カードローンの利用を検討する際、「複数の会社に申し込むと、何か不都合があるのか?」という疑問を持つ方も多いのではないだろうか。
急いでお金を用意できる手段の一つとして、カードローンは有用な存在だ。しかし、急いでお金を借りたい事情があったとしても、安易に複数の会社へ申し込むべきではない。
本記事では、カードローンの複数借入のデメリットと注意点、1社にまとめて借入する「おまとめローン」などを詳しく説明するので、ぜひ参考にしてほしい。
カードローンの複数申込はできるがおすすめではない

信用情報に悪影響を与える可能性があるため、お金を借りたい事情に迫られていても、カードローンに複数申し込むのはおすすめできない。
おすすめできない理由は、主に以下の3点である。
- 信用情報に記録が残る
- 返済手続きの複雑化で返済遅延のリスクがある
- 返済負担と利息負担が増加する
カードローンの申込情報は信用情報機関に、6ヶ月間登録される。
銀行や消費者金融、信販会社(クレジットカード会社)などは、ローンの申し込みを受けたら、審査の過程で信用情報機関へ照会する。
複数のカードローンへ申し込んでいる事実が把握されることで、「お金に困っており、返済能力に問題がある」と判断される可能性が考えられるだろう。
また、今回の申し込みが前回借り入れからすぐの場合は、信用力に疑念を持たれやすい。
このように、信用情報の記録が審査に悪い影響を与える可能性があるため、注意が必要だ。
さらに、借入先が複数になったときは返済手続きの管理が煩雑になり、返済遅延のリスクが高まる。
それぞれの借入先で異なる返済期日・返済先が設定されているため、うっかり忘れてしまう事態が起こりやすいためだ。
故意か否かに関係なく、返済が遅れると延滞金が発生するうえ、信用情報にも悪影響が及ぶのは言うまでもない。
また、高金利の借入が増えた場合は家計全体の返済負担や利息負担が増加する。これらの理由から、安易な利用は慎むべきだろう。
複数のカードローンで申込・借入するデメリット

法律で複数のカードローンでお金を借りることが禁止されているわけではない。しかし、信用情報に傷がついたり返済管理が煩雑になるデメリットがある。
以下で、具体的に考えられるデメリットを解説する。
審査で不利になる可能性
複数社にカードローンを申し込みしていると、当該事実を把握した貸金業者から「この人はかなりお金に困っているのではないか」と判断されるリスクがある。
カードローン会社としては、返済能力に疑問がある人にお金は貸さない。契約通りに返済されず、回収できない「貸し倒れ」は最も避けたい事態だからだ。
信用情報機関への照会のタイミング次第では、信用情報に直近の申込情報もすでに記録されている。
「お金を借りられればどこでもよいのだろう」という印象を与え、やはり悪印象だ。
その結果、貸金業者は「前回の借入時に作成した返済計画が十分に機能しておらず、返済能力に問題があるのではないか」と判断する。
「安心してお金を貸せない」と評価されてしまえば、さまざまな金融サービスを利用する際に支障が出るだろう。
将来の審査に悪影響が出るリスク
カードローンの申込情報は信用情報機関に記録されるため、複数の申し込みが審査に影響を及ぼすリスクがある。
貸金業者から返済能力の疑念を持たれやすく、審査に落ちてしまう可能性が高まる。
「借りたいときにお金を借りられない」というのは、実生活においてデメリットになり得る。
カードローンやキャッシングなど、素早くお金を借りられるサービスを利用する際に、障壁となってしまうだろう。
審査に通過できたとしても、信用情報に「複数のローンを同時または短い間隔で申し込みした」という履歴が残るため、次回以降の審査に影響を与える可能性がある。
たとえば、次回以降の審査で、この情報を基に貸金業者から以下のような判断をされかねない。
- 「借入先を増やさないと対応できないほど、現在もお金に困っているのではないか?」
- 「すでに借入先が多く、返済に困っているのではないか?」
- 「お金の管理に懸念があり、リスクが高い」
つまり、家計管理の正確性や信用力に懸念を持たれる可能性がある。
将来的に住宅ローンや自動車ローンなどの大きな借入を考えている場合、過去のカードローンの複数申し込みが悪い方向へ影響しかねない。
目先の資金ニーズを満たしたくなる気持ちはわかるが、長期的な資金計画を含めて、申込の必要性を考える必要がある。
返済管理が複雑化
数社のカードローンを利用すると、借入先ごとの返済金額や返済日を把握する必要がある。返済手続きの管理が複雑になり、以下のようなリスクが生じかねない。
- 返済日を忘れて返済金を入金し忘れる
- 返済金額の計算ミスにより資金不足で返済できない
- 返済用の口座への入金を忘れてしまう
返済遅延は信用情報に悪影響を与えるだけでなく、延滞金が発生し、家計の支払負担を増やす原因となる。それぞれの返済金額や返済日が違う場合、返済日に合わせた残高管理が必要だ。
返済管理が複雑になると、返済遅延が起こるリスクを高めてしまう。
延滞金や信用情報の悪化といった重大な影響をもたらすため、将来のことを考えても、安易な借入は避けるべきだろう。
返済管理を楽にするためには、借入先を減らし、返済負担の軽減を図ることが重要である。
また返済遅延のリスクを最小限に抑え、悪影響を与えないように気を付ければ、自分の信用情報を守ることにつながる。
遅延損害金が発生するリスクがある
カードローンの返済に遅れてしまうと、遅延損害金が発生する。返済の管理が複雑化した結果として延滞を起こしてしまうと、経済的な損失が発生する点に注意が必要だ。
多くのカードローン会社では、遅延損害金の年率を20%に設定している。
「遅延損害金=借入残高×20%×延滞日数÷365日」で計算されるため、たとえば10万円を借りて5日間延滞した場合は「100,000円×20%×5日÷ 365日=約273円(小数点以下切捨)」となる。
延滞が続くほど負担が増加するため、余計な利息を支払うことになる。遅延損害金は通常の利息に加えて支払う必要があるため、完全に余計なコストだ。
さらに、延滞した旨が信用情報に記録され、自分の信用情報に傷がついてしまうデメリットにもつながる。
金利負担が増加
複数の会社でカードローンを利用すると、それぞれの借入先に応じた金利が適用されるため、利息負担が増加するリスクがある。
適用される金利が高い場合、総返済額が増加して家計を圧迫してしまうだろう。
例えば、1つの借入先で金利が10%であっても、他の借入先では15%や18%といった高金利が適用されることがある。
カードローン会社は、リスクが高い申込者に対しては高い金利を設定するためだ。
120万円を借入期間3年で借り入れたとき、A社のみで借りた場合とA~C社それぞれで40万円借りた場合の利息額をシミュレーションした。
借入先 | 金利 | A社のみで借入 | A~C社で借入 |
---|---|---|---|
A社 | 10% | 193,920 | 64,616 |
B社 | 15% | ー | 99,176 |
C社 | 18% | ー | 120,560 |
合計 | ー | 193,920 | 284,352 |
同じ借入金額に対して、A社のみの借入では金利が10%が適用され、利息負担額は193,920円となる。
一方で、A〜C社からそれぞれ借りた場合には金利15%と18%の借入も含まれ、全体の利息負担284,352円となる。
両者を比較すると90,432円の差が生じるため、無視できない数字だ。返済負担を軽減するためにも、金利が高いカードローンを利用するのは可能な限り控えるべきだ。
安易に借入を行うと、借入全体の支払利息を膨らませ、家計にとっても大きな負担となるため慎重な判断が必要だ。
利息負担の増加は家計に悪影響を与え、家計を逼迫させるリスクが高まる。借入の本数はできるだけ抑え、金利が低いカードローンを選んで利息負担を抑えることが望ましい。
カードローンを複数申込すると総量規制をもとに審査される

カードローンへ申し込むと、総量規制に基づいて審査が行われる。
総量規制とは、貸金業者が個人に対して貸し付ける金額を年収の3分の1までに制限する「貸金業法」という法律で定められている規制である。
この仕組みは、申込者が返済能力を超えた借り入れをして、過重な負担で苦しまないように保護するために設けられている。
総量規制により、借入総額が年収の3分の1を超えないように審査される。
なお、総量規制は一社からの借り入れではなく他社分を含めて計算する。すでに他社でカードローンがある場合、新たに審査を受ける際に総量規制が影響するケースが考えられる。
例えば、年収300万円の人がすでに90万円の借入がある場合、総量規制により新たに借りられる金額は10万円だ。
年収 | 300万円 |
---|---|
総量規制による借入上限 | 300万円×1/3=100万円 |
借入している金額 | 90万円 |
追加で借入できる金額 | 100万円-90万円=10万円 |
カードローンで追加借入を検討する際、年収と申し込み時点での借入金額を確認したうえで、総量規制に抵触しない金額を把握しよう。
また、総量規制の対象となるのは、銀行ではなく消費者金融や信販会社などの貸金業者だ。
各貸金業者には、審査する際に申込状況や借入状況を確認し、総量規制に抵触しないような貸し付けをすることが義務付けられている。
カードローンは1社からまとめて借りるのがおすすめ

カードローンを利用する際、複数借入を行うより一社からまとめて借りることをおすすめする。まとめることで、返済負担と手続きが楽になるメリットが期待できるためだ。
また、一社に絞って大きな金額の借入を申し込めば、低い金利が適用され返済負担を軽減できる可能性がある。
一般的に、借入額が大きいほど金利は低くなる傾向にあるため、借入を集約することで、より低い金利が適用されやすい。
管理のしやすさと金利のメリット
大きな金額を借りる場合、以下のような理由からカードローンは一社にまとめて借りるのがおすすめだ。
- 返済管理を簡素化できる
- 返済遅延のリスクを軽減できる
- 適用金利が低くなる可能性がある
- 全体の返済額を軽減できる
借入先を一社に絞って一本化すれば、返済管理が簡素化される。数社から借りていると、それぞれ異なる返済期日や返済金額に対応しなければならず、手間がかかってしまう。
しかし、まとめれば返済日を統一できるだけでなく返済金額の計算も楽になり、返済手続きがしやすい。
返済用の口座への入金を忘れてしまったり、不注意で失念してしまったりして、返済遅延するリスクを軽減できる。
また、一社からまとまった金額を借りることで、適用される金利が下がる可能性がある。多くの貸金業者は、借入金額が大きいほど金利を低く設定する傾向があるためだ。
また、貸金業法において、お金を貸すときの上限金利が以下のように定められている。
- 元本の金額が10万円未満のとき
- 年20%
- 元本の金額が10万円以上から100万円未満のとき
- 年18%
- 元本の金額が100万円以上のとき
- 年15%
カードローンの契約が複数あると、それぞれで年18%~20%の金利が適用される可能性がある。しかし、まとめることで低金利の借入ができ、全体の返済額を抑えられる可能性がある。
このように、借入をまとめることで返済がしやすくなり、適用される金利が低くなる。
利便性と経済性に関するメリットを得られるため、特段の事情がない限りは一社に絞って借りるのが賢明だろう。
1社からまとめて借入する方法
一社から必要な金額を借入する際には、具体的に3つの方法がある。
- おまとめローン
- 新規借入
- 増額
それぞれの方法を表にまとめたので見ていこう。
借入方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
おまとめローン | 既存の借入と新規借入を一本化し、新たな条件で借り直す | 他社の借入をまとめることが可能 返済額の軽減が可能 金利が下がる可能性がある 総量規制の対象外 | 基本的に追加融資が不可 返済期間が長期化しやすい |
新規借入 | 新たに審査を受けたうえで借りる | 自分に合ったサービスを選べる | 借入本数が増えるため、返済負担が大きくなることがある 返済能力次第では金利が高くなる可能性がある |
増額 | 契約中のカードローンの借入限度額を引き上げる | 手続きが簡単 返済管理がしやすい 審査時間が短い 金利を抑えられる | 審査に落ちる可能性がある 利用実績が必要 |
「おまとめローン」は、現在利用中のカードローンを一本化するローンである。すでに複数の借入がある方にとって有効な手段だ。
なお、他社の借入(カードローンやクレジットカードのリボ払い)も含めて一本化できるケースが多い。気になるおまとめローンがあれば、おまとめ対象を確認しておこう。
おまとめローンは総量規制の対象外であり、年収の3分の1を超える金額の借り換えも可能だ。
おまとめローンは顧客に有利な条件での借り換えを目的としているため、規制の対象外となるのだ。
総量規制の対象外となる貸付は、そもそも総量規制になじまない貸付である「除外貸付け」と、顧客利益の保護に支障を生ずることがない「例外貸付け」がある。
おまとめローンは、まとめる前より金利が低下し、総返済額や月々の返済額が減少することから「例外貸付け」に該当する。
「新規借入」は、新しく銀行や消費者金融へカードローンを申し込む方法だ。借入先を一社に絞り、まとまった金額を借りるため、金利が低く設定される可能性があるだろう。
ゼロベースで自分に合ったサービスを選択できるため、複数のカードローンを比較検討したうえで、最適な会社へ申し込むとよい。
「増額」は、現在利用中の会社で借入限度額を引き上げる方法で、新たに他社で借り入れる必要がない。新たに契約をする必要がなく、借入の本数が抑えられるため返済管理もしやすい。
以上3つの方法では、いずれも申し込み時点で審査に通過する必要がある。これまでの返済実績や信用情報の調査を受けたうえで審査結果が出るため、必ず利用できるとは限らない。
おまとめローンの審査に通過するコツ
各会社は審査基準を公表していないため、おまとめローンの審査に通過できる明確な基準は不明だ。
ただし、一般的には収入の安定性を示すこと、返済能力があることを示すことが効果的だろう。
たとえば、給与明細や源泉徴収票をきちんと提出したり、既存借入をできるだけ返済した状況で申し込むとよい。
また、信用情報に問題があると審査に悪影響が出るため、確実に返済実績を重ねることが大切だ。
おまとめローンは一般的に融資額が高額になるため、審査も厳しくなりやすい。カードローンの返済やクレジットカードの引落しに遅れないように、日ごろから注意しよう。
カードローンの複数申込は慎重に検討しよう

カードローンの複数申込は可能だ。しかし、デメリットが多く最終的には返済負担が重くなったり信用情報に傷がついてしまったりするケースが考えられるため、慎重な検討が必要だ。
また、返済手続きが複雑化し、利息負担の増加につながるだけでなく返済遅延のリスクが高まる。
不注意により返済の遅延を起こしてしまい損害遅延金が発生すると、経済的な損失が発生するだけでなく、信用情報に傷が付いてしまう。
一社に絞ってお金を借りることで、返済管理を簡素化でき、低い金利で借りられるメリットを得られる。
おまとめローンや新規での借入、すでに借りている会社からの増額などを検討しよう。
中でも、おまとめローンは他社の借入を一本化するローンで、返済負担を軽減できる方法だ。総量規制の対象外で、クレジットカードのリボ払いも対象となる商品が多くある。
カードローンを利用する際には、自分の状況に応じて最適な方法を選び、無理のない返済計画を立てることが重要だ。
また、安易に複数の会社へ申し込むのは避け、自分のニーズに合致するサービスを厳選しよう。