他社借入があるとカードローンの審査に影響があるのではと、不安に感じている人も多いのではないだろうか。
結論から言えばカードローンの申込で、他社借入は審査で必ず聞かれる項目なので影響する。
しかし、少々分かりづらいところがある。
誤解したままだと、本当は審査に影響がないことでも不利になると勘違いして、必要なときにカードローンの申込をためらったり、審査前に整理しておきたい借入をそのままにしてしまったりすることも考えられる。
そこで、本記事では審査の前に知っておきたい他社借入に関するポイントを紹介する。
何が該当するかどうかという審査前に知っておきたい基本から審査前の注意点など解説するので参考にしてほしい。
他社借入とは申込会社以外での借入のこと
他社借入とは申込会社以外でしている借入のことだ。
しかし、これだけでは少し説明不足かもしれない。借入の一般的な意味に比べて、カードローンの審査における借入は範囲が狭いため誤解が生まれやすい。
一般的に住宅ローンは借入と言っても良さそうだが、実はカードローン申込という文脈では借入に該当しない。
少々、誤解しやすいところなので、以下の3つのポイントから詳しく説明する。
- 他社借入とは?
- 該当するもの
- 該当しないもの
それぞれ詳しく確認してみよう。
他社借入とは?
カードローンの審査の文脈における他社借入は以下のように考えると分かりやすい。
「審査に影響する他社からの借入れ金額と件数」なぜ、一見、なんの関係もなさそうな他社からの借入額や件数が審査に影響されるのだろうかと疑問に思った人もいるかもしれない。
理由はカードローンを提供する会社が、利用者の返済能力を確認することを法律で義務づけられているためだ。
他社からの借入れ金額と件数は、返済能力を判断する際の重要な指標として使われている。
もし、カードローンの申込希望者が、他社から収入に見合わない借入をしていて、しかも、複数のところと契約していたら、返済能力を疑われても無理はないだろう。
該当すること
一般的な借入に比べて、カードローンの審査における借入は範囲が少し狭い。
「審査に影響する他社からの借入れ金額と件数」に該当することを確認しよう。特に押さえておきたいのは以下の2点だ。
- 消費者金融や信販会社からの借入
- クレジットカード会社からの借入(キャッシング)
この2つは他社借入として審査で特に影響する。もし、利用に心当たりがあるなら、申込前に整理して、正しく申告できるようにする必要がある。
ちなみに、消費者金融、信販会社、クレジットカード会社はそれぞれ「貸金業者」に該当し、貸金業法のもとで運営されている。
該当しないこと
「審査に影響する他社からの借入れ金額と件数」に該当しないことも確認しよう。
- 住宅、自動車、教育ローン
- クレジットカードによる買い物
- クレジットカードの分割払い、リボ払い、ボーナス払い
世間一般では、上に挙げたことは借入に含んでも不思議ではないが、カードローンの審査では「審査に影響する他社からの借入れ金額と件数」に該当しない。
例えば、「最近、住宅ローンを組んだからカードローンの審査に不利になるのでは?」「クレジットカードで買い物をしたから審査に通らない?」このような心配は、新規借入ではしなくてよいので安心してほしい。
住宅ローンや自動車ローンは、特定の目的のために提供されるものであり、金利が低めに設定されている。
返済負担の計算方法やリスク評価がカードローンとは異なるため他社借入に該当しない。
クレジットカードの買い物(つまりショッピング枠の利用)も商品やサービスの購入に対する支払いであり、直接的な金銭の借入とは異なる性質のため、他社借入には含まない。ちなみに
分割払い、リボ払い、ボーナス払いに関しても「割賦販売法」という貸金業法とは異なる法律が適用されるため、これらもカードローンの審査では他社借入に含める必要はない。
キャッシングとの違いに注意してほしい。
銀行のカードローンまたはフリーローンは申込先次第
カードローンの申込先によって、「審査に影響する他社からの借入れ金額と件数」になったり、ならなかったりするのが銀行のカードローン、フリーローンだ。
銀行は法的には貸金業者ではない。そのため、銀行のカードローンやフリーローンは、消費者金融の貸金業者での借入の場合は、審査に影響しないことがある。
一方、銀行のカードローンを利用する場合は他社借入に該当する。
カードローンの申込時は他社借入の正確な申告が必要
申込時に以下のように考えている人は考えを改めてほしい。
- 他社借入をいちいち申告するのが面倒
- 審査に不利になりそうだから黙っていよう
- 正確な額と件数を忘れたから、適当に申告しよう
もし、このような考えで新規の申込をしてしまうと、正確な申告をしないと審査に時間がかかったり通りづらくなったり、嘘をついたことが申込先にバレてしまったりする恐れがあるためだ。
正しく申告することが、結局は審査の通りやすさにつながる。
正確に申告が必要な理由は以下の通りだ。
- 総量規制を守るため
- 返済能力を証明するため
- 信用情報を確認のため
それぞれ確認してみよう。
総量規制を守るため
貸金業者は、総量規制を守る義務がある。総量規制とは、簡単に説明すると申込者の年収の1/3までしか貸付できない決まりのことだ。
カードローン希望者が無理な借入をしないようにするためのルールと考えれば分かりやすい。
注意したいのは、総量規制の計算は単独の借入ではなく複数の借入の合計で行う点だ。
つまり審査するカードローン会社は、総量規制以上に貸付をしないために、申込者が他社からどれだけ借入をしているのか確認しなければいけない。
カードローンの申込をするなら借入の合計が他社の分も含めて年収の1/3以下になるように調整する必要がある。
返済能力を証明するため
返済能力の証明の観点からも、正確に他社借入を申告する必要がある。
返済能力を超えた借入金額や件数を契約していないことを証明できれば、カードローンの審査に通る望みはある。
逆に返済能力を十分に証明できない借入金額と件数の場合は、新規の借入そのものを考え直した方が良いかもしれない。
もし、複数の会社から無理な借入をしてしまうと多重債務に陥るリスクがあるので借入計画自体を見直してほしい。
信用情報の確認のため
カードローン会社は、健全な貸付をするために信用情報の確認もしなければならない。
そのため、新規申込の際には過去の借入金額や返済実績、遅延などの履歴といった信用情報を正しく申告する必要がある。
ちなみに、カードローン会社は、信用情報機関を通じて申込者の信用情報を審査の際に照会することができる。
そのため、正しい内容で申告しないと信用情報の整合性がとれず、結果として
審査に不利に働く可能性がある。
他社借入の状況が正確にわからない時はどうする?
他社借入の状況が正確にわからない場合は、どうすればよいのか疑問を感じた人もいるかもしれない。
分からないときの主な対処法は以下の3つだ。
- 信用情報機関に開示情報請求
- 借入をしている業者に問い合わせ
- 過去の取引履歴を確認する
日本の主な信用情報機関はCIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(株式会社日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つだ。
これらの信用機関は、個人でも有料だが開示情報請求ができる。正確な信用情報を確認したいときには、開示情報請求をしてもよいだろう。
また、借入している業者を把握できているなら、直接、問い合わせをするのもおすすめだ。借入先のコールセンターや電話などで確認してみよう。
また、最近はオンラインで取引明細を確認できるウェブサイトやアプリなどが用意されていることも珍しくない。
新規申込の前に、既に利用している借入先の取引履歴を改めて調べてみるのもおすすめだ。額を減らすことを優先すると良い。
カードローン審査の際に他社借入がある場合の注意点
他社借入、つまり「審査に影響する他社からの借入れ金額と件数」はない方がカードローンの審査では有利だ。
カードローン会社の立場からすると、申込者に十分な返済能力がないにも関わらず他社借入があると、貸した資金を回収できないリスクが高くなるためだ。
特に信用情報に傷がある場合は、審査に不利になる。
しかし、他社借入があるから必ず審査に通らないというわけではない。審査に通りやすく
するため、以下の3つの注意点に気をつけよう。
適正な借入希望額の設定をする
他社借入がある状態で新規の借入をする際には、希望額を適切に設定することが重要だ。
返済能力以上の高額な借入希望額を設定してしまうと審査に不利に働く可能性がある。
そのため、現実的に返済可能な範囲内での金額を設定することが望ましい。他社の借入金額と自身の収入、生活費などを考慮し、無理のない返済計画を立てよう。
同時に複数のカードローンに申込まない
審査に通過する可能性を上げるために、複数同時に申し込むことは避けておくのが無難だ。
複数同時に申し込んでしまうと、信用情報機関にも複数の申込情報が登録されてしまう。
その結果、返済能力が疑われてしまい審査に通りづらくなる恐れがある。一度に複数の申込をせずに、慎重に申込先を選び一件ずつ申込みをしよう。
他社の借入金額と件数の正確な申告をする
不正確な申告をしてしまうと審査に時間がかかってしまったり、返済能力や信用を疑問視されたりする可能性がある。
また、銀行や貸金業者のようなカードローンを取り扱っている会社は、信用調査機関に申込者の情報を照会できるため誤魔化しはできない。
もし、申告された内容と照会内容に違いがあれば、審査に悪影響が出てしまうことも考えられる。
そもそも、自分の借入状況を正確に把握できていない人や虚偽の申告をしてしまうと、返済能力と信用を疑問視されてしまう。
資金が急に必要になったときに、他社借入を整理するのは面倒に感じるかもしれない。
しかし、他社からの借入金額と件数を審査前に改めて整理しておくことは、審査だけでなく家計の見直しや将来の返済計画にも役立つはずだ。
カードローン審査の際に、申込者の信用情報は照会される。よって、信用情報に傷があると審査に落ちる可能性が高くなる。
他社借入ありでカードローンを利用する場合の注意点
他社借入ありで、審査に通った後は返済についても考えなければならない。
特に借入先が複数になってしまうと返済が複雑になってしまう。
もし、返済が滞れば、通常の返済とは別に延滞遅延金も発生し、信用情報にも悪影響が出て新規借入が難しくなることも考えられる。
注意すべきポイントは以下の2つだ。
- 返済シミュレーションの活用
- 全ての借入を含めた返済計画を立てる
それぞれ確認してみよう。
返済シミュレーションの活用
返済シミュレーションを活用しよう。
いつまでに、どれだけ払うのか、さらに金利の負担がどれくらいになるのかといった返済計画に必要な情報をまずは整理することをおすすめする。
そして、具体的な返済日程や回数、返済する額、完済までの利息の合計などを明確にすることで、見通しを持った返済計画を立てやすくなるはずだ。
例えばアイフルならば、借入した額と貸付利率を入力すれば、以下のような返済金額表をすぐに確認できる。
イメージしやすいように実際にシミュレーションした事例を紹介しよう。
- 貸付利率
- 18.0%
- 借入額
- 20万円
このケースで出力した結果は以下の通りだ。
返済回数32回
返済回数 | 返済予定日 | 返済金額 | 元金充当 | 利息充当 | 残高 |
---|---|---|---|---|---|
お借入日 | 2024/11/05 | 200,000円 | |||
1 | 2024/12/05 | 8,000円 | 5,050円 | 2,950円 | 194,950円 |
2 | 2025/01/05 | 8,000円 | 5,028円 | 2,972円 | 189,922円 |
3 | 2025/02/05 | 8,000円 | 5,097円 | 2,903円 | 184,825円 |
4 | 2024/03/05 | 8,000円 | 5,448円 | 2,552円 | 179,377円 |
省略…. | ….. | ….. | ….. | ….. | ….. |
32 | 2029/06/05 | 8,000円 | 7,815円 | 185円 | 4,349円 |
56 | 2029/07/05 | 8,000円 | 4,349円 | 64円 | 0円 |
累計 | 252,413円 | 52,413円 |
このシミュレーションは、返済回数を調べたいケースで出力したデータだ。
毎月、決められた返済のみ続けた場合だと月々の返済額は8,000円、返済回数が32回(2年8ヶ月)、返済総額が252,413円、利息の合計が52,413円になることが分かる。
このように、返済計画を立てる際に知りたい情報が一目で把握できる。
また、決められた返済とは別に、繰上げ返済や一括返済ができれば長い目で考えると金利を含めた返済総額を減らすことができる。
返済回数の32回(2年8ヶ月)を18回(1年6ヶ月)に短縮した場合は以下のようになる。
毎月の返済額13,000円
返済回数 | 返済予定日 | 返済金額 | 元金充当 | 利息充当 | 残高 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2024/11/05 | 200,000円 | |||
2 | 2024/12/05 | 13,000円 | 10,050円 | 2,950円 | 189,950円 |
3 | 2025/01/05 | 13,000円 | 10,104円 | 2,896円 | 179,846円 |
4 | 2025/02/05 | 13,000円 | 10,251円 | 2,749円 | 169,595円 |
5 | 2025/03/05 | 13,000円 | 10,659円 | 2,341円 | 158,936円 |
6 | 2025/04/05 | 13,000円 | 10,571円 | 2,429円 | 148,365円 |
…. | …. | …. | …. | …. | …. |
17 | 2026/04/05 | 13,000円 | 12,686円 | 314円 | 7,882円 |
18 | 2026/05/05 | 7,998円 | 7,882円 | 116円 | 0円 |
累計 | 228,998円 | 28,998円 |
返済期間を短くした分、月々の返済額は8,000円から13,000円と増えたが、返済総額が252,413円から228,998円に減り、完済までにかかる金利も52,413円から28,998円まで減少した。
利息の負担が23,415円も減ったことが分かる。
このように、返済シミュレーションを活用すると繰上げ返済などで返済期間を短縮した場合の変化も一目で分かる。
家計に余裕がある際は、早めの返済を心がけると良いだろう。
全ての借入を含めた返済計画を立てる
複数のカードローンを利用する場合、既存の借入と新規の借入の全てを含んだ返済計画を立ててほしい。
一つのカードローンで計画通りに返済できても、別のカードローンで延滞してしまったら信用情報に傷がついてしまう。
特に複数の借入先への返済となると管理が煩雑になってしまうため、全体を見通せるようにしておこう。
また、複数の借入先があることで返済の管理に手間がかかり、金利の負担が重いと感じることもあるかもしれない。
その際は、おまとめローンも検討の余地があるだろう。
新たに収入証明書を用意したり審査が必要になったりする手間はあるが、煩雑な返済を一本化できたり、金利の負担を抑えたりできるメリットもある。
他社借入を正しく理解してカードローンを利用しよう
カードローンの審査に影響する他社借入について解説した。
他社借入とは文字通り、申込先以外の借入のことだ。より具体的にいえば、「審査に影響する他社からの借入れ金額と件数」と理解してもよいだろう。
一般的な借入に比べて範囲が狭いため、自分の借入が審査に影響する他社借入に該当するかどうかを確認することが大切だ。
また、他社借入は審査の結果を左右するため、返済能力や信用情報を疑われる行為は避けてほしい。
そして、審査に無事通った後も返済シミュレーションを活用し、全ての借入を含めた計画を立てて、無理のない返済ができるようにしよう。
他社借入について正しい知識と対処法を知り、これからのカードローン申込に役立ててほしい。