- 積立保険に加入するとどんな税金がかかるのか知りたい
- 積立保険にかかる税金の種類や金額がどのように決まるか知りた
- 積立保険にかかる税金で注意すべき点を知りたい
積立保険は、満期を迎えて保険金を受け取る時や、解約して返戻金を受け取る時に税金がかかることをご存知だろうか。
また、実際の課税テーブルは受け取り方によっても異なる。
どのように決まっているかなどを皆さんは知っているだろうか。
積立保険の税金に関する知識を得ることで、自分がどのくらいの金額をもらえるのか把握できる。
本記事では、積立保険における税金の種類や税金の決定方法、注意するべき点について解説する。
積立保険の利用を始めようとしている人は、本記事を参考にしてほしい。
積立保険にかかる税金の種類
積立保険は将来の資産形成や、リスクヘッジに利用される人気のある保険である。
しかし、積立保険には税金がかかることを知っている人は少ないかもしれない。
ここでは、積立保険にかかる税金について詳しく解説する。
積立保険とは
積立保険とは、死亡保障や医療保障を受けながら、満期日に満期保険金を一時金で受け取ったり、年金で受け取ったりすることができる保険のことだ。
あるいは、終身保険のように途中で解約しても解約返戻金としてお金が戻ってくるような保険も積立保険といえる。
積立保険は、実際には終身保険や養老保険、学資保険、個人年金保険などを指すことが多い。
- 終身保険
- 一生涯にわたり保障を提供する保険で、死亡保障の保険金が含まれている
- 養老保険
- 主に老後の生活資金を積み立てるための保険で、被保険者が保険期間満了まで生存したときは満期保険金が、保険期間内に死亡したときは死亡保険金が支払われる
- 学資保険
- 子供の教育資金を準備するための保険で、学資の給付が含まれる
- 個人年金保険
- 退職後の年金受給を目的とした保険で、一定の期間、または終身にわたり年金が支給される
積立保険は、お金を貯めるという意味で「貯蓄型保険」とも呼ばれている。
保障も受けながら、お金を積み立てる機能も併せ持っている保険ということだ。
積立保険にかかる税金の種類
積立保険では、満期保険金や年金を受け取る時、解約返戻金を受け取る時に税金がかかる。
対象となる税金は所得税と贈与税であり、どちらの税金がかかるかは保険の契約形態や受け取り方法によって変化する。
まず、それぞれの税金について詳しく説明しよう。
所得税
所得税は、個人が得た給料や収入に対してかかってくる税金である。
1年間で得た収入から、必要経費などを差し引いた残りの額を「所得」という。
所得税を算出する考え方は以下の通りとなる。
- 会社員の場合、経費に相当するものは給与所得控除として収入に応じて所定の額が決まる
- 所得控除は税負担を軽くするもので、基礎控除や配偶者控除などが該当する
- 課税所得の額に応じて税率が決まる
保険料を払っていた本人が、満期金や年金を受け取ったり解約返戻金を受け取った場合は、その所得金額に応じて所得税がかかることになる。
また、所得金額に対して、住民税が一律10%課税されることも合わせて理解しておこう。
贈与税
贈与税とは、個人が年間110万円を超える財産をもらった場合、もらった側にかかる税金のことである。
通常、贈与税は贈与により取得した財産に対して課税されるが、保険受け取りの場合は保険料を払っていた人から保険金を贈与された、とみなして課税されることになる。
これを「みなし贈与」という。
積立保険の税金に関する規定
所得税も贈与税も国に収める税金「国税」であり、税金に関するルールは法律に基づいて決められている。
所得税であれば所得税法、贈与税であれば相続税法の法律の中で、すべての規定が定められているのだ。
ただ、納税額や期日、申告方法などの実際の運用ルールは、非常に複雑で理解も大変なため、国税庁では、チャットボットで24時間いつでも問い合わせるようにしたり、よくある質問を取りまとめたり、YouTubeで動画として情報発信したりしているので活用するとよいだろう。
- 参考:国税庁「チャットボット(ふたば)に質問する」
- 参考:国税庁「タックスアンサー(よくある税の質問)」
- 参考:YouTube「国税庁動画チャンネル」
積立保険にかかる税金の種類や金額はどう決まるのか
保険金を受け取るということは、入金があるということで、そこに課税される可能性があることを把握しておく必要がある。ここでは、受け取り方で異なる課税テーブルや税金の種類について解説していく。
契約形態によって変化する
積立保険の満期金や年金、解約返戻金を受け取った場合は、誰が保険料を支払っていたか、保険金や解約返戻金の受取人は誰かによって、かかる税金が変わってくる。
保険料を支払っていた自分が保険金を受け取ったのなら所得税がかかり、自分以外の人が保険料を支払っていて、保険金を自分が受け取った場合は、贈与税となる。
保険料を払っていた人が保険金を受け取る場合=所得税
契約者(=保険料を負担していた人)が保険金または解約返戻金を受け取った場合、つまり契約者本人が受け取った場合は、所得税が課税されることになる。
なお、満期保険金を一度に受領した場合には一時所得となり、年金形式で受け取る場合には雑所得としての扱いとなる。
たとえば、夫が自分を受取人として契約していた場合は、満期金には所得税が課税されることになる。
保険料を払っていた人と別な人が保険金を受け取る場合=贈与税
契約者(=保険料を負担していた人)とは別な人が、保険金または解約返戻金を受け取った場合には、贈与税が課税されることになる。
たとえば、夫が契約していた保険の受取人が妻だった場合、妻に贈与したとみなされ、贈与税が課税されることとなる。
なお、死亡保険金の場合にも課税される。
契約者と被保険者(亡くなった人)、受取人の違いによって、かかる税金の種類が変わってくるので、必要に応じて確認しておこう。
受け取り方法により課税テーブルが異なる
積立保険を受け取った場合の税金は、受け取り方によっても変わってくる。
保険料を支払っていた人本人(契約者)が満期保険金を受け取ったときは、所得税として課税されるが、受け取り方法により、一時所得か雑所得かのどちらかで課税されることになる。
また、契約者と受取人が別となるときは、一時金として一括で受け取るときは贈与税の扱いだが、年金形式で受け取るときは1年目のみ贈与税、2年目以降は所得税として課税されることになる。
契約者本人が受け取る場合 | 契約者と受取人が別な場合 | |
一時金として受け取る | 所得税(一時所得) | 贈与税 |
年金形式で受け取る | 所得税(雑所得) | 1年目:贈与税 2年目以降:所得税(雑所得) |
それぞれの受け取り方法によって、課税方法や課税テーブルが異なってくる。
次節の計算方法を参照しながら、確認してほしい。
それぞれの税金の計算方法
積立保険にかかる税金の計算方法は複雑だが、前節ででてきた表をもとに以下で説明するので、確認してほしい。
一時金で受け取る場合
契約者本人が満期金を一時金として一括で受け取るときは、一時所得となる。
一時所得とは、一般に労働以外で偶発的に得た一時的な所得のことを指し、積立保険の満期金や解約返戻金のほか、懸賞や福引の賞金、競馬や競輪の払戻金などが該当する。
一時所得は以下の計算式で算出されるが、課税対象となるのは、ここで算出された一時所得のさらに1/2の金額となる。
これがマイナスであれば、当然、一時所得はないものとみなされる。
契約者と別な人が一時金として一括で受け取ったときは、贈与税の扱いとなる。
受け取る保険金が年間110万円までであれば、贈与税の非課税となる制度(暦年課税制度)が適用される。
年間110万円を超える場合は、課税対象価格に税率(10-55%)を掛けて、贈与税を算出しなければならない。
なお、18歳以上の子や孫が父母や祖父母から贈与を受けた場合を特例贈与といい、税率が少し優遇されている。それ以外を一般贈与と呼ぶ。
特例贈与と一般贈与の税率と控除額は、以下で算出できる。
(110万円を引いたあとの価格) | 課税対象価格特例贈与の税率 | 特例贈与の控除額 | 一般贈与の税率 | 一般贈与の控除額 |
200万円以下 | 10% | ー | 10% | ー |
300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 15% | 10万円 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 | 50% | 250万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 | 55% | 400万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 | 55% | 400万円 |
年金形式で受け取った場合
個人年金保険では、契約時に定めた年齢に達すると、その年から一定のあいだ、年金として継続的に受け取ることができるようになる。
この場合も、契約者本人が受け取るか、受取人が別な人かで税金の計算が変わってくる。
満期金を年金形式で受け取ると、雑所得の扱いとなる。
雑所得は、公的年金(老齢給付金)や積立保険の満期金、副業で得た所得などが該当する。
雑所得の計算式は以下の通りであり、その1年間に受け取った保険金から、その金額に対応する支払った保険料を差し引いた額がそのまま雑所得の対象となる。
保険料を支払った人と年金の受取人が異なる場合は、保険料負担者から受取人に対して、年金を受け取る権利が贈与されたものとみなされ、最初の年は贈与税が課税されることになる。
また、2年目以降に年金として受給する金額については、雑所得として所得税が課税される。
積立保険にかかる税金で注意すべき点
最後に、積立保険の受け取り時にかかる税金について、注意点を確認する。
契約者自身が受取人となっているか確認する
前章「積立保険にかかる税金の種類や金額はどう決まるのか」でお伝えしたとおり、契約者と保険金の受取人が同一かどうか確認しておこう。
同一であれば、所得税として課税されるが、別な人が受取人となっている場合は、贈与税として課税されることになる。
所得税より、贈与税のほうが税率は高く、税金は高額になることがほとんどだ。
これは親子や夫婦のあいだのやり取りでも同じである。
保険金の受取人が誰になっているか契約内容を確認しておき、名義変更するようにしておこう。
満期保険金と払込保険料の差額を確認する
積立保険の税金計算において、満期保険金と払込保険料は計算しておく必要がある。
とくに、所得税(一時所得)の計算では、保険金の総額から払込保険料を差し引いてそこから特別控除50万円をマイナスした金額の1/2が一時所得の金額となる。
差額が50万円以内であれば、特別控除額と相殺され、課税対象となることはない。
所得税(雑所得)の場合も、この差額は必ず計算する必要があるため、正しく認識しておき、計画的に運用するようにしよう。
実際に計算して専門家に確認してもらう
満期金や年金の受け取り方によっては、そこにかかる税金についての計算が非常に複雑になってくるため、専門家にアドバイスを受けることも考えよう。
個々のケースによって税金額は異なるのが普通だ。
ファイナンシャルプランナーや保険の専門家に相談して、自身の状況に合った最適な対策を立てるようにしよう。
積立保険にかかる税金は所得税か贈与税!
本記事では、積立保険における税金の種類や課税額の決定方法、そして税金に関する注意点について解説した。
積立保険にかかる税金は主に所得税と贈与税であり、どちらの税金がかかるかは保険の契約形態や受け取り方法によって変化する。
それぞれの税金の計算方法は複雑であり、税金がいくらかかるのかを一人で計算するのは難しい。
そんな時は保険のプロに相談することも検討しよう。
ただ、生命保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかを見極めることもまた難しい。
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