- 生命保険の返戻率とは何かがわからない
- 返戻率と利率がどう違うのか分からない
- 返戻率を基準にした保険選択の方法と保険で行う資産形成のポイントが知りたい
貯蓄型生命保険の商品説明などで「返戻率」という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。
「返戻率」とは、払込保険料に対して将来受け取る総額の割合を示すものだ。
では、「返戻率」と「利率」はどう違うのか、みなさんはご存知だろうか。
「返戻率」と「利率」は意味合いが大きく異なり、資産形成を行う中で共に重要な指標となるため、正しく内容を理解しておくべきだ。
この記事では、まず「返戻率」とは何かをはじめ、「利率」との違いを解説する。
また、返戻率で保険を評価する方法や、保険を活用して資産運用を行う方法を紹介する。
保険商品を評価する上で大切な「返戻率」の正しい知識を身につけ、保険選びの一助としてほしい。
生命保険の返戻率とは何か
「返戻率とは何か」「預金の利率と何が違うのか」
生命保険のパンフレットなどに記載されている「返戻率」という言葉に疑問を持つ方も多いのではないだろうか。
返戻率は保険を評価し、商品を選ぶ上で大切なポイントであるため、正しく内容を理解することが重要だ。
ここでは、返戻率の定義や仕組み、算出方法から保険選びとの関係性について解説する。
生命保険の返戻率の基本的な定義と仕組み
返戻率とは、保険会社へ払った保険料の総額に対して、合計受取金額がどれくらいの割合になるかをパーセンテージで示したものだ。
例えば、支払った保険料の総額が100万円だった場合、合計受取金額が120万円であれば、返戻率は120%ということになる。
このように、返戻率は終身保険や学資保険など貯蓄性がある保険商品の収益性を評価する指標である。
なお、保険契約は長期に及ぶことから、必要に応じて中途解約が必要となる場合もあるだろう。このため、契約の際には中途解約時の返戻率(解約返戻率)も考慮する必要がある。
一方、返戻率は預金や国債などの「利率」「利回り」とは異なるので注意が必要だ。
まず、利率とは、元本に対して支払われる利息の割合を指す。
例えば、元本100万円に対して1年後に利息1万円が支払われた場合、利率は年利で1%となる。
利回りとは、利息と元本の価値の増減(値上がりや値下がり)を合わせた収益が、元本に対してどれくらいの割合になるかを示したものだ。
例えば、元本100万円を運用して1年後に利息1万円を受け取り、さらに元本が10万円増えて110万円になった場合の総収益は11万円、年間の利回りは11%ということになる。
これに対して、返戻率とは保有年数に関わらず、支払った保険料総額に対して合計受取金額がどれくらいの割合になるかを示したものだ。
利率や利回りは年換算で算出するが、返戻率は時間を考慮しないという点で大きく異なる。
生命保険の返戻率の計算方法と算出要素
返戻率は、次の計算式で算出する。
返戻率の算出要素は「合計受取金額」と「支払保険料総額」だ。
- 合計受取金額 : 満期保険金だけでなく、一時金や祝金なども含む
- 支払保険料総額 : 契約期間中に払い込んだ保険料の総額
一般的に、終身保険や学資保険など貯蓄性がある保険商品の場合、満期保険金の返戻率は100%を上回る。
ただし、中途で解約した場合は、解約返戻金が支払保険料総額を下回り、いわゆる「元本割れ」となる場合がある。
資産運用を目的として保険商品を契約する場合は、中途解約の可能性と経過年数に応じた解約返戻率を考慮することが重要だ。
保険会社の財務状況と返戻率の関連性
返戻率と保険会社の財務状況に直接の関連性はない。
返戻率は主に、保険の種類や契約年数によって決まるからだ。
一般的に、貯蓄性がある終身保険や養老保険、学資保険、個人年金保険は返戻率が高い。
また、保険の契約年数が長いほど返戻率は高くなる。返戻金は保険金の支払いに備えて積み立てられる責任準備金を原資としているためだ。
なお、中途解約時の返戻率(解約返戻率)は、契約からの経過年数によって大きく異なる。
短期間で保険を解約した場合の返戻金は、払込保険料を大きく下回る場合がある点に注意したい。
経過年数に応じた返戻率は保険の設計書や見積書に記載されているため、契約時に確認することが大切だ。
返戻率をもとにした生命保険の選び方とその注意点
返戻率をもとにして保険を選ぶ場合、保険の種類は解約返戻金の有無で次の3つに分類される。
- 従来型
- 低解約返戻金型
- 無解約返戻金型
従来型とは貯蓄性のある保険で、終身保険や養老保険、学資保険、個人年金保険を指す。
保険料払込が進むほど解約返戻金が貯まり、払込完了後は解約返戻金が払込保険料総額を上回ることが一般的だ。
低解約返戻金型とは、終身保険を中心に増えてきた保険で、保険料を抑える代わりに中途解約時の返戻金を低く設定した保険だ。
このため貯蓄性は低く、死亡保険金など保障を重視する方に向いた保険といえる。
無解約返戻金型とは、解約返戻金のない掛け捨て型保険のことで、定期保険や収入保障保険、医療保険などを指す。
解約返戻金がない代わりに、低い保険料で大きな保障を得られることが特徴だ。
このように、返戻率は保険の種類によって大きく異なる点に注意すべきである。
また、保険を選ぶ際は返戻率だけでなく、保険加入の目的を明確にすることが重要といえるだろう。
返戻率で生命保険を評価する方法
返戻率で保険を評価するには、まず比較対象となる商品の保険設計書(契約概要)を入手する必要がある。
保険設計書は、個別の保険会社や代理店に作成を依頼することもできるが、「生命保険ナビ」のようなマッチングサービスを利用すれば、一括で作成してもらうことが可能だ。
保険設計書には満期時の返戻率だけでなく、経過年数に応じた中途解約時の解約返戻率も記載されている。
満期時の返戻率はもちろん、中途解約時の契約返戻率も比較、そして評価すべきだろう。
これは、中途解約時の解約返戻金が払込保険料を下回った場合、家計や資産運用にダメージを与える可能性があるからだ。
返戻率の高い生命保険が一概に良いと言えない理由
保険は返戻率が高くても、一概には良い商品といえないため注意が必要だ。
例えば学資保険の場合、保険料の払込期間が短く、前倒しで保険料を支払う商品ほど返戻率が高くなる傾向にある。
また、分割ではなく満期時に一括で保険料を受け取る商品ほど返戻率が高くなる傾向にある。
これらの場合、短期間での保険料負担が大きく、保険金を受け取る時期も先になってしまうので注意が必要だ。
保険商品を選ぶ際には、返戻率の高さと共に、「保険料負担が大きすぎないか」「必要な時に十分な保障が得られるか」を優先して考える必要がある。
返戻率と生命保険選びの関係性
保険を選ぶ際、返戻率にどの程度重点をおくかについては、保険の加入目的によって大きく異なるだろう。
保険の加入目的が資産形成や使途の決まった蓄財(住宅購入資金や学費など)であれば、返戻率は保険選びの大きなポイントとなる。
一方、加入目的が死亡保障や医療費の確保であれば、掛け捨ての定期保険や医療保険が選択肢となるため、返戻率は保険選びと無関係ということになる。
ただし、定期保険や一部の医療保険には解約返戻金のある商品も存在するため、目的に合った保険商品を選ぶことが大切だ。
まずは生命保険の保障内容について理解し、必要な保障が何であるのかを把握することから始めると良いだろう。
生命保険で行う資産形成のポイントと返戻率の重要性
保険で資産形成を行うには、次のポイントを押さえることが重要だ。
- 資産形成の目的
- 目標額の設定
- ライフプランの作成と見直し
保険で資産形成を行う場合、まず資産形成の目的を明確にする必要がある。
資産形成の目的によって選ぶべき保険商品が異なるからだ。
例えば老後の余裕資金を貯めることが目的であれば、個人年金保険や養老保険が適した保険商品といえる。
一方、子供の教育資金を貯めるのであれば学資保険が最適な保険商品といえるだろう。
また、資産形成には目標額の設定も重要だ。
例えば「10年後までに500万円を貯める」という目標額を設定すれば、毎月支払うべき保険料が明確になる。
資産形成は長期にわたることから、無理のない範囲で行う必要があるだろう。
このため、目標額を設定すると共に、毎月の保険料を明確にすることが大切といえる。
加えて、資産形成を行う際には、ライフプランの作成や見直しも重要だ。
結婚やマイホーム購入、子供の進学など、ライフイベントの時期や必要金額を把握することで、資産形成の目的や目標金額を明確にできるからだ。
資産運用に生命保険を活用する方法
保険は本来、死亡や病気など万が一の場合に備えるために加入するものだ。
しかし、終身保険や養老保険など、貯蓄性がある保険は保障を得られるだけでなく、資産運用にも活用できる。
終身保険とは、死亡保険の一種で、死亡または一定の障害状態となった場合に保険金が支払われるものだ。
一定期間経過後は解約返戻金が払込保険料を上回る場合が多く、貯蓄性の高さが特徴だ。
養老保険とは、契約者が死亡した場合に死亡保険金、満期時に満期保険金が支払われる保険で、死亡保障と貯蓄機能を兼ね備えていることが特徴だ。
商品によっては満期保険金を据え置くことが可能で、据置期間中は保険会社が資金を運用してくれるため、資産運用に適した保険商品といえる。
また、保険を資産運用に活用すると、税制面でもメリットがあることを覚えておきたい。
まず、支払った保険料の一部は、一定条件のもとで生命保険料控除の対象となるため、所得税・住民税を軽減させることができる。
加えて、契約者に万が一のことがあった場合、相続人が受け取った死亡保険金の一部は非課税となるため、相続税を軽減することが可能だ。
ただし、これら税制面の優遇には一定の条件があるため、契約にあたっては保険のプロに相談することが望ましい。
自身の目的とライフステージにおける生命保険の役割を確認する
保険契約を検討する際は、自身の目的とライフステージにおける保険の役割を確認することが大切だ。
独身時代と結婚後、子育て期間などライフステージによって保険の目的と役割が異なってくるからだ。
まず、独身時代は自身の医療や将来へ向けた資産形成が主な保険加入の目的となるだろう。
医療保険やがん保険、個人年金保険を中心に保険加入を検討すべきである。
結婚を期に保険の加入目的は大きく異なってくる。保険加入の目的は、万が一の場合に備えた家族への保障が中心になるはずだ。
したがって、死亡保険や就業不能保険、所得補償保険への加入を検討すべきだろう。
なお、これらの保険を検討する場合は、就業可能年齢や年金受給開始年齢、配偶者の就業状況なども考慮する必要がある。
子育て期間中は、子供の教育資金確保が主な保険加入の目的となってくる。十分な教育資金が確保できていない場合は、学資保険への加入を検討すべきだろう。
ただし、いずれのライフステージでも、無理に保険へ加入することはおすすめできない。
家計を圧迫しない範囲で保険加入を検討すべきである。
生命保険で行う資産形成と返戻率の関係
保険で資産形成を行う場合、返戻率は商品選びの大きなポイントとなる。
また、返戻率は保険の種類や内容だけでなく、契約年数や払い込み方法で異なってくることを覚えておこう。
一般的に貯蓄性のある保険商品の場合、契約年数が長くなるほど返戻率が高くなる。
また、月払いや年払いよりも、一括払いの方が返戻率は高くなる。
なお、保険は満期まで継続することが前提だが、中途解約が必要な場合は返戻率が100%を下回るケースが多いため注意したい。
保険契約時には、「何年経過後であれば返戻率が100%を超えるか」を確認しておくことが大切である。
返戻率について理解し自分に最適な生命保険選びを
保険を選ぶ上で目にすることが多い返戻率について紹介してきた。
返戻率を正しく理解することで、保険を資産運用に活用することが可能となるだろう。
また、保険の比較や見直しにも役立つはずだ。しかし、これらを一人で行うのは難しいだろう。
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