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プライベートバンクの利用は本当に得か?そのメリットとデメリットを徹底解説

この記事で解決できるお悩み
  • プライベートバンクのメリット・デメリットを知りたい
  • プライベートバンクを利用すべきかどうか悩んでいる

投資のアドバイザー選びのなかで、プライベートバンクという言葉を聞いたことがあるだろうか。

対象とする資産額からプライベートバンクを利用するメリット・デメリットまでを明らかにすることで、プライベートバンクを利用すべきかどうか悩んでいる方の参考になればと思う。

目次

プライベートバンクとは – 概念とサービスの理解

資産の管理・運用を任せられる「プライベートバンク」だが、どういったサービス内容を受けられるのだろうか。

まず、プライベートバンクの基本的な特徴や提供されるサービス内容、証券会社との違いなどを解説していく。

プライベートバンクとは

プライベートバンクとは、一定規模以上の富裕層に対して提供される銀行形態のサービスを指す。

日本においては銀行内の専門部署に開設されている場合もあれば、プライベートバンクの専門会社も存在する。

運用という一部分ではなく、富裕層の全体の資産管理やリスクの削減、相続・贈与に至るまで包括的なアドバイザーとして活動する。

いずれ資産が承継される相続人の家計がある場合などは、複数の家計を対象としているプライベートバンクもある。

一定規模以上の富裕層に対して提供される銀行形態のサービスのことを指す、プライベートバンク。

日本においては銀行内の専門部署に開設されている場合もあれば、プライベートバンクの専門会社も存在する。

基本的には銀行や証券会社のサービスと変わらず、投資家の資産運用を支援している。

ただ包括的なアドバイスを主としている分、投資家も投資銘柄や投資タイミングといったミクロな相談ではなく、資産管理全体のマクロな協力体制を希望していることが多いといえる。

そのため、運用という一部分だけではなく、富裕層の全体の資産管理やリスクの削減、相続・贈与に至るまで包括的なアドバイザーとしての役割を果たしているのだ。

中には、いずれ資産が承継される相続人を含めた複数の家計管理を一括で担当するケースもある。

プライベートバンクの役割とサービス内容

基本的には銀行や証券会社のサービスと変わらず、投資家の資産運用を支援する。

ただ包括的なアドバイスを主としている分、投資家も投資銘柄や投資タイミングといったミクロな相談ではなく、資産管理全体のマクロな協力体制を希望していることが多いといえる。

また詳細は後述するが、金融以外の生活全体における分野でも多様なサービスを提供しているプライベートバンクも多い。

バランスシート全体の把握

プライベートバンカーによる資産運用提案の特徴として、顧客のバランスシート全体を把握したうえで、その最適化を図るという点が挙げられる。

すなわち、顧客が保有する資産、負債、そしてそれらの差額である純資産を的確に把握することが、提案の出発点となる。

一般的な金融機関や専門職は、特定の商品や分野に特化してサービスを提供し、それ以外の領域には関与しない傾向が強い。

たとえば、銀行は預金や融資、保険会社は保険、証券会社は投資信託、税理士は税務、弁護士は損害賠償や相続といった分野に限定される。

一方で、プライベートバンカーは、自身が所属する金融機関が銀行系であれ証券系であれ、自社の商品に固執することなく、顧客にとって最適な提案を行う。

そのため、必要に応じて他社の金融商品を活用したり、税理士・弁護士などの外部専門家と連携したりすることも珍しくない。

プライベートバンクの強みは、顧客ごとのニーズに基づいた総合的かつオーダーメイドのサービス提供にある。

資産と負債

資産といえば、多くの人がまず思い浮かべるのは預貯金、株式、投資信託などである。

しかしながら、資産にはこれら以外にも、不動産、非上場企業の株式、生命保険、公的年金の受給権、自動車や美術品などの動産も含まれる。

これら資産については、評価額のみならず、流動性や相続時の評価額まで把握することが求められる。

たとえば、経営者が保有する非上場企業の株式が10億円相当であったとしても、上場株式のように即座に現金化することは困難である。また、不動産の場合、固定資産税評価額、相続税評価額、実際の売却価格がそれぞれ異なることも多い。

このように、通常は見落とされがちな資産まで丁寧に把握することが、最適なポートフォリオ提案に直結する。

特に、現預金や上場有価証券、公募投資信託などを除けば、富裕層の保有資産の中には正確な時価評価が困難なものも多く、顧客自身ですら総資産額を正確に把握できていないケースがある。

かつて、土地価格が高騰していたバブル期には、自宅の評価額が過度に上昇したことで多額の相続税を課され、先祖代々の土地をやむを得ず売却せざるを得なかったという事例も存在する。

逆に、中国明代の高級品だと信じて1億円で購入した陶磁器が、実は贋作で100円程度の価値しかなかったという例もある。

負債と聞いてまず思い浮かぶのは、住宅ローンや事業資金のための銀行借入などであろう。しかしながら、会計上の観点から「将来支払うことが確定している義務」として捉える場合、借入以外にも多くの要素が負債に該当する。

たとえば、子供の学費、老朽化した自宅の修繕費、将来的な相続税の支払いといった支出も、負債として認識すべきである。

負債の状況を的確に把握することができれば、いつ、どの程度の資金が必要かを見越したうえで、最適なキャッシュフロー管理が可能となる。

相続税の納税資金が不足する例は典型であるが、富裕層であってもキャッシュフローの見通しが甘ければ、思わぬ資金難に陥る可能性がある。

バランスシートの最適化

プライベートバンカーは、このように把握した顧客のバランスシートを基に、資産および負債の最適化を図る。

たとえば、ある上場企業の創業者が50億円相当の自社株を保有している一方で、そのほとんどが自社株に集中しており、かつ相続税の支払いが将来的に大きな負担となることが予想されるようなケースがある。

このような場合、プライベートバンカーは、生命保険を活用して納税資金を確保したり、相続発生時に自社株を担保に融資を受けられるよう手配したり、あるいは相続税評価額を圧縮するために不動産購入を提案したりする。

また、先祖代々の土地を守りたいという地主に対して、土地を担保に融資を受け、相続税はその融資で支払い、返済は地代で賄うといった提案を行うこともある。

プライベートバンカーの提案は、資産を単純に「増やす」ことよりも、顧客の意向に寄り添いながら「守る」ことに重きが置かれる傾向にある。

相続税への対応に見られるように、キャッシュフローの確保が重要になる場合も多く、必ずしも高リターンの商品が推奨されるわけではない。

たとえば、生命保険は、保険会社の運用が主に債券であることや経営コストの影響により、株式ファンドと比べて期待リターンが低くなる。しかしながら、相続発生時に確実な納税資金を確保できるという観点から見れば、価格変動の激しい株式ファンドよりも有効である場合もある。

このように、プライベートバンカーによる提案は、顧客ごとの事情に基づき、バランスシート最適化を目指すものである。

また、こうした提案は銀行・証券会社・保険会社などが個別に提供することは難しく、顧客のバランスシート全体を把握しているプライベートバンカーならではの業務領域である。

中には、「節税のためにワンルームマンションを購入しましょう」「老後に備えて投資信託の積立を始めましょう」「不測の事態に備えて保険に入りましょう」といった提案を受けた経験のある者も多いだろう。

これらの提案自体が誤っているわけではない。

しかし、各業者が自社の利益を優先するあまり、顧客にとって過剰あるいは不要な商品を勧めることがあるのも事実である。実際に、保険に過剰加入していたり、ワンルームマンションを複数所有していたりする富裕層も存在する。

多くの業者が自社商品の販売に終始する中、プライベートバンカーは複数の資産クラスを横断的かつ包括的に管理し、顧客の全体最適を図ることを使命としている。

プライベートバンクを利用する人の特性

一般的な認識としてプライベートバンクは富裕層限定のサービスだ。

日本において富裕層の定義は総資産1億円か、純資産1億円といわれることが多い。

総資産は資産性のあるものをすべて加算した金額だが、純資産はそこから返済必要性のあるものを控除する。

具体的にはローンを使って購入した不動産の例がわかりやすい。

総資産は購入した不動産価格をそのまま加算するが、純資産はそこからローンの残債を引く。

純資産の方が、より正確に資産状況を反映している数字といえるだろう。

プライベートバンクと証券会社の違い

プライベートバンクと証券会社の個人リテールの違いはアドバイスの対象とするのが有価証券のみか、資産全体かという違いが大きい。

そのため両者は手数料が異なる。資産総額がプライベートバンクの対象に及ばない場合にも利用することはできるが、高額の手数料が足枷となってしまうだろう。

純資産1億円を目安に自身にとってプライベートバンクと証券会社のどちらが最適なのかを考えたい。

プライベートバンクのメリット – 豊かなサービスと専門性

プライベートバンクの利用におけるメリットとして以下の4点が挙げられる。

プライベートバンクの利用におけるメリット
  • カスタマイズ可能な資産運用プラン
  • 専門性が高い資産運用コンサルティング
  • 複雑なポートフォリオを包括的に管理
  • 個別対応の銀行サービス
  • 富裕層としてのステータスを実感できる
  • 生活を支える広範囲なサポート

それぞれのメリットを踏まえ、プライベートバンクを利用する魅力を把握しておこう。

カスタマイズ可能な資産運用プラン

富裕層によって、資産ポートフォリオにも特徴がある。

それぞれのニーズに応じたカスタマイズ性の高いサービスを提供できるのもプライベートバンクの魅力だ。

ある富裕層は不動産中心に資産が形成されていたり、またある富裕層は海外資産が多めだったりする。

それぞれのアドバイス内容も、資産管理の方法も異なる。

手数料は高くなるが、その対価としてプライベートバンクはカスタマイズ可能な資産運用プランを提供してくれるのだ。

また、どれだけ高額な資産を運用していても、節税対策を一切せずに相続を迎えてしまっては、高額な相続税が課税対象となる。

プライベートバンクは生前贈与などを活用しながら、早くから相続対策を進め、対策を打ち出す。

もちろん税理士や不動産会社との連携も対応範囲だ。

専門性が高い資産運用コンサルティング

プライベートバンクの構成員は総じて専門性が高い。

例えば、相続に関して取り上げると、手続きそのものは税理士や司法書士など士業の専門領域だが、前段階の法改正、一般論などはプライベートバンクの段階で顧客の疑問に答え、解決することができる。

時間がない富裕層は多い。わざわざ専門家に照会すると対応され持ち帰りになるよりも、相談の第一段階で回答して貰えるのはプライベートバンクの大きなメリットだろう。

また、先述の通り、プライベートバンクは金融資産の管理はもちろん、旅行や教育、介護や相続などのサービスを提供している。

事故のリスクや子どもの学習キャリアの構築、終活までを包括的に管理することができるのもまた魅力の一つであろう。

複雑なポートフォリオを包括的に管理

プライベートバンカーが仲介役となることで、資産ポートフォリオ全体を包括的に管理することが可能となる。

富裕層の資産ポートフォリオは、一般的に複雑である。たとえば、現預金、有価証券、自身が経営する会社の株式、不動産、生命保険、自動車、美術品などが含まれることが多い。

さらに、これらの資産が複数の国に分散していたり、所有者名義が個人と法人で混在していたりすることも珍しくない。

加えて、毎年の税務申告や将来の相続への備えも必要である。

本業で多忙な経営者や、引退後で体力・気力の衰えを感じている高齢の富裕層が、これらの資産管理を自ら行うのは容易なことではない。

顧問税理士がいたとしても、税理士はあくまで税務の専門家であり、不動産や資産運用に関する知識が必ずしも豊富であるとは限らない。

銀行、証券会社、不動産会社、保険会社の各担当者も、それぞれの分野では専門的な知見を有しているが、他分野に関する理解は限定的である。

各担当者が優れた提案を持ってきたとしても、それが資産ポートフォリオ全体として最適な解決策になるとは限らない。たとえば、証券会社は保有資産をすべて有価証券で運用することを望む傾向がある一方で、不動産会社は積極的に不動産投資を勧めることが多い。

たとえ自分で資産を管理するだけの知識やスキルを有していたとしても、その業務をプライベートバンクに任せ、浮いた時間を本業である会社経営や、余暇、家族との時間に充てたいと考える人もいるだろう。

プライベートバンカーは、こうした状況において、顧客に代わり各分野のプロフェッショナルを統括し、ひとつのチームとして機能させる役割を果たす。

このようにして、顧客の手を煩わせることなく、最適な資産運用サービスを提供することが可能となる。

個別対応の銀行サービス

当然銀行との繋がりも深く、富裕層の代わりに銀行手続きを代行することも可能だ。

煩雑な手続きや委任状を活用した書類記入、担当職員との面談に至るまで代行することで、プライベートバンクの顧客は時間を節約することができるだろう。

富裕層としてのステータスを実感できる

プライベートバンクにおいては、資産運用以外にも多岐にわたるサービスが提供されている。

たとえば、ブラックカードの利用が可能であったり、人気の高い高級ホテルやレストランの予約を顧客に代わって手配してもらえたり、子供の教育や親の介護といったライフイベントに関する支援を受けることができたりする。

実際に、ブラックカードの取得を目的としてプライベートバンクに口座を開設した富裕層も存在する。

野村證券の例を挙げれば、銀座と京都に、一般の営業部門とは異なるプライベートバンキング部門専用の豪華なオフィスを構えており、京都では別荘を用いた接待も行われている。

この別荘「野村別邸 碧雲荘」は、野村證券の創業者である野村徳七が約1万7,300平方メートルの敷地に築いた数寄屋造りの邸宅であり、邸内にある17棟が国指定の重要文化財となっている。戦前の超富裕層であった創業者が自らのために建てたこの邸宅において接待を受けることは、まさに特別な体験であると言える。

このように、手厚いサービスを通じて、富裕層は「特別な存在である」という実感を得ることができる。人間の本性として、「特別扱い」に快感を覚えるのは自然なことである。

また、ステータスとはやや異なる視点ではあるが、良き相談相手、あるいは信頼できる友人を得ることができる点も、プライベートバンクの大きな魅力の一つである。

プライベートバンカーは、資産運用の枠を超えた私的な事柄についてもサービスを提供する場面がある。

その過程で、資産運用とは直接関係のないやりとりを重ねる中で、顧客にとってプライベートバンカーが家族やビジネスパートナーにすら話せないようなことを打ち明けられる良き相談相手となることもある。

プライベートバンクは信用を基盤とするビジネスであるため、組織としても顧客情報の管理には厳格な守秘義務が課されていることが多く、高い安心感を提供している。

さらに、人間的な相性によっては、単なる顧客と業者の関係を超えて、本物の友情が芽生えることも決して珍しいことではない。

生活を支える広範囲なサポート

プライベートバンクは金融資産の管理はもちろん、旅行や教育、介護や相続などのサービスを提供している。

事故のリスクや子どもの学習キャリアの構築、終活まで、これらを適切に管理をすることで、リスクを予防することができる。

どれだけ高額な資産を運用していても、節税対策を一切せずに相続を迎えてしまっては、高額な相続税が課税対象となる。

プライベートバンクは生前贈与などを活用しながら、早くから相続対策を進め、対策を打ち出す。

税理士や不動産会社との連携も対応範囲だ。

プライベートバンクのデメリット – 知っておきたいポイント

資産の管理・運用を包括的にサポートしてもらえるプライベートバンクだが、一方で把握しておくべきデメリットも存在する。

ここでは、コスト面や運用姿勢、プライバシーの面でのデメリットを紹介していくので、メリットと比較してプライベートバンクを利用すべきかどうかを検討しよう。

最大のリスクは個人情報

プライベートバンクと取引することにおける最大のリスクは、家族以外の第三者(組織)に対して極めて多くの個人情報を預けることにある。

一般的な金融機関が把握する情報は、顧客の住所、年齢、性別、家族構成、職業、自社での預かり資産などに限られる。これだけでも十分にセンシティブな情報であるが、プライベートバンクの場合はそれを遥かに上回る情報を取り扱うことが常である。

プライベートバンクでは、自社預かり資産以外の金融資産についても情報提供を受けることが多く、加えて相続対策に関わるとなれば、顧客の家族関係、健康状態、時には思想信条にまで踏み込む必要が出てくる。

これは、資産と負債のバランスを把握し、顧客のバランスシート全体を最適化するというプライベートバンキング業務の性質上、より詳細な情報の取得が不可欠であるためである。

もちろん、どの範囲まで情報を開示するかは顧客の裁量に委ねられている。しかし、プライベートバンク側はより正確な提案を行うために、なるべく多くの情報開示を求めるのが通常である。そして顧客にとっても、詳細な情報を開示することによって、より適切かつ精緻なサービスを享受できる可能性が高まるのは確かである。

このように、膨大な個人情報を一つの金融機関、さらに言えば一人のプライベートバンカーに預けることにより、スムーズな対応や利便性を享受できる反面、その担当者および金融機関への依存度は否応なく高まる。

多くの資産と情報を託されるプライベートバンクおよびプライベートバンカーには、高い専門性のみならず、誠実さと高い職業倫理が求められる。

しかしながら、プライベートバンクも営利企業である以上、自社に有利な取引へと顧客を誘導しようとするインセンティブが働く余地は常に存在する。加えて、プライベートバンカーも人間である以上、不正を行う可能性が完全にゼロとは言い切れない。

一社のプライベートバンクや一人の担当者に依存し過ぎれば、他の金融機関、弁護士、税理士といった外部の専門家による牽制機能が働きにくくなる。

そして、万一そのプライベートバンクが重大な運用ミスを犯したり、担当者が不正を働いた場合、その損害は極めて深刻なものとなる可能性がある。

投資の世界には「卵をひとつの籠に盛ってはいけない」という格言があるが、これは資産配分(アセットアロケーション)に限らず、取引先となる組織や人物に対しても同様に適用されるべき考え方である。

コスト面での考慮点

プライベートバンクは総じて利用コストが高い。

コスト削減のために他の方法を検討しても、全体的に委託しているため実現しないというリスクがある。

自分で考えて投資をしたいという積極的な方は、そのあたりの融通がどれだけ可能なのかも含めてプライベートバンクの利用を検討したい。

かかるコストは手数料体系によって異なる。預かり資産を基準として手数料を決定する仕組みの場合、預かり資産残高の1%〜2%ほどが相場だ。

成功報酬型の場合、資産の増加額に対して20%前後が相場となっている。

また、売買取引に応じて報酬を決定するケースでは売買金額の1〜1.5%ほどの手数料がかかる。

対面型の証券会社に比べると極端に手数料が高いわけではないが、手数料が0%〜0.5%程度が多いネット証券に比べるとやや高めの水準と言えるだろう。

プライベートバンクの撤退・組織改編・担当者変更リスク

資産の全体像を含む多くの個人情報を委ねるにあたって重要となるのは、組織の健全性・安定性、そして担当者との相性である。

外資系プライベートバンクや、地方銀行・地場証券が提供するプライベートバンキングサービスにおいては、十分な顧客を獲得できなかった場合に、事業から撤退する事例がしばしば見受けられる。

日系のメガバンクや大手証券会社のプライベートバンク部門においては、撤退リスクは比較的低いものの、組織再編によってサービス内容が変更される可能性は否定できない。

そして、時として組織の問題以上に重要となるのが「人」の問題である。プライベートバンクの顧客は、場合によっては家族にも話していないような極めて私的かつ重大な情報を、担当者に対して打ち明けることがある。

その際に鍵となるのは、顧客と担当者との人間的な相性や信頼関係である。担当者が異動あるいは退職した場合、こうした信頼関係がリセットされてしまうことがあり、新たな担当者との相性は運に左右される部分も大きい。

この点については、筆者自身の実体験からも強く実感している。筆者はかつて証券会社において株式運用業務に従事していた。その中で、顧客との相性が資産運用の成果にまで影響を及ぼすという事実を幾度となく目の当たりにしてきた。

たとえば、顧客Aに対しては提案した銘柄の株価の8〜9割が上昇し、結果として資産が倍増した。一方で、顧客Bに対しては提案した銘柄がことごとく下落し、資産が半減してしまった。両者の違いは、運用スキルの差というよりも、むしろ相性の問題であったと考えている。

このように、プライベートバンクとの取引においては、組織の安定性と同時に、担当者との信頼関係や相性が極めて重要な要素となる。

投資対象資産に係るリスク

プライベートバンクに資産を預けたとしても、確実なリターンが保証されるわけではない。株式、債券、不動産、外貨など、投資対象とする資産に応じた価格変動リスクは、当然ながら顧客自身に帰属するものである。

また、ヘッジファンドやプライベート・エクイティといったオルタナティブ投資に関しては、公募金融商品と比較してガバナンスが脆弱であるケースも多く、運営組織自体に問題を抱えている可能性が高くなる。

日本国内の事例としては、AIJ投資顧問による年金資産消失事件が挙げられる。AIJ投資顧問は、新興のヘッジファンドとして好調な運用成績を喧伝し、企業年金基金などから巨額の資金を集めていた。しかし、実際には運用は不調であり、投資家に対して虚偽の運用実績を報告していたことが後に明らかとなった。

最終的に同社は破綻し、代表であった浅川氏には懲役15年の実刑と、他の幹部と合わせて約156億円の追徴金支払いが命じられた。しかし、「無い袖は振れぬ」という言葉の通り、数百億円規模の年金資産は実質的に回収不能となった。

このように、運用会社側に悪意がなかったとしても、資産価格の変動以外の部分で損失を被る可能性は十分に存在する。近年の例としては、暗号通貨取引所が外部からのハッキングを受け、顧客の保有する暗号資産が盗難に遭うといった事件が後を絶たない。

オルタナティブ投資は、通常の株式や債券と比較して高い収益が期待できる反面、あらゆる面でリスクが高いという認識を持っておくべきである。

もちろん、プライベートバンクに資産運用を依頼すれば、顧客のリスクリターン許容度に応じた適切な資産配分(アセットアロケーション)の提案は受けられる。

しかしながら、プライベートバンク自体が顧客に対してリターンを保証するわけではない。いかなる時代においても、「投資は自己責任」が原則だ。

IFAが解決するプライベートバンクの悩み

各種のデメリットを踏まえ、プライベートバンク以外の投資相談先を検討しているという方も多いだろう。

ほかの投資相談先の選択肢としてはIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)がおすすめだ。

ここでは、資産運用を専門家に相談すべき理由やIFAをおすすめする理由、IFAの探し方について解説していく。

資産運用を専門家に相談すべき理由

資産運用を専門家に相談すべき理由として「投資の最適解が人によって異なる」という点が挙げられる。

自分に合った投資先で効率良く運用していくためにも、専門家の力が必要だ。

例えば、数億円規模の資産を保有する人と数百万円を保有する人では取るべき戦略が異なる。

同様に20代と50代、独身者と既婚者など、属性の違いによって投資の最適解は変わってくるのだ。

専門家に相談することで、あなたの資産状況や年齢、運用目的などに合わせた最適な投資戦略を提案してもらえる。

ニーズを満たす投資戦略の提案により、効率的な資産運用が可能となる。

自身の状況に最適な投資戦略で資産運用を始めるためにも、専門家に力を借りよう。

IFAをおすすめする理由

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)とは、銀行や証券会社から独立した立場で顧客の資産運用をサポートする専門家だ。

顧客から相談を受けて投資プランを作成し、具体的な商品の提案・仲介などを主な役割として担う。

プライベートバンクと比較した上でのIFAのメリットとして以下の2点が挙げられる。

プライベートバンクと比較した上でのIFAのメリット
  • 客観性のある投資戦略を構築してくれる
  • 富裕層以外の顧客にも対応している

IFAは特定の金融機関に所属しない立場にあるため、商品の提案や仲介に縛りを受けない。

客観性を持って投資戦略を構築し、商品を中立な目線で提案してくれることが特徴だ。

また、プライベートバンクは富裕層向けのサービスだが、IFAは資産規模にかかわらず相談可能となっている。

数億円規模の資産がない方でも安心して利用できることが強みだ。

ただし、IFAによっては富裕層に特化してビジネスを展開している場合もあるため、相談先のIFAがメインで抱える顧客の属性を把握しておくことを推奨する。

IFAの探し方

信頼できるIFAをお探しの方は「資産運用ナビ」の利用をおすすめする。

「資産運用ナビ」とは、相談先を探す投資家に最適なIFAを紹介するオンラインプラットフォームのことだ。

サービスの利用は非常に簡単で、あなたの資産状況や希望するアドバイザーの条件をフォームに入力するだけで良い。

あとはIFAを知り尽くした「資産運用ナビ」があなたの資産状況や運用目的にぴったりのIFAを全国のデータベースから抽出して紹介する。

もちろん全国47都道府県どこでも相談に対応しており、対面やWEBでの面談を自由に選べる。

初回面談を何人と行っても無料であるため、自分と相性の良いIFAをじっくり探せることが特徴だ。

信頼できる相談先をお探しの方は、ぜひ「資産運用ナビ」を利用して自分に合うIFAを探してみてはいかがだろうか。

プライベートバンクのデメリットはIFAで解決しよう

IFAを利用することでプライベートバンクのコスト面や資産運用における不安を解消できる可能性がある。

各種の投資商品についての知識を有し、個々の投資家の要望に沿った資産運用を提示するIFAの利用を考えたい。

「資産運用ナビ」を利用することで、独立性を保ちながら最適な資産運用を支援するIFAとともに、安心して資産運用に取り組むことができるため、ぜひ検討したい。

プライベートバンクのデメリットに関するQ&A

プライベートバンクとIFAを利用する際、コスト体系や実際の費用はどう異なりますか?

プライベートバンクの場合、預かり資産を基準として手数料を決める仕組みや成功報酬制、売買に対して手数料を徴収する仕組みが採用される。

「預かり資産残高の1〜2%」「資産の増加額に対して20%前後」「売買金額の1〜1.5%」が相場となる。

IFAも基本的なコスト体系はプライベートバンクと同じで、業者によって異なるコスト体系を採用している。

「預かり資産の1〜2%」「売買金額の1%前後」といった形で費用が決まる。

両者でそこまで大きな違いはないと言えるだろう。

プライベートバンクは顧客のプライバシーをどのように保護していますか?

「個人情報保護法」を遵守し、顧客の個人情報を適切に取り扱って保護をするように努めている。

「プライバシーポリシー」などで個人情報の利用目的を明示し、目的外の利用や第三者への提供をしないことを定めて情報を管理している。

プライベートバンクはどれくらいの資産規模の投資家に最も適していますか?

プライベートバンクは最低でも資産規模5,000万円以上が目安となっており、資産形成層の顧客は原則として利用できない。

保有資産5,000万円〜1億円以上の投資家に適したサービスと言えるだろう。

IFAを選ぶ際に最も注意すべきポイントは何ですか?

IFAを選ぶ際はさまざまなポイントをチェックしておく必要があるが、最も注意すべきなのは「アドバイザーの得意分野」である。

株式や投資信託を得意とするIFAもいれば、不動産投資や保険を得意とするIFAもいる。

自分が希望する相談内容に適切に対応してもらうためにも、IFAが何を得意としているのかを確認しておこう。

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