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新NISAは本当に「おすすめ」なの? 効率的に資産を増やすための実践ガイド

この記事で解決できるお悩み
  • 新NISAが資産形成におすすめされる理由が知りたい
  • 新NISAの特徴を把握して自分に合った運用戦略を見つけたい
  • 新NISAを使った資産形成での注意すべき点が知りたい

本記事では、長期の資産形成に最適な手段として注目される「新NISA」に焦点を当て、その基本的な特徴から効果的な活用方法、さらには失敗を回避するためのコツに至るまで、詳しく解説する。

新NISAについて「本当にメリットがあるの?」と不安をお持ちの方から、より洗練された活用方法を求めている方まで、幅広い読者にとって有益な内容とすることを目指した。

興味がある部分だけを読んで理解を深めることも、記事全体を通じて新NISA投資に触れていただいても構わない。

本記事を、賢い資産形成を目指す際の一助としていただきたい。

目次

新NISAがおすすめされる理由

ここでは、新NISAの基本情報を確認し、そのメリットを整理して、どのような人におすすめかを考察する。

新NISAは「資産形成を応援する制度」

NISAは、個人の資産形成の支援を目的とした非課税制度である。

2024年には、従来のNISA制度を改良し、長期的な資産形成を促進するため新NISAとして再スタートを切った。

NISA最大のメリットは、制度内で得た投資利益に対しては、本来は課される20.315%の税金が免除になる点にある。

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つみたて投資枠成長投資枠
非課税保有期間無制限無制限
年間投資枠120万円240万円
非課税保有限度額1,800万円
※簿価残高方式で管理(枠の再利用が可能)
1,200万円
(内数)
投資対象商品長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託上場株式、投資信託等
買付けの方法定時・定額の積立投資制限なし
出典:金融庁「新しいNISA

制度の概要と特徴は、以下のとおりである。

  1. 新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠組みがある
  2. 金融商品を買い付ける期限は定められておらず、非課税保有期間は無期限
  3. 非課税で保有できる限度額は「1,800万円」
  4. 「1,800万円」は、買付額ベースで管理される。つまり、買ったときの金額(簿価)で、現在の取引価額(時価)で管理されるわけではない
  5. 「1,800万円」という枠は、つみたて投資枠のみで使い切ることは可能だが、成長投資枠のみでは使いきれない(成長投資枠のみの場合は、1,200万円まで利用可能)
  6. 口座の保有資産を売却した場合は、「売却した商品の取得価額分」の枠が復活し、翌年以降に再利用ができる
  7. 年間投資枠の上限は360万円(つみたて投資枠で120万円、成長投資枠で240万円)

 新NISAがおすすめな8つの理由

新NISAは、多くの人に資産形成のチャンスを与える仕組みであり、活用するメリットも大きい。

以下は、新NISAをおすすめする8つの理由である。

税金がかからない

新NISA口座で運用する資産から得られる利益(配当金や売却益など)に対しては、税金がかからない。これにより、税負担を気にすることなく、運用利益を再投資し、資産を成長させられる。

複利効果が期待できる

新NISAは、買付け期間に限りがなく、非課税保有期間が無期限だ。いつから初めてもよいし、長期間の資産運用が可能である。

「つみたてNISA」は分配金が再投資される商品を対象とするため、複利効果による資産増大が期待できる。

分散投資が可能

新NISAでは、国内外の株式、投資信託、REIT(不動産投資信託)やETF(上場投資信託)など、幅広い商品への投資ができる。

これにより、資産クラスの地域の分散投資が行えるので効果的にリスク管理でき、積立投資の実践で、分散による取得価格の平準化も目指せる。

REIT、ETFとは?

REIT(不動産投資信託): 主に不動産や不動産関連資産に投資する投資信託

ETF(上場投資信託): 証券取引所で取引される投資信託

リバランスによるリスク管理が可能

新NISAでは、専用口座で保有している金融資産を売却した場合、その商品の簿価(買った金額)分の非課税枠が翌年復活する。

仮に、新NISA口座で保有している投資信託(簿価300万円)を売却したら、翌年には300万円分の投資余力が帰ってくるのだ。

このため、非課税枠を失う心配なしに、よりリスクを最適化するための柔軟な口座管理が可能となる。

「コツコツ積立」も「まとめて投資」も可能

非課税枠1,800万円は、生涯にわたって利用できる。

たとえば、【投資月額5万円×30年】のように長期にわたって定額を投資することも、【投資月額30万円×5年】のように短期間で非課税枠を使い切ることも可能だ。

低コストの商品に投資できる

つみたて投資枠の投資対象は、「金融庁の基準を満たした、長期の積立・分散投資に適している商品」に限定されている。

販売手数料が無料と決まっており、信託報酬も低いものがほとんどなので、コスト効率のよい資産運用ができる。

少額からはじめられる

新NISAの投資は、少額から行える。金融機関によっては、100円からスタートできるものもある。

小さな金額から投資を始められ、資産形成へのハードルが低い点も、メリットの一つだ。

高リターンでも高すぎるリスクの商品は対象でない

新NISA「成長投資枠」の投資対象には、高リターンが望める一方で、比較的高リスクの商品も含まれている。

しかし、整理・管理銘柄や、信託期間20年未満の投資信託等、(ヘッジ目的を除く)デリバティブ取引を用いた投資信託等は購入できない。

そのため、新NISA制度を利用した投資では、「高すぎるリスク」の商品を購入できないという利点もある。

また、これらのメリットを活かすことで、「実際にどれほどの利益が得られるのか知りたい」という方も多いだろう。

新NISAを活用した資産運用のシミュレーションについてはこちらの記事でまとめたので、気になる方はぜひチェックしてほしい。

新NISAの利用がおすすめの人

新NISAは、とくに以下のような人におすすめできる。

新NISAでの資産形成がおすすめの人
  1. 長期的な資産形成を目指す人
    • 新NISAは長期的な視点での資産運用に適している。退職後の生活資金など、将来に向けて着実に資産を築きたい人におすすめである
  2. 税制優遇を活用して投資したい人
    • 税負担を気にせず、投資利益を最大化したい人にはとくに適している
  3. 投資初心者
    • 少額から始められるうえ、安全性は高く、コストは低い商品が揃っているため、投資を学びながら資産を増やしたい人にも適している
  4. 定期的な積立で資産を増やしたい人
    • 定期的に一定額を投資する「積立投資」を利用すれば、貯金が苦手な人などでも、自動的に資産を成長させられる
  5. コスト意識が高い投資家
    • 「つみたて投資枠」の対象商品は、ノーロードで信託報酬の低いものが選定されている。投資における手数料やコストを抑え、効率よく資産を増やしたい投資家にはおすすめである

新NISAを始める方におすすめしたい投資の基本

投資を始める前に、いくつかの基本原則を理解しておくことは非常に重要だ。

とくに「長期・積立・分散」という投資の原則と、リスクとリターンの関係については、必ず把握しておこう。

投資は「長期・積立・分散」がおすすめ

まずは、金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」に掲載された以下のグラフをみていただきたい。

このグラフは、「国内外に長期・積立・分散を行った場合、かなりの確率で資産を増やせる」ことを示すために掲載されたものだ。

グラフ要素ごとにみていこう。

出典: 金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック

緑の部分は、投資金額の推移である。これは、2001年から毎月1万円ずつ貯めていった場合の額を示す。

オレンジの折れ線は日経平均だ。

毎月の1万円で日経平均に連動する投資信託を購入した場合の、想定される資産の額である。このシナリオでは、投資総額240万円が503万円になる。

ピンクは全世界株式指数(MSCI ACWIを指すので、仮に全世界株式に連動する投資を行った場合、資産は624万円になる。

これは、単純な資産積立と比較して、約2.4倍の増加である。

この差はまさに「長期・積立・分散投資」が生み出すものだ。

  • 長期保有により、短期的な市場変動を吸収し、リスクを平準化できる
  • 長期に利益を再投資することで、大きな複利効果が得られる
  • 長い期間にわたり定額投資を続けることで、高値のときは少なく、低値のときは多く購入することが自然と行われ、「平均購入価格」を下げられる
  • 異なる資産クラスや地域への投資により、特定市場の動きが全体のパフォーマンスにい与える影響を抑えた

リスク許容度に合った商品を選ぶことも大事

さて次は、「リスク許容度」について説明しよう。

リスク許容度の把握は、投資を行う際に最も重要な要素の一つである。

ここでは、リスク許容度を理解し、それに基づいて金融商品を選定する方法について説明する。

投資計画におけるリスク許容度は、投資での損失をどれくらい許容できるかの主観的な見積もりだ。

投資計画を策定するステップの一つとして登場する。

投資計画を策定するステップ
  1. 目標を設定
    • 何のために投資をするのかを、どのくらいの資産を築きたいか
  2. 財務状況の把握
    • 自身の資産、負債、収入、支出を把握し、毎月投資できる金額を類推する
  3. リスク許容度の評価
    • 「どのくらいのリスク(損失)を許容できるか」という度合いを測る
  4. ポートフォリオをつくる
    • リターンとリスクをポートフォリオ(資産配分)として表現する

リスク許容度を見積もる

リスク許容度を見積もるためには、自身の資産状況、家族構成、年収、性格、投資経験など複数の要素を考慮する必要がある。

以下のようなオンライン診断でも、ざっくりと把握できるので、ぜひ利用して欲しい。

ポートフォリオをつくってみる

ちょっとしたポートフォリオなら、オンラインで簡単に作成できる。

たとえば、フィデリティ証券のシミュレーションでは、簡単な質問に答えるだけでリスク許容度に基づいたポートフォリオを作成してくれる。

以下に、リスク許容度が異なる投資家のポートフォリオを示す。

想定する投資家像
  • 投資期間
    • 20年
  • 初期投資額
    • 0円
  • 毎月の積立額
    • 5万円
  • 投資理解レベル
    • 中上級「長期投資にはリスク低減効果があると理解している」
  • 投資対象
    • インデックスのみ

リスク許容度が低い投資家のポートフォリオは、株式などのリスク資産の割合が極めて低い。

一方、リスク許容度が高い投資家向けは、リスク資産の比率が79%と顕著に高い。

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リスク許容度① 低い
(初期投資額100万円のうち5万円の損失なら許容)
③高い
(初期投資額100万円のうち20万円までの損失なら許容
投資以降投資元本の安定性重視投資資産価値の大幅増大を優先
投資金額1,200万円1,200万円
20年後の資産
(年換算利回り)
1,669万円(3.34%)2,057万円(5.35%)
国内債券型40%6%
国際債券型37%15%
国内株式型12%39%
国際株式型11%40%
リスク4.99%12.84%
リターン3.45%6.88%
参考:フィデリティ証券「ポートフォリオを自動シミュレーション

金融商品を選ぶ

この資料をもとに金融商品を選定するわけだが、資産クラスごとに異なる投資信託を購入して組み合わせる必要はない。

投資初心者なら、優れた投資信託を1本選べば十分だ。

これらすべてを含んだ「バランス型」から資産クラスの割合が近いものを選ぶことで、リスク管理は行える。

商品を選ぶ場合は、口座を開設した金融機関のWebサイトなどを参考にするとよい。

素晴らしい商品だったとしても、金融機関に取り扱いがなければ購入はできない。

リスクとリターンのバランスをとろう

リスクとリターンのバランスを取ることは、投資の基本中の基本である。

これは、バランス型の投資信託などでも実現可能だが、新NISAの仕組みを使って「コア・サテライト」を実践することでも実現できる。

コア・サテライトとは

コア・サテライトは、ポートフォリオの構築方法の一つである。

安定して成長を見込む「コア」と、より高いリターンを目指す「サテライト」でポートフォリオを構成して、全体のパフォーマンスを高めつつ、リスクを管理する戦略だ。

新NISAなら、つみたて投資枠でコア資産を築き、成長投資枠(の一部)を使って高リターンを目指す資産に投資する。

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コンポーネント目的組み入れる商品
コア分散によるリスク低減、低コスト等により、
長期的かつ安定的な成長
インデックスファンド
ETF(上場投資信託)
パッシブ型投資信託
サテライト高いリターンによりコア部分を補完アクティブ投資信託
個別株式

新NISAを活用した「コアサテライト」

コアとサテライトの割合は、リスク許容度により異なるが、一般的にはコア資産が全体の70%〜90%、サテライト資産が10%〜30%とする。

以下のように配分をざっくり決めて、その枠内でNISA投資を行えば、個人の投資計画から大きく逸脱することなく、バランスのとれたポートフォリオが構築できる。

  • 投資は新NISAのみ
    • NISAで「コア7割 + サテライト3割」 
  • すでにコア資産形成済み
    • NISAでは「サテライトのみ」
  • NISAの他に株式を保有
    • NISAでは「コアのみ」

運用目的別〜新NISAのおすすめ活用法

ここでは、運用目的にあわせた新NISAのおすすめ活用法を3つご紹介する。

  1. 安全に資産を増やす
    • つみたて投資を拡大する
  2. 資産を大きく成長させる
    • 高リターン商品を組み入れる
  3. 定期的なキャッシュフローを得る
    • 高配当ETFを組み込む

安全に資産を増やす:つみたて投資を拡大する

新NISAで安全に資産を増やすなら、つみたて投資枠を中心に、成長投資枠はこれを拡大する役割として利用する方法がおすすめだ。

積立金額はたとえば「月10万円で15年間」「月7.5万円で20年間」「月5万円で30年間」などとし、余裕があれば成長投資枠でも同じ投資をする。

投資対象は、1本で株や債券に投資するバランス型ファンドのほか、指数に連動するインデックスファンド(たとえば「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」など)がよいだろう。

これから資産形成を始める人や、忙しくて投資にあまり時間がとれない人にもおすすめできるのがこの方法だ。

慣れてきたら投資金額を増やしたり、高リターン商品を検討したりもできる。

資産を大きく成長させる:高リターン商品を組み入れる

資産を大きく成長させる目的なら、成長投資枠に高リターン商品を組み入れ、プラスアルファを追求する方法もある。

たとえば、NASDAQ100に投資する投資信託や、連続増配株に投資するファンド、および成長が見込まれる国内外の個別銘柄が投資対象となりうる。

高リターン商品を組み入れる場合は、以下の点に注意すること。

  • コストの確認
    • 高いリターンを目指す商品は、手数料等が高い傾向にある
  • リスク許容度の確認
    • 組み入れ後のポートフォリオが、自身のリスク許容度を超えていないか
  • リスク資産のバランス
    • 株式等は市場の影響を受けやすい。モニタリングを定期的に行い、適切なタイミングでリバランスを行う

定期的なキャッシュフローを得る – 高配当ETFを組み込む

定期的にキャッシュフローを得たいなら、成長投資枠に高配当ETFを組み込む方法も有効だ。

高配当ETFは、高い配当利回りの株式を集めた投資信託であり、分配可能な収益は全額投資家に分配される。

これにより、投資家は、安定して分配金が得られる。

高配当ETFを購入する場合は、以下の点に注意すること。

  • とくに米国株を中心とした高配当ETFの場合、新NISAでも10%の米国課税が適用される場合もある
  • 高配当ETFの信託報酬は高いものから低いものまでまちまちである。購入前には必ず信託報酬を確認すること

新NISAを上手に活用するためにおすすめしたい3つのコツ

ここからは、新NISA投資において失敗を回避するコツを、3つに絞って解説する。

  1. 計画から乖離した投資は行わない
  2. 計画を頻繁に変更しない
  3. 定期的な見直しとリバランス

計画から乖離した投資は行わない

新NISAに限らず、投資での失敗を回避するためには、最初に立てた投資計画を守ることが重要だ。

策定したポートフォリオと購入したい投資信託の資産配分が少しずれている程度なら、それほど気にする必要はない。

たとえば、成長投資枠を使って無計画に個別銘柄の割合を増やしたり、短期的な市場環境の悪化を受けて売却してしまうなどだ。

「Aという銘柄が上がると聞いたから」「新興国ファンドへの投資がおすすめという記事を読んだ」などの理由で特定銘柄やセクターを偏重すると、大きな損失につながりかねない。

市場の変動や他人の成功に惑わされず、自身の計画を信じて忠実に実行しよう。

計画を頻繁に変更しない

新NISAを利用した投資では、長期的な視点を保ち、一喜一憂せずに計画を継続することが重要だ。

ここでは、計画を頻繁に変更しないことのメリットを説明し、できるだけ長期的に投資を続けるための工夫を紹介する。

計画を頻繁に変更しないことのメリット

まず、短期で計画を変更してしまうケースについて考えてみる。

3年投資を続けたけれど成果が出ず、現在の資産を売却し他の金融商品に乗り換えるケースを想定して欲しい。

金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」によれば、保有期間5年の場合は、マイナス8%までの元本割れの可能性がある。

出典: 金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 

しかし、保有期間が20年になると、元本割れは出現せず、4%〜6%の運用成果が60%近くの頻度で出現している。

出典: 金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 

つまり、この投資家は「元本割れの期間にのみ資産を保有し、儲けの機会を失った」ともいえる。

このように、計画を頻繁に変更しないことは、結果として元本割れの可能性を低くするメリットがあるのだ。

頻繁な計画変更を避けるための方法

以下に、計画を頻繁に変更しないための方法をまとめておきます。

  1. 投資のモニタリングを頻繁に行わない
    • 確認は、半年か年に1度で十分。過度な確認は、感情的な判断につながる
  2. 緊急予備資金を確保しておく
    • 緊急時に備え準備しておこう。これにより市場の一時的な下落に動じることなく、計画を継続しやすくなる
  3. 短期的な資産増減に動揺しない
    • 資産の増減は投資において自然なことと心得て、長期的な視点を持つことが大事
  4. 過度に情報収集しない
    • 情報は有益だが、根拠のない情報に振り回されることは避けるべきである。SNSなどに溢れる「100万儲かった」や「A国は今が買い!」などの主観的な情報に惑わされないよう注意すること

定期的な見直しとリバランス

長期資産運用の成功には、計画の頻繁な変更を避けつつ、定期的に見直しとリバランスを行うことが不可欠だ。

定期的な見直しの最適なタイミングは、以下のとおりである。

  • ライフステージが変化したとき
    • 人生のどこの段階にいるかによりリスク許容度や投資目標は変化する
    • たとえば退職前にはより保守的な戦略へのシフトが考えられる
  • 事前に決めておいた見直しのとき
    • スケジュールしておいた見直し時期は、当然のことながら見直しのタイミングだ
    • 少なくとも年に一度は決まった時期に見直すことをおすすめする
  • 短・中期的な資金需要に伴い現金化したとき
    • 子どもの学資や、住宅購入資金などで現金化したときは、ポートフォリオ変動の可能性がある
    • このタイミングで、全体的な見直しを行うとよい

見直し時には、より低コストの商品との入れ替えが可能かも確認しておきたい。

購入している金融商品と同様の内容で低コストのものがあれば、入れ替えることによりコスト効率は上がる。

新NISAの相談先はどこがおすすめ?

新NISA投資は、専門家に相談しつつ実践するのがおすすめだ。

以下でその理由を説明していく。

新NISA投資における専門家の重要性

新NISAは、非課税メリットを活用して効率的に資産形成を目指せる、非常に魅力的な制度である。

2024年の改正により、制度の自由度が高まり、投資家にとってさらに使いやすくなった。

しかし、この制度の利点を最大限に活用し、安全かつ効率的に資産を築くためには、さまざまな要素を考慮する必要がある。

新NISA制度について精通することはもちろんだが、自分に合った投資や運用の方法が合っているかを見極めることも大切だ。

こうした複雑な課題を解決するためのサポートを提供するのが、独立系ファイナンシャルアドバイザー「IFA」である。

新NISA投資でIFAが果たす役割

IFAは、金融機関に所属せず、中立的な視点から資産運用のアドバイスを提供する専門家だ。

投資に関する広範な知識を有するのみならず、新NISAの制度や税制についても詳しい。

投資家のすべての資産を概観し、新NISAをどのように取り入れるべきかを、客観的に評価しアドバイスする。

経歴や専門分野によっては、税金対策、相続計画に至るまでの総合的なサポートの提供も可能だ。

「資産運用ナビ」を利用した専門家選び

IFAへの相談に興味を持っていただけたなら、ぜひ検索サービス「資産運用ナビ」にアクセスして欲しい。

簡単な質問にいくつか回答することで、あなたに合ったIFA候補を選定して紹介する。

さらに他の条件を加えて、より適切な候補者に絞り込むこともできる。

サイトには、IFAの経歴や資格情報も公開されている。

これらを参考に、自分のニーズにぴったり合うIFAを見つけられるのだ。

新NISAは幅広い投資家におすすめ

この記事では、新NISAが「おすすめ」とされる理由や、おすすめの資産形成の方法について整理した。

新NISAの導入により、個人投資家はさらに資産運用の機会が広がった。

長期・分散投資のメリットを享受し、税制上の優遇を受けながら効率的な資産形成を目指せるのである。

新NISAで資産形成を始めるのは難しくない。

しかし、より効果的に利用するため、そして制度に潜む落とし穴にハマらないために、専門家への相談をおすすめする。

着実に資産を増やしていきたい方は、ぜひ一度はIFAの相談を試して欲しい。

検索サービス「資産運用ナビ」を通じて、相性の良いIFAを探してみてはいかがだろうか。

新NISAのおすすめに関するQ&A

新NISAでのリスク管理のポイントは何ですか?

新NISAでのリスク管理のポイントは、「長期・積立・分散の原則を忘れない」ということに尽きる。

長期にわたる投資は、リスクを時間で分散し、市場の短期的な変動を乗り越えることにより、リスクを自然と軽減させる効果を持つ。

分散投資は、投資リスクを軽減するための重要な戦略である。

一つの投資先に依存することなく、異なる資産クラス、地域、セクターへ投資を分散させることで、特定の市場や経済状況の変化による影響を受けにくくする。

定期的に一定額を購入する「積立投資」は、時間分散によりリスクを低減させる効果がある。

ドルコスト平均法とも呼ばれるこの方法は、高値の時には少なく、低値のときには多くの株式を買うことになり、長期的には購入平均単価を下げる効果がある。

投資計画の立案段階から、実際に投資を行う際にも、これら「長期・積立・分散の原則」を忘れずないことが、リスク管理の鍵である。

投資初心者におすすめの金融商品は?

初心者はまず、つみたて投資枠の対象商品から1本選んで始めることをおすすめする。

この枠の商品は金融庁の定める要件を満たしており、選択肢が絞られているため探しやすい。

具体的な商品選択については、本稿の「リスク許容度に合った商品を選ぶ」を参照していただきたい。

投資に慣れてきたら、成長投資枠で、さらに多様な商品から選択してみるとよい。

新NISAでの投資はどのように始めるのがおすすめですか?

新NISAでの投資は、おおむね以下の3ステップで始められる。

  • 金融機関で新NISA口座を開設する
  • 投資する金融商品を決める
  • 投資方法(どのタイミングで、いくら投資するか)を決める

「3つのステップでOK」というと、「店に行って野菜を買う」ことと同様に感じられるかもしれない。

しかし、価格の定まったモノを買うのとは異なり、投資商品の価値は購入後に上下する。

つまり、投資にはリスクが伴うのである。

だから、とくに初心者の方には、専門家のアドバイスを受けながら投資を始めて欲しい。

少しのアドバイスが、結果に大きな違いをもたらす。賢く最初の一歩を踏み出して欲しい。

非課税投資枠は使い切らなければ損ですか?

非課税投資枠を使い切らなくても、「損」にはならない。

非課税枠の利用は、投資の一つの選択肢でしかない。あくまでもライフスタイルや資金の状況に応じて行うものだ。

自分にとって無理な金額を、リスクのある投資にまわす必要はない。自分自身の投資目標や運用資金と相談しつつ、賢く使うべきである。

新NISAの利用開始年齢に制限はありますか?

新NISAの口座を開設できるのは「開設する年の1月1日時点で18歳以上の方」に限られる。

未成年は新NISAが利用できないため覚えておいてほしい。

新NISAでの運用で失敗する典型的なパターンにはどのようなものがありますか?

新NISAでの運用で失敗する典型的なパターンとしては、以下のようなものが挙げられる。

  • 一括投資を行ったが、高値掴みとなり大きな損失を被った
  • 余剰資金を超える金額を投資に回してしまった
  • 配当金の受取方法の設定を誤り、課税されてしまった

一括投資は、投資時期の見極めが難しい。

一括投資をして高値掴みとなってしまうと、大きな損失を被るリスクも高くなる。

また、生活資金を取り崩しながら投資を行った場合、損失が出てしまうと生活が立ち行かなくなってしまうリスクも考えられる。

加えて、新NISAでは非課税保有限度額の範囲内における運用益は非課税となるが、配当金を非課税で受け取るには、受取方法を「株式数比例配分方式」に設定しなければならない。

新NISAでの運用で失敗しないようにするためにも、余剰資金の範囲内で適切に分散投資を行い、配当金の受取方法の設定を誤らないように気をつけることが大切だ。

新NISAの年間投資枠を効率的に利用する方法は?また、投資枠を使い切った後の選択肢にはどのようなものがありますか?

新NISAでは、つみたて投資枠で年間120万円、成長投資枠で年間240万円の投資が可能だ。

そのため、つみたて投資枠にて毎月10万円の積立投資を行いながら、成長投資枠で毎月20万円の積立投資もしくは240万円分のスポット購入を行うことで、効率的に枠を利用できる。

また、非課税投資枠の総枠は1,800万円であるが、その枠を使い切った後は以下2つの選択肢がある。

  • そのまま長期運用を行う
  • 一部を売却して非課税枠を復活させ、新たな商品へ投資する

そのまま長期運用を行うことで、複利効果を得ながら資産の拡大が目指せるだろう。しかし、市場動向を見極めながら新たな商品へ投資したいという方は、保有している資産を売却して非課税枠を復活させるのも一つの手だ。

ただ、売却によりその枠を再利用できるのは翌年となる点には注意しよう。

新NISA投資に効果的な分散投資の具体例を教えてください。

新NISA投資に効果的な分散投資には「資産クラスの分散」「地域の分散」「投資時期の分散」の3つがある。

まず、資産クラスの分散とは、株式や債券、不動産などさまざまな金融商品を組み合わせて投資先を分散させることをいう。

異なる値動きをする金融商品に投資することで、価格変動リスクを抑えることが可能だ。

また、地域の分散とは、国内だけでなく米国や新興国などにも投資先を分散させることをいう。

さまざまな地域に分散投資すれば、各国の経済成長に伴って資産の拡大が見込める。

加えて、投資時期の分散とは、一括で投資せずに投資時期を複数回に分けて投資することをいう。

それにより、高値掴みとなるリスクを減らせるだけでなく、ドルコスト平均法によって購入単価を平準化することも可能だ。

「資産クラス」「地域」「投資時期」を分散し、資産の大幅な成長を目指そう。

新NISA口座での投資信託の選び方とその基準を教えてください。

新NISA口座にて投資信託を運用する場合は、以下の2つの基準をもとに選択してほしい。

  • 投資対象
  • 運用コスト

投資信託は、その商品によって投資対象としている商品に違いがある。

株式を中心に投資対象としているものもあれば、債券への投資比率が高い投資信託も存在するのだ。

自身のリスク許容度を踏まえた上で、選択しよう。

また、運用コストも商品によって異なる。

運用コストとは、信託報酬や購入時手数料、信託財産留保額のことをいう。

購入時手数料や信託財産留保額は無料の商品も多数ラインナップされている。

しかし、信託報酬はどの商品を選択しても運用期間中は負担し続けなければならないコストだ。

投資成果を最大化するためにも、運用コストが低い商品を選択することをおすすめする。

新NISAの資産形成における税効果の具体的な計算例を教えてください。

例えば、運用によって100万円の利益を得たとしよう。

その場合、新NISA口座で運用していたか、それとも課税口座で運用していたかでどれほど違いがあるのか見ていきたい。

新NISA口座の場合

運用益100万円に対する課税はないため、100万円が手元に入ってくる

課税口座の場合

運用益100万円に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が課税されるため、手元に入ってくる金額は100万円−(100万円×20.315%)=796,850円となる

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。資産運用の相談サイト「資産運用マッチング」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

・本サイト「資産運用ナビ」はアドバイザーナビ株式会社が運営しております。
・本サイトに掲載される情報に関しては、最大限の注意を払っておりますが、金利、手数料、その他商品情報の完全な正確性や信頼性を保証するものではありません。
・本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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