1億円で資産運用するなら?おすすめの投資方法を解説

この記事で解決できるお悩み
  • 1億円で資産運用する時のポイントを理解したい
  • おすすめのポートフォリオが知りたい
  • 資産運用における税金の仕組みと対策法が知りたい

野村総合研究所(NRI)の推計では、2023年時点の日本における純金融資産保有額1億円以上5億円未満の「富裕層」は153.5万世帯、5億円以上の「超富裕層」は11.8万世帯とされている。

両者を合わせると165.3万世帯で、純金融資産1億円以上の世帯は決して一部の特殊な存在だけではない。

また、Henley & Partnersの「World’s Wealthiest Cities Report 2025」では、100万米ドル以上の流動性投資可能資産を持つミリオネア数について、東京は29万2,300人で世界3位とされている。

一方で、1億円の資産運用では「増やすこと」だけでなく「大きく減らさないこと」が重要になる。10%下落するだけでも、評価損は1,000万円に達するためだ。

本記事では、1億円で資産運用する際に押さえたいリスク管理、ポートフォリオ例、税金対策を解説する。大切な資産を守りながら、無理のない形で増やすための判断材料として役立ててほしい。

おすすめの運用法が知りたい方はこちら

資産運用をいくらから始めるべきかで迷ったらこちら

目次

1億円の資産運用は10%下落で1,000万円|まずリスク管理を決める

1億円で資産運用する際に押さえたいリスク管理のポイント

1億円で投資を始める場合、最初に考えるべきなのは「どの商品を買うか」ではなく、「どの程度の損失まで許容できるか」「いつまでに資金を使う予定があるか」だ。

たとえば、同じ1億円でも、老後資金として長期で運用する資金と、数年以内に相続税・住宅購入・事業資金として使う資金では、取るべきリスクが変わる。

まとまった資産の運用では、以下の2つを先に考えておきたい。

「何に投資をするか?」

「どのタイミングで売買するか?」

これらも重要だが、その前提としてリスク管理を押さえることが欠かせない。

  • リスクとリターンのバランスを決める
  • 分散投資で一部のリスクを抑える
  • 金利・為替・株価指数など市場動向を確認する

以上3つのポイントを順番に確認しよう。

リスクとリターンのバランス|目標利回りより許容損失を先に決める

  • 期待リターン
    • 投資をして得られると見込まれる成果
  • リスク
    • 期待できるリターンからの振れ幅や不確実性

投資の世界では、リターンはリスクの対価という関係にある。高いリターンを見込む投資先ほど、価格変動・信用リスク・流動性リスクなども大きくなりやすい。

たとえば、新興国の債券は先進国の債券より利回りが高く見えることがある。しかし、政治・経済情勢、通貨安、発行体の信用力低下などの影響を受けやすく、損失が出る可能性も高くなる。

株式は債券に比べて値動きが大きい傾向がある一方、企業の成長によって大きなリターンを得られる可能性もある。

債券は満期まで保有すれば、発行体が債務不履行に陥らない限り、額面金額や約束された利息を受け取れる可能性がある。ただし、途中売却時には価格変動リスクがあり、金利上昇局面では債券価格が下落しやすい点にも注意が必要だ。

高いリターンを求めるほど、ハイリスク・ハイリターンの投資先を選ぶことになる。リスクを抑えるなら、リターンも一定程度抑えた運用になりやすい。

証券アナリスト 平行秀

大きな資産ほど「守りながら増やす」意識が重要です。
期待リターンにとらわれず、資産の目的や使う時期、自分のリスク許容度を見極めて運用を考えることが、長期的な安定運用の第一歩です。

1億円の資産運用では、目標利回りよりも先に「どれくらいの下落なら耐えられるか」を決めておくことが大切だ。

たとえば20%の下落に耐えられないなら、株式や高リスク資産に偏ったポートフォリオは避けた方がよい。反対に、長期運用が前提で一時的な下落に耐えられるなら、成長資産を一定割合組み入れる余地がある。

リスクとリターンのバランスをうまくとりながら、資産を守り増やしていくのが資産運用の難しいところであり、重要な判断ポイントでもある。

分散投資で抑えやすいリスク・抑えられないリスク

リスク主な内容
価格変動リスク株式・債券・投資信託などの価格が変動するリスク
信用リスク発行体や投資先が債務不履行に陥るリスク
為替リスク為替相場の変動により外貨建て資産の円換算額が変動するリスク
カントリーリスク国の政治・経済・政策変更などに影響されるリスク
金利変動リスク金利の変化により債券価格や株価、不動産価格などが変動するリスク
流動性リスク換金したいときに売却できない、または不利な価格でしか売却できないリスク

資産運用にはさまざまなリスクがある。これらのリスクは、投資先・地域・通貨・時間を分散することで一部を抑えやすくなる。

証券アナリスト 平行秀

一定のリターンを狙うためにはリスクがつきものですが、資産の種類や地域を分けて分散することで、突発的な損失リスクを抑えることができます。
大きな資金を運用する場合は、守る戦略としての分散が欠かせません。

たとえば価格変動リスクは、値動きの性質が異なる資産クラスに分けることで、ポートフォリオ全体の値動きを緩やかにしやすい。

信用リスクについても、複数の発行体や銘柄に分散しておけば、投資先の一つが倒産やデフォルトに陥った場合の影響を限定しやすい。

為替リスク・カントリーリスクに関しては、国内資産だけでなく、複数の国や通貨に分散することで一国・一通貨への集中を避けられる。

ただし、外貨建て資産は円安時に円換算額が増えやすい一方、円高時には円換算額が減りやすい。外貨建て資産を持つこと自体がリスクを完全に消すわけではない。

現代ポートフォリオ理論では、相関の低い資産を組み合わせることで、同じ期待リターンでもリスクを抑えやすいと考えられている。

ただし、分散投資には限界もある。投資先を1つから10に増やしたときの効果は大きいが、すでに1,000銘柄に分散されている投資信託を、さらに1,001銘柄に広げても効果は限定的だ。

また、市場全体が下落する局面では、十分に分散していても評価損が出ることがある。投資におけるリスクを完全にゼロにはできない点は理解しておきたい。

それでも、1億円のようにまとまった資産を運用する際は、集中投資を避け、分散投資の効果を活用することが重要だ。

市場動向は金利・為替・株価指数を定期確認する

経済指標は数多くあるが、まとまった資産を運用する際に特に確認したいのは金利動向だ。

金利は、為替・株式・債券・不動産など幅広い資産に影響する。特に米国と日本の金利動向を見るだけでも、市場の大きな流れを把握しやすい。

為替は、金利差の影響を受けることがある。一般に、金利の高い通貨は買われやすく、金利の低い通貨は売られやすい局面があるためだ。

たとえば日米の金利差が開き、米国の金利が日本より高い状態が続けば、ドル高・円安に傾きやすい。ただし、為替は金利だけでなく、景気、物価、政治情勢、投資家心理などにも左右される。

株式市場も政策金利の影響を受ける。金利が下がると企業が資金を借りやすくなり、事業拡大や投資の追い風になることがある。預金や債券の利回りが低下すれば、株式市場へ資金が流れやすくなる局面もある。

反対に、金利が上がると企業の借入コストが上がり、株価の重しになることがある。債券も金利上昇局面では価格が下がりやすい。

不動産投資や住宅ローンにも金利の影響は大きい。借入を活用する場合は、金利上昇時の返済負担や利回り低下を想定しておく必要がある。

ただし、金利だけで市場の動きが決まるわけではない。為替ならドル円、株価なら日経平均株価、TOPIX、米国のS&P500、ダウ工業株30種平均、ナスダック総合指数なども定期的に確認しておきたい。

1億円で検討したい投資手法とポートフォリオ例

1億円の資産運用におけるポートフォリオ例

1億円を運用する場合、すべてを一括で投資に回す必要はない。まずは生活費、納税資金、近い将来使う予定の資金を分け、残りを運用対象として考えるのが基本だ。

そのうえで、株式・債券・投資信託・REIT・金などの資産クラスを組み合わせ、リスク許容度に応じて配分を決めていく。

1億円以上の資金があれば、守りの資産を確保しつつ、一部の資金で成長性の高い投資先を検討することもできる。ただし、高リスク資産は比率を抑え、損失が出ても生活設計に影響しない範囲にとどめるべきだ。

  • 適切な資産配分を組む重要性
  • ポートフォリオの組み方のコツ
  • 1億円の資産運用に使えるポートフォリオ例
証券アナリスト 平行秀

大きな資産は一気に増やすよりも減らさないことが重要です。
資金の使い道や時期に応じて目的別に分けることで、守りと攻めのバランスを取りつつ安定した運用が可能になります。

資産配分は運用成果を左右する

資産運用では、投資先が無数に存在する。そして、同じ投資先を選んでも、配分比率が違えば運用成績とリスクは大きく変わる。

どの資産にどれだけ配分するかは、資産運用の成否を左右する重要な要素だ。

たとえば、株式比率を高めれば成長を狙いやすい一方、相場下落時の評価損も大きくなる。債券や現預金の比率を高めれば値動きは抑えやすいが、資産成長のスピードは遅くなりやすい。

円安が気になるなら、外貨建て資産を一定割合組み込むことで、円だけに偏った資産構成を避けられる。ただし、円高時には外貨建て資産の円換算額が下がるため、比率を決めて管理することが必要だ。

話題のAIや半導体関連企業の成長を取り込みたい場合も、関連銘柄やテーマ型投信に資金を集中させすぎると、特定テーマの下落時に大きな損失を受ける可能性がある。

証券アナリスト 平行秀

投資先が多様だからこそ、自分の資産運用の目的やリスク許容度に応じて、どの資産にどの程度配分するかを見極めることが大切です。
ポートフォリオの組み方次第で、リスクとリターンのバランスも大きく変わります。

ポートフォリオの組み方|資産クラス・地域・時間を分ける

配分比率を決める際には、まず資産クラスを分けることが重要だ。株式、債券、REIT、金、現預金などは、それぞれ値動きの性質が異なる。

ただし、分散すればするほどよいわけではない。分散しすぎると、一つひとつの投資先の貢献度が小さくなり、何を目的に保有しているのか分かりにくくなる。

配分を決める際には、似たような投資先ばかりを選ばないことも大切だ。

たとえば株式投資では、銀行、電力会社、海運、商社など業種ごとのグループをセクターと呼ぶ。同じセクターに属する銘柄は似た値動きをしやすいため、同じセクターばかりに投資しても分散効果は限定的だ。

セクターだけでなく、国・通貨・資産クラスについても同じことがいえる。国内株式だけ、米国株式だけ、外貨建て資産だけといった偏りは、想定外の下落時に大きな損失につながりやすい。

また、投資タイミングも分散したい。1億円を一度に投資すると、高値でまとめて買ってしまう可能性がある。相場環境が不安定なときは、数か月から数年に分けて段階的に投資する方法も検討できる。

1億円の資産運用に使える3つのポートフォリオ例

ここでは、リスク許容度に応じたポートフォリオ例を3つ紹介する。いずれも一般的な例であり、年齢、家族構成、相続予定、事業資金の有無、税務状況によって最適な配分は変わる。

リスク許容度別に考える1億円の資産配分例

表の金額は、1億円を運用対象資金として考えた場合の目安だ。生活資金や近い将来使う資金を別に確保する場合は、運用対象額に応じて調整してほしい。

成長重視型|リスク許容度【高】

資産・枠比率1億円の場合
コア
全世界株式インデックス、バランスファンドなど
80%8,000万円
個別株・テーマ型投信5%500万円
REIT・インフラ関連5%500万円
金・コモディティ等5%500万円
現金・短期債券等5%500万円

リスク許容度が高い投資家なら、コア・サテライト戦略が検討しやすい。投資資金を中心となるコア部分と、成長を狙うサテライト部分に分ける考え方だ。

コアは、全世界株式インデックスファンドやバランスファンドなど、広く分散された商品を中心にする。サテライトでは、個別株、テーマ型投信、REIT、金などを少額ずつ組み入れ、リターンの上乗せを狙う。

ただし、この例は株式比率が高く、相場下落時には大きな評価損が出る可能性がある。短期で使う予定の資金まで含めて組むべき配分ではない。

バランス型|リスク許容度【中】

資産比率1億円の場合
国内債券25%2,500万円
外国債券25%2,500万円
国内株式25%2,500万円
外国株式25%2,500万円

※ 参考:GPIFの基本ポートフォリオ

この例は、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式をそれぞれ25%ずつ保有する配分だ。GPIFの基本ポートフォリオも、2025年度からの第5期中期目標期間において4資産を各25%としている。

株式と債券を50:50、国内資産と外国資産を50:50で保有するため、成長性と安定性のバランスを取りやすい。

ただし、GPIFは年金積立金を長期運用する機関投資家であり、個人の資産運用にそのまま当てはめればよいわけではない。自分の年齢、使う時期、リスク許容度に合わせて比率を調整する必要がある。

資産保全重視型|値動きはあるが分散を広げる例

資産比率1億円の場合
20%2,000万円
5%500万円
スイスフラン建て資産10%1,000万円
不動産・天然資源関連株式15%1,500万円
積極成長株15%1,500万円
ドル建て資産35%3,500万円

※ 参考:Permanent Portfolio Family of Funds「Summary Prospectus」

このポートフォリオ例は、Permanent PortfolioがSummary Prospectusで示している投資カテゴリー別のターゲット比率に基づく。

金、銀、スイスフラン建て資産、ドル建て資産、不動産・天然資源関連株式などを組み合わせ、さまざまな経済環境に対応することを目指す構成だ。

ただし、金や銀、外国通貨建て資産、株式には価格変動がある。預貯金のような低リスク商品ではなく、元本保証もない。日本円で生活する人は、為替変動リスクも踏まえて検討する必要がある。

資産保全を優先する場合でも、一定の現預金や短期資金を別に確保したうえで、運用部分の配分として考えるのが現実的だ。

1億円の資産運用における税金対策|20.315%課税とNISAを確認

1億円の資産運用における税金対策と節税方法

資産運用では、売買手数料や信託報酬などのコストを抑えることが運用成績に影響する。

特にまとまった資産を運用する場合、無視できないのが税金だ。1億円の運用で大きな利益が出た場合、課税方式の違いや損益通算の可否によって手取り額が大きく変わる。

代表的な金融取引にかかる税金、計算方法、節税のポイントを知っておくことで、資産運用の効率を高めやすくなる。

  • 金融取引にかかる税金
  • 税金の計算法
  • 節税のポイント

3つのポイントを押さえて、運用に役立ててほしい。

金融取引にかかる税金|商品ごとに課税方式が違う

金融取引にかかる課税方式は、主に以下のように分けられる。

課税方式主な内容
総合課税給与所得など他の所得と合算して所得税を計算する。金地金の譲渡益や暗号資産の所得などは、この対象になる場合がある。
申告分離課税他の所得と分けて税金を計算する。上場株式等の譲渡益、上場株式等の配当等を申告分離課税で申告する場合などが該当する。
源泉分離課税・源泉徴収収益を受け取る時点で税金が差し引かれる。預貯金の利子や源泉徴収あり特定口座の取引などで使われる。

たとえば、金地金を売ったときの所得は、原則として譲渡所得として総合課税の対象になる。暗号資産の所得も、現行では原則として雑所得に区分されるため、給与所得などと合算される場合がある。

一方、株式や投資信託の売却益は、原則として申告分離課税となる。上場株式等の配当等は、一定の条件のもとで総合課税・申告分離課税・申告不要を選べる場合がある。

このように、金融商品の種類によって課税方式が変わる。取引前に、どの所得区分になるのか、損益通算できるのか、確定申告が必要かを確認しておきたい。

証券アナリスト 平行秀

どの課税方式が適用されるかによって、税負担や確定申告の必要性が大きく変わります。
投資対象ごとに異なる税区分を理解し、事前に確認しておくことが、不要な納税や申告漏れを防ぎ、賢く資産を守る第一歩になります。

次に確認したいのが損益通算だ。

投資では売却益が出ることもあれば、損失が出ることもある。利益から損失を差し引ければ、課税対象となる所得を減らすことができる。

たとえば、上場株式の取引で100万円の利益と100万円の損失が出た場合、同じ区分内で損益通算できれば、課税対象となる利益は0円になる。

しかし、損益通算できない商品同士の場合は、実質的には利益が残っていなくても、利益が出た取引に税金がかかることがある。

上場株式等の譲渡損失は、一定の要件のもと、上場株式等の譲渡益や申告分離課税を選択した配当等と通算できる。一方で、上場株式等とデリバティブ取引、暗号資産などを自由に通算できるわけではない。

損益通算できる範囲は商品ごとに異なるため、複数の商品を使って運用する場合は特に注意したい。

税金の計算方法|上場株式等の譲渡益・配当等は20.315%が目安

ポートフォリオを組む際には、株式・債券・投資信託が基本になりやすい。ここでは、上場株式等の譲渡益と配当等にかかる申告分離課税の計算方法を確認しよう。

上場株式等の譲渡益20.315%
上場株式等の配当等
申告分離課税を選択した場合
20.315%

※ 投資信託の元本から支払われる特別分配金は非課税
※ 20.315%の内訳は、所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%

譲渡益に関しては、取得費や売却時の委託手数料などを差し引いて計算する。配当所得では、株式などを取得するための借入金の利子を差し引ける場合がある。

たとえば、100万円で取得した株式を160万円で売却し、必要経費として2,000円かかった場合は以下の通りだ。

160万円(譲渡価額)-【100万円(取得費)+2,000円(必要経費)】=598,000円(譲渡益)

譲渡益598,000円に20.315%を乗じると、税金は約121,484円になる。

ただし、証券会社の口座で源泉徴収ありの特定口座を選んでいれば、上場株式等の譲渡所得の計算は金融商品取引業者等が行う。源泉徴収口座内の譲渡所得については、口座ごとに申告不要を選ぶこともできる。

税金の計算や申告の手間を減らしたい場合は、源泉徴収ありの特定口座を活用すると管理しやすい。

配当金・分配金については、申告分離課税を選べば上場株式等の譲渡損失と損益通算できる場合がある。一方、総合課税を選ぶと配当控除を使える場合があるが、他の所得と合算されるため、どちらが有利かは所得状況によって変わる。

課税される所得金額税率控除額
1,000円から
1,949,000円まで
5%0円
1,950,000円から
3,299,000円まで
10%97,500円
3,300,000円から
6,949,000円まで
20%427,500円
6,950,000円から
8,999,000円まで
23%636,000円
9,000,000円から
17,999,000円まで
33%1,536,000円
18,000,000円から
39,999,000円まで
40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円

※ 参考:国税庁「所得税の税率」

総合課税を選ぶ場合、他の対象所得と合算され、所得税の超過累進税率が適用される。所得金額が増えるほど税率が上がるため、個別具体的に考える必要がある。

金地金の売却益は原則として総合課税の譲渡所得となる。所有期間が5年以内か5年超かによって計算方法が変わるため、売却前に確認しておきたい。

暗号資産など税制の見直しが議論されやすい商品は、取引前に最新の税務上の取扱いを確認することが重要だ。

預貯金の利子のように源泉分離課税の対象となるものは、金融機関が税金を差し引くため、投資家側で税額を計算する必要は基本的にない。

節税のポイント|課税繰延・損益通算・NISAを使い分ける

本記事では、実践しやすい節税のポイントを3つ紹介する。

節税のポイント
  • 課税をできる限り繰り延べる
  • 損益通算できるものをなるべく選ぶ
  • NISAを活用する

資産運用では、原則として含み益には課税されない。売却して利益が確定した時点で課税されるため、含み益のある資産を長く保有することで課税を繰り延べられる。

ただし、税金を避けるためだけに、値下がりリスクの高い資産を持ち続けるのは本末転倒だ。リバランスで売却する場合は、税金を差し引いた後の資産配分まで考えて判断したい。

また、損益通算ができる商品を選んでおくと、損失が出たときに税負担を抑えやすい。反対に、損益通算できない商品に投資する場合は、そのデメリットを上回るリターンが見込めるかを慎重に考える必要がある。

NISAは、売却益や配当金、分配金が非課税になる制度だ。2024年からのNISAでは、非課税保有限度額はつみたて投資枠と成長投資枠を合わせて1,800万円、成長投資枠はそのうち1,200万円までとなっている。

1億円全体をNISAで運用することはできないが、1,800万円の非課税枠を活用できれば、長期的な税負担の軽減につながる。

ただし、NISA口座で発生した損失は、他の口座の譲渡益や配当等と損益通算できない。NISAは「非課税メリットが大きい一方で、損失時の税務メリットはない」と理解しておきたい。

1億円規模の資産運用では、投資判断だけでなく税務判断の影響も大きい。複数の商品や相続・贈与を含めて考える場合は、税理士などの専門家にも確認すると安心だ。

1億円の資産運用、初めの1歩はリスク管理から

1億円で資産運用をするポイントについて解説した。

まとまった資産を運用するからこそ、リスク管理にこだわり、資産を守りつつ手堅く増やす戦略が重要だ。

そのためには、資産の使い道と使う時期を整理し、適切な資産配分でポートフォリオを組む必要がある。さらに、税金や損益通算、NISAの使い方まで考えることで、運用効率を高めやすくなる。

証券アナリスト 平行秀

1億円という資産は「守りながら増やす」ことが基本です。
資金を生活費・老後資金・投資用など目的別に分け、それぞれに適した商品やタイミングを選ぶことで、無理のない安定した資産運用が実現できます。

本記事ではいくつか具体的な運用例を取り上げたが、あくまでも一般的な考え方に過ぎない。

資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることも検討してほしい。

1億円の資産運用に関するQ&A

1億円を運用する際に最も重要なポイントは何ですか?また、期待できる平均的なリターンはどれくらいですか?

最も重要なポイントは、資産を大きく減らさないことだ。

そのためにも、目標利回りより先に、どの程度の下落なら耐えられるか、いつ資金を使う予定があるかを確認しておきたい。

運用リターンは投資対象、配分、運用期間、市場環境によって変わるため、一律の平均値を示すのは難しい。

仮に年2%で複利運用できた場合、10年後には約1億2,190万円、20年後には約1億4,860万円になる計算だ。

ただし、この計算には税金、手数料、物価変動は含まれていない。実際の手取り額は、運用商品や課税方式によって変わる。

まとまった資産の投資先としておすすめの国際市場はどこですか?また、1億円で組めるおすすめのポートフォリオを教えてください。

特定の国や地域だけをおすすめするより、日本、先進国、新興国などに分散する考え方が基本だ。

海外市場にも投資対象を広げることで、投資先の選択肢を増やし、地域分散の効果を狙いやすくなる。

一方で、海外資産には為替リスクやカントリーリスクがある。外貨建て資産の比率は、リスク許容度や生活通貨が円であることも踏まえて決めたい。

ポートフォリオは、本文で紹介した成長重視型、バランス型、資産保全重視型をたたき台にし、自分の目的に合わせて調整するとよい。

資産運用の税金対策で注意すべきことは何ですか?

まず、商品ごとの課税方式と損益通算の可否を確認することが重要だ。

上場株式等の譲渡益や配当等は、申告分離課税で20.315%が目安になる。一方、金地金や暗号資産などは税務上の扱いが異なるため注意したい。

NISAは運用益が非課税になるが、損失が出ても他の口座の利益と損益通算できない。税金だけで判断せず、投資リスクと合わせて考えることが大切だ。

高額資産を長期で運用する際に特に考慮するべきことは何ですか?

1億円を長期で運用する際は、資産を目的別に分けることが大切だ。

1億円では、1%の値動きでも100万円の増減になる。短期で使う資金までリスク資産に入れてしまうと、相場下落時に不利なタイミングで売却せざるを得ない可能性がある。

生活費、納税資金、老後資金、成長を狙う資金を分け、それぞれに合った商品と運用期間を設定しよう。

運用資産が大きい場合、流動性リスクにはどのように対処するべきですか?

流動性リスクに備えるには、換金しやすい資産と換金に時間がかかる資産を分けて管理することが重要だ。

上場株式や上場投資信託でも、取引量が少ない銘柄は希望価格で売却しにくい場合がある。不動産、私募ファンド、ヘッジファンドなどは、解約制限や売却までの期間も確認しておきたい。

数年以内に使う予定がある資金は、現預金や換金性の高い資産で確保しておくと安心だ。

資産運用の専門家からは具体的にどのようなサポートが期待できますか?

専門家には、資産配分、商品選び、リスク管理、税務・相続を含めた資産全体の設計について相談できる。

希望に合った運用をするための銘柄選びだけでなく、どの程度の金額を運用に回すべきか、どのくらいの期間で運用すべきかといった基本的な相談もできる。

相談先を選ぶ際は、登録状況、手数料体系、提案商品の理由、利益相反の有無を確認し、納得できる説明を受けてから判断しよう。

出典

野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」(公開日:2025年2月13日)
Henley & Partners「The World’s Wealthiest Cities in 2025」(公開日:2025年4月8日)
年金積立金管理運用独立行政法人「基本ポートフォリオの考え方」
国税庁「No.2260 所得税の税率」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.1476 特定口座制度」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「No.3161 金地金の譲渡による所得」(更新日:2025年4月1日)
国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」
金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
The Permanent Portfolio Family of Funds「Summary Prospectus – Permanent Portfolio」(公開日:2025年5月30日)

この記事を書いた人

資産運用メディア編集部は、初心者から上級者までが「将来に備える確かな運用判断」を得られるよう、公的統計や最新市場データに加え、自社アンケートを基に中立的な情報を発信しています。記事は資産運用アドバイザーと投資家を結ぶプラットフォーム「資産運用ナビ」を運営するアドバイザーナビ株式会社が監修。おすすめの資産運用やおすすめのIFAなど、読者が自身に最適な資産運用の相談先を見つけることができるよう、適切な情報発信に努めている。