- 生命保険の配当金の仕組みがわからない
- 配当金の受取方法や受け取る時の注意点が知りたい
- 配当金がある保険とない保険のどちらがお得なのか知りたい
生命保険はいざという時に自分や家族の暮らしを保障してくれるもので、日本ではほとんどの人が生命保険へ加入している。
そんな生命保険にも配当金が存在しているのをご存知だろうか。
予定よりも資金が余った場合に、契約者に分配されるのが配当金である。
配当金のある保険の特徴や受取時の注意点を理解することで、配当金のついた生命保険を利用すべきか、判断する材料として欲しい。
本記事では、配当金や受取方法とその際の注意点について解説する。
また、配当金はあったほうがお得なのかについても解説する。
配当金について学びたいと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
生命保険の配当金とは何か
生命保険の商品のなかには、配当金が支払われる型がある。
配当金を理解するうえでは、保険料の仕組みから確認しておくとよい。
ここでは、3つの予定率や保険料・配当金の仕組みについて解説する。
保険料に影響する「3つの予定率」とは
保険料は、3つの予定率で計算されており、予定死亡率、予定利率、予定事業費率がある。それぞれ、次のような意味である。
予定死亡率 | 統計データを参考に、性別・年齢別の予定死亡者数を算出し、保険料を決定する。 一般的に女性より男性のほうが死亡率は高いため、死亡保険であれば男性のほうが保険料は高くなり、個人年金保険の終身型であれば女性のほうが保険料は高くなる。 |
予定利率 | 生命保険会社は、受け取った保険料を運用して利益を出す。 予定利率が高い場合は運用成果に期待できるため、保険料は安くなる。 |
予定事業費率 | 生命保険会社は、あらかじめ業務に必要な経費を保険料に盛り込む。 予定事業費率が高いほど、経費が多くかかることを意味し、保険料は高くなる。 |
これらは保険料に影響する要素である。
生命保険の配当金の仕組み
前述の利率は保険料が決定される段階では予測であるため、実数とは異なることがある。
たとえば、予定死亡者数よりも現実の死亡者数のほうが低ければ、保険会社が支払う保険金は少なくて済む。
この予定と実数との差(剰余金)は、配当として契約者に支払われる。
- 予定死亡者数 > 現実の死亡者数 ⇒ 「死差益」の発生
- 予定運用収益 < 現実の運用収益 ⇒ 「利差益」の発生
- 予定の事業費 > 現実の事業費 ⇒ 「費差益」の発生
上記の状態となれば、剰余金が発生し、配当金となる。
ただし、なかには「無配当」商品もあり、保険料が割安になっている分、剰余金が発生しても配当金は支払われない。
配当金が出る2種類の生命保険とは
無配当保険なら配当金はないが、有配当保険であれば、配当金が支払われる可能性がある。有配当には次のような型がある。
利差配当型 | 利差配当型には、3年ごとに利差配当金が支払われる型や5年ごとに利差配当金が支払われる型などがあり、予定利率による余剰金が発生した場合に、配当金が支払われる。 |
3利源配当型 | 3利源配当型は、前述した3つの予定率により余剰金が発生した場合に、配当金が支払われる型である。 |
配当付きかどうかはパンフレットにも表記されているため、確認しておこう。
生命保険の配当金の受取方法と注意点
生命保険には、配当金の受取方法がいくつかある。
受取方法が決まっている商品もあるが、どのような受取方法があるか理解しておくとよい。
受取方法について、注意点とともに解説する。
4種類の配当金の受取方法
配当金の受取方法には、おもに4種類ある。保険会社や商品によって選べる受取方法は異なるが、どのような方法があるか確認しておきたい。
- 現金:文字どおり、配当金を現金で受け取る方法である。
- 買増:配当金を保険金額に充当し、保険金額を増額する方法である。
- 積立:配当金を利息目的で保険会社に積み立てる方法である。積立中でも現金を引き出せる商品であれば、緊急用資金として積み立てておくことも可能である。
- 相殺:配当金を保険料に充てる方法である。保険料の減額を期待できる。
有配当の保険商品を希望する場合は、事前にどのような方法を選択できるか確認しておくとよい。
生命保険であっても配当金が出ないことがある
有配当の生命保険であっても、支払われるとは限らない。
たとえば、剰余金が発生しなかった場合や利差配当型で費差益や死差益が出た場合などである。
配当金に税金がかかる可能性がある
配当金は、原則、課税対象となる。配当金の受取時期は、保険契約中と保険金支払期間中がある。
65歳から受け取れる個人年金保険を例に解説する。
保険契約中に配当金を受け取る場合、配当金には直接税金はかからないが、生命保険料控除の額が減る。
生命保険料控除は年間の保険料の額に応じて控除額が決まるが、配当金の額を差し引かなければならない。
控除額が減った分、税負担も軽減できない場合がある。
また年金受取途中で年金と合わせて配当金を受け取った場合、雑所得として課税される。
具体的な商品で、配当金の受取方法を含め、課税関係を確認しておく。
三井住友海上あいおい生命「&LIFE 個人年金保険」
「&LIFE 個人年金保険」は、5年ごと利差配当付個人年金保険である。
保険料払込期間中の配当は、年金原資として積み立てられるため、税金はかからない。年金支払開始日以降に「増額年金」として基礎年金額に上乗せされて受け取れる。
また年金受取中に発生した配当金は、「増加年金」として、基礎年金額に上乗せされる。
基礎年金額に、増額年金と増加年金を合わせた年金合計額に対して、課税される仕組みである。
ソニー生命「5年ごと利差配当付養老保険」
「5年ごと利差配当付養老保険」は、一定期間の死亡・高度障害状態に備える保険で、何もなければ満期時に満期保険金を受け取れる。
契約後6年目から5年ごとに配当金が支払われるが、経済情勢によって変動し、運用実績によっては支払われないこともある。
配当金の取り扱いについて保険金に上乗せされるなどの記載がないことから、現金で受け取れるタイプである。
契約中に受け取るため、生命保険料控除の算出の際に差し引かれ、控除額が減額されるが、税金はかからない。
フコク生命「医療保険 ワイド・プロテクト(有配当)」
「医療保険 ワイド・プロテクト(有配当)」は、入院日数にかかわらず、まとまった入院一時金が受け取れる医療保険である。
「有配当」としか記載されていないが、契約のしおりで確認すると、次のようなタイプだとわかる。
- 契約2年目から、毎年の決算で、危険差損益、利差損益、費差損益に基づいて計算される「毎年配当」タイプである。
- 配当金は積み立てられる「積立方式」である。
積立方式だが、配当金を受け取ったときに控除を受けているのであれば、控除額から差し引かれる。
有配当と無配当の生命保険どちらを選ぶべきか
生命保険には、有配当と無配当があり、配当金の仕組みについて解説した。
実際に生命保険を選ぶときにはどちらを選ぶべきだろうか。
それぞれのメリットと保険を選ぶ際のポイントを紹介する。
有配当の生命保険を利用するメリット
有配当の保険のメリットは、配当金が支払われる点だが、ある程度の物価上昇リスクに対応していると考えられる。
保険会社は受け取った保険料を運用し、予定している利率以上の運用成果を得られれば、保険契約者に還元する。
一般的に、景気がよくなれば、金利や利率は上がるが、資産運用していれば、その恩恵を受けられる。
物価が上昇すれば、お金の価値は目減りするため、そのリスクを軽減することができる。
無配当の生命保険を利用するメリット
無配当保険は、剰余金が発生しても配当金を受け取れないが、その分、保険料はおさえられている。
有配当で配当金が発生するかどうかわからないため、「保険料をおさえられたほうが確実である」という考えかたも成り立つ。
生命保険を選ぶ際のポイント
保険を選ぶポイントはさまざまある。この記事で解説している配当金もそのひとつである。
配当金の有無は、保険商品名でも確認できる。
個人年金保険のように、貯蓄目的で加入する保険であれば、基礎年金額に上乗せされるためメリットは大きい。
一方、死亡保障など貯蓄性より保障のほうが重要な保険の場合、保険料の安い無配当のほうが向いている。
ただし、配当の有無だけでなく、保障内容と保険料のバランスを考慮して選ぶのがよい。
生命保険の配当金について理解を深め最適な保険選びをしよう
本記事では、配当金の仕組みや受取方法と受取時の注意点、有配当保険と無配当保険のどちらがお得なのかという点について解説した。
剰余金は利率や死亡率によって変化するため、毎年出るわけではない点は認識しておこう。
原則として非課税だが、種類や受取時期、受取方法などによっては税金が発生する可能性もある。
本記事を理解しただけでは、どのような生命保険に入るべきかわからないという人は保険のプロに相談することも検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な生命保険を的確に選択することができるはずだ。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることもまた難しい。
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