- 掛け捨て型保険を夫婦で利用すべきかわからない
- 夫婦で入る掛け捨て型保険に必要な保障内容がわからない
- 夫婦で保険を見直す際に重視すべきポイントが知りたい
掛け捨て型保険は保険料が安く、夫婦で気軽に加入できる保険だ。
例えば、子どもの養育費や教育費の保障を目的とした高額な生命保険は、子どもがいない夫婦には不要だ。
このような場合には、掛け捨て型保険が適している。
しかし「自分の家庭に合う保険をどのように決めればいいのか」と悩んでいる人は、少なくない。
本記事では、掛け捨て型保険の概要や種類、利用すべき夫婦の特徴、そして加入時の注意点などについて解説する。
掛け捨て型保険の加入に悩んでいるご夫婦は、ぜひ参考にしてほしい。
掛け捨て型保険を利用すべき夫婦とは
生命保険は、「掛け捨て型保険」と「貯蓄型保険」とに大別される。
貯蓄型保険は、保障と貯蓄の両機能をもつ保険であり、終身保険、学資保険、個人年金保険などがある。
一方の掛け捨て型保険には「貯蓄機能」がないため、貯蓄型保険と比べて、保険料は割安だ。
保険期間は契約時に取り決めるため、家族のライフステージに合わせて、保険を切り替えることもできる。
ここでは、そのような掛け捨て型保険が適しているご夫婦の例を、三つ紹介する。
どちらかが働かなくなる可能性がある夫婦
子どもができたら子育てのために、妻は働くことをやめるというライフプランをもつ夫婦もいるだろう。
共働きをやめることで収入も減り、さらに夫に万一のことがあれば、生活は困窮してしまう。
これに備えて高額な保険金額を設定した終身保険を契約しても、子どもが独立すれば、老後に備える夫婦には過分な保障額となる。
保険金額を高額にすれば保険料も高くなるため、生命保険の保険金額は、ライフステージに応じて変えるべきだ。
このような夫婦には、ライフステージに応じて保障内容が変更できる、掛け捨て型保険が適しているだろう。
住宅ローンを組んでいる夫婦
住宅ローンを用いて住宅を購入する場合に、生命保険がない状態で一家の稼ぎ頭が亡くなっても、返済に困ることはない。
多くの住宅ローンでは、団信(団体信用生命保険)の加入が前提であるため、万一のことがあれば団信がローン残金を支払ってくれる。
しかし住宅の名義が亡くなった方であるならば、その方の現預金や有価証券など他の財産と合わせた、相続税を考えなければならない。
団信は相続税まで保障してくれないため、多額の相続税が発生する場合には、生命保険での対応を考えるべきだろう。
掛け捨て型保険は保険料が割安であるため、住宅ローンの負担がかかる家計に対して、コストを抑えられる。
遺族年金がもらえない夫婦
遺族年金とは、国の公的年金の被保険者が死亡した場合に、一定の要件を満たす遺族が受け取れる年金だ。
公的年金には、20歳〜60歳の全国民が加入する国民年金(基礎年金)と、これに加え会社員や公務員が加入する厚生年金がある。
遺族年金には、前者には「遺族基礎年金」、後者には「遺族厚生年金」があるが、以下のようにいずれの年金も得られない場合がある。
- 公的年金の保険料を払っておらず、被保険者と認められない場合
- 国民年金を納付した期間が、国民年金加入期間の2/3未満の場合
- 亡くなった人が家族の生計を維持していたと認められない場合
- 年収850万円以上、または年間所得655万5000円以上あった場合(年間所得とは年収から経費・給与所得控除を差し引いた金額)
- 遺族が、亡くなった人と住民票上で同一世帯でなかった場合(別居していても家計が同じであれば給付が認められる)
- 配偶者が再婚した場合
※遺族厚生年金に関しては、妻が亡くなったとき夫が55歳未満の場合であると給付が認められない。
上記の中で、見逃されがちなのは850万円以上の年収制限だ。
年収が850万円以上になった段階で、遺族年金の代替保障として、定年退職までの掛け捨て保険に加入することも一考だろう。
夫婦で入るべき掛け捨て型保険とは
掛け捨て型保険には、さまざまな種類の保険商品がある。
ここでは夫婦で入るべき保険として、定期型の死亡保険、収入保障保険、医療保険を紹介する。
それぞれの保険に関して、その目的やメリット・デメリットについて、説明していく。
定期型の死亡保険
被保険者(保険の対象者)が亡くなったときに保険金が給付される死亡保険には、終身型と定期型の二種類ある。
前者は被保険者が亡くなるまで保障し、後者は契約時に取り決めた契約期間内のみ保障する保険だ。
定期型は契約期間が定まっているため、満期を迎えた際には、保険契約の更新や変更が必要になる。
このため結婚・出産・自宅の購入・子どもの進学・定年といったライフステージの変化に合わせて、保障内容も変えられる。
被保険者の状況に応じて、保障内容も変えられる定期型死亡保険のメリットとデメリットを、以下に述べていく。
メリット | デメリット |
ライフステージに合わせた保障内容に変えられる。 収入の少ない若い頃や、子どもの出産・進学、自宅購入など出費が多い時期でも、割安な保険料で手厚い保障が受けられる。 | 契約時点では割安な保険料だが、年齢を追うごとに死亡リスクが高まるため、保険料も上がっていく。 80歳〜90歳の高齢になると、契約更新ができない場合や、新たに保険契約ができない場合もある。 |
収入保障保険
収入保障保険では、被保険者が死亡または高度障害状態になったときに、満期まで毎月一定額の年金や給付金が受け取れる。
つまり被保険者の収入が途絶えたときでも、その収入を保険金で保障することが、この保険の目的となる。
保険金の支給がいつ開始しても一回あたりの支給額は一定のため、満期近くに亡くなると受給期間が短く、保険金総額も少なくなる。
この収入保障保険がもつメリットとデメリットを以下に述べていく。
メリット | デメリット |
保険料は、定期型死亡保険に比べ、割安。 子どもの独立後など経済的責任が小さくなっていく場合には、保険期間の経過にともない保障も小さくなっていく。 | 満期間近だと受け取れる保険金はわずかになるため、葬儀代準備や相続対策には不向き。 毎月支払われる保険金額は一定であるため、まとまった資金を必要とする、子どもの進学・結婚資金や自宅の改築費用などには不向き。 保険金には税金が掛かる。 ・契約者が本人、受取人が配偶者:相続税(2年目以降は所得税) ・契約者も受取人も配偶者:所得税 ・契約者が配偶者、受取人が子ども:贈与税(2年目以降は所得税) |
厚生年金に加入できない個人事業主は、亡くなっても遺族は遺族厚生年金が受け取れないので、この保険はその代替策にもなる。
医療保険
医療保険の目的は、病気やケガになったときに、公的医療保険では対象外となる以下のような費用の負担を補うことだ。
- 先進医療
大学・研究機関などで開発された先端医療のうち、厚生労働大臣が「先進医療」と承認した治療方法や薬 - 自由診療
海外で効果が確認されているが、厚生労働省が承認していない治療方法や新薬 - 差額ベッド
患者が重篤な状態に利用する個室利用料など - 仕事ができない入院・療養中の経済的保障 など
この保険では、公的医療保険で費用補助があっても入院・治療が長期になると負担が増える医療費を、保険金が助けてくれる。
満期時の契約更新の際には、年齢を重ねるごとに罹患リスクが高まる、がん・脳血管疾患・心疾患などへの保障も手厚くできる。
この医療保険がもつメリットとデメリットを以下に述べていく。
メリット | デメリット |
年齢に応じて罹患リスクが高くなる 病気への保障を手厚くできる。 収入保障のない個人事業主は、入院・療養中の収入を補える。 | 持病や過去の病歴、健康診断の結果によっては、保険に加入できない場合がある。 契約時点では割安な保険料だが、年齢を追うごとに罹患リスクが高まるため、保険料も上がっていく。 80歳〜90歳の高齢になると、契約更新ができない場合や、新たに保険契約ができない場合もある。 |
夫婦で掛け捨て型保険を選ぶ際の注意点とは
ここまでの説明で、掛け捨て型保険に関心を持たれた方もいるだろうが、この保険を選ぶ際には注意すべき点もある。
これらの注意点をまとめると以下の3点となる。
- 保険加入理由(目的)
- 家計への負担
- 期間設定
注意すべき点を見落として保険に加入すると、後悔する結果になる恐れもある。
ここでは、これら三つの注意点について、それぞれ解説する。
保険の目的を明確にする
掛け捨て型保険に限らず、保険を選ぶ前に、保険に加入する理由や目的を明確にしておくことが大切だ。
言いかえると保険選びを始める前に、誰のための保険で、何のための保険金であるかをはっきりさせておく必要がある。
掛け捨て型保険には、「保険料を貯蓄する」という概念がないため、満期保険金や解約返戻金がない。
このため被保険者が生存中に、自宅の購入や子どもの進学・結婚などにともなう費用を、保険金で確保することはできない。
保険料が割安だからという理由だけで、掛け捨て保険を選んではならない。
収入と支出のバランスを考える
保険金を高額に設定しさまざまな特約を付ければ、保障内容も手厚くなり安心感も高まるが、保険料も高額になる。
保険契約で定める支払期間が終わるまで、その保険料を支払い続けられるか、毎月の収入と支出を明らかにしておく必要がある。
年収に占める保険料の割合を、世帯年収別に調査した結果を参考に、自分の年収と保険料とを比較してほしい。
世帯年収 | 年収に占める保険料の割合 |
200万円未満 | 11.7% |
200~300万円未満 | 11.6% |
300~400万円未満 | 9.0% |
400~500万円未満 | 6.8% |
500~600万円未満 | 5.8% |
600~700万円未満 | 5.1% |
700~1,000万円未満 | 5.2% |
1,000万円以上 | 4.2% |
自分の年収に占める保険料の割合が、上記の調査結果の値に比べて大幅に超える場合は、保険内容を再考したほうがよい。
公的年金や死亡退職金の支給額を算出し保険金を見直すことや、契約中の保険と重複する保険や特約は解約することも検討したい。
ライフステージに合わせた選択
ライフステージの変化は、家族のために収入を得る者にとっては、経済的責任の変化につながる。
子どもの誕生・進学・独立、自宅購入、定年など主だったこのライフステージの変化が予想される時期を、時間軸で整理してほしい。
ライフステージが変化するときが、経済的責任も変化するときでもあるので、そのタイミングで保険の保障を見直すとよい。
ライフステージの変化で経済的責任はどう変化するか、つまり万一の場合に、どの程度の保険金が必要かも見積もっておくべきだ。
まず目の前にある保険契約の満期は、次のライフステージの変化が起こると見込まれる時期までとしておこう。
掛け捨て型保険は夫婦のライフステージに合わせた保険の見直しがしやすい
本記事では、掛け捨て型保険を利用すべき夫婦の例や掛け捨て型保険の種類、加入時の注意点について解説した。
掛け捨て型保険には保険料が安く、見直しがしやすいメリットがあるが、解約返戻金や満期保険金がないなどのデメリットもある。
そのため、自分たち夫婦に合っている保険なのか、本記事だけで判断するのが難しいと感じる人もいるだろう。
そんなときは保険のプロに相談すれば、自分たち夫婦に最適なアドバイスが得られ、必要な保険を的確に選択できるだろう。
しかし保険のプロは数多く存在しているため、自分たちにとって最適なアドバイザーをすぐに見定めることもまた難しい。
マッチングサイト「生命保険ナビ」を使えば、夫婦の条件に合った保険のプロを簡単に見つけられる。
無料で利用できるので、是非活用してほしい。