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日本でも人気急上昇中の米国株式の魅力とは?

証券会社のHPを巡回していると、最近はどこも米国株式に関する特集を組んでいるのが目につく。

証券会社によっては顧客の買い付けランキングを公表しているが、もともとは日本株や投資信託のランキングだけが公表されていたのに、気付けばそこに米国株式のランキングも追加されている。

私の周りでも米国株式に投資をする人が増えているが、なぜ米国株式へ投資をする人が増えているのだろうか。今回は米国株式の魅力を考える。

目次

経済成長と人口増加

 米国株式の魅力を考える際に、最初にマクロの観点からいえば、同国の経済成長と人口の増加が挙げられるだろう。

人口が増えないと経済成長しないということではないが、人口が増えることで一般的には労働人口も増えることから、結果として国内で生産される付加価値が増加し、経済成長を表すGDPが増えるという考え方だ。

 日本経済が「失われた30年」と表現される一方で、米国経済は成長を続けている。

また、今後の人口についても、国連が公表している世界人口予測を見てみると、日本の人口が2050年には1億580人と減少予想となっているのに対して、米国では3億7,942万人と5,000万人弱は増加する予想となっている。

 当然、人口が減ったとしても経済成長するシナリオはあり、その1つがイノベーションによる飛躍的な技術進歩が挙げられる。

たとえば、労働力人口が減ったとしても、AIやロボットを活用することで、生産される付加価値が増加すれば経済は成長する。しかし、この10年、20年のうちに世界に大きな影響を与えたイノベーションの多くが米国で生じていることを考えれば、人口も増え続ける米国経済は今後も期待できると考える人が増えても不思議ではない。

会社は誰のものか?

次に考えるべきは「会社は誰のものか?」という点だ。日本社会においては会社は従業員のものであるとか、お客様のために存在するという考え方が一般的だ。

個人的にはこの考え方は間違ってはいないと思うし、そのような考えに基づいて企業運営をした方が、結果的に経営者や株主にとっても良い影響を与えるとも思う。

しかし、この考え方は良くも悪くも有機質なものであり、少し感情論に寄っている気もする。米国企業の場合は法律に基づいた考えを実践しているケースが多く、あくまで会社は株主のものであり、経営陣は会社の経営を代理しているにすぎない、という無機質な考え方である。

当然、経営陣は会社にとってプラスになることをするべきなので、従業員の労働環境に配慮したり、顧客満足度を上げるような施策を展開するため、結果としては従業員や顧客のことを考えるわけだが、それでも企業運営の根底には株主への還元がある。

それ故に、日本企業に比べれば高い配当を出したり、自社株買いによって株価を引き上げるなどのコーポレートアクションを頻繁に実施するのだ。

意外とお手軽な米国株式

 日本人投資家からすると、米国株式というと敷居が高く感じるかもしれない。

たしかに、日本株式に投資をするような感覚で米国株式に投資をしようとしても、細かい情報は英語でしか収集ができないし、日本株式のようにネット上に豊富な情報が転がっているわけでもない。

 しかし、意外とお手軽な点もある。それは投資に必要となる金額の少なさだ。日本株式の場合、原則として売買単位は100株となっている。

つまり、株価が1,000円の企業に投資をしようとする場合、最低でも10万円(1,000円×100株)が必要となる。投資の大原則として分散投資をしてリスクを低減するというものがあるが、株価が1,000円の企業5社に分散投資をしようとすると、最低でも50万円かかることになる。

一方で、米国株式の場合は1株単位から投資が出来るため、経済面でははじめの一歩を踏み出しやすい。

 当然、日本人投資家にとってデメリットやマイナス面もある。たとえば、日本人投資家が好きな株主優待は米国株式にはない。また、ストップ安などの値幅制限がないため、投資をした瞬間に資産が一気に減ってしまうこともある。

時差があるため、リアルタイムで取引をしようとすれば夜中に起きている必要があり、前述の通り英語が出来なければ、細かい情報をリアルタイムで取得することが出来ない。

暴落時にFPが教えてくれたこと

 色々と書いてきたが、米国株式の魅力の1つで、かつ分かりやすいのが、これまでの実績だろう。ぜひ一度、ネットでNYダウやS&P500など、米国の株価指数の長期間のチャートを見てみてほしい。

ITバブルの崩壊やリーマンショックなど、この30年間でも何度も大きな暴落局面が訪れているが、長期間でみれば右肩上がりに上昇していることが分かる。

 過去に私がボストンで著名なFPと話をした際に、興味本位で聴いてみたことがある。「リーマンショックの時はどのように顧客対応していたのですか」と。すると、彼はひっきりなしにかかってくる顧客からの電話に対して、ひたすら過去の長期チャートを見せて落ち着くように伝えたそうだ。

たしかに、長期チャートを見ると、むしろ暴落局面で買い増していた方がお得なのではないか、とすら思えてくる。

 本項でも米国株式のメリットとデメリットの両方を書いてきたが、来年から始まる新しいNISAに備えて、運用対象の新たな候補として米国株式も考えてみてはいかがだろうか。

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※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

森永 康平のアバター 森永 康平 株式会社マネネCEO / 経済アナリスト

証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。2018年6月に金融教育ベンチャーの株式会社マネネを設立。
現在は経済アナリストとして執筆や講演をしながら、国内外複数のベンチャー企業の経営にも参画。

著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数。

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