人生100年時代と言われるようになり、定年延長や貯蓄から投資への機運の高まりなど、将来に向けた自助努力が欠かせないようになってきた。
終身雇用も崩壊し、ライフステージやキャリアの転換点を見定めて新たな仕事を探す人も増えているなか、IFAへの転職を視野に入れている人もいるだろう。
この記事では、IFAへの転職を検討しているシニア層に向けて、IFAとして活躍する人の年齢層や転職方法などをまとめた。IFAになる際の注意点やおすすめの相談先もまとめているので、ぜひ参考にしてほしい。
シニア社員でもIFAになれるのか?
そもそもIFAとは「Independent Financial Advisor(独立系ファイナンシャルアドバイザー)」の略で、特定の金融機関に所属せず、顧客に最適な金融商品を提案するアドバイザー業務をしている。
IFAは金融商品仲介業者として登録を受けているIFA法人に所属しており、金融機関とは独立した立場で活動できるのが大きな特徴だ。
IFAと証券会社の営業担当は、顧客に金融商品の提案をする点で同じだが、IFAはあくまで「仲介役」である。証券会社の営業担当は、自社の商品を直接販売するため、提案できる商品のラインナップは限定的だ。
この点、IFAなら提携する金融機関・証券会社が扱う金融商品ならどれを提案してもよいため、顧客のニーズを満たしやすくなる。
IFAの概要は上記のとおりだが、以下では、IFAとして活動する人の年齢構成がどのようになっているか詳しく見ていこう。
IFAとして活動する人の年齢構成
アドバイザーナビ株式会社がIFAに対して行ったアンケート調査によると、IFAとして活動する人の年齢構成は以下のとおりだった。
アンケート調査によると全体の約半数が30代であり、新卒で金融系業界に就職し、次なるキャリアとしてIFAを選んだ背景が伺える。
その他の年齢構成を見ると、次に多いのが50代のシニア層であった。50代になると金融業界に長く勤め、専門性も高い人が多いだろう。その知識を活かして、定年以後も働ける環境を視野に入れてIFAに転職したと推測される。
ほかにも、現職の役職に頭打ち感があったり、人によっては早期退職を促されたりするケースもあるだろう。新たなキャリアを描く必要があり、IFAを選択したという人がいてもおかしくない。
上記のアンケート結果から推察できる範囲では、シニア社員だとしてもIFAで活躍できるチャンスは十分あると言えるだろう。
IFAとして活動する人の外務員歴
アドバイザーナビ株式会社が実施した先述とは異なるアンケート調査の結果によると、IFAとして活動する人の外務員歴は以下の結果となった。
- 3年未満:10%
- 4年:4%
- 5年:6%
- 6年:7%
- 7年:3%
- 8年:5%
- 9年:5%
- 10年以上:21%
- 15年以上:13%
- 20年以上:26%
10年以上と回答した割合が全体の60%、20年以上と回答した割合が26%存在する。IFAになるまでのキャリアは人によってもちろん異なるが、外務員として長期にわたって活動している人はかなり多いことがわかる。
外務員歴が長い人ほど年齢が上がるのは当然の帰結であり、シニア層もIFAとして活動している証左と言えるだろう。
どのような人がIFAになっているのか、詳しく知りたい方は下記の記事を参考にして欲しい。
IFAになるには?
IFAとして活躍する人の年齢層は30代がボリュームゾーンではあるものの、それ以外の年齢層はほぼ横ばいであることがわかった。IFAに転職する際、際立って意識すべき点はないものの、スムーズに活動するためには一定のステップを踏む必要がある。
ここでは、IFAになるための方法として、4つの手順を紹介しよう。
- IFAとしての働き方を決める
- IFAに必要な資格を取得する
- 金融に関する知識を深める
- 転職エージェントを有効活用する
それぞれ順番に解説するので、自身の状況を照らし合わせながら読み進めてほしい。
IFAとしての働き方を決める
IFAになるには、金融商品仲介業者として登録を受けているIFA法人に所属する必要があるが、所属にあたっては以下の2つの方法から働き方を選択しなければならない。
- IFA法人と雇用契約を締結する正社員型
- IFA法人と業務委託契約を締結する業務委託型
IFAの場合、上記のように法人との契約形態を選択できる。働き方次第で収入の安定性や社会保険の有無も変わるため、慎重な判断が必要だ。
先ほどのアンケート調査でも雇用形態を尋ねており、正社員型を選択しているのは44%、業務委託型型は56%という結果だった。業務委託型のほうがやや多く、求人情報としても業務委託型を募集している数のほうが多い印象である。
実情として、IFA法人によっては正社員型と業務委託型の両方を取り入れたバランス型の雇用形態を用意しているケースもある。
- 固定給は一般的なIFA法人よりも少ないが、インセンティブ率がやや高い
- 社会保険に加入できるが、インセンティブ率がやや下がる
法人によって条件は異なるため、先に希望とする働き方を定めたうえで、募集要項をチェックするとよいだろう。
IFAに必要な資格を取得する
IFAとして活動するには、顧客に対して具体的な金融商品を提案する必要があるため、証券外務員資格を取得しなければならない。
言い換えると、証券外務員資格を取得していれば、IFAとして今すぐにでも活動できる。この点、現職が証券会社で外務員をしているのであれば、資格は既に取得しているだろう。
なお、証券外務員資格には一種と二種があり、一種のほうが取り扱える金融商品が幅広い。そのため、取得するなら一種資格のほうがおすすめだ。他業界からIFAになる場合は、証券外務員資格が必要になることを覚えておこう。
また、IFAとして活動するなかで、生命保険や医療保険などの保険商品も提案したい場合は、生命保険募集人資格も取得する必要がある。
証券外務員資格と同様、個別具体的な商品の紹介には専門資格が欠かせないため、IFAとしてどのように活躍していきたいかイメージしたうえで資格を取得しておこう。
金融に関する知識を深める
IFAとして活躍していくには、金融に関する深い知識が当然求められる。
顧客から大切な資産を預かり、目的に合わせて運用・管理していくには、相応の知識が求められるのはもちろん、顧客との信頼関係を構築するうえでも深い知識が欠かせない。
この点、シニア世代であれば業界で長年培った経験を持っている人が多いだろう。現職が証券会社であればIFAに転職しても業務の本質は同じであるため、培った経験をそのまま活かせるはずだ。
証券業界以外からの転職においても、現職が金融業界であれば知識を活かすことは十分できるだろう。
シニア世代が転職する際は、自身の専門性を活かしたキャリアチェンジとなることが一般的であるため、全く新しい知識を一から覚えるような労力はかからないはずだ。
転職エージェントを有効活用する
IFAに転職する際は、転職支援のプロであるエージェントの力は積極的に借りるべきだ。
IFA業界に関する情報は現時点であまり出回っておらず、情報収集に苦労することも多いだろう。IFA法人も自社について積極的に情報を発信しているわけではなく、本メディアのように、IFAへの転職に関する網羅的な情報を発信する媒体も少ない。
転職成功の鍵は情報収集にあると言っても過言ではないため、IFAへの転職においても、エージェントの力を借りて損することはないだろう。
多くの転職エージェントは無料で利用できるため、効率よく転職活動を進めたい人は最後に紹介するサービスを利用してみてほしい。
IFAになる際の注意点
IFAに転職すること自体は、ほかの業界における転職活動と大差はないだろう。
転職先について優先順位をつけて比較検討し、現職に比べて待遇がよいなどの企業への転職を目指す点では全く同じだ。しかし、IFA法人によって募集している雇用形態が異なるため、先に決めておく必要がある点はほかの業界と異なるだろう。
ここでは、IFA法人への転職時だけでなく、転職後を含めた注意点を3つの観点から解説する。
- 収入が不安定になりかねない
- 顧客獲得に苦労する場合がある
- 認知度が低く信頼獲得が難しいこともある
それぞれについて詳しく解説していくので、注意点も理解したうえでIFAへの転職を検討しよう。
収入が不安定になりかねない
IFAへの転職に関しては、収入の振れ幅が大きくなりやすい点には注意が必要である。
特に、業務委託契約を締結する業務委託型IFAの場合、完全成果報酬型になるため、契約数が伸び悩めば収入が大幅にダウンすることもあるだろう。
言い換えると、契約数を確保できれば収入は青天井になり得る。IFAの報酬形態は、契約した商品の手数料に対する還元率で決まるのが大半である。
業務委託型の場合、還元率は50〜70%に設定されることが多く、年間の手数料額が1,000万円であれば、年収は500〜700万円だ。手数料額が3,000万円なら、年収は1,500〜2,100万円になる。
転職前後で収入がどのように変化するかは雇用形態次第であるのはもちろん、法人が支払う還元率に左右される。
逆に、法人と雇用契約を締結した正社員型IFAであれば、収入の不安定さはほぼないだろう。一般的な転職活動と同じで、現職のスキルに見合う条件で待遇を交渉するため、年収はある程度の目処がついている。
この点も働き方次第で大きく異なるため、事前に決めておいたほうがスムーズに転職活動を進められるだろう。
顧客獲得に苦労する場合がある
IFAへの転職時に苦労する可能性が高いのが、顧客の獲得についてである。こちらも業務委託型で活動する場合、自身の人脈を活用して一から顧客を探さなければならない。
正社員型のIFAにおいても原則的には同じだが、転職先のIFA法人によっては顧客の紹介を受けられる場合もある。この点、IFAとして活動をしていきやすいのは正社員型と言えるだろう。
転職して間もない駆け出し期においては、顧客の獲得に特に苦労する可能性が高い。業務委託型の場合、契約が取れなければ収入もゼロになってしまうため注意が必要だ。
顧客獲得に関しては、駆け出し期をいかにして乗り越えられるかが鍵を握るだろう。
認知度が低く信頼獲得が難しいことも
IFAに転職する際に覚えておきたいのが、そもそも世間一般におけるIFAの認知度は低く、信頼獲得が難しい場合もあることだ。
2023年6月時点におけるIFAの数は約6,500名とされており、2019年頃に比べて倍増しているものの、数自体はかなり限定的であると言わざるを得ない。
また、IFAのビジネスモデルは契約に対する手数料報酬がメインとなっていることもあり、一部の倫理観を欠くIFAによって業界全体のイメージが下がっている側面もある。
手数料の高い商品ばかり提案したり、回転売買する傾向の営業手法がまかり通っていたりすることもあり、IFAのコンプライアンス順守が求められている状況なのだ。
もちろん、顧客のために真に必要な金融商品を紹介するIFAが存在するのも事実だが、世間的なイメージがマイナス方向に傾いている状況と言えるため、信頼獲得までに時間を要することもあるだろう。
IFAになる際の相談先
IFAへの転職を効率よく・確実に進めたいのであれば、転職エージェントを利用するのがおすすめだ。転職や業界に関する情報を網羅しているのはもちろん、さまざまなサービスを受けられるため、現職で忙しい人こそ利用すべきだろう。
ここでは、IFAになる際におすすめしたい転職エージェントを3つ紹介する。
- 金融転職
- ビズリーチ
- IFA転職
金融転職
「金融転職」は、金融業界への転職に特化した転職エージェントだ。
キャリアコンサルタントは業界に精通しており、ヒアリングを踏まえたおすすめの求人情報の紹介はもちろん、面接日等の調整、転職先との条件交渉もしてくれる。
IFA業界も広義の金融業界に属するため、IFAへの転職を希望する人も利用可能だ。IFAへの転職を希望する際は、業界特化型のエージェントを利用したほうが多くの情報・求人を用意している傾向にあるため、金融転職を利用してみるとよいだろう。
ビズリーチ
「ビズリーチ」は業界特化型ではなく総合型の転職エージェントだが、スカウト制度を採用している点で利用価値が高く、おすすめしたいサービスの一つだ。
利用登録時にプロフィール・経歴を細かく入力しておくと、検索した採用担当者に目に止まって興味を示せば直接連絡が届く。シニア層の場合は現職で忙しかったり、仕事後も家族との時間を優先したりすることも多く、転職に割ける時間が限られる人も多いだろう。
ビズリーチであれば待ちの姿勢で転職活動を進められるため、IFAへの転職を急いでいない場合も利用しやすいはずだ。条件のよさそうな求人があれば転職を検討するスタイルでもよいだろう。
IFA転職
「IFA転職」は、IFA業界への転職に特化した転職エージェントである。
キャリアコンサルタントはIFAを経験しているため、日々の業務や働き方、転職全般に関する不安や疑問はいつでも解消できる。もちろん、おすすめのIFA法人の紹介や面接日程等の調整、条件交渉もしてくれる。
さらに、IFA法人に転職した後の業務についてもサポート範囲としているのが大きな特徴だ。IFAに転職して間もない駆け出し期間は不安なことも多いため、転職前後を含めて幅広いサポートを受けられるのは安心につながるだろう。
IFA業界に特化した転職エージェントには限りがあるため、IFAへの転職を必ず成功させたい人は積極的に利用してみてほしい。
まとめ
IFAとして活躍する人の年齢構成を見てもわかるように、メインボリュームは30代であるものの、それ以外についてはほぼ同じような割合だった。
つまり、シニア層のビジネスパーソンにおいても、IFAとして活躍するチャンスは十分あると言えるだろう。
IFAを目指す際は、業務委託・雇用契約のいずれを結んで活動するか最初に決めたうえで、条件を満たす転職先を決めるとスムーズに転職できるはずだ。そして、転職エージェントを利用すれば、さらに転職活動を有利に進められるだろう。
なかでも「IFA転職」なら、キャリアコンサルタントから転職前後にわたって幅広いサポートを受けられ、IFAに関する疑問点をいつでも解消できる。利用は無料なので、まずはコンサルタントに話を聞いてみることから始めてみよう。