで、生命保険と共済のどちらが自分に合っているのかを考えやすくなるだろう。
- 生命保険と共済の概要
- 生命保険と共済の比較
- 配当金と割戻金の違い
この3つの観点から、生命保険と共済の違いを確認してみよう。
生命保険と共済の概要
生命保険会社は基本的に営利を目的とした会社だ。
例えば日本生命、第一生命、明治安田生命、住友生命などが有名だ。
他にも外資系のアフラック生命、プルデンシャル生命、ネット販売メインのライフネット生命、アクサダイレクト生命などがある。
一方、共済は利益を目的としていない非営利団体だ。組合員同士の助け合いで成り立っている。
共済と一口に言っても都道府県民共済、地方公務員共済、JA共済、CO-OP共済など様々な団体がある。
生命保険会社が多種多様な生命保険を提供しているが、共済も生命保険会社と同様、死亡や医療の備えとなる商品を提供している。
ただ、それぞれの団体によって提供している商品は様々だ。また共済の場合、損害保険会社が取り扱う自動車や火災などの補償も取り扱える。
生命保険会社も共済も万一の備えに役立つ死亡保障や医療保障を提供している点では共通しているが、それぞれ監督する官庁も違えば、根拠となる法律も異なる。
また、生命保険と共済では中身はほとんど同じでも違う用語が使われている点も分かりづらい。
次は生命保険と共済の違いを比較、整理してみよう。
生命保険と共済の比較
生命保険会社 | 共済 | |
---|---|---|
目的 | 営利 | 非営利 |
加入できる人 | 不特定多数の人 | 組合員とその家族 |
セーフティネットの違い | あり (生命保険契約者保護機構) | なし |
特徴 | 種類が豊富 | ・種類は限られる ・掛け捨て金の割に保障が手厚い |
根拠となる法令 | 保険業法 | ○○協働組合法 |
監督官庁 | 金融庁 | 厚生労働省・農林水産省 |
用語の違い | ①保険料②保険金③加入者④配当金 | ①掛金②共済金③契約者④割戻金 |
生命保険と共済の比較を表にまとめた。
共済は組合員同士の助け合いで成り立っている非営利団体だ。
JA共済、こくみん共済coopのように誰でも加入できる共済もあれば、公立学校共済のように学校の先生しか加入できない共済もある。
生命保険は不特定多数が対象だが、共済は組合員とその家族のみを対象とする点に違いがある。
保障を提供している運営元が破綻した場合のセーフティネットについても違いがある。
生命保険会社は生命保険契約者保護機構が原則、責任準備金の90%が補償の対象となる。
つまり破綻時にもお金が返ってくる仕組みだ。
一方、共済はセーフティネットがない。
ただし共済は1年間の掛け捨てタイプの商品を提供しているため、破綻しても影響自体ほとんどない。
生命保険会社は様々なタイプの保険を提供している。生涯保障、定期、掛け捨てなど備えたい期間や払い方も自由に選べ、保障内容も様々だ。
契約者を増やすにはニーズのある新しい商品を開発し、魅力的なサービスの提供をしなければならず企業努力が求められるためだ。
一方、共済は商品の種類が限られている。
しかし、共済は選べる商品の種類は少ないものの保障内容がシンプルで分かりやすく安い掛け金のわりに保障も手厚い。
生命保険と共済では、ほとんど同じ意味で使われている用語も違う。
例えば加入者が支払うお金は、生命保険ならば保険料、共済ならば掛金だ。
万一のときに受け取るお金は生命保険なら保険金、共済ならば共済金と異なるため混乱しないように整理しておこう。
配当金と割戻金の違い
配当金と割戻金、どちらも加入者から集めたお金から余剰金が出た場合に払い戻しされるお金のことだ。
生命保険会社では配当金、共済では割戻金と呼ばれている。
余剰金は以下の3つから生まれる。
- 死差益・・・予定した死亡者数よりも実際の死亡者が少なかったときに出る利益
- 利差益・・・運用益が想定以上だったときに出る利益
- 費差益・・・予定していた事業費よりも経費がかからなかったときに出る利益
生命保険には配当があるタイプ、ないタイプがあるが、配当ありの方が保険料は一般的に割高になる。無配当の保険も多い。
一方、共済は毎年、決算後に余剰金が出た場合、余ったお金を戻してもらえる。
しかも、割戻率は一般的に生命保険よりも共済の方が販管費を抑えているなどの理由から高めだ。
例えば都民共済の割戻金の割戻率を見てみよう。
年度 | 総合保障型・入院保障型の割戻率 |
---|---|
令和元年 | 37.31 |
令和2年 | 39.77 |
令和3年 | 32.73 |
令和4年 | 11.69 |
令和4年は新型コロナウイルス感染の影響で都民共済では、加入者に共済金の支払いが多かったため割戻率は低めだったが、令和3年以前は3割以上とかなり高い割戻率だった。
令和4年度の場合、総合保障2型の年間24,000円(月掛金2,000円)のうち2,805円の割戻金が払戻しされる計算となる。
割戻率は加入する共済、年度の状況によって変わるが、掛け捨てでも割戻金を差し引いて考えると実質的な掛け金を共済ならば、かなり抑えられることに気づくだろう。
配当金の生命保険と割戻金の共済へ加入するメリット・デメリット
生命保険と共済、どちらも死亡保障や医療保障を提供している。そのため、どちらに加入する方が自分にとってメリットがあるのか気になるのではないだろうか。
そこで、生命保険・共済それぞれの特徴から考えられるメリット・デメリットを整理する。
死亡や病気・ケガへの備えの参考にしてほしい。
生命保険に加入するメリット・デメリット
生命保険のメリットは共済に比べて展開されている商品が豊富なところだ。
例えば高額な保障、特別な保障、備えたい期間などに応じて、たくさんの生命保険の中から自分に適した商品を探せる。
一方、デメリットは商品数があまりにも多いため選ぶのが大変なところだ。
中には保険料に対して保障内容が見劣りする生命保険もある。
保険選びを最初に間違ってしまうと割高な保険料を払い続けることになりかねない。
ただし、このデメリットは保険のプロに相談することで解消できる。
例えば「生命保険ナビ」では全国の保険のプロのなかから自分に適した専門家を紹介してもらえる。
保険のプロに相談しながら数ある生命保険の中から自分に合った生命保険を選べば、納得できる選択ができるだろう。
近年は保険料が安く保障も充実している生命保険も登場している。
例えば、大手生命保険が展開しているサブブランドの保険、ネット販売に特化した保険は販管費を抑え割安な保険料を実現している。
自分では気づかなかった相性の良い生命保険が見つかるかもしれない。
共済に加入するメリット・デメリット
共済のメリットは掛け捨て金の割に保障が手厚いことだ。
また、年間の決算ごとに共済に余剰金があれば割戻金が返ってくる。
生命保険でも共済の割戻金にあたる配当金はあるが、無配当の保険も多い。また、配当があるタイプは保険料が高めに設定されている。
割戻金が戻ってくることを考えると共済の実質的な掛け金はかなり安くなる。
また、保障内容もシンプルで分かりやすく、選べる保障も絞られているため民間の生命保険に比べると迷わずにすむ。
共済のデメリットは選択肢が少ない点だ。
例えば、保障内容を手厚くして高額な死亡保険金を受け取れるようにしたり、特定の疾病に手厚い保障で備えたりしたい場合、共済で選べる範囲内では納得できる保障プランが見つからないこともある。
また、共済は掛け捨てのため、生涯保障、貯蓄性のあるタイプの保障を考えている場合も選択肢から外れる。
つまり、共済は有り体に言えば、コストパフォーマンスの良い点がメリットだが、選択肢が少ないことがデメリットだ。
生命保険・共済どちらが向いているのか
豊富な選択肢から選ぶなら生命保険がおすすめだ。生命保険ならば数ある商品の中から自分に合った保険を選べる。
生涯にわたる保障、手厚い保障、保障と同時に貯蓄もしたいといった細かい要望があれば、選択肢の豊富な生命保険の中から探すと良いだろう。
ただし、数ある保険の中から本当に自分に合った保険を探すのは難しい。
そのため、生命保険選びに自信がなければプロに相談することをおすすめする。
一方、割安な保険料で手厚い保障を求めるなら共済がおすすめだ。
生命保険ほど選択肢が豊富な訳ではないが、保障がシンプルで分かりやすく、掛け金の割には十分な備えができる。
掛け捨てだが割戻金を差し引いて考えると実質的な掛金の負担も軽い。
税金に関しては生命保険も共済も生命保険料控除の対象となる。ただ、相続対策でも共済よりも生命保険の方が有利だ。
死亡保険金も死亡共済金も相続税の非課税枠に関しては変わらず利用できる。
しかし、共済で設定できる死亡共済金の上限が低いため、生命保険の方が共済よりも融通をききやすい。
まとめると以下のようになる。
- 生命保険・・・豊富な選択肢から選びたい、相続対策を考えている方におすすめ
- 共済・・・割安な掛金で手厚い保障を求めている方におすすめ
配当金?割戻金?自分に適した生命保険・共済の選び方
生命保険も共済も将来の備えに活用できる優れた仕組みだ。
しかし、闇雲に生命保険、共済に加入してしまうと保険料、掛金が家計の負担になってしまう。
本当に必要な保障を絞り、自分に合った保険または共済に加入したい。
自分に合った保険、共済を選ぶ際の視点を明確にすることで、迷いなく適した商品を選べるようになるはずだ。
- 保障内容
- 保険料
- 保険期間
この3つの視点から自分に適した保険、共済を絞りこめるようにしよう。
保障内容
まずは何に備えたいのかを明確にしよう。
また保障内容に関しては、自分が健康保険などの公的な保障の対象になっているかどうかも調べておこう。
調べてみると公的な保障だけでも十分、備えができていることもあるためだ。
生命保険にはそれぞれ様々な保障内容の商品がある。また共済も都道府県民共済、JA共済、CO-OP共済など共済ごとに扱っている商品も内容も違う。
そのため、複数の保険会社または加入できる共済の商品の保障内容を見比べて、必要十分な備えができるかどうかを確かめたい。
同じ死亡保険でも死亡給付金のみ出るタイプなのか、病気なども保障の対象になるのかなど、保障の手厚さも広さも異なる。
学資保険でも大学入学前に給付金がまとめて出るタイプや小・中・高・大学と進学ごとに給付金が出るタイプなど様々だ。
保障内容と必要な保障を照らし合わせて無駄のない保険選びをしよう。
保険料・掛金
何も考えずに生命保険、共済に加入してしまうと無駄な保険料・掛金が家計を圧迫してしまう。
生命保険は家に次いで人生の中で高い買い物と言われるほど、長い目で見ると大きな買い物だ。
コストパフォーマンスの良い共済でも比較的、手厚いプランを選ぶとそれなりの掛金がかかる。
例えば都民共済の総合保障2型+入院保障2型を選んだ場合は月々4,000円かかる。
確かに県民共済の総合保障2型+入院保障2型は病気入院で1日あたり14,500円、先進医療でも最大150万円までの共済金を受け取れる。
内容は充実しているが、月々4,000円の負担を考えると公的な保障と貯金で備えたほうが良い人もいるだろう。
また近年、生命保険会社同士の競争も激しくなり各社、保険料が安く保障の手厚い商品の販売をしている。
例えば大手保険会社の子会社が販管費を抑えてコストパフォーマンスの良い保険を世に出している。
そのため共済だけでなく、生命保険の商品でも割安でお得なものがないか探してみると良いだろう。
そして、保険選びだけでなく払い方の工夫でも保険料を節約できることがある。
例えば半年払い、年払いで支払うと保険料が安くなる商品がある。また、クレジットカードの支払いもできればポイント還元も期待できる。
保険期間・共済期間
ライフステージの変化で備えるべきリスクの高さも範囲も変化する。
例えば若い未婚の方と結婚して子供が育ち盛りの時期では後者の方が子供の学費や養育費がかかる分、重点的に備えておきたい方が多いだろう。
手厚く備えるべき時期とそうでない時期とのメリハリをつけることで、入るべき生命保険や共済の期間が明確になる。
一生涯、保障が続くタイプの保険の方が備えとしては安心感があるが、保険料はその分、定期保険よりも割高に設定されている。
一方、掛け捨てタイプの保険や共済は保険料が割安だ。備える期間によっても負担する保険料が変わる。
備えが本当に必要な期間を明確にすることで、無駄のない生命保険、共済を選ぼう。
配当金の生命保険と割戻金の共済の基本を理解して自分に合った保険選びを
本記事では、生命保険と共済の違いや加入するメリットデメリット、自分に適した保険の選び方について解説した。
上述した通り、保険や共済に加入する場合は、保障内容や保険料、保険期間などの様々な項目を比較して検討する必要がある。
しかし、実際は膨大な数の商品があり、自分で全ての商品性を理解して検討することはとても難しいだろう。
そこで、保険選びに困ったときにはプロに相談することをおすすめする。
「生命保険ナビ」では、全国の保険のプロのなかから自分に適した専門家とマッチングすることが可能であるため、安心して保険選びを行うことが可能だ。
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