- かんぽ生命の養老保険について理解したい
- かんぽ生命の養老保険の返戻率について詳しく知りたい
- 養老保険へ加入する際の注意点を知りたい
かんぽ生命の養老保険には、保険料の払い込み期間や受け取る保険金の金額など、目的別に7つのタイプが用意されている。
一般に、養老保険とは万一の際の保障と資産形成の役割を兼ね備えており、選ぶ際には返戻率も一つの基準となるだろう。
では、かんぽ生命が販売する養老保険の返戻率はどのくらいのものなのだろうか。
そこで本記事では、かんぽ生命の養老保険の特徴やメリット、返戻率について詳しく解説していく。
また、保険に加入する際の注意点についても述べるので、養老保険への理解を深め、より効果的に活用するための一助としてほしい。
返戻率を知る前に!かんぽ生命の養老保険の特徴とは?
ここではまず、かんぽ生命が提供している養老保険を詳しく理解しよう。
一般的な養老保険の特徴とは
老後の備えや貯蓄を兼ね備えた保険商品として知られるのが「養老保険」だ。
養老保険では、保険期間中に被保険者が亡くなった場合や高度障害になった場合には死亡保険金が支払われる。
また、保険期間が終了して何事もなく生存していた場合には、同額の満期保険金が受け取れるのが特徴だ。
養老保険は生命保険の一種で、ただ掛け捨てするだけでなく、将来の貯蓄にも役立つ保険である。
そのため、契約期間が終了したときには満期保険金を受け取ることができるし、途中で解約しても解約返戻金が支払われる。
リターンが期待できることから、掛け捨て保険よりも保険料はやや高めに設定されている。
養老保険の主な役割としては、「家族のための経済的な安心」と「老後のための貯蓄」が挙げられるだろう。
申込み時に満期時期を設定することができるため、子どもの教育費用として満期時期を大学入学時に設定したり、老後の資金として満期時期を65歳に設定したりすることができる。
そのため、計画的にまとまった資金を受け取ることが可能となる。
かんぽ生命の養老保険とは
かんぽ生命では、以下の6種類の養老保険を提供している。
- 新フリープラン(普通養老保険)
- 新フリープラン短期払込型(普通養老保険)
- 新フリープラン2倍保障型(特別養老保険)
- 新フリープラン5倍保障型(特別養老保険)
- 新フリープラン10倍保障型(特別養老保険)
- かんぽにおまかせ(満期タイプ)
- 参考:かんぽ生命 「養老保険」
まず大きく「普通養老保険」と「特別養老保険」に分けて確認する。
両者の主な違いは、死亡保険金と満期保険金の倍率だ。
普通養老保険は死亡保険金と満期保険金が同額だが、特別養老保険は死亡保険金が満期保険金の2倍、5倍、10倍のいずれかを選択できる。
たとえば、10倍保障型であれば、満期金100万円に対して、死亡保険金1,000万円と設定することができるということだ。
以下で順に説明しよう。
新フリープラン(普通養老保険)
通常の養老保険であり、死亡保険金と満期保険金が同額で、保険料払込期間と満期になるまでの保険期間が同じタイプである。
保険金額の範囲は100-1,000万円、保険期間は10-60年まで選ぶことが出来るが、加入年齢は80歳まで、満期年齢は90歳が上限となる。
※加入年齢や保険金額には制限がある場合がある。
45歳男性が保険期間15年(60歳満期)、保険金額100万円のプランに加入すると、月額6,110円の保険料を支払うことになる(基本契約のみ/特約なし)。
新フリープラン短期払込型(普通養老保険)
死亡保険金と満期保険金が同額の養老保険だが、15年の保険期間に対して、保険料払込期間が10年と短い期間で払い終えるタイプである。
保険金額の範囲は100-1,000万円、保険期間は15年固定となっており、加入年齢は75歳まで、満期年齢は90歳が上限となる。
※加入年齢や保険金額には制限がある場合がある。
45歳男性が保険期間15年(60歳満期)、保険金額100万円のプランに加入すると、月額8,900円の保険料を10年間だけ支払うことになる(基本契約のみ/特約なし)。
新フリープラン2/5/10倍保障型(特別養老保険)
普通養老保険に比べて、特別養老保険は、死亡保険金が満期保険金の2倍、5倍、10倍のいずれかを選択できる。
保険金額の範囲は100-1,000万円、保険期間は10-60年まで選ぶことが出来るが、加入年齢や満期年齢は、商品によって異なり制限がある場合があるので、詳細はかんぽ生命に確認してほしい。
45歳男性が保険期間15年(60歳満期)、10倍保障型で保険金額100万円のプランに加入すると、月額1,060円の保険料を支払うことになる(基本契約のみ/特約なし)。
保険金額100万円は死亡保障のことであり、満期保険金額は10万円となる。
倍率が高くなるほど、死亡保障が厚くなる。
かんぽにおまかせ(満期タイプ)
通常の養老保険と同じタイプであり、死亡保険金と満期保険金が同額で、保険料払込期間と満期になるまでの保険期間が同じである。
なお、これは「引受基準緩和型」の養老保険となっており、健康に不安のある人でも加入しやすいのが特徴だ。
保険金額の範囲は100-1,000万円、保険期間は10-35年まで選ぶことが出来る。
加入年齢は80歳まで、満期年齢は90歳が上限となる。
※加入年齢や保険金額には制限がある場合がある。
45歳男性が保険期間15年(60歳満期)、保険金額100万円のプランに加入すると、月額6,380円の保険料を支払うことになる(基本契約のみ/特約なし)。
新フリープラン(普通養老保険)に比べ、月額保険料は割高になっているが、その分、健康に関する告知項目は少ない。
特約で保障を付加
基本契約である養老保険には、特約を付けることで病気やケガを原因としたリスクに対応することができるのも特徴だ。
無配当総合医療特約を追加することで、入院日数に応じた入院保険金や一時金、手術保険金、放射線治療保険金を受け取れる。
かんぽ生命の養老保険には、一般の医療保険と同じ程度の保障のある特約があるため、さらに保障を手厚くすることができるといえるだろう。
かんぽ生命の養老保険の評判とは
かんぽ生命に対しては、とくに50歳以上の世代には、地域に根づいた郵便局という印象があるだろう。
民営化前は、過疎な地域にも特定郵便局が設置されており、重要な公共機関として、さまざまなサービスが行われており、親しみを感じている人も多いはずだ。
養老保険はその中でも、全国の郵便局のネットワークを使って、積極的に販売されており、長年に渡って契約を続けている人もいるかもしれない。
一方で、50歳未満の世代にはそれほどなじみはなく、養老保険全体のイメージは持ちつつも、かんぽ生命の商品にこだわる人は少数派だろう。
また、2019年に発覚した、かんぽ生命の不正販売問題を忘れていない人も多く、現在は改善されているはずだが、いまだにかんぽ生命という会社にいい印象を持っていない人もいるかもしれない。
かんぽ生命の養老保険のメリットと返戻率
かんぽ生命が提供する養老保険のメリットを確認しておこう。
また、返戻率がどの程度かについても、具体的に解説する。
メリット1:会社の安定度
郵便局でかんぽ生命の保険商品を扱っているということで、安心感はあるだろう。
迷ったり悩んだりしたときは、すぐ郵便局に出向いて、窓口で相談すれば、丁寧に教えてくれる。
民営化されたとはいえ、日本では巨大な生命保険会社の一つであり、会社としての安定度も十分といえる。
老後や将来の資金のために、できるだけ安心できる保険会社に頼りたいということもあるだろう。
その意味でも、かんぽ生命は安心だ。
メリット2:手軽に加入しやすい
加入時に告知は必要だが、医師による診査は不要なことから、手軽に加入できるといえるだろう。
加入限度額は、一人につき、原則1,000万円までとなっている。
この制限も、逆に考えると他の保険で不足した分を、かんぽ生命で補足することができ、入りやすいということもあるだろう。
返戻率とは
「返戻率」とは、保険契約者が支払った保険料に対する、受け取る保険金額の割合を指す。
計算式は以下の通りとなる。
資産形成の役割も持つ養老保険を選ぶ際には、重要な指標となる。
前述の新フリープラン(普通養老保険)に加入した45歳男性の場合、月額6,110円の保険料なので、以下の計算式より返戻率=約90.9%となる。
45歳男性、保険期間15年、保険金額100万円、月額保険料6,110円
支払う保険料総額=6,110円 ✕ 12か月 ✕ 15年=1,099,800円
返戻率 = 満期金1,000,000円 / 保険料1,099,800 ✕ 100 = 90.9%
男性より女性の方が長寿の影響で、相対的に保険料は低いため、わずかに返戻率は高くなるが、それでも平均すると91%程度である。
100%を超えると、支払った保険料より受け取る保険金のほうが多いということだが、100%を下回ると、元本割れということである。
これは、長く続いているマイナス金利の影響で、養老保険を始めとした貯蓄性保険全般の収益性が低下していることが原因だ。
なお、かんぽ生命の養老保険では、満期保険金とは別に契約者配当金が受け取れることになっている。
契約者配当金とは、保険会社の運用成績によって決まる配当金のことで、かんぽ生命の場合、毎年の配当金実施状況を公表している。
2023年に満期になった20年普通養老保険だと、74,253円の配当が出ているが、それでも返戻率は100%には達しないだろう。
かんぽ生命の養老保険には、一括払いの割引もほとんどなく、満期前に解約すると、払込保険料を下回ってしまうことは明らかだ。
養老保険に加入する際には、途中解約しないことを前提に考えるべきだろう。
- 参考:かんぽ生命「簡易生命保険契約の契約者配当に関するお知らせ」
返戻率を理解したら!かんぽ生命の養老保険に加入する際の注意点
養老保険に加入する際の注意点として、以下の点を解説しよう。
- 保険加入の目的を明確にすること
- 養老保険以外の保険加入も検討すること
- 自分に最適な保険を選ぶ上でのポイント
保険加入の目的を明確にすること
老後の備えや貯蓄を兼ね備えた保険商品が養老保険である。
そんな養老保険に加入する目的として、以下のようなものが考えられる。
- 万が一のときの家族の生活費を保障するため
- 子どもの教育費や結婚費用を準備するため
- 老後の生活資金を準備するため
- 医療費や入院費のため
老後や教育費など決まった時期に多くの金額を用意したい場合は、満期保険金が十分に確保された養老保険に加入する必要があるだろう。
また、それと同時に医療にかかる費用も準備したければ、医療特約を活用すればいい。
加入する目的を明確にすることで、適切なタイプの養老保険を選択することができる。
養老保険以外の保険加入も検討すること
養老保険は、満期になった段階で保障は終了することになる。
いずれも終身保険ではなく、保険期間が決まっているため、一生涯の保障を求める人には向いていないといえる。
また、満期の時点で、高齢になっていることが想定されるため、そこから新たに保障を求めて別な保険を探すと、ほとんどの場合、保険料が高額となってしまう。
満期が来ることをあらかじめ認識しておき、養老保険が切れたあとの保障を確保できるよう、早くから別な保険(終身保険や個人年金保険など)を検討しておこう。
養老保険選択のポイントは
かんぽ生命だけでも6種類の養老保険があり、他の保険会社も含めると、保障内容や保険料にもさまざまな保険がある。
少なくとも以下の点は、選択の際考慮にいれるようにしたい。
保障内容
通常の養老保険は、死亡保険金と満期保険金が同額となるが、かんぽ生命のように、死亡保険金が満期保険金の2倍、5倍、10倍といったものもある。
万が一の死亡保障と満期時点の貯蓄性のどちらを優先するかで、選ぶ視点が変わってくる。
追加で得られる医療系の特約を付加することで、医療保険の加入も不要になることもあるので、それも合わせて検討しよう。
保険料
保険料と保障額のバランスがとれている商品を選びたい。
保険料は支払いが長期に続くものであり、自身の経済状況に合わせたプランを選ぼう。
中には短期に払込期間が終了するものもあり、過度な負担にならないようにしつつ、安心して保険を継続できるように適切な保険料となるようにしたい。
返戻率
前述の通り、最近はかんぽ生命に限らず、養老保険の返戻率はほとんどが100%を切っているものばかりだ。
毎月の保険料と満期保険金から、返戻率はすぐに計算できるため、気になる方は他社も含め、算出して比較してみてほしい。
とはいえ、保障と貯蓄性の両方を兼ね備えている点では、養老保険も依然として魅力的な商品であることは間違いないだろう。
リスクに備えつつ老後に向けた資産を確保するためには、有効な保険であるといえる。
返礼率だけで決めないで!かんぽ生命の養老保険のメリットを知ろう
本記事では、かんぽ生命の養老保険の特徴やメリット、返戻率、そして加入する際の注意点について解説した。
養老保険といえば、返戻率に注目しがちだが、返戻率の高低だけで加入する保険を決めることはお勧めできない。
一口に養老保険と言っても数多くのプランが存在し、その中で自分に必要な保障内容を備えた保険に入ることが求められるのだ。
どの保険を選ぶべきか、少しでも疑問や不安があれば保険のプロに相談することも積極的に検討するといいだろう。
一人一人に合ったアドバイスを受けながら、あなたに最適な保険を見つけることができるはずだ。
とはいえ、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいかもしれない。
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