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厚生年金基金はいくらもらえる?仕組みや支給額、注意点を解説

勤め先企業で、「厚生年金基金」に加入している場合、厚生年金に上乗せで年金を受給できる。しかし、厚生年金基金への加入履歴を知らなかったり、手続きを忘れたりすることによる請求漏れが多い。

この記事では、

  • 日本の年金制度
  • 厚生年金基金の仕組みと支給額・確認方法

をわかりやすく解説する。

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目次

年金制度をおさらい

まずは、ベースとなる年金制度をおさらいしよう。

我が国の年金制度は、以下の3階建てで構成されている。

  • 1階:国民年金
  • 2階:厚生年金
  • 3階:企業年金
参考:企業年金連合会「企業年金制度」(2023年1月参照)

1階部分の国民年金は20歳以上60歳未満の全国民に加入義務がある。2階部分の厚生年金は会社員や公務員が加入する年金だ。ともに国が運営する公的年金である。

3階部分の企業年金は企業や個人が拠出・運用するプラスαの年金である。企業年金には主に以下の種類があり、本記事の主題である、厚生年金基金も含まれる。

  • 確定給付企業年金(DB)
  • 確定拠出企業年金(DC・401k)
  • 厚生年金基金
  • 確定拠出個人年金(iDeco)

厚生年金基金とはどのような制度か

次に、本題の厚生年金基金について見ていこう。

厚生年金と名前が似ているため、混同している人も多いのではないだろうか。

統計によると、2022年3月現在で、請求漏れなどにより厚生年金基金の年金を受け取っていない人は111.7万人にのぼるという。本来はもらえるはずの年金を受け取らないのは、なんとももったいない話だ。

厚生年金基金は企業年金のひとつ

上で述べたとおり、厚生年金基金は企業年金の形態のひとつである。厚生労働大臣の許可を得て設立する特別法人「厚生年金基金」が運営する。

厚生年金の一部を国に代わって徴収・支給したり、独自の年金を上乗せして運用・支給したりするのが役割だ。

厚生年金基金の設立形態には、以下の3種類がある。

形態設立条件
単独型1つの企業が単独で設立従業員が千人以上
連合型企業グループが設立グループの従業員が千人以上
総合型同業種など複数企業で設立合計の従業員が5千人以上
参考:企業年金連合会「よくあるご質問-(参考1)設立要件と設立形態」(2023年1月参照)

企業が厚生年金基金を設立している場合、在籍する従業員は全員加入することになる。

厚生年金基金の仕組み

厚生年金基金は、国が徴収・支給する厚生年金の一部を代行する「代行部分」と、企業が独自に上乗せする「独自部分」に分けられる。

簡単なイメージで表すと以下のとおり。網掛け部分が厚生年金基金の範囲だ。

参考:日本年金機構「厚生年金基金加入期間がある方の年金」(2023年1月参照)

代行部分は、物価スライド分と賃金再評価分を除く範囲が対象である。物価スライド、賃金再評価は、受給額を物価や賃金の変動に応じて改訂する調整弁のようなものだ。

一方、独自部分は従業員の老後の生活安定を図ることを目的に、企業が上乗せするプラスαの年金である。各基金が規約に基づいて自由に設計できるが、代行部分の一定割合(設立時期によって異なる)を確保することが求められる。

大半の厚生年金基金は解散

現在では、厚生年金基金は歴史的な役割を終え、その大半が解散となっている。

ピーク時の1990年代には1,800以上の基金があり、厚生年金被保険者の3分の1が加入していた。しかし、バブル崩壊後の運用環境悪化により企業の本業を圧迫。2002年度からは代行部分の国への返上が認められるようになった。

さらに2014年の「改正厚生年金保険法」施行で、新規に厚生年金基金の設立ができなくなった。2019年までに他の企業年金制度への移行が促進され、2019年以降は、健全に運営されている厚生年金基金のみ存続できる。

結果、2020年時点で存続しているのは5基金のみとなっている。

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厚生年金基金はいくらもらえる?

ここまで解説したように、すでに大半が解散している厚生年金基金だが、加入期間中に納めた年金は受け取ることができる。

最後に、厚生年金基金の支給額や確認先、注意点を紹介する。

厚生年金基金の支給額

厚生年金基金は、公的年金の支給開始年齢もしくは60歳から年金形式で受け取れる。退職などによる脱退や、基金が解散した場合は、一時金で受け取ることも可能だ。

厚生年金基金の代行部分の支給額は、国による厚生年金の徴収・支給を代行しているという性格上、支給水準は国と同じである。

一方、プラスαにあたる独自部分の支給額は、各基金による。統計によると、厚生年金基金の平均年金額(2020年度)は58.2万円/年となっている。

厚生年金基金の確認先

上で述べたとおり、厚生年金基金の大半はすでに解散している。受け取れる年金額を知りたい場合には、どこに確認すれば良いだろうか?

所属企業の厚生年金基金が存続している場合には、送られてくるレポートや、窓口に問い合わせて確認できる。

一方、以下のようなケースでは、厚生年金基金の連合体である企業年金連合会に移管されているため、同会に問い合わせて確認が可能だ。

  • 加入していた基金が解散している
  • 退職や転職で基金を脱退している
  • 過去に基金に加入していたかわからない

転職している人は特に注意

特に注意したいのが、複数企業を転職し、いくつかの厚生年金基金に加入していた可能性がある場合だ。いつ、どの企業で厚生年金基金に加入していたのかを覚えていない人も多いだろう。

多くの厚生年金基金はすでに解散しているのに加え、勤めていた企業自体が既に存在しない場合もあり、確認するのが難しいケースも多い。

転職経験があり、過去の厚生年金基金への加入有無がわからない人は、上で紹介した企業年金連合会の問い合わせ窓口へ問い合わせてみるのがおすすめだ。

まとめ

厚生年金基金は企業年金の一形態である。大半はすでに解散してほかの企業年金に移行され、2020年時点で残っているのは5基金のみとなっている。

そのような背景もあり、かつて加入していた110万人以上の人が請求漏れなどで、もらえるはずの年金を受け取らずにいる。

企業に勤めたことのある人で、厚生年金基金への加入履歴が不明確な人は、本記事で紹介した企業年金連合会へ一度確認してみると良いだろう。

一方で、お金の悩みは多く、手続きも不安なケースは多いと思う。

そんな時は、アドバイザーに相談をしてはいかがだろうか。プロの視点からお金の疑問を解決し、納得した上で行おう。

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※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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