- 9,000万円で運用を始めたい
- 9,000万円の資産を運用するおすすめの手法をリスク別に知りたい
- 運用のポイントを理解したい
9,000万円の資産運用をする際、どのようなポートフォリオを組んでいいか迷ってしまう人は多いのではないだろうか。
さらに9,000万円あれば、リタイアも視野に入ってくる水準なので、上手く資金を伸ばしつつリタイアを実現していくこともできる。
そのため運用時には、リスク別に運用商品を確認しつつ、リスク管理のできたポートフォリオを作成すべきだ。
そこで今回は9,000万円のリスク別の運用方法と、資産運用のポートフォリオ例についてわかりやすく紹介していく。
資産運用の適切な金額はいくらなのか、より詳しく知りたい人は下記の記事を参考にするといいだろう。
資産運用の適切な金額について、分かりやすく解説されている。
【低〜中リスク】9,000万円の運用法
まずローリスクローリターン、ミドルリスクミドルリターンの商品を紹介していく。
60歳近くで早期リタイアする場合、9,000万円を運用せずとも資産を切り崩していくだけで生活できる。
そのため、9,000万円の運用時にはリスクを取らなくても良い水準なのだ。
投資初心者はローリスクローリターンやミドルリスクミドルリターンのものからポートフォリオ作成していくと良いだろう。
低リスク〜中リスクの金融商品は、主に以下が挙げられる。
低リスク〜中リスクの金融商品
- 貯金(定期預金)
- 国債
- 外貨預金貯金(定期預金)
貯金(定期預金)
銀行へ資産を貯金しておけば資産を減らすことなく、毎年金利を受け取れる。
もしも銀行が倒産したとしても1,000万円までなら補填されるため、ローリスクローリターンの 運用方法だ。
さらに定期預金になれば、通常の普通預金の金利よりも高くなる。
長期間使う予定がない資金を置いておくのにはぴったりだ。
引き出すタイミングが限定されるものの、減らさないことにフォーカスした守りの投資をする場合は有効な運用方法の1つといえる。
運用するにあたって特段のコストがかかるわけではないが、中途解約は予定利率を下振れさせる要因になるため注意が必要だ。
また、預け入れた銀行の倒産リスクを加味すると、1,000万円以上を預け入れる場合は、複数の銀行を利用したほうがリスクヘッジになるだろう。
国債
国が発行する返済義務のある債券のことだ。元本保証ではないため国が破綻してしまうと投資金額は返ってこない。
しかしその国が継続する限り、3年・5年・10年・20年など一定期間を経ると、投資金額がそのまま返ってくる。
その間の利回りは毎年受け取れる金融商品で、ローリスクな商品となっている。
国債を購入する際は、発行母体(国)の信用・安全性には十分注意が必要なうえ、外国債の場合は為替リスクも忘れてはならない。
日本の国債であれば購入しやすいうえ、定期預金よりも利回りがよくなることも多い。
一度購入してしまえばあとは保有し続けるだけなので、特段の運用コストもかからない。
9,000万円のうち、手をつけない範囲で定期預金と国債に分散投資する形でもよいだろう。
外貨預金
その名の通りドルやユーロなど外貨建ての預金のことだ。
金利差によって、日本の金利よりも良いパフォーマンスで運用することができる。
例えばドル安(円高)からドル高(円安)になれば、受け取る金額は当初よりも増加する。
反対に円安から円高になってしまえば、預け入れた金額よりも資産が目減り(元本割れ)してしまうので注意が必要だ。
外貨預金の場合、為替手数料が発生する。
取引の回数が増えるほど運用コストがかかってしまうため、取引回数を抑えるように工夫したほうがよいだろう。
円の価値が下がっている昨今においては、外貨を保有するだけでもリスクヘッジになるはずだ。
投資信託
投資信託はプロに手数料を払って運用してもらい、そのリターンを得る運用方法だ。
銘柄などもかなり幅広く取り揃っているので、1つの銘柄で株式や債券など組み合わせて様々な対象に投資できるバラエティーパックのような銘柄も多数存在する。
投資信託は、インデックスファンドとアクティブファンドの2つがあり、前者は株価指数などに連動するように銘柄を機械的に調整するため、手数料を安価に抑えられる。
アクティブファンドの場合、プロによる目利きのもと銘柄を選定し、独自の構成銘柄でファンドを運用するため、インデックスファンドよりも手数料がかかる。
投資信託の種類によって手数料が大きく異なるため、購入時は必ず比較検討しよう。
配当が出た場合も、配当を受け取らずに投資元本に再投資すれば特に税金はかからない。
投資による収益には約20%の税金がかかるため、必要性がなければ利益確定させないほうがよいだろう。
予想インフレ率に負けない程度の利回りを出すためにも、投資元本の一定割合は投資信託にしておくことをおすすめしたい。
【中〜高リスク】9,000万円の運用法
もしリタイア時期を前倒ししたい場合、リスクを取ってミドルリスクミドルリターンからハイリスクハイリターンの金融商品をポートフォリオに組み込むことになる。
当然パフォーマンスが高くなればなるほど、リスクも高くなっていくので注意が必要だ。
運用の際には低リスク商品と組み合わせることを心がけておいていただきたい。
中リスク〜高リスクの主な運用商品は、以下の通りだ。
中リスク〜高リスクの運用商品
- ヘッジファンド
- 劣後債
- 国内株式
- 海外株式
- REIT
- 不動産
ヘッジファンド
ヘッジファンドとは投資信託の一種で、限られた人だけが購入できる運用商品だ。
下落局面でも利益を出せるように運用を行っている。
手数料が必要でハイリスクの銘柄もあるが、損失を抑えるよう運用商品を組み合わせているのでどんな相場でもプラスの収益を得たいという方に合う運用先といえる。
「ヘッジ=避ける」という意味からも分かるように、あらゆる市場変動に対してもリターンを狙うように運用されるものの、何に投資しているかや、その投資割合は開示されないのが通常である。
また、投資信託に比べて流動性が低いため、売りたい時にすぐに現金化できないことが多いのもネックといえるだろう。
もちろん、ヘッジファンドが破綻する可能性もゼロではないため、以下で紹介する商品と組み合わせて分散保有するのがおすすめだ。
劣後債
通常よりも利回りが大きめな債券だ。
返済義務が発生した場合、返済が他の債券よりも後回しにされるためリターンが大きく設定されている。
劣後債を保有すると、最悪の場合は元本が返還されないため、満期までの期間ができる限り短いものを選んだほうがリスク回避につながるだろう。
一方、通常の債券に比べてリターンは狙えるため、投資元本が9,000万円あるなら、一定割合を劣後債にして期待利回りの底上げを狙うのも一つの方法だ。
かと言って、劣後債が資産の過半数を占めるようなポートフォリオは極端なので、10〜20%程度に留めたほうがよいだろう。
国内株式
日本の有名企業の個別株や日本の主要銘柄を平均化した日経平均株価などの株価指数へ投資できる。
自分の好きなタイミングで購入・売却が可能なので、投資に慣れている経験者などは上手く組み合わせて値上がり益を狙った高パフォーマンスの運用も視野に入れられる。
個別株への投資には相応の知識が欠かせず、特定の企業に投資元本を集中させるのは避けたほうがよい。
個別株投資をする際は必ず複数の企業に投資して、市場の変動や特定の業界不振に対する備えをしておこう。
国内株式に投資するなら、セットで海外株式にも投資すれば、カントリーリスクを下げることにもつながる。
国内・海外株式を同じ割合で保有しておくと、ポートフォリオも管理しやすいだろう。
海外株式
米国株などの海外株式は、国内株式よりも配当金が高いものが多い。
優待などはないものの長期間保有して、高配当銘柄へ投資しつつ元本を増やしていく運用が可能だ。
海外(米国)株式の場合、ストップ高・ストップ安といった値幅制限がなく、日本株以上に価格変動が大きい。
また、為替リスクもあるため、市場の変動には特に注意が必要だ。
リスクを取れる人は国内株式の配分よりも多めに保有してもよいが、安定運用をしたいなら、株式の保有割合自体を20%程度に留めたほうがよいだろう。
考え方としては日本株式と同様、特定の銘柄だけに集中させず、業界をまたいで複数の企業に投資することをおすすめしたい。
REIT
REITは不動産投資信託の略で、投資信託の一種だ。
プロに運用を任せ、不動産を運用して得た利益を還元してもらう仕組みとなっている。
通常の投資信託よりも利回りが高く設定されており、不動産自体を購入するわけではないので初期費用も安く始めやすい。
REITの場合、市場の変動だけでなく、自然災害による影響がある点には注意が必要だ。
対象エリアでどの程度災害が発生するのか、投資対象の不動産の種類もチェックしたほうがよいだろう。
住宅の場合は比較的景気に左右されにくいが、その分リターンも低い。
オフィスビルであればリターンを期待しやすいものの、市場や景気変動の影響を受けやすいため、一長一短あるのは間違いない。
REITのなかでも期待リターンが異なるため、リスク許容度に合わせて商品を選定しよう。
不動産
土地や建物などを購入し、運用する投資法だ。
紹介してきた中でも初期費用がかなりかかるものの、その反面家賃収入などで安定収入を得ることができる。
9,000万円ある場合はローンなしで購入できる不動産も多くなるので、元手がある方にはおすすめの運用方法となる。
投資元本が9,000万円の場合、不動産を購入すると資産割合の過半数近くを占める可能性が比較的高い。
市場変動の影響を直接的に受ける一方、対策を取りづらいため、慎重な判断が欠かせないだろう。
また、不動産は流動性や換金性が高くないため、すぐに手放すこともできない。
不動産に投資するのであれば、できるかぎり初期コストを抑える工夫は必須である。
不動産に投資したいのであれば、先述したREITへの投資のほうが確実だろう。
9,000万円のおすすめの運用例3選
では、ここまで紹介してきた運用方法などを踏まえておすすめの運用例を3つ紹介していく。
このまま投資するのではなく、比率は自身に合わせて調整していただきたい。
株式でリターン狙い
国内株式と海外株式でリターンを狙いつつ、貯金や債券で資産を守るような資産配分だ。
- 貯金
- 25%
- 債券
- 25%
- 劣後債
- 20%
- 国内株式
- 15%
- 海外株式
- 15%
国内外へ資金を分散させて、国の経済状況に左右されるというカントリーリスクを減らすことが可能だ。
さらに貯金や債券ではかなりリターンが低くなってしまうので劣後債などを組み合わせてリターンも狙っていく。
もしリターンをより追求したい場合は株式に個別株を、パフォーマンスを安定させたい場合は日経225などの株価指数を選ぶのも手だ。
ヘッジファンド中心
上昇局面、下落局面どちらでも利益を出せることを優先してリターンをしっかりと狙うような資産配分となっている。
- 貯金
- 20%
- 社債
- 15%
- ヘッジファンド
- 45%
- 投資信託
- 20%
貯金で守りを強化しつつ、それ以外は比較的ミドルリスクミドルリターンの運用先へ投資している。
国債ではなく社債にすることで企業の倒産リスクは高まるものの、よりリターンを狙うことが可能だ。
またヘッジファンドをメインとして運用し、利回りは年5%から7%を狙っていく。
この資産配分ではヘッジファンド選びが成功のカギとなるので、IFAなどの専門家に相談しつつ決めていくのがおすすめだ。
他にも投資信託へ20%配分しているので、投資信託の選び方でリスクを調整しても良いだろう。
株価指数に連動するインデックス型投資信託を選ぶことで、投資信託の中でも比較的リスクを抑えて運用を行うことができる。
不動産中心
以下は不動産系の投資を中心に作成した資産配分だ。
- 貯金
- 10%
- 米国債
- 10%
- 不動産
- 35%
- 投資信託(インデックス型)
- 25%
- REIT
- 20%
不動産や株式を組み合わせることで、商品ごとの特有リスクを分散して運用することができる。
貯金は10%程度確保し、国債の中でも利回りの高い米国債を選ぶことで国が財政破綻するリスクを減らした。
不動産を中心に投資して、将来の家賃収入などの不労所得を狙って運用していく。
さらに投資信託の中でもインデックス型投資信託の低リスクの銘柄、リスク高めなREIT(不動産投資信託)へ配分し、資産を守りつつ資金増加を後押しするような資産配分となっている。
ただし、不動産投資には空室リスクや賃料の変動リスクがあり、安定的な収益を見込めるわけではない点には注意が必要だ。
空室を作るよりも相対的に安価な賃料で入居してもらったほうが収益につながる一方、リターンは期待しづらくなる。
エリアによって土地の即金性は大きく異なり、賃料が下がらないようにするためにも、需要のあるエリアの土地を所有できるかが最も重要である。
自分に合う資産配分を見つけよう
今回紹介してきた運用例はあくまでも一例であり、ご自分の資産状況や運用に応じて調整していくのが望ましい。
そもそも、投資の目的は人によって異なるため、資産配分にも万人に共通する正解はない。
自分の状況やリスク許容度に合わせて、期待リターンを実現できる資産配分を組み立てることが、長期的な資産形成において特に求められる。
低リスクな商品のみで構成しても、資産は増やせない。
一方、高リスクな商品に偏ると、元本割れや大きな損失を出す可能性も高まる。
そのため、資産配分を決める際は、リスクの高低を意識して、バランスをとることが重要だ。
リスクを下げたいなら、株式よりも債券を多めにしたり、海外よりも国内への投資割合を多くしたりするのがベターである。
資産配分の考え方としては、以下の順に考えてみてもよいだろう。
- 預金と預金以外を何割ずつ保有するか決める(例:預金20%、預金以外80%)
- 預金以外でどの資産クラスを何割保有するか決める(例:株式30%、債券30%、不動産20%)
- 各資産クラスの投資先を具体的に考える(例:国内株式20%、海外株式10%など)
合計の期待利回りを定めて、リスク許容度から上記のように逆算して資産配分を決めると、自分に合う資産配分に作れるはずだ。
9,000万円の資産運用は誰に相談するべきか?
9,000万円というまとまった金額を資産運用する際、自分だけで、どの資産にどの程度投資するか考えるのは簡単ではないだろう。
先述したように、前提として資産運用の目的や個人の状況は千差万別で、正解は人によって異なる。
ここでは、資産運用において専門家の力を活用したほうがよい理由について詳しく解説しよう。
おすすめの相談先についても紹介しているので、ぜひ参考にしてほしい。
なぜ資産運用を専門家に相談するべきなのか
先述したように、資産運用の目的やゴールは人によって異なる。
そのため、目的達成に向けたアプローチもさまざまだ。
9,000万円という資産を保有していたとしても、人によってパートナーや子どもの有無、持ち家または賃貸など、自身の年齢も含めて全く異なる。
加えて、資産運用を進めるなかで、ライフステージによって投資への向き合い方を変える必要性があり、リスク許容度も状況によって変化するものだ。
こうした変化に適切に対応するためにも、資産運用は専門家に相談すべきである。
客観的な立場からあなたの状況を把握し、資産運用の目的に合わせた金融商品の提案をしてくれるのは、資産形成をするうえで強力なサポートになるだろう。
専門家のなかでもIFAがおすすめな理由
金融商品の提案としてイメージするのが金融期間の職員ではないだろうか。
金融機関の職員の場合、自社商品しか扱えず、会社のノルマが厳しいことも多い。
そのため、自分のニーズに本当にマッチした商品を提案してくれるとは限らず、手数料目的で無理な勧誘をされるケースも少なくない。
この点、独立系ファイナンシャルアドバイザーのIFAに相談すれば、特定の会社に所属しないという公平中立な立場から、資産運用に関する適切なアドバイス・サポートを受けられる。
加えて、IFAにはノルマもなく、特定の金融商品を売り込みたいという動機もない。
さらに、IFAは地域に根付いて活動していることが多く、生涯にわたって資産運用に関する相談が可能だ。
金融機関の職員の場合は異動によって担当が変わる可能性も高いため、担当者の変更によって相談しづらくなることもあるだろう。
資産運用について相談するなら、より客観的な立場からアドバイスを受けられるIFAがおすすめである。
自分にぴったりなIFAの探し方
IFAがおすすめと言っても、どのように探せばよいか分からない人は、IFAのオンライン検索サービスである「資産運用ナビ」を利用するとよいだろう。
「資産運用ナビ」なら、居住地や資産額、どのような資産クラスへの投資を検討しているかなどの条件でIFAを絞り込み検索できる。
希望にマッチするIFAを簡単に見つけられるうえ、初回相談は無料だ。
まずはIFAに会ってみて、相性が合うかどうか話を聞いてみることから始めるとよいだろう。
全国のIFAを簡単に見つけられるため、資産運用に関して相談できる人を探したい場合は、「資産運用ナビ」を利用してみてほしい。
9,000万円の資産運用をする際は目的を明確に
9,000万円を資産運用するなら、各金融商品のリスクリターンについて正しく理解したうえで、取れるリスクの大きさに応じて資産を適切に配分する必要がある。
年齢によるが、投資元本が9,000万円あれば、比較的手堅い運用をしても、資産を守りつつ増やすことも可能だ。
本記事で紹介したポートフォリオはあくまで一例だが、これらを参考にして、自分の投資目的に合う資産割合を検討しよう。
ただし、人によっては、どのように資産運用を進めればよいか不安が残る人も多い。
資産運用の進め方は千差万別なので、専門家に相談しながら資産形成を進めたほうがよいだろう。
資産運用の相談をするなら、公平中立な立場からアドバイスをもらえるIFAがおすすめである。
「資産運用ナビ」なら、居住地や目的などの条件からIFAを絞り込み検索でき、希望に合うIFAを簡単に見つけられる。
初回相談は無料なので、まずは「資産運用ナビ」を使って、気軽に相談することから始めてみてもよいだろう。