プライベートバンク世界ランキング~資産規模及び定性評価の観点から~

世界のプライベートバンクを比較するときは、「預かり資産・運用資産(AUM)の大きさ」と「サービスの評価」を分けて見ることが重要です。

AUMランキングでは、UBSや米国系金融機関など、グローバルに大きな顧客資産を扱う金融機関が目立ちます。一方、Global FinanceやEuromoneyなどのアワードでは、デジタル対応、ファミリーオフィス、サステナブル投資、超富裕層向けサービスなど、評価される分野によって上位の銀行が変わります。

また、AUMの定義は出典によって異なります。単なる保管資産を含めるか、投資助言・運用に関わる資産だけを見るかによって、ランキングの見え方が変わるためです。

本稿では、世界のプライベートバンクについて、Euromoneyの2025年版AUMランキングの見方、数値入りで確認できる過去の預かり資産ランキング、Global Finance・Euromoneyの主要アワードの受賞結果を分けて整理します。

ランキング上位の銀行が、必ずしも日本居住者にとって利用しやすい金融機関とは限りません。最低預入額、日本居住者への対応、税務・法務上の確認事項もあわせて見ていきましょう。

目次

世界のプライベートバンクランキングの見方|AUM・アワード・利用条件を分けて確認

プライベートバンクのランキングを見る際は、まず「何を基準にしたランキングなのか」を確認しましょう。預かり資産の大きさと、サービス品質の評価は同じ意味ではありません。

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見方わかること注意点
預かり資産・AUMランキング事業規模、顧客基盤、運用・助言対象資産の大きさAUMの定義は出典ごとに異なる。
サービス品質や運用成績をそのまま示すものではない
アワード・サーベイ専門分野、顧客対応、デジタル対応、地域別の評価調査主体、選定期間、応募・評価方法によって結果が変わる
地域別ランキングアジア、欧州、北米など地域ごとの強み日本居住者が利用できるか、最低預入額はいくらかは別途確認が必要
利用条件・対応範囲最低預入額、日本語対応、税務・相続・承継支援の範囲ランキングだけでは確認できない。
個別の金融機関に確認する必要がある

たとえば、AUMランキングは「どれだけ大きな資産を扱っているか」を知るのに役立ちます。一方で、ファミリーオフィス、相続・承継、オルタナティブ投資、サステナブル投資など、特定分野の強みはアワードの方が参考になる場合があります。

そのため、ランキングを見るときは「規模を知りたいのか」「サービスの評価を知りたいのか」「自分が利用できる候補を探したいのか」を分けて考えると、比較しやすくなります。

2025年のAUMランキング上位|Euromoneyの方法論資料で確認できる順位

Euromoneyの「AUM performance rankings 2025」の方法論資料では、AUMを「プライベートバンクまたはウェルスマネジャーが積極的に管理・助言している顧客資産の時価」と定義しています。

同資料では、手数料が発生する助言契約や運用一任契約に関わる資産を含める一方、単なる保管、管理、受託だけの資産や、投資管理・助言に直接関係しない資産は可能な限り除外すると説明されています。

また、ランキング対象は3つ以上の市場でプライベートバンキング・ウェルスマネジメントサービスを提供し、クロスボーダー対応を持つ国際的な金融機関です。中国本土など、主に国内顧客向けにサービスを提供するオンショア中心の金融機関は対象外とされています。

公開されている方法論資料から確認できる上位10社は、以下のとおりです。なお、同資料の公開範囲では、AUMの具体額までは一覧確認できないため、ここでは順位と確認ポイントを整理しています。

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順位金融機関確認ポイント
1UBS Global Wealth Management最低口座基準は200万ドル相当の投資可能資産と記載
2Morgan Stanley Private Wealth Managementウェルスマネジメントの手数料ベース顧客資産をAUM定義に使用
3Wells Fargo Wealth and Investment ManagementWealth and Investment Management部門の顧客資産を参照
4Goldman Sachs Private Wealth Management最低口座基準は1,000万ドル相当の投資可能資産と記載
5JPMorgan Private BankJPMorgan Private Bank顧客向けに助言する資産を参照
6RBC Wealth Management投資助言・投資選定を含む管理資産を参照
7Pictet GroupAUMデータは銀行提供
8Deutsche Bank Private Bank投資目的で保有・管理される顧客資産を参照
9Bank of America Private Bank投資助言・一任助言に関連する資産を参照
10Julius Baer2024年10カ月分のデータをQ3 2024の近似値として使用
参考:Euromoney「AUM performance rankings Methodology and criteria」

この順位は、複数市場で活動する国際的なプライベートバンクを対象にしたランキングです。AUMの定義も、保管資産を広く含めるランキングとは異なります。

そのため、後述するADV Ratingsの数値入りランキングとは、対象範囲もAUMの定義も異なります。どちらか一方だけを見るのではなく、「どの出典が、どの基準で比較しているか」を確認しましょう。

ADV Ratingsの数値入り比較|2019〜2020年基準の上位32社

以下は、ADV Ratingsが公表している「Top 30 Wealth Management Firms」に掲載された、ウェルスマネジメント関連の預かり資産ランキングです。

ページ名は「Top 30」ですが、公開表には32社が掲載されています。ここでは、公開表に掲載されている全行をもとに、当時の規模感を確認できるよう整理しています。

預かり資産は米ドル建てで、各社の基準日は2019年1月31日〜2020年6月30日の間で異なります。そのため、最新の決算数値や、UBSによるクレディ・スイス買収後の連結ベースの規模を示すものではありません。

一方で、公開ページ上で具体的なAUM金額を一覧できるため、当時の規模感を把握する参考資料としては役立ちます。

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順位会社名本社所在地預かり資産
1UBSグローバル・ウェルス・マネジメントスイス2兆5,900億ドル
2クレディ・スイススイス1兆2,500億ドル
3モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメント米国1兆2,360億ドル
4バンク・オブ・アメリカ GWIM米国1兆2,200億ドル
5J.P.モルガン・プライベートバンク米国6,770億ドル
6RBCウェルス・マネジメントカナダ5,640億ドル
7ゴールドマン・サックス・ウェルス・マネジメント米国5,580億ドル
8チャールズ・シュワブ米国5,063億ドル
9シティ・プライベートバンク米国5,000億ドル
10BNPパリバ・ウェルス・マネジメントフランス4,240億ドル
11ジュリアス・ベアスイス4,235億ドル
12バンガード・グループ米国4,100億ドル
13HSBCプライベートバンク英国3,530億ドル
14招商銀行プライベートバンキング中国3,210億ドル
15ノーザン・トラスト・ウェルス・マネジメント米国3,038億ドル
16BNYメロン・ウェルス・マネジメント米国2,540億ドル
17ピクテ・ウェルス・マネジメントスイス2,420億ドル
18LGTグループリヒテンシュタイン2,402億ドル
19ドイツ銀行ウェルス・マネジメントドイツ2,320億ドル
20中国銀行プライベートバンキング中国2,260億ドル
21ウェルズ・ファーゴ米国2,240億ドル
22中国工商銀行プライベートバンキング中国2,196億ドル
23中国建設銀行プライベートバンキング中国2,132億ドル
24中国農業銀行プライベートバンキング中国1,983億ドル
25J.サフラ・サラシンスイス1,959億ドル
26DBSウェルス・マネジメントシンガポール1,758億ドル
27ノースウェスタン・ミューチュアル米国1,610億ドル
28EFGインターナショナルスイス1,558億ドル
29インドスエズ・ウェルス・マネジメントフランス1,486億ドル
30レイモンド・ジェームズ米国1,454億ドル
31ユニオン・バンケール・プリヴェ(UBP)スイス1,446億ドル
32バンク・オブ・シンガポールシンガポール1,170億ドル
参考:ADV Ratings「Top 30 Wealth Management Firms」
  • 金融機関名の表記は、ADV Ratings掲載名をもとに日本語表記へ調整しています。預かり資産の基準日は行ごとに異なります。
  • クレディ・スイスは2023年にUBSによる買収が完了しています。上表では、ADV Ratingsに掲載された当時のデータとして扱っています。
  • バンガード・グループの数値は、ADV Ratings注記における米国プライベート顧客向けAUMです。

ADV Ratingsの表では、上位にスイス系と米国系の金融機関が多く、UBS、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカ、J.P.モルガンなどが大きな存在感を示しています。

一方で、中国やシンガポールの金融機関もランクインしており、アジアの富裕層ビジネスの拡大も読み取れます。

ただし、預かり資産の規模は、プライベートバンクの安全性、運用成績、担当者の質、日本居住者への使いやすさを直接示すものではありません。規模はあくまで比較軸の一つとして見るのが適切です。

世界のベストプライベートバンク2026(Global Finance)|世界全体はJ.P. Morgan US Private Bank

Global Financeの「World’s Best Private Banks 2026」では、世界全体のベストプライベートバンクとしてJ.P. Morgan US Private Bankが選ばれています。

Global Financeのアワードは、単純な預かり資産の大きさだけで決まるランキングではありません。編集委員会が、銀行から提出された情報、独自調査、公開情報、業界関係者の見解などをもとに、客観・主観の両面から選定しています。

2026年版の評価対象期間は、2024年7月1日から2025年6月30日までです。つまり、2026年版という名称でも、評価対象は主に2024年後半から2025年前半の実績と理解するとよいでしょう。

Global Finance 2026の主な受賞結果

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部門受賞機関
世界のベストプライベートバンクJ.P. Morgan US Private Bank
プライベート・エクイティへのアクセスGoldman Sachs Wealth Management
サステナブル投資Bank J. Safra Sarasin
ファミリーオフィスサービスNorthern Trust
世代間ウェルスマネジメントCiti Private Bank
純資産500万ドル以下の顧客Fifth Third Private Bank
純資産500万〜2,500万ドルの顧客BNP Paribas Banque Privée
純資産2,500万ドル超の顧客Goldman Sachs Wealth Management
顧客向けデジタルソリューションDBS Private Bank
アジア太平洋のベストプライベートバンクDBS Private Bank
参考:Global Finance「World’s Best Private Banks 2026」

Global Financeの結果を見ると、世界全体ではJ.P.モルガン、超富裕層向けではゴールドマン・サックス、デジタル領域やアジア太平洋ではDBSが評価されています。

自分に合う候補を考える際は、「どの銀行が1位か」だけでなく、「どの部門で評価されているのか」を確認することが大切です。

Euromoney Private Banking Awards 2026|世界全体はDBS Private Bank

Euromoneyの「Private Banking Awards 2026」では、世界のベストプライベートバンクとしてDBS Private Bankが選ばれています。

Global FinanceではJ.P. Morgan US Private Bank、EuromoneyではDBS Private Bankが世界全体の受賞行となっており、評価主体によって結果が異なることがわかります。

Euromoneyの結果も、預かり資産の順位表ではなく、各サービス分野における受賞結果です。プライベートバンクを比較するときは、Global Financeと同様に「どの分野で評価されているか」を見ると理解しやすくなります。

Euromoney 2026のグローバル部門

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部門受賞機関
世界のベストプライベートバンクDBS Private Bank
サステナビリティBNP Paribas Wealth Management
デジタルソリューションJPMorgan Private Bank
チーフ・インベストメント・オフィスGoldman Sachs
ファミリーオフィスサービスUBS
ピュアプレイ/ブティックLGT Private Banking
最も安全なプライベートバンクDBS Private Bank
UHNW向けGoldman Sachs
HNW向けSantander
顧客サービスCiti Private Bank
代替投資JPMorgan Private Bank
デジタル資産DBS Private Bank
参考:Euromoney「Private Banking Awards 2026 results」

Euromoneyの結果では、DBS Private Bankが世界全体、最も安全なプライベートバンク、デジタル資産の分野で目立っています。ただし、「最も安全なプライベートバンク」はアワード上の部門名であり、預金保護や元本安全を保証する意味ではありません。

一方で、JPMorgan、Goldman Sachs、UBS、BNP Paribas、Citiなども、それぞれ異なる分野で評価されています。特定の銀行だけがすべての分野で優れているというより、銀行ごとに強みが分かれていると見るべきでしょう。

Euromoney 2026の主な地域別受賞結果

地域ベストプライベートバンク
アジアDBS Private Bank
欧州BNP Paribas Wealth Management
北米Goldman Sachs
ラテンアメリカBTG Pactual
中東Emirates NBD Private Banking
アフリカStandard Bank Wealth and Investment
参考:Euromoney「Private Banking Awards 2026 results」

地域別では、アジアはDBS、欧州はBNP Paribas、北米はGoldman Sachsが受賞しています。

ただし、地域別で評価されている銀行であっても、日本居住者が直接利用できるか、日本語対応があるか、最低預入額が自分に合うかは別問題です。ランキングは候補を知る入口として使い、実際の利用可否は個別に確認しましょう。

ランキング上位のプライベートバンクを選ぶ前に確認したいポイント

世界的なランキングで上位に入っている銀行であっても、日本居住者が利用できるか、最低預入額はいくらか、どのような商品やサービスが提供されるかは個別に確認が必要です。

  • 日本居住者へのサービス提供に対応しているか
  • 最低預入額や口座維持条件はどの程度か
  • 投資助言、運用一任、融資、相続・承継支援など、どこまで対応しているか
  • 手数料体系が明確か
  • 日本語対応や担当者の体制があるか
  • 海外口座や海外資産に関する税務・法務上の確認を専門家に相談できるか
  • 預金保護、投資者保護、カストディ体制などを理解できるか

特に、海外プライベートバンクは税務、相続、為替、投資規制などの確認事項が多くなります。

たとえば、日本の居住者(非永住者を除く)で、その年の12月31日時点において価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合、翌年6月30日までに国外財産調書の提出が必要です。

プライベートバンクを通じて海外資産を保有する場合は、ランキングだけで判断せず、自分の居住国、資産規模、投資目的、税務上の義務に合っているかを確認しましょう。

世界のプライベートバンクランキングはAUMとアワードを分けて見る

世界のプライベートバンクを比較する際は、「預かり資産残高(AUM)のランキング」と「専門誌・金融メディアによるアワード」を分けて見ることが重要です。

AUMランキングは、どれだけ多くの顧客資産を管理・助言しているかを見る指標です。金融機関の規模やグローバルな存在感を把握しやすい一方で、AUMが大きいからといって、必ずしも自分に合うサービスを受けられるとは限りません。

たとえば、Euromoneyの「AUM performance rankings 2025」では、UBS Global Wealth Management、Morgan Stanley Private Wealth Management、Wells Fargo Wealth and Investment Managementなどが上位に確認できます。ただし、公開されている資料では、各社のAUM具体額までは一覧で確認できません。

一方、ADV Ratingsの数値入りランキングでは、UBS Global Wealth Managementが1位とされています。ただし、掲載されているAUMの基準日は主に2019年〜2020年であり、UBSによるクレディ・スイス買収後の最新の連結データとして読むべきではありません。

また、アワードはAUMの大小だけで決まるものではありません。たとえば、Global Financeの「World’s Best Private Banks 2026」では、世界のベストプライベートバンクにJ.P. Morgan US Private Bankが選ばれています。一方、Euromoneyの「Private Banking Awards 2026」では、世界のベストプライベートバンクにDBS Private Bankが選ばれています。

このように、同じ「世界ランキング」でも、AUMを重視するランキングと、サービス品質、専門性、地域性、成長性、デジタル対応、顧客層への適合度などを評価するアワードでは、上位に出てくる金融機関が異なります。

そのため、プライベートバンクを比較する際は、ランキングの順位だけで判断せず、次の点をあわせて確認しましょう。

  • AUMランキングなのか、アワードなのか
  • 評価対象がグローバル全体なのか、特定地域なのか
  • 対象顧客が富裕層向けなのか、超富裕層向けなのか
  • 最低預入額や口座開設条件が自分に合うか
  • 手数料、投資一任報酬、信託報酬などの費用体系が明確か
  • 日本居住者に対応しているか、国内拠点や日本語対応があるか
  • 海外口座、国外財産、相続、税務申告などの確認事項に対応しやすいか

特に日本居住者の場合、海外の有名プライベートバンクであることだけを理由に選ぶのは避けたいところです。

ランキング上位の金融機関であっても、日本居住者を受け入れているか、日本語で契約・説明を受けられるか、日本の税務・相続・事業承継と接続しやすいかは、個別に確認する必要があります。

世界ランキングは、あくまで比較の入口です。実際に選ぶ際は、金融機関の知名度や順位だけでなく、自分の資産規模、居住地、家族構成、事業の有無、海外資産の状況、運用目的に合うかを確認しましょう。

出典

Euromoney「AUM performance rankings Methodology and criteria」
Euromoney「The world’s largest global private banks by AUM」
ADV Ratings「Top 30 Wealth Management Firms」(更新日:2024年4月15日)
Global Finance Magazine「PRESS RELEASE: Global Finance Names The World’s Best Private Banks 2026」(公開日:2025年10月23日)
Global Finance Magazine「World’s Best Private Banks 2026: Global Winners」(公開日:2025年12月1日)
Global Finance Magazine「World’s Best Private Banks 2026: Asia-Pacific」(公開日:2025年12月1日)
Euromoney「Private Banking Awards 2026 results」
Euromoney「The world’s best private bank 2026: DBS Private Bank」(公開日:2026年3月20日)
UBS「UBS completes Credit Suisse acquisition」(公開日:2023年6月12日)
国税庁「No.7456 国外財産調書の提出義務」

この記事を書いた人

証券会社・証券口座メディア編集部は、ネット証券から対面・外資系証券まで多様な証券会社の選択肢を解説し、投資初心者でも最適な口座を開設できるよう支援している。元証券会社勤務者の知見を活かし手数料やサービス内容を客観的に比較し、おすすめのネット証券や対面証券をご紹介。運営元アドバイザーナビ株式会社は資産運用アドバイザーと投資家のマッチングサービス「資産運用ナビ」を展開し、読者が信頼できる相談先を提案している。透明性の高い情報提供を通じて、資産形成の第一歩を後押しする。