カードローンの審査では、申込者に十分な返済能力があるかどうかをさまざまな情報から判断している。
また、カードローンによっては本審査の前に「仮審査」を実施するケースがある。
仮審査のあるカードローンでは、仮審査に通過しないと本審査が行われない。
つまり、カードローン利用の第一関門だ。そこで本記事では、カードローンの仮審査とは何か、本審査との違い、さらに審査のポイントを解説していく。
カードローンの申し込みを検討している人は、仮審査でつまずかないよう参考にしてみてほしい。
カードローンの仮審査は機械で行われる審査のこと
カードローンの仮審査とは、「機械的に行われる審査」のことだ。まずは、仮審査の概要や本審査との違いを整理してみよう。
仮審査(機械的に行われる審査)とは
カードローンに申し込む際、申込者はさまざまな情報を入力することになる。
たとえば、消費者金融系カードローンの「アイフル」に申し込む際は、次の情報入力を求められる。
カテゴリ | 入力内容 |
---|---|
申込者情報 | 氏名 氏名(カナ) 生年月日 電話番号 性別 国籍 結婚有無 年収 |
申込金額 | 希望限度額 利用目的 |
居住地情報 | 郵便番号 住所 建物名 居住地の所有形態 家賃・住宅ローン 入居年 同居内容 扶養家族 |
勤務先情報 | 勤務先名 勤務先名(カナ) 勤務先電話番号 業種 雇用形態 保険証種別 給料日 入社年 その他の仕事 |
ログイン情報 | メールアドレス |
これらの情報のうち、年齢、結婚有無、年収、居住地の所有形態といった申込者本人の属性情報については、自動的にスコアリングされるケースが多い。
スコアリングの結果、一定基準を超えていれば「返済能力がある」とひとまず判断される。これがいわゆる、カードローンの仮審査だ。
また、仮審査の時点で申込者の「信用情報(クレヒス)」をチェックするケースもある。
信用情報とは、信用情報機関によって管理されている、借り入れ・返済などに関する個人情報のことだ。
カードローン会社は申込者の信用情報を照会することができ、信用情報から返済能力の有無などを判断している。
仮審査と本審査の違い
仮審査と本審査の大きな違いは、「誰が審査を行なっているか」だ。
仮審査は「機械的に行われる審査」と説明したように、カードローンへの申し込みが完了した時点で、申込者情報を機械が自動的にスコアリングしているケースが多い。
一方で、本審査は「カードローンの審査担当者が行う審査」である。
つまり人の手によって、申込者の返済能力の有無などを細かくチェックするのが、カードローンの本審査だ。
カードローンが仮審査と本審査という2つの審査を設けるのは、審査プロセスの効率化のためだ。
機械的に審査できる部分は仮審査でチェックし、仮審査を通過した申込者だけを本審査に回すことで、プロセスの効率化を図っていると考えられる。
また、機械と人間という2つの異なる視点からチェックを行うことで、より正確な審査を行おうという意図も考えられる。
ちなみに、カードローンの中には仮審査は行われず、担当者によっていきなり本審査を行うサービスもある。
カードローンの審査について詳しく知りたい方はこちら。
仮審査でチェックされる項目
続いて、仮審査でチェックされる項目について解説する。主にチェックされる項目は、「信用情報」と「属性情報」だ。
それぞれどういった情報か、何がチェックされるのかを整理していこう。
信用情報|申込者の借り入れ・返済状況など
信用情報またはクレヒス(クレジット・ヒストリー)とは、ローンやクレジットの申し込み、利用、支払い、返済といったさまざまな信用取引情報の総称だ。
信用情報は信用情報機関によって管理されており、日本では以下の3つの信用情報機関が、金融機関などとの情報共有ネットワークを形成している。
- CIC(株式会社シー・アイ・シー)
- JICC(株式会社日本信用情報機構)
- KSC(全国銀行個人信用情報センター)
信用情報をチェックする理由は「過去に金融トラブルを起こしていないか」や、「ローンの利用実績はあるか」などを確認することだ。
支払い・返済の長期延滞など、過去に金融トラブルを起こしている人は、「貸し倒れリスクが高い」と判断される。
一方で、ローンの利用実績があり、毎月期日通りに返済した経験のある人は、カードローン会社から信用性が高いと判断されるケースが多い。
このように、カードローン会社は信用情報をチェックすることで、貸し倒れのリスクは申込者の信頼性などを判断している。
属性情報|申込者の職業・収入情報など
属性情報とは、職業や年収、家族構成、居住地の形態など申込者をとりまく環境・情報のことだ。
カードローン会社は申込者の属性情報をチェックすることで、返済能力の有無、高さを判断している。
主な属性情報
- 年齢
- 働き盛りの20代後半〜40代前半が一般的には有利
- 職業
- 有名企業など経営が安定している会社に勤めている、勤続年数が長い人の方が有利
- 年収
- 年収は高い方が有利だが、年収が高いだけでは信用性があると判断されない
- 住居
- 返済が不可能となっても持ち家であれば差し押さえが可能なので、審査では有利(住宅ローンの有無は関係なし)
この他にも、「結婚していて子供がいる人の方が責任感が高い傾向にある」など、さまざまな属性情報をチェックした上で、申込者の返済能力を判断している。
さらに細かいところでは、固定電話を持っている方が有利、民間企業よりも公務員の方が有利など、さまざまな項目がチェックされている。
仮審査ではこれらの属性情報を機械的にスコアリングすることで、簡易的な審査を行っている。
仮審査通過から借入までの流れ
仮審査は「審査」という名称ではあるが、カードローンを利用する第一関門に過ぎない。
ここでは、仮審査通過から借り入れまでの流れを解説するので、カードローンに申し込む前に知っておこう。
仮審査通過後の流れ
まず、申し込みから仮審査が完了するまでの時間はカードローンによって異なる。
消費者金融系のカードローンなら数十秒〜数十分で完了するのが一般的だ。
銀行カードローンの場合は、当日中に行われるケースが多い。仮審査に通過すると、次のような流れで進行する。
- 本人確認書類の提出
- その他必要書類の提出
- 本審査
- 審査結果の通知
- ローンカードの発行・受け取り
- 借り入れスタート
一般的な流れは上記のとおりだ。ただし、借り入れまでどれくらいの時間がかかるかは、カードローンによって大きく異なる。
消費者金融系のカードローンやカードレス(カードを発行しないタイプ)で申し込める銀行カードローンの場合、審査に問題がなければスマホアプリやWebサイトを通じて当日中に借り入れられるケースがある。
一方、ローンカード利用を必須と判断している場合は、仮審査通過後から借り入れできるようになるまで、数日〜2週間ほどかかる。
本審査で行われること
カードローンの本審査では、仮審査によってチェックされた項目を、カードローンの担当者の手によって確認する。
それによって申込者の返済能力を判断し、審査に通過させるかどうかを決めている。
また、本審査では「在籍確認」を実施するケースがある。
カードローンの在籍確認とは、申込者の勤務先に電話連絡を行い、申込者本人が申告通りの会社に勤めているかどうかをチェックするプロセスだ。
在籍確認を行う場合、カードローン会社は申込者の同意を必ず得てから実施するので、安心してほしい。
具体的には、カードローン会社が申込者が申告した勤務先電話番号に電話をかけ、次のように会話を行う。
お電話ありがとうございます。〇〇株式会社、〇〇が承ります。
私、〇〇銀行の〇〇と申します。〇〇様(申込者)はいらっしゃいますか?
はい。ただいまお繋ぎいたしますので、少々お待ちください。
お電話代わりました、〇〇です。
お忙しいところ恐縮です。〇〇銀行の〇〇と申します。これにて在籍確認を完了させていただきます。今後のお手続きに関しましては、別途ご連絡いたしますので、今しばらくお待ちくださいませ。
申込者が離席している場合でも、申告した勤務先に勤めていると判断されれば問題ない。
「在籍確認は困る」という人は、在籍確認を原則として行っていないカードローンへの申し込みを検討しよう。
在籍確認を原則として行っていないカードローン
- アイフル
- アコム
- プロミス
- レイク
- SMBCモビット
- セブン銀行カードローン
- みんなの銀行ローン
以上のカードローンは、公式サイトにて「在籍確認を原則として行っていない」ことを名言している。
本審査に通過しない可能性もある
カードローンの申し込みでは、仮審査に通過しても本審査に通過しない可能性があることを覚えておこう。
仮審査と本審査は異なるプロセスであり、仮審査に通過したからといって、本審査にも通過するとは限らない。
仮審査には通過したが本審査の結果、「返済能力が低い」「貸し倒れリスクが高い」と判断されるケースもある。
本審査に通過しなければ残念ながらカードローンを利用できないので、他のカードローンに申し込むか、他の借り入れ方法を検討しよう。
たとえば、「クレジットカードのキャッシング」はカードローンに代わる借り入れの選択肢だ。
審査に落ちてしまったときの対処法については、記事後半の「仮審査に落ちたらどうするべきか」で解説しているので、参考にしてみてほしい。
仮審査や本審査にかかる時間
カードローンの利用を急いでいる人にとって、「仮審査や本審査にかかる時間」は重大な要素だろう。
そこで、いくつかのカードローンの審査にかかる時間を調査したので、その情報をまとめておく。
カードローン | 審査完了までにかかる時間(※) | |
---|---|---|
プロミス | 最短3分 | 詳しくはこちら |
SMBCモビット | 最短15分 | 詳しくはこちら |
アイフル | 最短18分 | 詳しくはこちら |
アコム | 最短20分 | 詳しくはこちら |
レイク | 最短25分 | |
じぶんローン(auじぶん銀行) | 最短60分 | |
ダイレクトワン | 最短当日※店頭窓口で申し込む場合 | |
三井住友銀行 カードローン | 最短当日 | |
バンクイック(三菱UFJ銀行) | 最短当日 | |
りそな銀行 カードローン | 1〜2週間 |
多くのカードローンの中で、審査(仮審査・本審査)完了までの時間が最も短いのは「プロミス」だった。
プロミスは三井住友フィナンシャルグループが提供するカードローンであり、知名度と人気が高い。
審査は最短3分で完了し、審査通過後はスマホアプリなどを通じてすぐに借り入れが利用できるようになる。
カードローンの利用を急いでいる人は、「プロミス」への申し込みを検討するといいだろう。
ただし、フリーダイヤルの受付時間が「平日8:00〜21:00」となっているので、この時間外に申し込みをすると最短3分で審査が完了しないケースもあるので注意しておこう。
カードローンの仮審査に落ちる原因
カードローンは機械によって行われる簡易的な審査ではあるが、審査に落ちるケースもある。
ここでは、カードローンの仮審査に落ちる原因を紹介するので、事前に把握しておこう。
カードローンの申込条件を満たしていない
カードローン各社は、審査への申込条件を取り決めている。
申込条件はカードローン利用の最低条件であり、この条件を満たしていないまま申し込んでしまった場合は、仮審査そのものが行われない。
参考までにいくつかのカードローンの、公式サイトで明記されている申込条件を紹介する。
カードローン | 公式サイトに明記されている申込条件 | |
---|---|---|
プロミス | 満18歳以上74歳で本人に安定した収入がある | 詳しくはこちら |
SMBCモビット | 満18歳以上74歳で本人に安定した収入がある | 詳しくはこちら |
アイフル | 満20歳以上69歳で定期的な収入と返済能力を有する | 詳しくはこちら |
アコム | 満20歳以上で安定した収入と返済能力を有する | 詳しくはこちら |
レイク | 満20歳以上70歳以下で本人に安定した収入がある | |
じぶんローン(auじぶん銀行) | 満20歳以上70歳未満で安定継続した収入がある | |
ダイレクトワン | 満20歳以上69歳以下で安定した収入がある | |
三井住友銀行 カードローン | 満20歳以上65歳未満で安定した収入がある | |
バンクイック(三菱UFJ銀行) | 満20歳以上65歳未満で安定した収入がある | |
りそな銀行 カードローン | 満20歳以上66歳未満で継続安定した収入がある(学生不可) |
仮審査に通過できない人は、こうした申込条件を満たせていない可能性がある。
信用情報(クレヒス)に問題がある
ローンやクレジットの申込・利用履歴である信用情報に何らかの問題があると、仮審査に通過しないことがある。具体的には次のような問題(金融トラブル)が該当する。
金融トラブルの種類 | 詳細 |
---|---|
長期延滞 | 61日以上または3か月以上返済・支払いが遅れること 期間は信用情報機関によって異なる |
強制解約 | 利用料金の延滞や規約違反などによって、クレジットカード会社に強制的に解約されること |
債務整理 | 裁判所を通さずに債権者と交渉して、借金を減額してもらったり、支払い期間を調整してもらったりする手続き |
代位弁済 | 債務者が返済できなくなった場合、保証会社などの第三者が債務者の代わりに借金を返済すること |
自己破産 | 裁判所に支払不能であることを認めてもらい、借金の返済義務を免除してもらう手続き |
このような金融トラブルが信用情報に記録されていると、「貸し倒れリスクが高い」と判断され、仮審査の時点で落とされるケースが多い。
他社からの借り入れがある
申し込みをしたカードローン以外の借り入れがあると、仮審査の時点で落とされるケースがある。
ただし、他社からの借り入れがあるかといって仮審査に必ず落ちるわけではない。1つの基準となるのが、貸金業法における「総量規制」だ。
総量規制とは、「年収の1/3以上貸し付けてはいけない」というルールであり、消費者金融系のカードローンはこれを遵守している。
そのため、新しいカードローンに申し込んだ際に、希望借入額と他社からの借入額の合計が年収の1/3を超えていると、仮審査に通らない可能性が高い。
また、銀行カードローンは総量規制の対象外ではあるが、貸し倒れリスクを避けるために独自の貸し付けルールを設定している。
これについては非公表であるため、仮審査に落ちてもその理由は明らかにはされない。
短期間で複数社に申し込んだ
短期間で複数のカードローンに申し込むと、仮審査で落とされる可能性が高くなるので注意しよう。
なぜなら、「お金に困っている人=返済能力が低い」と判断されるかもしれないからだ。
短期間とは具体的にどれくらいかというと、カードローンの申し込み情報が信用情報として記録される「6ヶ月間」を1つの基準と考えよう。
カードローンの利用を申し込むと、その情報は信用情報機関に記録される。
申し込み情報の保持期間は6ヶ月間なので、その間に他のカードローンに申し込んでも、仮審査の時点で落とされるリスクが高くなる。
仮審査に落ちたらどうするべきか
カードローンの仮審査に落ちたからといって、カードローンを利用できなくなるわけではない。
ここでは、仮審査に落ちた場合の対処法を紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
支払い・返済の延滞や滞納があれば解消する
ローンやクレジットの支払い・返済の延滞や滞納は、金融トラブルとして信用情報機関に記録されている可能性が高い。
これらの金融トラブルが解消されないままでは「貸し倒れリスクが高い」と判断されてしまう。
そのため、仮審査に落ちてしまったらまずは自分の信用情報を開示してもらい、金融トラブルが起きていないかチェックしよう。
自分の信用情報は、信用情報機関に申請すると開示してもらえる。開示手数料は500〜1,000円ほどなので、大きな出費にはならない。
信用情報をチェックした結果、金融トラブルがあればただちに解消しよう。
支払い・返済額が大きい場合は、少しずつでも構わないので「しっかり返済している」という姿勢を見せることが大切だ。
6ヶ月以上の期間をあけてから再び申し込む
カードローンの利用を申し込むと、申し込み情報が信用情報機関に記録されることになっている。
申し込み情報の保持期間は、いずれの信用情報機関でも「6ヶ月間」と定められている。
そのため、A社の仮審査に落ちて6ヶ月以内にB社に申し込んでも、過去の仮審査に落ちている情報を照会され、再び仮審査で落とされるリスクが高い。
A社の仮審査に落ちたら、最低でも6ヶ月以上の期間を空けてから再びA社に申し込むか、他のカードローンに申し込んでみよう。
借入希望額を低めに設定する
仮審査で落とされた経験がある人でも、次回申し込みのときに借入希望額を低めに設定することで、審査に通過する可能性が高くなる。
借入希望額を高めに設定すると、それ相応の返済能力が必要となる。
前回の仮審査では「借入希望額に見合った返済能力を有していない」と判断された可能性も考えられるので、借入希望額を低めに設定することで、仮審査の通過率をアップさせよう。
もちろん、仮審査に落ちた直後に借入希望額を下げて再挑戦するのではなく、6ヶ月以上の期間を空けてから申し込むのが確実な対処法だ。
ただし、収入証明書の提出を求められる場合があるため、最低でも3か月以上勤務してから申込むのが安心だろう。
仮審査を理解してカードローンに申し込んでみよう
本記事では、カードローンの仮審査とは何か、本審査との違い、審査のポイントなどを解説した。
本審査に比べると仮審査の通過率は高いが、100%通る保証はない。
また、申し込み情報入力のちょっとしたミスによって、仮審査に落ちることもあるので、申し込みの際は入力した情報をしっかりと確認した上で仮審査に進もう。
仮審査の概要や本審査との違いなどを理解したら、気になっているカードローンにさっそく申し込んでみてほしい。