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生命保険の死亡保険金に関する完全ガイド!受け取り時の注意点を把握しておこう

この記事で解決できるお悩み
  • 生命保険の死亡保険金について知りたい
  • 生命保険の死亡保険金を受け取る流れを理解したい
  • 生命保険の死亡保険金を受け取る際にかかる税金について知りたい

生命保険に入ることで、加入者が万が一死亡した際に死亡保険金が支給され、これによって家族の生活が保障される仕組みとなっている。

では、死亡保険金を受け取る際に注意すべき点についてあなたは理解できているだろうか。

本記事では、「生命保険の死亡保険金」について、基本知識から受け取りまでの流れと課税の仕組みまでを詳しく解説する。

死亡保険への加入を検討している、または加入している方はぜひ参考にしてほしい。

目次

生命保険の死亡保険金について知ろう

生命保険文化センターが2021年12月に公表した「生命保険に関する全国実態調査」によると、生命保険の世帯加入率は89.8%であった。

生命保険は、いわゆる経済的な損失が生じやすいリスクに対して保障が受けられる。

ただし、生命保険は亡くなった場合の保障だけでなく、さまざまなリスクに対して保障が受けられる。

一般的に、以下のリスクに対して備えられる。

  • 病気のリスク:病気やけがによる治療費の確保および収入が減少した場合の補てん
  • 死亡のリスク:死亡した場合の身辺整理資金や遺族への生活費の補てん
  • 介護のリスク:介護時の費用や施設入所費、家族親族への生活費の補てん

つまり、死亡保険は生命保険の種類の1つである。

今回は、死亡保険金に焦点を当てて、死亡保険金が支払われる条件や支払われる保険金の平均額について解説する。

生命保険の死亡保険金の概要

一般的に、死亡保険には以下の3つの種類がある。

  • 終身保険:一生涯の死亡保障 解約返戻金あり
  • 定期保険:一定期間の死亡保障 解約返戻金なし
  • 養老保険:一定期間の死亡保障 解約返戻金あり

終身保険は、死亡保障が一生涯続くので、身辺整理資金として活用されやすい。

また、解約返戻金があるので、教育資金や老後資金といった、先々の資金を準備する目的でも契約される商品でもある。

定期保険は解約返戻金がない分、保険料が割安なので、手頃な保険料で保障を備えたい場合に適した商品である。

一定期間の間しか保障が受けられないので、子どもが経済的に独立するまでの期間や、配偶者が公的年金を受けるまでといった、手厚い保障が必要な期間だけ準備する保険として使われやすい。

また、定期保険には死亡保険金を分割して支払う「収入保障保険」もある。

収入保障保険は、保険金を一括して受け取るか分割して受け取るかを選択できるため、資産状況によって自由に決められる点がメリットだ。

養老保険は、定期保険と同じく保障は一定期間だが、満期を迎えると満期保険金が受け取れる商品である。

将来的にお金を受け取れる保険なので、将来の老後資金を準備しながら保障を持ちたい場合に適した商品といえる。

いずれの保険も、保険料は月払い、半年払い、年払いのいずれかで保険料を支払う。

また、商品によっては契約時に保険料をあらかじめ保険会社に先預けする「前納」や、保険料を契約時に一括で支払う「一時払い」も選ぶことができる。

生命保険の死亡保険金が支給される条件

死亡保険は、病気や事故などの事由によって亡くなった場合、もしくは高度障害状態に該当した場合に保険金が支払われる。

高度障害状態は、両目の視力や言語機能などが永久に失われている状態である。

具体的には、以下の状態に該当した場合が高度障害状態に該当する。

番号状態
1両目の視力を全く永久に失ったもの
2言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
3中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
4胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
5両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
6両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
71上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
81上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
出典:オリックス生命「よくあるご質問」より作成

基本的に、四肢のうち2箇所以上が機能不全になっている場合に該当することが多い。

また、身体障害状態は事故を原因として、180日以内に所定の身体障害に該当したら適用される。

ただし、死亡保険の中には、不慮の事故や災害で死亡した場合のみ保険金を支払う「傷害保険」もあるので、保障内容には注意する必要がある。

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生命保険の死亡保険金の平均額

生命保険文化センターが調査した「生活保障に関する調査」によると、生命保険の加入平均額は男性で1,373万円、女性は647万円となった。

年代別で見ると、保険金額は以下の通りである。

  • 20歳代:男性1,001万円 女性751万円
  • 30歳代:男性2,065万円 女性768万円
  • 40歳代:男性1,883万円 女性807万円
  • 50歳代:男性1,629万円 女性737万円
  • 60歳代:男性1,071万円 女性507万円
  • 70歳代:男性582万円 女性395万円

年代別にみると、男性では30歳代が最も保険金額が多い。

30代は、結婚や出産によって家族が増えたため、世帯主として生活を支え始める立場になる人が多い年代である。

世帯主として家計を支えるためにも、家族への生活保障は万全に備えておく必要がある。

ただし、死亡保障を充分に備えられていると考えている人は、全体の36%と半数にも満たない。

そのため、自身の生命保険を適切に準備するには、世帯状況や資産状況を踏まえながら保険の専門家に相談すると良いだろう。

なお、保険金が実際にいくらもらえるのかを確認する方法限度額に関する解説はそれぞれ以下の記事でまとめている。あわせて参考にしてほしい。

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死亡保険金を受け取る流れを解説

被保険者が死亡した場合、死亡保険金は請求手続きを経て支払われる。

保険金の請求手続きは、必要書類や請求書への記入など、手続きが煩雑で分かりにくい面もある。

本章では、死亡保険金を受け取る流れと、手続きに必要な書類について解説する。

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死亡保険金を受け取る手続き

死亡保険金の請求は、保険会社が定める書式の書類が必要になる。

そのため、基本的に請求手続きを行う際は、まず保険会社から手続き書類をもらう必要がある。

各保険会社に設置されているコールセンター、または担当者に連絡をして請求書類をもらう。

書類が手元に届いたら、手続きに必要な書類を揃えて保険会社に提出する。

保険会社が書類をもとに査定して保険金を支払う流れとなる。

1死亡保険金受取事由発生
2生命保険会社の担当者、営業所・支社、サービスセンター・コールセンターなどに連絡を入れる
3必要書類を準備して保険会社に提出する
4生命保険金の支払い
出典:生命保険文化センター「死亡保険金はどのようにして受け取る?

保険商品によって異なるが、一般的に請求書類を保険会社が受け取ると、5営業日以内に保険金を支払うことが多い。

また、保険会社は以下の場合、死亡保険金から差し引くことができる。

  • 自動振替貸付金がある場合
  • 契約者貸付金がある場合

一方、保険金が支払われない場合もある。以下のケースに該当している場合は、死亡保険金を支払わない。

  • 告知した内容が事実と相違(告知義務違反)し、契約(特約)が解除されたとき
  • 保険料の払い込みがなく契約が失効していたとき
  • 契約した保険の責任開始期から一定期間内(2年~3年)に被保険者が自殺したとき
  • 契約者または死亡保険金(給付金)の受取人の故意によるとき
  • 戦争その他の変乱によるときなど

契約している保険によっては、複数の商品から保険金が支払われるケースがある。

請求漏れがないように、契約している保障内容は確認しておくと良い。

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請求手続きに必要なもの

保険金の請求手続きに必要な書類は、以下の通りである。

保険金の請求手続きに必要な書類
  • 保険金請求書
  • 住民票
  • 戸籍抄本
  • 受取人の印鑑証明
  • 医師の死亡診断書または死体検案書
  • 保険証券

保険会社によって請求に必要な手続きが異なる。

また、複数の保険会社で対象となる商品がある場合、住民票や戸籍抄本、死亡診断書についてはコピーで代用できる場合がある。

各保険会社で請求手続きが必要な場合は、必要書類を原本で揃える必要があるのか事前に確認しておくと良いだろう。

請求に時効がある点には注意

保険金の請求手続きで注意したい点は、請求できる期間に定めがある点である。

一般的に、支払い事由が発生した日の翌日から3年を経過した場合、時効により請求できない。

ただし、生命保険は顧客の利益を尊重するので、仮に時効期間があっても、診断書や必要書類などを揃えれば、保険金を支払う可能性がある。

保険会社によっても扱い方が異なるので、詳細は各保険会社に確認しておくと良いだろう。

なお、主要な保険会社の支払い実績については以下の記事で解説した。実際に保険を選ぶ際の参考にしたいという方がいれば、ぜひチェックしてほしい。

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死亡保険金にかかる税金とは

生命保険の死亡保険金は、契約者、被保険者、受取人によってかかる税金が異なる。

実際にかかる税金の種類や、かかる税金はどのように計算されるのだろうか。

今回は、保険金の税金や計算方法について解説し、実際にかかる税金をシミュレーションする。

また、税金を抑えるために有効な方法についても解説する。

保険金にかかる税金の種類

生命保険は、契約者と被保険者、保険金受取人の契約関係で、保険金に対して課税される税区分が異なる。

保険金に課税される税金は、相続税や贈与税、所得税のいずれかである。

課税区分を確認する前に、契約者と被保険者、保険金受取人の定義について確認しておこう。

契約者保険料の支払者
被保険者保険の対象者
保険金受取人保険金を受け取る者

それぞれの契約形態をまとめると、以下の通りとなった。

相続税所得税贈与税
契約者AAA
被保険者ABB
保険金受取人BAC

所得税として扱う場合、保険金をまとめて受け取る場合と、分割して受け取る場合で、所得区分が異なる。

一括で死亡保険金を受け取る場合は「一時所得」、年金等の分割した形で受け取る場合は「雑所得」として扱われる。

  • 一時所得:労働や役務による所得ではない一時的に得た所得
  • 雑所得:どの所得区分にも属さない所得

贈与税の対象となるのは、契約者と被保険者、受取人がそれぞれ異なる場合に課税対象となる。

では、税金がいくらになるか計算方法をシミュレーションしてみよう。

税金金額の求め方とシミュレーション

まず、生命保険が相続税で課税された場合の税額をシミュレーションする。

死亡保険金は、法定相続人の人数に500万円を乗じた金額が非課税として扱われる。

例えば、死亡保険金として2,000万円が支払われる内容で、法定相続人が3人いた場合、課税対象となる保険金は以下の通りで計算される。

2,000万円-(500万円×3人)=500万円

500万円が、他の相続財産と合算されて課税対象となる。

相続財産が5,000万円の場合、保険金の500万円と合わせて5,500万円が課税価格になる。

次に、一時所得の税額を計算する。

(死亡保険金-払込保険料-50万円)×1/2

たとえば、死亡保険金が400万円で払込保険料が350万円の場合は、以下の通りになる。

(400万円-350万円-50万円)×1/2=0万円

死亡保険金と払込保険料の差額が50万円以内であれば、一時所得がかからない。

そのため、課税されずに保険金を受け取ることができる。

また、年金形式で分割で受け取った場合は、雑所得となるので、一時所得とは計算方法が異なる。

雑所得は、その年に受け取った年金額から、必要経費を差し引いた金額が課税される。

必要経費は、以下の計算式で算出する。

年金額×払込保険料の合計/年金の総支給額

たとえば、死亡保険金が10年で40万円ずつ支払われる場合に、保険料総額が350万円支払った場合、雑所得は以下の通りになる。

必要経費:40万円×350万円/400万円=35万円

雑所得:40万円-35万円=5万円

最後に、贈与税の場合は死亡保険金から基礎控除額分である110万円を差し引いた額が課税対象となる。

たとえば、死亡保険金が400万円の場合、贈与税は以下の通り計算する。

400万円-110万円=290万円

このように、保険金を受け取っても、税区分で課税される金額が大きく異なる。

では、死亡保険金を抑える方法について確認する。

死亡保険金にかかる税金を抑えるには

死亡保険金に課税される税金を抑えるには、非課税枠の範囲内に収まるように保険金額を設定すれば良い。

相続税が課税される場合、法定相続人の人数に500万円を乗じた金額となる。

その場合、部分解約して保障額を減額させると良い。

たとえば、ソニー生命の養老保険を例にして確認してみよう。

  • 保険金額:2,000万円
  • 法定相続人は2人

上記の2,000万円で死亡した場合、法定相続人は2人なので保険金の非課税枠は1,000万円となる。

そのため、保険金額を2,000万円から1,000万円に減額すれば、相続税として課税されない。

また一時所得の場合も保険金と払込保険料の差額が50万円以内であれば、一時所得がかからない。

そのため、課税されずに保険金を受け取ることができる。実際に税金を抑える方法は、専門的な知識や知見を要する。

そのため、保険の専門家に相談の上、どのようにすべきか確認しておくと良いだろう。

まとめ

本記事では、基本知識から受け取りまでの流れと課税の仕組みまでを詳しく解説を行った。

死亡保険は、数ある生命保険のひとつで、亡くなった場合や高度障害状態に該当した場合に保険金が支払われる。

死亡保険金の平均額は、性別や年代によっても異なるが、充分な保障が準備できていると認識している割合は、4割にも満たなかった。

保険金の請求手続きは、保険会社が指定する書類や、必要な準備物を揃えて手続きをする必要がある。

保険金の請求が時効となる期間もあるため、契約している保険がないか、亡くなった後はすぐに確認しておくと良いだろう。

また、死亡保険金も課税対象であるが、契約関係によって税金の区分が異なる。

そのため、どの税金がかかるか事前に把握したうえで、少しでも抑えられないか、確認しておくと良いだろう。

ただし、節税の対策や適した生命保険を選ぶには、専門的な知識が必要になる。

少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談すると良い。専門的なアドバイスを受けることで、必要な生命保険を見つけることができるだろう。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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