- 医療保険に死亡保障をつけるべきかどうかがわからない
- 自分や家族に必要な保障内容を把握したい
- 医療保険に死亡保障をつけるメリットとデメリットを把握したい
保険に加入する際、一般的には医療保障(自分の医療費への保障)を医療保険で、死亡保障(自分の死亡時の保障)は死亡保険(生命保険)でカバーすることが多いだろう。
しかしながら、医療保険に死亡保障をつけることも可能であるということをご存じだろうか。
そこで本記事では、医療保険に死亡保障をつけるメリットとデメリット、またその必要性について解説する。
また、死亡保障の有無を判断する上では必要な保障内容の全体像を把握することも大切になるため、これを把握するポイントについても説明する。
医療保険への加入を検討している方や、既に加入している保険を見直したいと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
医療保険に死亡保障をつける必要はあるのか
医療保険と死亡保険は、保障対象が異なる別物だが、死亡保障をつけた医療保険に加入している方は少なくない。
ここでは医療保険に死亡保障をつける目的や必要性、費用について解説する。
死亡保障は、医療保険を主契約にして、特約という任意で付け加えるオプション契約によって加えられる。
このため医療保険の「特約」というものも説明する。
医療保険とは?特約とは?
ケガや病気になった場合には、公的医療保険(健康保険など)を使って、病院でかかった医療費の3割を自己負担分として支払う。
しかし手術や入院が必要なときは、高額となる自己負担分を、医療保険の給付金がカバーしてくれる。
さらに特約をつければ、下記のように医療保険(本契約)の保障内容を充実させることができる。
- 終身保険特約
死亡保障特約。生涯にわたり、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金が給付される。この特約は終身型の医療保険にのみ付け加えることが可能。 - 定期保険特約
死亡保障特約。一定期間中に、保険対象者(被保険者)が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金が給付される。契約期限になると特約分の保険料もなくなるが、保障も切れるため、期限を超えて延長する場合には特約の更新が必要になる。また特約の更新ごとに特約の保険料は高くなる。 - 通院特約
通院治療を行った場合に保険金が給付される。 - 先進医療特約
高度な技術を用いた治療方法のうち、厚生労働大臣の承認を受けた先進医療を行った場合に保険金が給付される。先進医療の技術料は全額自己負担(公的医療保険の対象外)であり、治療方法によっては数百万円の費用がかかることもある。 - 特定疾病保険料払込免除特約
がん・心疾患・脳卒中など所定の病気になり、保険会社の定める状態になったときには、今後の保険料の払い込みが免除される。
など
特約は本契約のオプション契約であるため、単体では加入できず、主契約が終了すると特約も終了する。
主契約が終身型でも特約が定期型であれば、期限を超えて延長するには特約の更新が必要となり、更新ごとに保険料も上昇する。
医療保険に死亡保障をつけ加える効果とは?
本来は医療費の保障しかしない医療保険に、死亡保障の特約を加えれば、手頃な保険料で必要な期間だけ死亡保障が上乗せできる。
死亡保障特約のうち、保障期間に期限がある定期保険特約では、以下の二つの契約タイプのいずれかで期限を設定する。
- 年満期型
契約開始から期限までの年数で、特約の有効期間を設定するタイプ(10年間、20年間、など) - 歳満期型
被保険者の年齢で、特約の有効期限を設定するタイプ(70歳まで、90歳まで、など)
一般的に死亡保障特約では、本契約の開始とともに特約の保障も開始し、期限前でも必要がなくなれば特約だけ解約できる。
しかし保険商品のなかには、本契約の契約途中から、特約を付け加えられるものもある。
ただし死亡保障特約で設定できる保険金額は、一般的に100万円〜500万円ほどであるため、大きな保障は加えられない。
死亡保障をつけた場合の費用とは?
ここでは「30歳男性」をモデルに、医療保険で死亡保障をつけた場合とつけなかった場合での、費用を比較する。
費用算出には、チューリッヒ生命の終身医療保険プレミアムZを用いる。
この医療保険は、価格.com保険の調査による、30代男性の人気ランキング1位の保険商品だ(2023年11月時点)。
チューリッヒ生命 終身医療保険プレミアムZ | ||
---|---|---|
死亡保障特約なし | 死亡保障特約つき | |
月額保険料 | 865円 | 2,698円 |
保障内容 | 終身保障 入院1日につき:5,000円 1入院の支払限度日数:60日 手術・放射線治療等の給付金 ・手術(入院中):5万円 ・手術(外来):2.5万円 ・放射線治療:5万円 ・骨髄ドナー:5万円 | 左記の保障に加え、生涯にわたり 被保険者が死亡または高度障害状態に なった場合には、100万円給付される。 |
上記の保険商品を前提にすると、死亡保障特約(終身医療保険特約)の費用は月額1,833円となる。
特約の保険料は、「掛け捨て」がほとんどであるため、特約分の解約返戻金はない(あってもわずかだ)。
死亡保障をつける必要性はあるか?
死亡保険金を高額に設定できる特約がある金融商品は少なく、特約の死亡保険金だけを、家族への遺産とするには無理がある。
このため特約の死亡保険金は、すでに生命保険や財産があり、亡くなっても一定額の遺産がある場合のつけたしにしかならない。
一方で、生命保険に加入しておらず預貯金や不動産を遺産とする人でも、亡くなった直後に必要なお金を用意するには適している。
死亡時は相続手続きが完了するまで故人の全口座は凍結されるが、保険金は申請書類に問題なければ手続き後5日ほどで受け取れる。
保険金のつけたしを考える場合や、葬式代など死亡直後に資金の用意を考える人には、必要性は高いだろう。
医療保障をつけた場合のメリット・デメリットとつける際の注意点
ここでは死亡保障をつけるメリット・デメリットや注意点を踏まえ、向いているユーザー像も解説する。
「死亡保障がついた医療保険」が給付する手術や入院時の給付金には、一般的に税金がかからない。
その反面、死亡時の保険金には課税されるなど、「死亡保障がついた医療保険」には税法上で複雑な点も多い。
ここでは、自分の医療保険に死亡保障をつけるかどうかを判断するため、深掘りした説明を行う。
医療保険に死亡保障をつけることでのメリットとデメリット
ここまで説明してきた「死亡保障がついた医療保険」の特徴を、メリットとデメリットの観点で、以下の表に整理する。
メリット | デメリット |
---|---|
医療費の保障しかない医療保険に、死亡保障が上乗せできる。 必要な期間だけ保障の上乗せが可能。 特約の期限前でも、特約だけ解約できる。 医療保険の保険期間中に、途中から、特約を付け加えられる場合もある。 被保険者が死亡直後に必要最低限の資金が用意できる。 | 単体では加入できず、医療保険が終了・解約すると、特約も終了する。 特約が定期型の場合には契約更新が必要になるが、更新ごとに保険料は高くなる。 死亡保障特約で設定できる保険金額は、生命保険ほど高額な設定はできない。 特約分の保険料は、ほとんどの場合、掛け捨て。 解約返戻金はない(あってもわずか)。 死亡時の保険金には税金がかかる。 |
この表から、後述する例外的ケースを除き、生命保険に加入せず「死亡保障がついた医療保険」に一本化するのは難しい。
しかし死亡保障特約の特徴を理解すれば、この特約を生命保険のサポート役として活用できるシーンは多いだろう。
死亡保障をつける際の注意点
死亡時の保険金には税金がかかるためだが、課税される税金の種類は、契約関係者によって変わってくる。
保険料を払い込む保険契約者、被保険者、保険金受取人の関係性と税金の関係を下記の表で整理した。
納めるべき税金 | 税金の内容 | 契約関係者 | |||
---|---|---|---|---|---|
保険 契約者 | 被保険者 | 保険金 受取人 | |||
相続税 | 亡くなった人から受け継いだ財産にかかる税金 | 父親が保険契約者かつ被保険者。 子どもが保険金受取人。 | 父親 | 子ども | |
贈与税 | ほかの人から譲り受けた財産にかかる税金 | 父親が保険契約者。 母親が被保険者。 子どもが保険金受取人。 | 父親 | 母親 | 子ども |
所得税+住民税 | 個人が得た所得に対してかかる税金、所得税は国税、住民税は地方税 | 夫が保険契約者かつ保険金受取人。 子どもが被保険者。 | 父親 | 子ども | 父親 |
父親が自分の医療保険に死亡保障をつける際に子どもを保険金受取人にすると、父親が死亡時の保険金には子どもへ相続税がかかる。
なお医療保険の給付金は非課税だが、被保険者が死亡後に受け取った給付金には、上記と同様の税金がかかる。
死亡保障をつけるべき人物像とは?
これまで述べたことを踏まえて、ここでは死亡保障をつけるべきユーザー像を解説する。
まず「経済的責任が高い時期のみ死亡保障をつけたい」と考えている人には、適しているだろう。
例えば子どもが生まれてから独立するまでの間は、経済的責任が高くなるために死亡保障をつけ、独立後は外すという方法も一考だ。
一方で生命保険に加入し、定期的に保障内容を見直している方は、医療保険の死亡保障で調整する必要はない。
また専業主婦(夫)の方は、経済的責任が少ない場合が多く、多額の保険金は不要な「死亡保障がついた医療保険」がおすすめだ。
自分に適した保障内容の保険を見つけるポイント
ここでは自分の医療保険に、死亡保障をつけるべきかどうかを判断するポイントを解説する。
説明するポイントは、「死亡保障をつけるべきかどうかを判断する」ためだけにとどまらず、保険選びや再確認のポイントにもなる。
新たに加入する保険や、現在加入中の保険についても、このポイントをもとに内容を検証してほしい。
ライフプランを考える
これから先の人生で起こること、つまりライフプランを思い浮かべてみよう。
未婚の方であれば何歳で結婚し、1人目は何歳で出産し、2人目は…と想像してほしい。
子どもがいる家庭であれば、あと何年後に子どもが大学に入学・卒業し、自分の定年はあと何年後…と時期がより明確になるだろう。
このスケジュールの中で、経済的責任が高い時期は、いつだろうか?
その時期こそが、死亡保険金を手厚くすべき時期といえる。
目的を明確にすれば、死亡保障の必要性が明らかになる
まず誰のために死亡保障をつけるのかを明確にしておこう。
独身時代や定年後に「葬式代だけが用意できればよい」という考えであれば、生命保険を解約して、死亡保障特約だけで十分だ。
しかし自分が亡くなったあと、残された家族のためを思うのであれば、死亡保障は不要かもしれない。
死亡保障を手厚くするには、特約では限界があるので、生命保険の死亡保険金額を見直したほうがよいだろう。
このように保険金を増額する目的を明らかにすれば、死亡保障特約の要否が明らかになる。
無理のない保険契約をする
どんなによい保険商品を見つけても、保険料が家計の負担になり、継続ができなくなると意味がない。
このため保障内容や保険料の全体最適化を考える必要がある。
生命保険に加入しており、この保険に医療保険特約がついていれば、加入中の医療保険の保障内容と重複してはいないか?
医療保険特約以外も確認し、生命保険と医療保険の間で重複している保障内容があり、それが不要であれば解約しよう。
加入中の保険すべての保障内容を最適化させると、保険料全体の最適化もできるので、各保険契約も無理のないものになるだろう。
医療保障と死亡保障を総合的に考えるなら「生命保険ナビ」へ
本記事では医療保険に死亡保障を加える必要性、加えるメリットやデメリット、そして最適な保険の選び方を解説した。
死亡保障特約は不慮の事態でも自分や家族を守る重要な備えであるため、ライフプランや家族構成に応じて適切な特約に加入したい。
そのためには、客観的視点で医療保障と死亡保障を総合的に考える必要があるため、保険のプロにも相談したほうがよいだろう。
「生命保険ナビ」は、全国にいる保険のプロの中から、自分に最適なアドバイザーを選んでくれる。
保険について疑問や不安がある方は、以下のボタンから申し込んでみてほしい。