- 6,000万円の使い道や投資先を決めたい
- リタイアするにはいくらまで増やせば良いか知りたい
- 目指すべきリターン額、適切なリタイア時期を知りたい
6,000万円というまとまった資金をお持ちの場合、早期リタイア(早期退職)を検討している方も多いのではないだろうか。
さらに「リタイアする際の収入源として運用益を増やしておきたいが、6,000万円の投資先はどれを選べばいいのかわからない」と悩んでしまう方は少なくない。
そこで今回は6,000万円の投資先について、早期リタイアできるかどうかという観点から紹介していく。
早期退職を検討している方、資産運用を始めたいと考えている方はぜひ最後までご覧いただきたい。
資産運用の適切な金額はいくらなのか、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
資産運用の適切な金額について、分かりやすく解説されている。
6,000万円の投資で目指すべきリターンとは
6,000万円の投資で目指すべきリターンについて考えていこう。
自分に合った適切なリターンを目指し、そのリターンを実現するためのリスク管理を徹底することで、初めて自分の運用成績が安定する。
今回は老後資金から逆算して目指すべきリターンを年齢別に分けてシミュレーションしていく。
どれも60歳までに資金を用意する前提でリターンを算出した。
計算に使う数値
どのケースでも65歳から年金を毎月14万円受け取り、90歳まで暮らすと想定した。
総務省が行った「家計調査」によると、全国2人以上の世帯の支出は1ヵ月平均29万8,006円とあった。
また老後の生活において、生命文化保健文化センターの令和元年度生活保障に関する調査のアンケート結果では、最低限の生活費は平均22.1万円で、旅行や付き合いなどを楽しむゆとりある老後の場合は平均36.1万円必要という結果が出ている。
そのためここでは、65歳以降は完全にゆとりある生活はできないものの最低生活費よりも上回る月30万円で生活費を計算していく。
- 出典:統計局「家計調査報告」
- 出典:生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」
20代の場合
25歳で早期退職する場合は、65年間の生活費として360万円 × 65年 = 2億3,400万円の生活費が必要となる。
これに住宅購入費や教育資金、結婚費用や出産費用などが加わるので、以下の資金をプラスして3億円程度が早期リタイアに必要であると仮定した。
生活費以外の大きな出費
- 住宅購入費
- 3,000万円
- 教育資金
- 2,000万円
- 出産・結婚費用
- 500万円
年金を65歳から受け取れば、年間168万円 × 25年 = 4,200万円がもらえる。
つまり、年金額を引くと一生涯でかかる金額は約2億5,800万円だ。
この水準まで6,000万円を運用して到達する場合、利回りが年5%なら28. 5年、年4%なら37. 5年必要となる。
つまり、60歳までに用意するなら最低でも年4%以上のリターンを目指すことになる。
30代の場合
35歳で早期退職し90歳まで生きる場合、必要な生活費は月30万円 × 12ヶ月 × 55年= 1億9,800万円となる。
65歳からの年金支給額は月14万円 × 12ヶ月 × 25年 = 4,200万円となるので、一生涯で必要な資金は1億5,600万円だ。
60歳になるまでに準備する場合、運用期間は30年として利回り年5%なら20年、年4%なら25年で到達できる。
そのため、20代と同じく最低でも4%のリターンを目指す必要がある。
40代の場合
45歳で退職して90歳まで過ごす生活費は月30万円×12ヶ月× 45年= 1億6,200万円となる。
65歳からの年金支給額は月14万円×12ヶ月× 25年= 4,200万円となるので、一生涯の必要資金は1億2,000万円だ。
60歳まで20年間なので、40歳から運用を始めたとして年3%なら18年、年4%なら14年、年5%なら11年で必要資金を準備できる。
つまり60歳までに用意する場合は、最低でも3%の利回りが必要となる。
50代の場合
55歳で早期リタイアし、90歳まで暮らす場合の生活費は月30万円×12ヶ月× 35年= 1億2,600万円となる。
65歳からの年金支給額は月14万円×12ヶ月× 25年= 4,200万円となるので、一生涯の必要資金は8,400万円だ。
50歳から運用を始めて10年で用意するなら、年6%で6年、年5%で7年、年4%で9年で達成できる。
つまり60歳までに用意する場合は、最低でも年4%の利回りを目指す必要があるのだ。
6,000万円のおすすめの投資戦略
前述したシミュレーションでは年代問わず、大体利回り3%から5%程度が老後資金を準備するために最低限必要なリターンであることがわかった。
続いてここからは、投資戦略の立て方や管理方法について解説していく。
6,000万円の投資におけるリスクとリターンの関係
投資をする際、必ず覚えておきたいのがリスクとリターンの関係についてである。
そもそも、投資におけるリスクとは「不確実性の度合い」のことであり、いわゆる「危険性」という意味ではない。
投資におけるリスクが高いというのは、価格の変動幅が大きいことを指す。
つまり、大きなリターン(利益)を得られることもあれば、大きな損失を被ることもあるということだ。
なお、投資における危険(Danger)な商品は「投機」であり、いわゆるギャンブルが該当する。
投資をするにあたって、まずはリスクとリターンの関係や意味を正しく理解することが大切だ。
そのうえで、各金融商品においてリスクリターンの大きさはある程度決まっており、大別すると以下のように分類できる。
- 債券より株式のほうがリスクリターンは大きい
- 国内の金融商品より海外の金融商品のほうがリスクリターンは大きい
実際、同じ資産額を保有していても、年齢や家族の有無などの状況によって取れるリスクの大きさは異なるため、後述する内容を踏まえて投資戦略を考えてみてほしい。
堅実なリターンを狙う投資戦略の立て方
年金を受給しつつ、6,000万円を投資で運用し、早期リタイアを目指して資産形成していくなら、3〜5%の運用利回りを狙いたいのは先述したとおりだ。
前提として6,000万円の全額を投資に回せるわけではなく、先に現金で残しておきたい以下の項目について、具体的なシミュレーションをしておくことが重要である。
- 緊急時の資金
- 想定される医療費
- 住宅のリフォーム費用
- 車の買い替え費用など
一般的に、緊急時の資金として6ヶ月から一年分の生活費を用意しておきたいところだ。
この金額で医療費を賄う想定としても構わないが、月の生活費が30万円であれば、360万円ほどの貯金をしておくことで、安心して投資を続けることができるだろう。
また、現在の住まいは人によって異なるが、住宅の購入以外にかかるメンテナンスコストについても、6,000万円の原資から別途確保しておくと、投資の収益がズレにくくなるはずだ。
この点は車の買い替えに関しても当てはまるため、定期的にまとまった金額が必要になるものは預金で残しておいたほうが確実である。
そのうえで、毎月の生活費を正しく算出し、早期リタイアして年金受給までの期間に必要な金額と、年金を受給してから不足する生活費をカバーするのに必要な金額をシミュレーションしよう。
このときに併せて考えておきたいのが、インフレ率や予想される税率の変動である。
日銀は物価の上昇率2%を目標に掲げているため、物価上昇分を差し引いて、目指したい運用利回りと運用期間を定めることが重要だ。
6,000万円の運用で実践すべき投資戦略
投資をするにあたって、最も意識したいのが分散投資である。
「分散」には大きく2つの意味がある。
- 複数の金融商品への分散投資
- 投資期間・回数を増やすという意味の分散投資
投資の格言に「たまごを一つのカゴに盛るな」というものがあり、資産を一つの金融商品に集中投資すると、暴落した際に大きな損失を被ることを表す言葉だ。
株式と債券の分散はもちろん、株式のなかでも複数の銘柄に対する分散も効果的である。
最も身近な例で言えば、日本円とドルの分散保有も一つの有用な戦略だ。
また、資産運用していくなかで意識したいのがポートフォリオの管理である。
ポートフォリオとは、どの資産をどの程度持っているかという割合を示すものだ。
金融商品によって期待利回りは異なるため、定期的にポートフォリオを見直さないと、当初予定していた資産配分がズレてしまう可能性がある点には注意が必要である。
例えば、日本の年金を運用しているGPIFのポートフォリオは、日本株式・債券、海外株式・債券を25%ずつ保有することを原則としている。
ほかにも、「年齢」%の債券、「100−年齢」%の株式を保有するポートフォリオを推奨するケースも多い。
どのような割合にするかは人によって異なるが、資産運用するにあたっては、複数の商品に分散投資したうえで、ポートフォリオを適切に管理していくことが大切だ。
6,000万円のおすすめ投資先は?
6,000万円をどのように投資していけばよいか、考え方や方向性、イメージはついたかもしれないが、具体的にどのような金融商品に投資すればよいか分からない人も多いだろう。
ここでは、おすすめの投資先について具体的に紹介する。
自分が目指す運用利回りと照らし合わせて、以下の内容を参考にしてみてほしい。
投資信託
投資信託は、投資のプロである運用会社(ファンド)へ資金を投資し、運用会社が投資家から集めた資金を使って実際に投資運用を行う運用方法だ。
投資家は運用会社で手数料を支払ってプロに運用してもらい、運用益を運用会社から還元してもらう。
投資信託はかなり多くの種類から選べ、1つの銘柄でも株式と債券など複数の金融商品が組み合わされたものが多い。
つまり、1つの商品を購入しているのに株式や債券へ分散投資をしている状態を実現できるのである。
投資信託ではリスク低めの銘柄を選びつつ、リターンを狙う銘柄にも投資できるなど細かな戦略を立てられる自由度の高さに定評がある。
年2%から3%程度のパフォーマンスを目指しつつ、後述するヘッジファンドの運用成績と調整しつつ最終的に4%から5%を目指すのもおすすめだ。
ヘッジファンド
相場が下落している時にも、利益を得られるような運用を行うのがヘッジファンドだ。
プロに運用してもらう投資信託の一種で、紹介メインの運用先となる。
購入金額が最低1,000万円など設定されているため、お金持ち専用の投資信託ともいわれている。
まとまった資金が必要なのでハードルは高いものの、どのような相場でもパフォーマンスを狙える運用を目指したい方におすすめだ。
利回りは5%から7%、高いところでは10%以上のヘッジファンドも存在している。
中長期的な投資を依頼することになるので、十年間以上にわたり運用成績が安定しているヘッジファンド選ぶよう心がけておこう。
外国債券
投資信託で「先進国株式インデックファンド」といった投資信託を保有する場合は、外国(米国)債券を一定割合保有してもよいだろう。
外国株式ほどにリスクは大きくない一方、国内債券よりも運用利回りを期待できるため、投資妙味があるといえる。
特に、昨今の円安が進行する状況のなか、今後も円安が改善される見込みも乏しいため、ある程度は外貨建てで資産を保有しておいたほうがよいだろう。
日本のカントリーリスクを分散させるという意味でも、外国債券の保有は運用資産の基盤を固めつつ、着実なリターンを狙うには効果のある選択肢といえる。
REIT(不動産投資信託)
通常の不動産投資では最低でも数千万ほどのまとまった資金が必要だが、不動産投資信託のREITであれば、少額から不動産に対して分散投資できる。
REITも広義の投資信託であるが、資産クラスの異なる投資信託に投資すれば、さらなるリスク分散につなげられる。
また、国内では不動産に対するクラウドファンディングを募る小口投資もあるため、先述した債券ではなく、不動産に投資するのも一つの選択肢として考えてもよいだろう。
運用利回りは投資商品によって異なるが、4%ほどのリターンを期待できるため、投資妙味は十分あるはずだ。
6,000万円の資産運用は誰に相談するべきか?
6,000万円を投資して運用するにあたって、運用方法や投資先をどうすればよいか悩む人は多いだろう。
もちろん、できる限りリスクを抑えたうえで、安定したリターンを望みたいと誰もが思うはずだ。
少額の投資であれば、大きな損失を出しても勉強代として割り切れるかもしれないが、6,000万円の投資元本を大きく毀損させてしまうと、取り返すのに多大な時間がかかってしまう。
そのため、資産運用をする際は、専門家の力を借りることをおすすめしたい。
ここでは、専門家に相談する必要性や、誰に相談すべきなのかについて、具体的に解説しよう。
なぜ6,000万円の資産運用を専門家に相談すべきなのか
資産運用をするにあたって、考えるべき事項は多岐にわたる。
- 資産運用の目的は何か
- 投資元本としていくら回せるのか
- どの金融商品にいくら投資するのか
- 何%ほどの運用利回りを目指すのか
すべてを自分で考えることも不可能ではないが、専門家に相談すれば、客観的な立場からアドバイスを受けられるため、自分の目的に合わせて適切に資産運用できるようになるだろう。
仮に、上記のような項目をすべて一人で考えられ、金融商品ごとのリスクリターンについて正しく理解できているのであれば、専門家に頼る必要はないかもしれない。
言い換えると、上記のような投資の前提条件を一つでも明確にできないのであれば、資産運用に関して専門家に相談することをおすすめしたい。
特に、資産運用で気をつけたいのが「リスクの取り過ぎ」である。
要するにリターンを狙い過ぎるものであるが、年齢や家族構成、現職の内容などによってリスク許容度は異なる。
リスクを取り過ぎると大きな損失が出る可能性もあり、取り返しのつかない事態にもなり得るため、6,000万円を投資に回す際は慎重な判断が欠かせない。
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6,000万円を投資する際は目的に合わせた資産クラスの選定が不可欠
6,000万円を投資して経済的な自由に近づくためには、どの年代においても3〜5%ほどの運用利回りを出す必要がある。
実際、年金の受給前後で毎月不足する金額は異なるうえ、毎月の生活費やリスク許容度なども千差万別である。
そのため、個別具体的に収支をシミュレーションして、毎年いくらのリターンが必要か慎重に検討することが大切だ。
これらを考えるにあたって、少しでも疑問が残る場合は専門家に相談しながら、客観的な立場から資産運用に関するアドバイスをもらうことをおすすめしたい。
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