- 仮想通貨にかかる税金とは何なのか
- どのようなタイミングで仮想通貨に税金が発生するのか
2021年にビットコインが史上最高値を更新したのをきっかけに、新たに仮想通貨投資に参入した人も多いのではないだろうか。
仮想通貨は値動きが激しく、大きく利益を上げることも可能だが、そんなときに気になるのが税金だ。
一般のサラリーマンの多くは、給与から源泉徴収され年末調整だけで納税が完了するため、税金や確定申告に馴染みのない人も多いだろう。
本記事では、仮想通貨を取り巻く税金について、普段、税金に馴染みのない人にもわかりやすく解説する。
仮想通貨にかかる税金
仮想通貨は、保有しているだけでは税金がかからないが、売却や他の仮想通貨との交換、仮想通貨で商品購入したときなどに税金がかかる可能性がある。
「可能性がある」といったのは、売却や交換時に利益が出ていれば、その利益に対して税金がかかるためだ。
損をしている場合には税金はかからない。
仮想通貨の税金の特徴について解説する。
仮想通貨の利益は雑所得
2022年現在、仮想通貨で得た利益は、所得税の区分上「雑所得」に分類される。
所得税法では、所得をその性格によって次の10種類に区分している。
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
仮想通貨の利益が属する雑所得とは、利子所得から一時所得までのいずれにも該当しない、その他の所得という意味合いだ。
他に公的年金の収入や副業収入などが該当する。
なお、株式や債券などへの投資で得た利益は「譲渡所得」や「配当所得」などに分類され、仮想通貨とは別の取り扱いになっている。
所得が増えるほど税率がアップする累進課税
所得税は、所得が増えるほど税率がアップする累進課税を採用している。
仮想通貨が属する雑所得は、総合課税の対象で、給与所得など他の所得と合算して税率が決まる。
所得税の最高税率は45%。これに住民税10%を合わせると最大で55%の税率になる。
仮想通貨で大儲けすると半分以上税金に持っていかれる、という噂を聞いたことがある人もいるかもしれないが、嘘ではない。
ただし、55%はあくまで最高税率なので、利益が少なければ次の表のとおり税率はもっと低い。
課税所得 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
これに、住民税10%が加わる。
税率が55%になるのは、仮想通貨の利益と給与所得などを合わせて4,000万円以上の場合なので、数百万円単位の儲けであれば半分も持っていかれることはないのでご安心を。
仮想通貨の利益は確定申告が必要
仮想通貨の利益は、サラリーマンの年末調整で申告することはできないため、確定申告が必要だ。
ただし、サラリーマンで給与所得以外が20万円未満の場合は確定申告が免除される。
少額の取引なら、年間の利益が20万円にならないよう損益を調整すると良いだろう。
ただし、医療費控除など別の用件で確定申告する場合には、20万円未満でも申告が必要な点には注意が必要だ。
確定申告は、会社ではやってくれないため、自分で所得を計算し、確定申告書を作成して納税しなくてはいけない。
毎年2/16から3/15の間に、前年1/1から12/31分を申告する必要がある。
期間内に申告が間に合わない場合、延滞税などが課されるため注意しよう。
最近では仮想通貨の損益計算サービスが提供されているので、忙しい人や、自分で計算するのが難しい人は利用を検討すると良いだろう。
また、税理士に相談するのも安心だ。
仮想通貨に税金がかかるタイミング
仮想通貨の税金はどのようなときにかかるかご存じだろうか。
仮想通貨を売却したときに、利益が出ていたら税金がかかるのはわかりやすいだろう。
しかし、それ以外にも、商品を購入したときや別の仮想通貨に交換したとき、マイニングで取得したときなどにもかかることは知っておこう。
過去にはこの事実を知らず、別の仮想通貨へ交換後に大暴落し、巨額の税金支払いだけが残った、という事例もある。
税金のことを知らずに取引するのは危険だ。
仮想通貨を売却したとき
仮想通貨を売却して利益が出たときに税金がかかる。
もっとも基本的なケースなのでイメージがつきやすいだろう。
たとえばビットコインが200万円のときに1枚購入し、300万円で売却したら100万円の利益だ。
仮想通貨で商品を購入したとき
仮想通貨で商品を購入した場合にも税金がかかる。
一旦仮想通貨を売却し、日本円に変えてから商品を買ったという扱いになるためだ。
商品購入時の仮想通貨の時価が、取得単価よりも高ければ利益が出ているということで、利益分に対して税金がかかる。
日本ではまだ仮想通貨での買い物は浸透していないため、このケースに直面することは少ないだろうが、知らずに申告漏れすることがないよう理解しておこう。
他の仮想通貨に交換したとき
仮想通貨を別の仮想通貨に交換した場合にも税金がかかる。
仮想通貨は、一旦日本円に戻さなくても、たとえばビットコインをイーサリアムに交換することも可能だ。
この場合にも、商品購入のケースと同様に、一旦仮想通貨を売却して日本円に換金し、日本円で別の通貨を買ったものとみなし、交換元の仮想通貨で利益が出ていれば税金がかかる。
知らずに別の仮想通貨に交換し、その通貨が暴落すると税金支払いだけが残るため注意しよう。
マイニングやステーキングで仮想通貨を得たとき
マイニングやステーキングとは、仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンにおいて、取引データの正しさを証明し報酬を得ることだ。
この報酬にも、取得時点で税金がかかる。
また、近年流行しているPlay to EarnやMove to EarnなどのGameFiについても、取引したNFTやゲーム内で得た仮想通貨には税金がかかるという見解が示されているため、取引履歴などを記録し損益計算ができるようにしておこう。
他の投資商品のように分離課税になる日が待たれる
仮想通貨の利益は雑所得に分類され給与所得などと合算される、と解説した。
他の投資商品や他国との違いも見てみよう。
- 株式や債券などへの投資では、一律20.315%の分離課税
- 株式や債券などへの投資では、3年間損失を繰り越せる
- 日本の仮想通貨の税金は世界的に見ても高い
株式や債券などへの投資の利益は譲渡益税に分類され、税率は一律20.315%である。
また、FXも雑所得に分類されるが、特例で20.315%の分離課税となっている。
利益額に関わらず一律のため、投資額が多ければ仮想通貨と比べて有利だ。
また、株式や債券などのへの投資で損失が出た場合には、確定申告することで損失を3年間繰り越し、翌年以降の利益と相殺できる。
仮想通貨では損失を繰り越せないため、この点でも仮想通貨投資は不利といえる。
仮想通貨の税金は他の投資商品と比べて税率が高いが、他国と比べても高くなっている。
たとえば、アメリカでは1年以上保有した場合は所得レベルに応じて0%〜20%、ドイツは1年以上保有すると非課税だ。
香港やドバイのようにキャピタルゲインは非課税という国もある。
このような状況を受け、「日本暗号資産取引業協会」では、政府に対して仮想通貨の税制を株式等に合わせるよう要請している。
また、国会議員の中から、ブロックチェーン分野の競争力強化のため、仮想通貨関連の税制見直しを働きかける動きもある。
仮想通貨を取引する投資家にとっては、仮想通貨の税率見直しが待たれるところだ。
まとめ
本記事では、仮想通貨を取り巻く税金について解説した。
仮想通貨の利益は雑所得に区分され、給与所得などと合算して累進課税で5%〜45%の所得税がかかる。
住民税を合わせると15%〜55%だ。
売却だけでなく別の仮想通貨と交換した場合にも税金がかかる点にも注意して、確実に確定申告しよう。
一方で、具体的にどのような投資を行ったら良いか悩んでいる人も多いだろう。
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