相続税は日本で最も高い税率であり、なおかつ平均納税額も高額である。資産形成に成功した人は、次の世代に引き継ぐためにも相続税がどれくらい課せられるか理解しておくべきだ。相続税の金額がわからないまま相続すると、結果として資産を売却して納税に充当される可能性もあるだろう。そのため資産を多く所有している方は納税額を確認しておく必要がある。
そこで今回、資産形成に成功した人の相続税の目安金額を紹介し、納税額を減らす3つの方法を紹介する。
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相続税はどれくらい納税する?
資産形成に成功した人はどれくらい相続税を納税するのだろうか。ここでは相続税の「平均納税者数」と「平均納税額」、「相続税早見表」を紹介する。
相続税の平均納税者数
相続税の平均納税者は以下の表のとおりである。
年度 | 死亡者数 | 課税件数 | 1件あたりの平均納税者数 | 納税者数 |
---|---|---|---|---|
平成26年 | 1,273,025人 | 56,239人 | 2.93人 | 164,780人 |
平成27年 | 1,290,510人 | 103,043 | 2.86 | 294,702人 |
令和元年 | 1,381,093人 | 115,267 | 2.74人 | 315,831人 |
年間138万人亡くなっている方の中の約8.3%の方が、相続税の課税対象となるほどの資産を所有していたということがわかる。さらに相続税を納税する方は日本の人口(1億2,500万人)のうち0.25%の方が該当している。一見少なく感じる方も多いかもしれないが、令和になってからと平成26年度の課税件数では約2倍近く増加していることがわかるだろう。増加した背景には、平成27年以降から、相続税の基礎控除額が以下の表のとおり見直しされたからである。
平成26年12月31日まで | 平成27年1月1日以降 |
---|---|
5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数) | 3,000万円+(600万円×法定相続人の数) |
そのため平成26年から現在にかけて納税者数も大きく増えている。さらに地価上昇などによって、相続税の課税対象となる不動産の価値が上昇したのも一つの要因と言えるだろう。
相続税の平均納税額
相続税の平均納税額は以下の表のとおりである。
年度 | 一人当たりの平均課税対象額(資産の合計額) | 一人当たりの平均納税額 |
---|---|---|
令和元年 | 13,709.1万円 | 19,759万円 |
亡くなった方の資産の平均は約1億3,700万円ほどであり、相続した方の納税額は約2,000万円にも及ぶことがわかり、非常に大きな税金となるだろう。また、法定相続人の数や遺産総額によって納税額が異なるため、次の項では相続税早見表を紹介する。
相続税早見表
資産を形成された方はどれくらいの相続税になるのかを以下の表を見て参考にしてほしい。
- 法定相続人が「配偶者」と「子供」の場合
- 法定相続人が「子供」のみ場合
相続税の課税対象とならないケース
相続税は基礎控除額以内の財産であれば相続税は課せられない。先ほども紹介した通り、基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出できる。つまり控除額以内の遺産総額であれば納税しなくて済む。
さらに不動産投資などを行うための借入残高も遺産総額から差し引くことができるため、双方を合わせた金額が遺産総額を上回っていた場合、相続税は発生しない。ただし借入主がなくなった際、借入金を0にしてくれる団体信用生命保険に加入していた場合は、除く。
資産家の人が相続税を減らす方法
では相続税を減らすためにはどのような方法が挙げられるのだろうか。ここでは数ある節税対策の中で、資産家の方が大きく節税できる方法を3つ紹介する。
資産の組み換え
現金を不動産などの資産に組み替えることで相続税の節税につながる。現金は金額そのまま評価されるが、不動産は50%から60%の評価額にすることが可能となる。
例えば3億円の現金を所有していると、3億円に対して相続税が課せられるが、3億円分の不動産を現金で購入すると、資産価値は1億5,000万円から1億8,000万円ほどとなる。結果、相続税の課税対象額を減らせることとなり、納税額を抑えることができる。
更地の有効活用
更地を所有している方は賃貸アパートを建築することで、土地の評価額を下げることができ、相続税の節税につなげることが可能だ。土地の評価額は敷地面積に相続税路線価を掛けた値となる。
しかし賃貸アパートを建築することで、小規模宅地等の特例を使用することができ、評価額を50%圧縮できる。もちろん建物を建築するため、建物分の財産は増えることになるが、金融機関からのローンを利用すれば、借入金額も差し引けるため、大きな節税につなげることが可能となるだろう。
ここで一例を紹介する。3,000万円の評価額の土地に、金融機関から5,000万円を借入して賃貸アパートを建築した場合、以下の表のとおりの遺産総額となる。なお建物の代金は3,500万円と仮定する。(残りの1,500万円は外構工事や付帯工事、諸費用)
更地のまま | 更地に賃貸アパートを建築 |
---|---|
土地の評価額3,000万円 | 土地の評価額 3,000万円×50%=1,500万円 建物の評価額 3,500万円×60%=1,800万円 合計 1,500万円+1,800万円-5,000万円=0円 |
更地のままにしておくと相続税の節税にはつなげることはできないが、賃貸アパートを金融機関からのローンを利用して建築した場合は、土地の評価額を0にすることも可能だ。
もちろん土地や建物によって評価額は異なるため、一概には言えないものの、土地の有効活用は不動産収入だけでなく、相続税の節税効果が見込めることがわかるだろう。
養子縁組による法定相続人の増加
養子縁組をすることで法定相続人となり、基礎控除額を増やすことになるため、相続税の節税につなげることが可能だ。一人増やすことで600万円分を課税対象額から差し引くことができる。
ただし養子縁組が法定相続人の数に含むことができる人数は、被相続人に実子がいるかで以下の表のとおりに定められている。
実子がいる場合 | 1人まで |
実子がいない場合 | 2人まで |
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相続時の注意点3選
資産家の方は相続税の金額だけでなく、遺産の分割方法にも注意が必要だ。ここでは相続時の注意点を3つ紹介する。
相続人同士で争いが発生する可能性もある
相続においてトラブルが最も多いのは、遺産争いである。裁判所が公表している令和元年の遺産分割事件数は12,785件と、課税件数の約10%にも及ぶ。さらに下記の表の見てわかる通り、5,000万円以下の遺産総額が件数の約75%も占めている。
遺産総額 | 件数 | 割合 | |
---|---|---|---|
1位 | 5,000万円以下 | 3,097 | 42.87% |
2位 | 1,000万円以下 | 2,448 | 33.88% |
3位 | 1億円以下 | 780 | 10.80% |
4位 | 5億円以下 | 490 | 6.78% |
5位 | 5億円超 | 42 | 0.58% |
算定不能・不詳 | 367 | 5.08% | |
総数 | 7,224 |
資産が多いほど裁判まで発展する可能性は低いものの、遺産トラブルは10件に1件発生している。そのため資産家の方は相続人同士でトラブルにならないよう、次で紹介する遺言書を用いておくことが良いだろう。
遺言書で遺産相続人を決めておく
遺言書とは被相続人が財産の継承相手を生前中に書き残した書類である。「誰にどの遺産を相続させる」「亡くなった後は遺産を処分してほしい」など、被相続人の意思を相続人に伝えることが可能だ。
一般的に遺言書が残されていた場合、原則、遺言内容通りに遺産相続を行う。ただし、「特定の方だけに全ての遺産を相続させる」という内容にすると、他の相続人に不利益となってしまい、トラブルにもなりかねないため、公平な財産継承を心がけるようにしてほしい。
納税資金は残しておくべきである
現金を不動産などに組み替えることで、相続税の節税につなげることが可能だが、ある程度の現金は納税資金として残しておいた方が良いだろう。
万が一相続税を納税しなければいけないとなった際、現金がなければ相続した財産を売却して納税することにもつながりかねない。また自身が忘れていた財産が見つかった際は、生前中に計算した納税額より増えてしまうことにもなるからだ。
まとめ
今回は資産形成に成功した人の相続税の目安金額と納税額を減らす3つの方法を紹介した。相続税は毎年亡くなった人の8.3%が課税件数となっている。さらに納税額も平均2,000万円と高額だ。資産形成に成功し、財産を多く所有しているほど相続税額は大きくなるため、生前中に対策をとる必要があるだろう。対策は3つ紹介したが、他にも数多くの節税方法がある。
そのため、いち早く税理士などの専門家に相談し、次の世代の人たちが困らないようにするのも一つの役目ともいえるだろう。
また、相続した資産の運用にお困りの場合などは資産運用の専門家に相談をしてみると良いだろう。プロの視点から資産運用の疑問を解決し、納得した上で資産運用を行おう。
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