- 医療保険の種類について詳しく知りたい
- 自分に最適な医療保険を選びたい
- 医療保険選びの一助となる情報が知りたい
医療保険は公的医療保険の不足分をカバーすることを主目的に加入する保険だ。
ケガや病気による入院・手術の経済的リスクを軽減できる役割をもつが、その種類は多岐にわたる。
そこで本記事では、医療保険の種類を一つ一つ取り上げ、その上で医療保険のメリット・デメリットを解説する。
また、医療保険選びのポイントについてもご紹介する。
ライフスタイルに適した保険の選択をサポートするためのガイドとして、この記事を参考にあなたに最適な医療保険を見つけてほしい。
医療保険の役割と種類を理解しよう
一口に「医療保険」といっても、その種類は多岐にわたる。
ケガや病気に対する保障を十分に備えるためにも、種類や特徴を正しく理解しておくことが重要だ。
ここでは、医療保険を「公的医療保険」と「民間の医療保険」に分けてそれぞれの特徴を解説していく。
特徴を比較し、どういった違いがあるのかを確認していこう。
公的医療保険の特徴
公的医療保険とは、すべての日本国民が加入を義務付けられている医療保険制度のことを指す。
診察や治療にかかる費用を軽減できる仕組みとなっており、全国にあるどの医療機関を受診しても適用されることが特徴だ。
公的医療保険は大きく以下の3種類に分けられる。
- 被用者保険
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療制度
被用者保険は企業の従業員や公務員・教員、後期高齢者医療制度は75歳以上の高齢者、国民健康保険はそれらに該当しない人が加入する制度だ。
日本は国民皆保険制度となっているため、上記のいずれかに必ず加入することとなる。
公的医療保険のおかげで、われわれは医療機関の窓口で支払う費用が医療費全体の1〜3割で済んでいる。
残りは加入者で負担した保険料や国・地方自治体による負担金などで賄われている仕組みだ。
また、病気やケガで働けない状態となった場合には「傷病手当金(国民健康保険を除く)」が支給されたり、出産時に「出産育児一時金」「出産手当金(国民健康保険を除く)」が支給されたりする。
ケガや病気の治療にかかる費用だけでなく、休業による収入の減少や出産・育児にかかる費用なども幅広く保障されることが特徴となっている。
民間の医療保険の特徴
民間の医療保険は、生命保険会社が提供している保険商品の一種であり、任意で契約できることが特徴の保険だ。
主に公的医療保険で不足する分をカバーすることが目的となっており、ケガや病気による入院・手術の経済的リスクを軽減できる。
民間の医療保険の主な保障内容は「入院給付金」と「手術給付金」である。
入院給付金は入院日数に応じて「日額10,000円」などの決められた給付金が支給され、手術給付金は「入院給付金日額の◯倍」「手術1回につき◯円」などと決められた給付金が支給されることが一般的だ。
また、オプションでさまざまな保障を上乗せできる点も民間医療保険の特徴として挙げられる。
先進医療にかかる技術料を保障する「先進医療特約」や女性特有の病気を手厚く保障する「女性疾病特約」など、希望に合わせて保障を上乗せできる。
ニーズに合わせて保障内容を個別にカスタマイズできる点が魅力だ。
そして、民間の医療保険は医療を取り巻く環境や公的医療保険制度の変化に対応し、新商品が開発されたり、保障内容を変更したりしている。
加入後も定期的に保障内容を見直し、過不足がないかチェックしておくことが重要となる。
民間の医療保険はどんな種類に分けられる?
民間医療保険には保障期間の違いと、保険料が戻ってくるか掛け捨てかで分けられる。
終身保険
終身医療保険とは、一生涯に渡って保障が続く終身型の医療保険のことで、病気やケガで入院や手術となった際に給付金を受け取ることができるのが特徴だ。
保険料は生涯変わらないため、若い時期に加入することで保険料も抑えられる。
病気やケガのリスクは年齢とともに高まるため、一生涯の医療保障があると安心できるだろう。
定期保険
定期医療保険とは、10年間などと保険期間があらかじめ決められている医療保険だ。
終身医療保険と比較すると、保険料が安いことが最大のメリットである。
定期医療保険は保険期間が終わると保障も消滅する。更新をすれば保障は継続するが、更新時の年齢で保険料を再計算するため、保険料が上がっていく点には注意したい。
掛け捨て型
掛け捨て型医療保険のメリットは保険料の安さだ。
保障は掛け捨て型も貯蓄型も基本的には同じであり、家計に占める保険料の負担を少しでも減らしたい方に向いている。
また、保険料を掛け捨てにすることで、 高額な保険金額の設定ができる場合が多く、手厚い保障を効率的に準備することができる。
貯蓄型
貯蓄型医療保険にはお祝い金タイプ、保険料が戻るタイプ、解約返戻金タイプなどがあり、商品内容はそれぞれ異なる。
お祝い金タイプは、一定の期間が経過するとお祝い金を受け取れる。ケガや病気などをしなくても定期的にお金を受け取れる点がメリットだ。
最大の特徴は一定の年齢まで保険料を支払い続けると払い込んだ保険料が全額戻ってくることだが、保険料は掛け捨て型に比べて割高である。
また、入院給付金や手術給付金を受け取ると、その分だけ減額されることが一般的だ。
2種類の医療保険の違い
公的医療保険と民間の医療保険には以下のような違いがある。
公的医療保険 | 民間の医療保険 | |
加入について | 義務付けられている | 任意で好きな商品を選べる |
保険の目的 | 国民が安心して医療を受けられる仕組みを用意する | 公的医療保険で不足する保障をカバーする |
保障内容 | 治療にかかる費用や収入の減少を補う | 入院・手術に関する費用の保障がメインだが、オプションで自由に保障を追加できる |
保険料 | 所得に応じて決められた額を支払う | 保障内容に応じて金額が変わる |
公的医療保険はすべての国民が安心して医療が受けられるよう、最低限必要な保障を備えることが基本の役割となっている。一方、民間の医療保険は公的制度だけでは不足する分をカバーできるよう、任意で保障内容を自由に設定できることが特徴だ。
2種類の医療保険の特徴を理解しておくと、自分にとって最適な保障プランを設計できるようになる。
それぞれの特徴や違いを理解した上で、民間の医療保険に加入すべきかどうかを判断しよう。
医療保険に加入するメリット・デメリット
2種類の医療保険についての特徴を確認したところで、次に民間の医療保険に加入するメリットとデメリットを紹介していく。
「貯蓄があれば民間の医療保険は不要」とも言われているが、実際はどうなのだろうか。
民間の医療保険のメリット・デメリットと必要な人・不要な人の特徴をそれぞれ確認していこう。
医療保険のメリット
民間の医療保険に加入するメリットとして、主に以下の3点が挙げられる。
- 公的医療保険の不足分をカバーできる
- 特約で保障をカスタマイズできる
- 生命保険料控除を活用できる
1つ目は、繰り返しになるが「公的医療保険の不足分をカバーできる」という点である。
入院時の差額ベッド代や食費、見舞いに来る家族の交通費などは公的医療保険の対象とならない。
こうした費用の負担を軽減できる点が民間の医療保険に加入するメリットのひとつだ。
2つ目は、「特約で保障をカスタマイズできる」という点である。例えば先進医療にかかる技術料は公的保障の対象外であるため、場合によっては数十万円〜数百万円の自己負担が必要になるケースがある。
「先進医療特約」を契約していれば技術料が保障されるため、自己負担は必要ない。
このような保障をオプションとして自由に追加できる点も魅力的である。
3つ目は、「生命保険料控除を活用できる」という点だ。医療保険で支払った保険料は生命保険料控除のひとつである「介護保険料控除」の対象となり、保険料の一部または全部を所得から控除できる。
所得税・住民税の負担を軽減できる点も民間の医療保険のメリットだ。
医療保険のデメリット
さまざまなメリットがある民間の医療保険だが、一方で以下のようなデメリットも存在する。
- 保険料の負担が発生する
- 健康状態によっては加入できないリスクがある
民間の医療保険に加入する場合、当然のことながら保険料の負担が発生してしまう。
収入・支出の状況によっては保険料負担が重く、支払いが厳しくなる可能性が考えられる点に注意しておこう。
また、民間の医療保険は加入手続きの際に診査が行われ、健康状態を確認される。
申し込み時点での健康状態に何らかの問題があったり、過去に病気をしていたりする場合は希望通りの条件で加入できないリスクがある点を頭に入れておこう。
例えば過去に胃の病気にかかって手術をした経験がある場合、胃に関係する病気が保障の対象外になったり、保険料が通常より高くなったりする可能性がある。
場合によってはそもそも加入自体を断られる可能性も考えられる。
公的医療保険の場合、健康状態によって加入を断られるということはない。
すべての国民が保障を受けられる公的医療保険に比べると、健康状態によって加入できないリスクがある点はデメリットと言えるだろう。
医療保険が必要な人・不要な人
メリット・デメリットを踏まえた上で、特に民間の医療保険に加入する必要性が高いのは以下のような人だ。
- 家計を支える立場の人
- 自営業者・フリーランス
家計を支える一家の大黒柱がケガや病気で入院・手術をすることになった場合、家族の生活に大きな支障をきたす可能性がある。
公的医療保険だけでは保障が不足する可能性が高いため、民間の医療保険でオプションなどを活用しながら手厚くカバーしておくべきだろう。
また、自営業者やフリーランスなどの国民健康保険加入者は民間の医療保険の必要性が高い。
働けない期間中の「傷病手当金」が支給されず、ケガや病気で入院することになった場合に大幅に収入が減少するリスクがあるためだ。
入院給付金を手厚く備え、長期入院に備えておくことをおすすめする。
一方、以下のような人には民間の医療保険の必要性が低い。
- 十分な貯蓄がある人
- 勤め先の保障が充実している人
十分に貯蓄があり、入院や手術をすることになっても問題なく支払える人の場合は民間の医療保険に加入する必要性が低い。
公的医療保険で不足する分は貯蓄から支払えば良いので、わざわざ保険料を負担して保障を備える必要はあまりないと言える。
ただし「貯蓄を崩したくない」「先進医療の費用を支払うのは厳しい」という場合は例外だ。
また、勤め先の福利厚生などで充実した医療保障を得られる人も民間の医療保険に加入する必要性は低い。
大企業の従業員や公務員などで福利厚生が充実している場合は、追加で医療保障を準備しなくても良い場合が多い。
必要な人・不要な人の特徴を確認し、自分がどちらに該当するのかを考えた上で加入を検討しよう。
医療保険の選び方
ここまで解説してきた内容を踏まえ、実際に医療保険に加入しようと考えている方も多いだろう。
しかし適当に商品を選んでしまうと失敗するリスクもあるため、あらかじめ選び方のポイントを押さえておくことが大切だ。
ここでは、医療保険を選ぶ際に押さえておきたい3つのポイントについて解説していく。
ライフプランを考える
まず、具体的な商品選びを始める前に、自分自身や家族のライフプランについてイメージすることが大切である。
なぜなら「今後どういった人生を歩んでいきたいのか」によって、想定されるリスクが変わってくるためだ。
例えば将来的に会社から独立して個人事業を始めたいと考えている場合、収入の減少リスクに備えておく必要がある。
前述の通り、個人事業主などの国民健康保険加入者には「傷病手当金」の制度がなく、ケガや病気で働けなくなると収入が大幅に減少してしまう可能性があるためだ。
また、結婚や出産などで家族が増える予定がある場合、自身の入院・手術によって家族の生活に影響が出るリスクも想定しなければならない。
医療費の負担をカバーするだけでなく、収入の補填なども考える必要があるだろう。
このように、今後のライフプランによって想定されるリスクにも違いが生まれる。
自分や家族が希望しているライフプランのイメージを擦り合わせ、どういったリスクが想定されるのか把握しておこう。
加入目的を明確にする
具体的なライフプランがイメージできたら、次に「なぜ医療保険に加入するのか」という目的部分を明確にしよう。
医療保険を活用してどのようなリスクをカバーしたいのかを考え、最適な保障を準備することが大切だ。
医療保険に加入する主な目的としては以下の2点が挙げられる。
- 公的医療保険でカバーできない費用を補う
- 働けない期間中に減少する収入を補填する
民間の医療保険の主な目的は、公的医療保険の不足分をカバーすることにある。
入院中の治療費の自己負担や差額ベッド代、食費などがどれくらい必要になるかイメージし、必要な保障額を備えることが大切だ。
また、働けない期間中に減少する収入を補填するのも医療保険の役割だ。
会社員・公務員には「傷病手当金」があるものの、支給される額は給与の約3分の2である。
全額が保障されるわけではないため、不足する分をカバーする必要があるだろう。
そして傷病手当金がない国民健康保険加入者は、特に手厚く備えておく必要性が高い。
上記のほかにも「女性特有の病気に備えたい」「がんなどの特定の病気を手厚く保障したい」といった加入目的が人それぞれにあるだろう。
自分が医療保険に加入する目的を明確にし、必要な保障内容を検討していこう。
無理のない範囲で保険料を設定する
医療保険を選ぶ際は、保障内容だけでなく保険料にも目を向けることが大切だ。
手厚い保障を準備しても、その分保険料が高くなって契約を継続できなくなってしまっては元も子もない。
医療保険は10年以上にわたって保険料を支払っていくケースが多く、長期的に負担が続く。現時点では無理なく支払える保険料でも、10年後に子どもの教育費や住宅ローンの負担などがあると、保険料を支払っていくことが難しくなるケースも考えられる。
今後の収支計画を立てた上で、長期的に無理なく支払っていける保険料を設定することが重要だ。
ほとんどの保険会社では、公式サイトで保険料の概算をチェックできる保険料シミュレーションを提供している。
希望する保障内容や自分自身の年齢などを入力するだけで、簡単に保険料の試算ができる。
各保険会社の保険料を比較し、もっとも負担を抑えて契約できる医療保険を選択しよう。
また、「掛け捨て型の医療保険を選ぶ」「インターネットで申し込める商品を選ぶ」といった工夫をすることで、同じ保障内容でも保険料負担を軽減できる可能性がある。
事前に保険料の予算を決め、予算の範囲内で無理なく契約できるプランを探してみよう。
ランキングや口コミの上手な使い方
インターネット上には、医療保険のランキングや口コミが溢れている。
ランキングを調べることも一つの手段だが、参考程度にしてきたい。
たとえランキングで1位であっても、その保険があなたに適しているとは限らない。
また口コミに関しても、投稿者個人の意見や感想なので、元々間違っている情報や思い込みが混ざっているケースも散見される。
鵜呑みにするのではなく、自分で調べよう。自分に合った医療保険がわからなくなったら、ぜひ専門家に相談してほしい。
医療保険のそれぞれの種類を理解して自分に最適な保険選びを
本記事では、医療保険の基本的な役割からメリット・デメリット、選び方について詳しく解説した。
医療保険は「公的医療保険」と「民間の医療保険」に分かれる。このうち民間の医療保険については、公的医療保険の不足分をカバーしつつ、ケガや病気による入院・手術の経済的リスクを軽減できる重要な役割をもつ。
今回紹介した医療保険の選び方も参考に、無理のない範囲でライフプランに合った保険を探してほしい。
このように、何より重要なことは、数ある保険商品の中から、自分に必要な保障内容や保険料とのバランスを見極めることだ。
そのため、これらの判断に少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な保険を的確に判断することができるはずだ。
また、全国の保険のプロから自分に合った担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。
「生命保険ナビ」は、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができるマッチングサービスである。
気になった担当者とは無料相談もできるので、ぜひ活用してほしい。