- 成長投資枠の特徴とどんな人に向いているかを知りたい
- 成長投資枠で避けるべき運用法を具体的に知りたい
- 成長投資枠を活用したおすすめの運用方法を知りたい
新NISAの成長投資枠は、資産拡大の機会を提供してくれる枠組みだ。
しかし、新たにスタートした制度であるため、不安や懸念を持つ投資家も少なくないだろう。
本記事は、成長投資枠に関する疑問を解消し、賢い投資を行っていただくための実践的なガイドである。
「成長投資枠はやめるべき」と言われる理由を探り、どのような投資家にこの枠組みが適しているか、また「やめるべき」運用法などについて、詳しく解説していく。
本記事を参考に、新NISAの成長投資枠をうまく活用して、資産形成をさらに加速させて欲しい。
新NISAの成長投資枠が「やめるべき」と言われる理由
ここではまず、新NISAの成長投資枠の概要と特徴を整理し、そのうえで「やめるべき」と言われる理由を探っていく。
新NISAの「成長投資枠」とは
NISA制度は、個人投資家が非課税で投資を行える日本の税制優遇策の一つである。
2014年にスタートしたNISAは、多くの人に長期的な資産形成の機会を提供する目的で改変され、2024年に「新NISA」として生まれ変わった。
新NISAには、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つの投資枠がある。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 1,800万円 ※簿価残高方式で管理 (枠の再利用が可能) | |
1,200万円(内数) | ||
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 | 上場株式、投資信託等 (整理・管理銘柄やデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外) |
つみたて投資枠との比較から見た成長投資枠の特徴は、以下のとおりである。
- 一括投資も可能
- つみたて投資枠は、定額積立に特化した投資枠だが、成長投資枠では投資手法が自分で選べる
- 年間投資枠が2倍
- 成長投資枠では、1年間に投資できる240万円で、つみたて投資枠(120万円)の2倍
- 年途中からでも枠が使い切れる
- つみたて投資枠の月上限は10万円なので、年の途中から始めると120万円の枠を使い切れない。しかし成長投資枠では投資タイミングが決まっていないので、年途中で始めても枠を使い切れる
- 幅広い投資対象から選択できる
- つみたて投資枠の対象商品は、「金融庁の基準を満たした、長期の積立・分散投資に適している商品」に限定されている。成長投資枠ではこの限定を超えた、さまざまな商品から選択できる
成長投資枠が「やめるべき」と言われる理由
「成長投資枠はやめるべき」という言説を聞いたことがないだろうか。
資産拡大を目指せる枠組みである一方、それに伴うリスクがあることに起因すると考えられる。
以下に、「やめるべき」と言われてしまう主な理由を整理する。
理由 | 説明 |
---|---|
リスクが高い投資商品も対象に入っているから | 成長投資枠では、つみたて投資枠の対象商品に加え、上場株式やREIT(不動産投資信託)、および条件を満たす投資信託も含まれる 高いリターンを目指せるが、大きなリスクを伴う商品もある 投資初心者やリスク許容度の低い人にとっては不安定すぎる |
コストが高い投資商品も対象に入っているから | アクティブ型など、信託報酬が比較的高い投資商品も含まれる |
投資対象の選定が難しいから | 対象商品は、つみたて投資枠は273本、成長投資枠で投資信託は1,866本(2024年2月時点) 自分に最適な商品を選定するのは困難 |
投資の知識が必要だから | 投資の成功に不可欠な情報収集や分析には、知識と経験が必要 |
投資目的と合致しない | 投資目的によっては、成長投資枠の高リスク商品の組み入れが適さないこともある(たとえば、元本重視なのに米国株を入れてしまう、など) |
つまり、投資を始めたばかりであったり、リスクを極力避けたいと考える方は、成長投資枠は「やめるべき」選択かもしれない。
まずはより安定したリターンを目指す「つみたて投資枠」を活用し、慣れたところで成長投資枠を活用するのが、賢い選択だといえる。
成長投資枠を有効活用できる投資家のタイプ
ただし、リスクを適切に管理できる、中上級の投資家なら、成長投資枠を活用しない手はない。
以下のような人は、成長投資枠を有効活用できる。
高いリスクを許容し、高いリターンを目指す投資家
短期的な市場の変動による資産価値変動を受け入れ、長期的な視野での資産形成を目指す投資家
市場知識と経験を持つ投資家
自身で市場リサーチを行い、情報をもとに適切な投資判断を下せる投資家、またはそのような知識を身につける意欲がある人
自由に投資を行いたい投資家
自身の決定で積極的な資産運用を通じて、短期間での高いリターンを目指したい投資家
まとまった資金がある人
すでに手元資金が十分にある投資家。緊急予備資金(会社員なら3〜6か月、自営業なら1年程度の生活費相当が目安)が確保できていることは絶対条件
なお、上記にあげたような属性に当てはまらなくとも運用のプロに相談することで成長投資枠を使いこなすという選択肢もある。
専門家と目指す新NISA成長投資枠の有効活用法については以下の記事でまとめたので、気になる方はチェックしてみてほしい。
新NISAの成長投資枠で「やめるべき」投資とは
ここからは、成長投資枠を使う場合の「やめるべき」投資について解説する。
投資計画がない投資
投資においては、適切な投資計画が不可欠だ。とくに成長投資枠を利用する投資においては、計画なしなら「やめるべき」である。
投資計画とは、財務目標、投資期間、リスク許容度を反映させ、どの資産クラスにどれくらいの割合で投資するかが含まれる。
ポートフォリオ構築は、計画の中の「具体的な実行計画」だどの投資商品に、どの程度の資金を割り当てるかを示す。
計画は、投資開始前に策定するだけでなく、ライフステージや市場環境の変化に応じて定期的に見直し、必要に応じて調整することが重要である。
リスク許容度を超えた投資
リスク許容度を超えた投資は、成長投資枠で「やめるべき」である。
リスク許容度とは、投資の不確実性に対する個人の耐性を指すこれを超えるリスク投資は、精神的、財務的な負担をもたらす可能性がある。
成長投資枠では、株式などの高いリスクを伴う商品にも投資が可能だ。
しかし、これを利用して高リスク商品に大量投資すると、市場の変動により大きな損失を受けることがある。
あくまでも投資計画に沿って、自分のリスク許容度に合った投資対象を選ぶようにしなければならない。
リスク許容度の低い投資家が「やめるべき」投資とは
リスク許容度の低い投資家は、大きな価格変動に対して慎重で、安定した収益を目指すべきだ。
もし、以下のいずれかに該当するなら、成長投資枠での冒険は避けた方が賢明である。
タイプ | 理由 |
---|---|
年齢が高め | 近い将来に資金が必要なため、リスクを避けたい |
収入が安定していない、または減少が予想される | 不確実な収入のため、損失リスクを避けたい |
保有資産が少ない | 資産が限られているため、大きなリスクを負う余裕がない |
投資経験が少ない | 市場の変動に対する耐性が低く、損失時の精神的ストレスを避けたい |
具体的な短期的な目標がある | 教育費や住宅購入などのために資金の安全性を重視 |
「やめるべき」投資のスタイルは、以下の2つだ。
- 一括投資
- 市場のタイミングによって大きなリスクを背負う。たとえば、高値のときに一括購入すると、その後の市場の下落により、大きな損失を被る可能性がある
- 集中投資
- 特定の銘柄やセクターに投資を集中させる投資は、成功すれば大きなリターンを得られるが、失敗すれば重大な損失を被るリスクがある
やめるべきではない?新NISAの成長投資枠を賢く使って資産を築く方法
ここでは、新NISAの成長投資枠において賢く資産を築くための具体的な方法を紹介する。
つみたて投資枠の投資金額を増やす
成長投資枠を用いて、つみたて投資枠での投資を拡大する戦略は、最も着実でシンプルな資産形成の方法だ。
単に、毎月の積立金額を増やすだけで良い。
以下の点でメリットがある。
- コスト効率が良い商品を選べる
- つみたて投資枠では、選べる投資商品が主にコストが低いインデックスファンドに限定されているため、効率良く資産を増やせる
- 安定した商品が選べる
- つみたて投資枠の対象商品は、長期的に安定的な資産形成を目指すものに限定されている。そのため、いわゆる「ほったらかし投資」にも向いている
- 市場タイミングの考慮が不要
- 毎月一定額を自動的につみたてるので、市場のタイミングを予測する必要がない。市場の上下動に左右されずに、コンスタントに資産を増やせる
- 長期的な購入単価の低減
- 定期的に一定額を投資することで、長期的に見ると平均購入単価を下げ、複利効果を最大限に享受できる
成長投資枠でより高いリターンを目指す
つみたて投資枠を資産形成の中核として位置付け、成長投資枠を「資産拡大に弾みをつけるための投資」に振り向けるのも、有効な戦略である。
メリットは、以下のとおりである。
- リスクとリターンのバランスをとる
- つみたて投資枠でリスクを安定的なコア資産の成長を図りつつ、成長投資枠で高リターンを狙える
- 市場タイミングを考慮した投資
- 成長投資枠では、市場の好機を見極めた投資もできる。「価格が1,000円を割り込んだら買う」などの目標を定めることで、投資の醍醐味も味わえる
- さらなる分散の実現
- 成長投資枠の幅広い商品ラインナップを活用して、ポートフォリオの分散をさらに深化させることもできる
- さらなる時間分散の実現
- 成長投資枠では、つみたて投資枠は異なるタイミングでの積立を行う
- 定期的なキャッシュフローの確保
- 成長投資枠では、高配当ETFへの投資も可能だ。これを利用して、定期的な収入を得ることもできる
新NISA以外の資産と組み合わせる
新NISAの枠組みから離れた金融商品等との組み合わせは、賢いリスク分散と効率的な資産形成の観点から、検討する価値がある。
以下に、4つの組み合わせ例を示す。
新NISAと預貯金を組み合わせる
新NISAでリターンを追求しつつ、預貯金を利用して緊急時の資金や短期的な資金需要に対応する。
預貯金の安全性は、ポートフォリオに安定性をもたらす。
iDeCoと組み合わせる
新NISAとiDeCo(個人型確定拠出年金)の併用も、税制優遇を享受しながら退職資金を構築する良い方法だ。
iDeCoの節税効果は、長期資産形成において大きな力を発揮する。
国内不動産や保険商品と組み合わせる
国内不動産や保険商品によるリスク分散も、一考の価値がある。
安定した賃貸収入確保や、保険による家計リスクのカバーは、多角的な資産防衛に貢献する。
海外投資や新たな投資対象を組み合わせる
新NISA対象外の海外資産や新たな投資対象の組み入れも、有効な方法だ。
海外株式、ETF、不動産、債券、さらにはFXや仮想通貨などは、投資機会をさらに広げる。
この場合は、新NISAでは、リスクの低い商品を選択すると良い。
新NISAの成長投資枠はやめるべきかで迷ったら誰に相談すれば良い?
成長投資枠の効果的な活用は、資産形成を加速させる鍵である。
しかし、適切に活用できなければ、不必要に高いリスクだけを背負ってしまうおそれもある。
新NISA投資を成功させるためには、ぜひ一度、専門家に助言を求めることも検討して欲しい。
成長投資枠をうまく活用するために
新NISAの成長投資枠には、とにかく多くの選択肢がある。
どの商品や銘柄を選ぶべきか、いつ購入すべきか、どれだけ購入額すべきか、などなど。
他の投資がある場合は、全体的な投資リスクも考慮しなければならないし、そもそもの投資計画との整合性も考慮すべきである。
このすべてを一人で行うのは、投資経験者であっても難しい。難しい部分や細かな作業は、「外注」してしまうのは賢明だ。
投資の専門家は、市場や投資商品についての多くの知識を有している。
不安や疑問にも、深い知識と経験で応えてくれる。
「成長投資枠はやめるべき?」迷ったときはIFAに相談を
こうした専門家の中で、新NISA投資のパートナーとしておすすめしたいのは、独立系ファイナンシャルアドバイザー「IFA」である。
IFAは特定の所属機関を持たず、中立的な立場で顧客に投資アドバイスをする専門家だ。
特定の金融商品を販売するノルマなどを持たないため、顧客の利益を最優先に考えてくれる。
成長投資枠を活用すべきか、やめるべきかを迷ったときも、あなたの投資目標やリスク許容度に基づいた適切なアドバイスができるのだ。
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新NISAの成長投資枠は「やめるべき」と言われる原因を正しく理解しよう
この記事では、成長投資枠は「やめるべき」と言われる背景を探り、「やめるべき」投資方法についても分析した。
成長投資枠は、高いリターンを目指す点に魅力がある。しかし、それに付随するリスクも無視できないのだ。
とくに、リスク許容度が低い投資家は、成長投資枠における運用リスクを最小限に抑えるため、集中投資や一括投資を避ける必要がある。
新NISA制度を活用した資産形成に際し、不安や懸念がある場合は、IFAへの相談をおすすめする。
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その一歩が、あなたが目指す資産形成につながるものとなれば幸いである。